前立線

前立腺ガンの居場所

触診とエコー検査で確認できた前立腺ガンは、この6年間で100人以上もいました。その中で、前立腺外腺の他にガン陰影を発見したのは1例だけです。99%が外腺に認めました。
その他に前立腺全体を悪性度の高い癌が拡がっていた患者さんが1人いまいたが、この患者さんは、エコー検査では、前立腺全体に拡散したために確認はできませんでした。この様な患者さんは、本当に稀です。

しかるに、今の泌尿器科医師は、前立腺の深部中央の前立腺組織採取を懸命に行っているように思えます。
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例えば、この写真の患者さんは、前立腺尖部の左に厚さ2ミリ程度のガン組織の塊りを確認できます。
前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

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この写真の患者さんは、前立腺の右側に厚さ4ミリ程度のガン組織の陰影を確認できます。
やはり、前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

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この写真の患者さんは、前立腺の右側奥の膀胱の裏側に厚さ4ミリ程度のガン組織の陰影を確認できます。
やはり、前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

これらの写真をご覧になって分かるように、前立腺ガンのほとんどが、前立腺の外腺に発生します。それにも、かかわらず触診もしないで、前立腺の内腺に向かって針を何本も刺すのです。前立腺ガンが見つからないばかりでなく、下手すると前立腺ガンを傷つけいためるだけです。そのせいで前立腺ガンは発見できませんでしたが、針生検が残った前立腺ガンを刺激して悪性度を増すのかもしれません。

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病気と症状と治療のタイミング

慢性前立腺炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺肥大症、神経因性膀胱、PSA高値などの患者さんが全国からお越しになります。
その理由は、地元の病院やクリニックでは治らないからです。
治らない原因の第一は、まずは病気の本質を治療しないからです。例えば、慢性前立腺炎や慢性膀胱炎は、「炎」という取りあえずの病名に合わせた治療しかしないからです。また、間質性膀胱炎や過活動膀胱は原因不明の病気ですから、頻尿や痛みに対する治療しかしないからです。更に、前立腺肥大症は、頻尿の出現理由を考えないで治療するからです。
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病気の本質は、「排尿障害」です。
排尿障害→膀胱三角部の過敏→脊髄神経回路の構築→症状(頻尿・尿意切迫感・残尿感・痛み・シビレ・かゆみ)の発現です。それぞれの病気の仕組みは、下記の通りです。
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
★慢性前立腺炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★慢性膀胱炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★間質性膀胱炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★過活動膀胱=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★前立腺肥大症=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕前立腺の肥大➕脊髄神経回路の完成
★神経因性膀胱=排尿障害➕膀胱出口の硬化→→→排尿障害の強化
★PSA高値=排尿障害±炎症±前立腺肥大症±先天性±前立腺ガン
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
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ご覧の通り、すべての病気に排尿障害が絡んでいます。その排尿障害の程度はピンからキリまであります。なかには、患者さん自身が自覚しない程度、あるいは医師が評価しない程度の排尿障害のため、まったく治療しないので中々治らないのです。

病気はイラストのように4つの時期に分けて判断します。
★1期は排尿障害があるにもかかわらず症状の出ない状態です。いわゆる「未病」の状態です。
★2期は、脊髄神経回路が完成して症状がで始めた状態です。
★3期は、排尿障害が治療されないために、脊髄神経回路がバージョンアップしてしまい、症状が強く出ている状態です。
★4期は、脊髄神経回路が排尿障害から独立・独り立ちして、神経回路がますます複雑になり、完成度が極めて高くなった状態です。排尿障害を治療しても治リません。信じられないほどの強い症状になります。頻尿が毎日80回以上、突然あるいは持続性のナイフで刺されたような痛み、血が出るくらい何遍掻いてもカユミが収まらない状態です。

治療する医師は、この状態を十分に把握して治療しなければなりません。
★排尿障害に対してはアルファブロッカー(ユリーフ、ハルナール、フリバス、エブランチル)です。
★膀胱三角部の過敏さに対しては、ベタニス、ベシケア、ウリトス、ステープラ、アボルブ、タガメット、サプリメント(イソフラボン、ノコギリヤシ、カボチャの種、正露丸)です。
★脊髄神経回路に対しては、トラムセット、リリカ、カロナール、仙骨神経ブロック、サプリメント(グリシン)です。

