慢性前立腺炎の治療
先日、お母様と2人で二十歳の青年が来院されました。以前からオシッコが終わっても、30分から1時間は尿意を感じて治らないのです。さらに、膀胱出口と尿道が開いた感じがして、常にオシッコが漏れそうな感覚なのです。
地元の泌尿器科を受診したら、よくあるパターンの「慢性前立腺炎」「過活動膀胱」最後は「気のせい」と診断され、現在は心療内科にかかっています。抗生剤や抗コリン剤を処方されましたが、改善が得られません。
早速、エコー検査を行いました。予想通り、膀胱三角部が硬化し突出していて、膀胱出口が相対的にVの字に見えます。ほ膀胱出口が膀胱側に突出(矢印)しているからです。排尿中でもないのに、膀胱出口が開いているように見えます。膀胱括約筋も側面像で確認できます。
正面像では膀胱頸部周囲に静脈瘤がす少なくても7個以上たくさん確認できます。また、左右の膀胱括約筋が中央で繋がっています。これらの所見の全てが、排尿障害後遺症所見です。頻尿は10回以下で、それほど多くはありません。本来であれば、尿意切迫感が強くなり、トイレに行きたくなり、20回以上の頻尿になる筈です。しかし、尿意切迫感がそれ程でもないのです。結果、患者さんの脊髄神経回路が異なる感覚、尿意だけの感覚と、膀胱や尿道の違和感を感じさせるのです。
排尿障害の治療薬で膀胱括約筋の緊張を緩めるα1-ブロッカーを必ず処方します。ただ若者に健康保険で処方できるのは「エブランチル」だけです。もしも効果がなければ、お父さんに前立腺肥大症の排尿障害の治療薬であるユリーフやハルナールを処方して、息子さんに飲んでもらいます。もちろん、お父さんの許可が必要です。
また頻尿治療薬を処方しますが、抗コリン剤は膀胱の体部を緩めるのですが、患者さんによっては、膀胱三角部には効果のない方がいます。さらに、抗コリン剤によって膀胱排尿筋が収縮しないので、逆に排尿障害が強くなることがあります。そのため、β3作動薬を処方しなけれ効果が出ません。若い男性にはべオーバを選択します。
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