世間では、患者さんを十分に調べもせずに、病名だけで治療する輩の何と多いことか!親身になって、患者さんの言葉を真摯に受け止めて治療しようと努力する医師が、もっと増えて欲しいと思います。


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前立腺ガンの低用量治療法

前立腺ガンはモノではなく、生き物です。ところが、医師は患者さんの前立腺ガンをモノとして対応しているとしか思えません。もしも、モノであるのならば、治療法に抵抗するホルモン抵抗性・去勢抵抗性前立腺ガンCRPCにはならないでしょう。
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ガン細胞だって意思はないかもしれませんが、正常の細胞と同じに、それなりの感受性はあるはずです。そのガン細胞を針生検で10カ所以上も突いて突いて突いて、その後大量のホルモン剤や抗ガン剤を投与され正面から攻撃されたら、何とか自分を守ろうと努力工夫して強くなるのに決まっています。
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そのような考えで、
①まずは、針生検をしないで前立腺ガンを確定診断する。
②次に、ホルモン剤を通常の投与を続けると、ガン細胞もその攻撃に対して気がつき対抗手段を画策するので、極少量か、前立腺肥大症の治療薬を投与する。
③抗ガン剤も同様で、極少量を投与して、ガン細胞に気付かれないように毒を盛る。
④排尿障害のあるヒトは、排尿の際、前立腺に物理的刺激がかかるので、なるべく回避するために排尿障害の治療薬を処方する。

もともと穏やかな前立腺ガンです。ですから、穏やかな治療するべきです。もしも、本来、穏やかな前立腺ガンが対応能力に長けているガン細胞であれば、強い攻撃に対しては強く報復する性格があるのかもしれません。しかし、どうやったら巧妙に前立腺ガンをだまして毒であるホルモン剤や抗ガン剤を取り込ませるかです。
以前にエストラサイトを利用した低用量処方について記事を揚げています。エストラサイトに限らず、強いお薬は低用量処方を試みることにしています。

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前立腺ガンが生まれる理由

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前立腺ガンは、前立腺の外腺(辺縁領域)に多くできます。その理由は、いろいろと言われていますが、前立腺の構造学的観点から考えてみます。
このイラストは、胎児11週目の下部尿路を表現しています。
まず、尿道から前立腺の原基である芽が出てきます。それが、中心領域と辺縁領域です。

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中心領域と辺縁領域がある程度の成長後に、遅れて移行領域が発芽します。
中心領域と辺縁領域の成長がある程度で休んでいると、移行領域の発育がますます大きくなり、尿道の前側から後ろ側に、尿道を覆いかぶさるように発育します。その結果、移行領域と中心領域が1つに融合して内腺になるのです。

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内腺はドンドン発育し大きくなり、次第に辺縁領域を外側に圧迫することになります。
辺縁領域=外腺は、内腺による圧迫と、硬い繊維組織でできている前立腺被膜の間に、ギューギューと挟めれ常に圧迫刺激を受け続けます。
40歳過ぎてから、内腺はますます大きくなって前立腺肥大症になりますから、外腺は更に一層圧迫されます。また、前立腺肥大症で排尿障害が出現し、排尿の際に排尿圧力が前立腺に直接かかり、外腺はトコトン刺激を受けます。
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つまり、前立腺外腺は、前立腺が生まれた時は辺縁領域として、出産後は外腺として、40代以降は内腺にできた前立腺肥大症に強く圧迫される外腺として、何回も圧迫刺激を受け続けています。そして、男性ホルモンであるテストステロンの変動刺激を胎児の頃から6回も受けています。これほど物理的刺激・化学的刺激を受ける窮屈な分泌腺は生体内には存在しません。外腺にガン細胞が生まれても不思議ではないでしょう。

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ガンの5年生存率(週刊現代の記事から)

今日4月2日月曜日に発売された週刊現代で、治る「がん」治らない「がん」というテーマの記事がありました。記事の根拠になるデータは、全国がんセンター協議会の統計から得ているそうです。
各臓器のガンを年代別(50代・60代・70代)・ステージ別(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)で記載されています。ガンの特徴を著しく表現できるのが、60代のステージⅢ(臓器の外側に浸潤)だと思います。そこで、ここに簡単にまとめてみました。
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肺がん: 35.1%
胃がん: 49.4%
直腸がん: 89.3%
結腸がん: 87.8%
肝臓がん: 8.4%★
膵臓がん: 6.0%★
腎臓がん: 58.2%
食道がん: 42.3%
胆嚢がん: 10.9%★
前立腺がん: 100.0%※
膀胱がん: 58.9%
甲状腺がん: 99.3%※
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このデータを見て、いかが思われましたか?
ガンとして恐怖しなければならないのは、生存率70%以下のガンだと思います。なぜなら3人に1人が5年持たないからです。そのようなガンが、肺がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、食道がん、胆嚢がん、膀胱がんです。特に、★で印したガンは、5年間に10人に1人しか生き残れません。
それらのガンと比較すると、前立腺がんや甲状腺がんは、同じガンとは思えません。有名な先生が唱えた「ガンもどき」と考えることができます。
記事の中では、前立腺がんは治療法が進歩したので、生存率が良くなったと言うことでした。それにしても、前立腺がんと甲状腺がんの生存率は断トツで高過ぎませんか?そういう意味では、前立腺がんは、「ガンもどき」かもしれません。前立腺の中に眠っている時は、「ガンもどき」で針生検で発見されると「癌」になってしまうのかもしれません。もちろん、「ガンもどき」から「癌」になるものもあるでしょう。そのタイミングを見つけるのが、PSA検査+触診+エコー検査かもしれません。

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針生検で発見できなかった前立腺ガンの患者さん

患者さんは50代の男性です。
平成29年11月にPSA値が26(正常値4.0)と高く、地元のがんセンターで前立腺針生検(10本)を実施したのですが、ガン細胞が発見されませんでした。その後の主治医対応に納得がいかないので、高橋クリニックに訪問されました。
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初診時の触診では、前立腺がとても大きく、前立腺全体が前立腺肥大症!の雰囲気です。
しかし、前立腺の奥の右上部(膀胱寄り、精嚢腺側)に前立腺肥大症よりも若干堅い硬結が触れます。前立腺ガンと思われます。
私の人差し指がギリギリ届く範囲の距離です。
自分の指の長さが短いと思った時が、自分の診断能力の限界を感じる瞬間です。

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そこで、エコー検査で観察すると、前立腺は114cc(正常値20cc)と5倍以上の大きな前立腺肥大症でした。さらに丁寧に観察すると、前立腺の膀胱よりの精嚢腺手前にガンと思われる陰影が確認できました。この写真の赤い矢印の部分がガン組織です。
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恐らく、前の主治医が事前に十分に下調べもせずに、PSAの値だけで大雑把に針生検した結果だったのでしょう。前立腺肥大症であれば、前立腺針生検の本数を増やさなければ、発見の確率は低くなります。前立腺20㏄で10本ならば針1本当たりの単位体積は2.0㏄ですが、前立腺114㏄だと1本当たり11.4㏄になってしまいます。同じ単位体積にするには、57本もの針生検をしなければ一致しません。しかし、現実的には無理です。なぜなら、本数を重ねる毎に前立腺がグチャグチャになってしまうからです。
この患者さんのガン発見のためには、エコー所見を参考に、イラストのように針を5センチ程先に刺入させ、その場所からパンチ刺入すればガン組織を採取できるでしょう。

エコー所見では、陰影が丸味のある形状をしていますから、悪性度は低いものと思われます。先ずはプロスタールを処方しました。前立腺肥大症が小さくなると同時にガン組織も小さくなるでしょう。

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前立腺ガンの年齢階層別推移

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前立腺ガンの罹患数を年代別に観察すると、グラフのようになります。(2016年統計)
40歳過ぎてから、罹患数は急激に上昇します。

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前立腺ガンのラテント癌の潜伏率と、年代別の増加推移を比較したグラフです。
年齢を重ねる毎に潜伏率は増えます。この曲線と前立腺ガンの罹患数の増加曲線が近似したものになります。
つまり、罹患数の増加は、加齢に伴うラテント癌の潜伏率に比例しているのです。
もしも男性全員に前立腺針生検を実施すれば、罹患数はこんなものでは終わりません。桁が2桁は多くなります。80代は、930万人存在しますから、ラテント癌は、465万人存在することになります。

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初めのグラフと男性生涯の男性ホルモン(テストステロン)の推移を比較すると、このグラフになります。
男性ホルモンが下降に沿って、次第に前立腺ガンの罹患数が増加しているように見えます。
前立腺は男性ホルモンの低下、特に60歳を越えたテストステロンが最盛期に60%に低下した時を境に、その変化を引金にして前立腺ガンが発生すると考えられます。
これから、考えると更年期前後でテストステロンの補充療法が前立腺ガンの抑制効果が得られるかも知れません。

要するに、前立腺ガンの罹患率は、
①年齢による潜伏率
②年齢によるテストステロンの低下
に相関しています。つまり前立腺癌は年齢とともに増加する自然現象です。その自然現象に針生検で刺激することが、寿命に影響するガン細胞に変身するのではないでしょうか?

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前立腺の基礎医学♯4(臨床医学的観点)

【臨床学・泌尿器科学的観点】
前立腺の病気で問題になるのが、次のものです。
❶急性前立腺炎
❷慢性前立腺炎
❸膀胱頚部硬化症
❹前立腺肥大症
❺前立腺ガン
❻男子不妊症
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❶急性前立腺炎
突然の細菌感染と誤診されることが多いのが現実です。急性前立腺炎になる患者さんには、必ず排尿障害が隠れています。一般的には、膀胱頚部硬化症です。排尿障害があると、排尿の度ごとに前立腺は圧迫と振動を繰り返し受けます。その物理的刺激により前立腺内の白血球は過剰に反応し易くなります。そのため、前立腺内の常在菌に過剰反応すると、急性前立腺炎になるのです。

❷慢性前立腺炎
急性前立腺炎を繰り返す患者さんに、慢性前立腺炎症状が発症することが多いのが現実です。理由は、急性前立腺炎と同じで、膀胱頚部硬化症による排尿障害が慢性的に繰り返し繰り返し前立腺を刺激する結果です。この慢性的刺激により、前立腺が神経的に過敏になり、慢性前立腺炎症状になるのです。ですから、抗生剤や抗菌剤を服用しても本質の治療にはなりません。興奮した白血球や常在菌を抑えるだけです。

Img_0904❸膀胱頚部硬化症
生まれつき、膀胱頚部が排尿時に漏斗状に開き難い人が、一定の確率で存在します。そのため、膀胱出口が十分に開きません。膀胱出口が排尿の度ごとに、膀胱出口が振動します。結果、膀胱出口が硬くなり膀胱頚部硬化症になり、前立腺に振動負荷がかかり、前立腺の機能低下や前立腺の膀胱内への突出を促すため、なお一層排尿障害が強くなります。前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSA値が高くなります。この写真は、慢性前立腺炎と診断された患者さんのエコー所見です。膀胱三角部の突出=膀胱の魚の目が確認出来ます。

Img_0902❹前立腺肥大症
食生活の向上により、前立腺肥大症の要素である平滑筋が大量に造られ易くなります。
また、先の膀胱頚部硬化症による物理的振動エネルギーが刺激になって、前立腺肥大症を促進します。ですから、前立腺肥大症の患者さんの多くが、もともと膀胱頚部硬化症があり、排尿障害症状の主な原因が、前立腺肥大症の大きさではなく、膀胱頚部硬化症なのです。その証拠に、前立腺肥大症の症状の強い患者さんに膀胱出口の緊張を和らげるαブロッカー(ユリーフ・ハルナール・フリバス)服用するだけで、前立腺の大きさを無視しても、症状が軽減することが多いのです。前立腺肥大症の大きさが、正常の2倍であれば、PSA値も2倍になります。

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❺前立腺ガン
発生学で解説したように、前立腺外腺はいくつもの刺激を受けます。
⑴胎児期に性別分化のための一時的なテストステロンの刺激
⑵出産直後の大量のテストステロンの刺激
⑶思春期の大量のテストステロンの刺激
⑷更年期以降のテストステロンの減少の刺激
⑸中高年以降の前立腺肥大症による圧迫と排尿障害の排尿時の振動刺激
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少なくても5つの刺激要素で、前立腺の外腺は一生かけて5回の刺激を受けるのです。これほど物理的・ホルモン的刺激を受ける分泌腺が他にあるでしょうか?その結果、癌細胞が発生しても不思議ではないでしょう。この写真は、PSA値が高く来院された患者さんのエコー所見です。小さな前立腺ガン(赤い矢印)が外腺に認められます。

❻男子不妊症
生理学で解説したように、前立腺の分泌する前立腺液は、精子の活動にとって必須の要素です。排尿障害による前立腺の物理的疲労は、分泌腺としての前立腺液が質・量ともに十分に分泌されなくなります。その結果、男子不妊症になるのです。したがって、男子不妊症の患者さんに遭遇いたら、排尿障害を見つけ出して治療して、前立腺の負担を解除し、前立腺液が正常に快復させるのです。
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私の考え方は、とても偏向的です。何にが何でも膀胱頚部硬化症が原因だという考え方です。私は完璧な人間ではありませんから、誤診した時はご免なさい。

【参考文献】
男の更年期 日東書院

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前立腺の基礎医学♯3(生理学的観点)

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前立腺は、4つの役目を担っています。
❶射精器としての前立腺。前立腺を収縮して、その収縮力で精液を体外に噴出させる。射精の押し出す力である。
❷分泌腺としての前立腺。前立腺液を分泌して、子孫繁栄に必要な精子の活動を援助する。
❸ミキサーとしての前立腺。精嚢腺液と前立腺液と精子をミックスする場となる。
❹整流装置としての前立腺。
❺ホルモン反応臓器として前立腺
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❸前立腺液の成分は次の通りです。
⑴弱酸性
精嚢腺液は、強アルカリ性pH7.5で、精子の活動を抑える作用があります。女性の膣内には殺菌作用のある乳酸菌の出す強酸性の乳酸に負けないように、弱酸性pH6.5の前立腺液と強アルカリの精嚢腺液が、適度に混ざって、弱アルカリ性の精液になるので、精子が元気に活動できるのです。
⑵アデノシン三リン酸ATP
精子はエネルギーの蓄えがありません。ミトコンドリアは持っているので、周囲の環境からミトコンドリアにエネルギーの補給の必要があります。そのエネルギーがATPなのです。
⑶PSA
精液の粘り気をサラサラにするのが、PSAというタンパク分解酵素です。精液をサラサラにすることで、精子の活動範囲が広くなって、卵子との遭遇する可能性が高くなる=妊娠し易くなるのです。このPSAが前立腺から漏れ出て血液中の濃度が高くなる事を前立腺ガンの目安=腫瘍マーカーになるのです。
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Img_0899❹整流装置としての前立腺
4センチという短く真っ直ぐな女性の尿道に比べ、男性の場合場合は約20センチと長い(膀胱出口から尿道出口)上に、少なくとも二カ所屈曲しています。前立腺から直ぐ出た所(尿道球部)で約90度曲がり、陰茎の根元(振子部)でまた90度曲がります。そのため、尿道が単なるホースであると、各曲がりの個所で流れの位相差が生じます。その結果、尿道出口から尿が出るときには尿が散ってしまいます。

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乱流・渦流を防止するために、スムーズな流れを作るための施しが、前立腺と尿道に工夫されています。
このイラストは、ある整流装置の説明図です。
何もしない管の中を流れる流体は、管の近辺に乱流・渦流が生じます。ちょうど、電車のホームに立っていて、急行や特急列車がそばを通過すると、電車に引き込まれるような突風が吹きます。あの突風が乱流です。乱流にしないためには、このイラストのような整流装置が必要になります。

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①整流装置としての精丘
前立腺の尿道括約筋手前に精丘(精阜せいふ)と呼ばれる突起が存在します。
ここを尿が流れると、先程の整流装置のように内側・中心部へ向かう渦が出来ます。すると、流れに速い部分と遅い部分になり、層流が出来ます。層流は整流になり、尿道近辺に渦が出来なくなります。
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この写真は、手術後の前立腺内部の内視鏡所見がです。丸い部分が精丘です。
②尿道全体が整流装置
排尿中は、膀胱出口の膀胱頚部や尿道全体がある一定の間隔で直径が変化・拍動します。直径が拍動することで渦流・乱流が出来なくなります。動脈が拍動するのは、乱流を防止して血栓を作らないためです。
前立腺肥大症になると拍動が起きないので、オシッコが散ったり割れたりするのです。
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❺ホルモン反応臓器としての前立腺
男性は生涯をかけて、このぐラグのように男性ホルモン=テストステロンの変化のピークが4回あります。
①胎児期、②出産直後、③思春期、④更年期です。
①胎児期:
第6週の胎児期に、性別を分けるためにテストステロンが予想以上に大量に分泌されます。その結果、前立腺芽が成長して前立腺になるのです。その際に、中心領域と辺縁領域が形成されます。しかし、前立腺肥大症の原因組織である移行領域は、いつ出来るのか不明です。
②出産直後:
出産後数ヶ月で再びテストステロンがピークを迎えます。おそらく、この時期に移行領域が発芽するのでしょう。そして、男としての骨格や筋肉の作られるキッカケにもなるのでしょう。
③思春期:
皆さんもご存知のように、十代後半から男性ホルモン=テストステロンが盛んに分泌され二十代でピークになります。この時期に男の子は男らしくなるのです。そしてある日、精液が出せるようになります。つまり、前立腺が完成するのです。恐らく、この時期に移行領域が成長発達し、エコー所見でも確認できる程の大きさボリュームになるのです。
④更年期:
それまで高かったテストステロン濃度も、45歳頃から分泌が徐々に低下していきます。50代で60%、60代で50%、70代で40%です。その分泌変化が刺激になり、前立腺の移行領域が前立腺肥大症に変化して行くのです。
⑤圧力も刺激?
思春期③を過ぎてから前立腺の移行領域は成長して体積が増えます。前立腺は、すでに存在する辺縁領域の外腺が、移行領域の内腺と硬〜い線維性の前立腺被膜の間に挟まれて圧迫されます。さらに更年期④を過ぎると内腺はますます大きくなり結果、前立腺肥大症になります。外腺はなお一層圧迫されます。ホルモン変化の刺激を4回、圧力刺激を2回もさらされて、外腺はトコトン刺激を受けます。この刺激が前立腺ガンを誕生させるキッカケになるのかも知れません。

【参考文献】
解剖学アトラス
男の更年期 日東書院

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前立腺の基礎医学♯2(解剖学的観点)

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【解剖学的観点】
今まで私たちが学んだ前立腺の知識は、構造的に内腺と外腺に分類されていました。前立腺肥大症は内腺から、前立腺癌は外腺から発生すると信じられています。

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しかし、新しい知識として、前立腺は移行領域、中心領域、辺縁領域に分けることが出来ます。
既存の知識である内腺は、移行領域と中心領域が融合して作られています。外腺は尿道括約筋付近から発生し外側に発育する辺縁領域です。移行領域は前立腺の前面から、中心領域は膀胱頚部から誕生するのです。尿道に沿って発育し、外腺の内側に存在します。つまり、尿道の周囲であるので、排尿の善し悪しに直接関わることになります。前立腺は尿道を挟んで、後側の上下からと前側の真ん中から発生するのです。
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内腺は、思春期の男性ホルモンであるテストステロンの分泌が盛んな思春期以降に更に発育し、更年期の男性ホルモン分泌が低下するタイミングで、その変化が刺激になって前立腺肥大症に変化するのは、納得できる反応です。しかし、移行領域と中心領域由来の内腺からの前立腺肥大症は、尿道に直結しているので、排尿障害に当然関与します。また、内腺部分が大きく発育しても、以前から存在する外腺に周囲を阻まれますから、抵抗のない膀胱側に発育するので、それが膀胱突出型の前立腺肥大症(中葉肥大型)になるのです。このタイプは、極めて排尿機能が低下します。

【参考文献】
解剖学アトラス
An Atlas of Prostatic Diseases 3rd edition


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