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ボトックス

B29900de8bbc458ba6e429b07987a145  2007年にボトックス注射の資格を取りました。資格がないとボトックスを購入出来なかったからです。当時は美容整形のシワ取りのための注射でした。それを膀胱や前立腺の治療として利用しました。しかし、ボトックスが高額(10万円)だし、効果が50%だったので、その後は止めました。

 原因不明である過活動膀胱の尿失禁と神経因性膀胱の尿失禁の治療として、ボトックス治療が保険の適応になりました。でも再び行うつもりがなかったのですが、ボトックスの製薬会社のスタッフから、ボトックスの泌尿器科の資格を取って欲しいと積極的に頼まれてしまいました。(笑)

ボトックスは食中毒の原因であるボツリヌス菌の毒素です。この毒素は、神経伝達に必要なアセチルコリンをブロックしてしまいます。その結果、神経コントロールが出来なくなり、筋肉が緊張出来なくなり、麻痺して緩んでしまうのです。このボトックスを膀胱壁の排尿筋の縦走筋・輪状筋に射てば、麻痺して膀胱が収縮できなくなります。さらに、尿意センサーである部分に射てば、尿意の情報が伝達出来なくなるのです。

 そこで、資格を取得するために、現在Webの講演会で勉強しいます。講演内容は私から言えば、私の考えとは多少異なりますが、私が適格に処置できるので、問題ありません。講演内容では、ボトックス注射を膀胱全体に20箇所に射ち、あるいは神経因性膀胱には30箇所に射つとされていました。一般の医師たちは、尿失禁が膀胱の身勝手な収縮で尿失禁すると思っているのです。また尿意感覚が膀胱全体にあるのだと思い込んでいるのです。ですから、過活動膀胱の尿失禁の患者さんは、膀胱全体の粘膜の知覚過敏と、膀胱排尿筋の身勝手な収縮と誤解しているのです。

 膀胱の知覚は、実は膀胱三角部の平滑筋だけなのです。膀胱三角部は膀胱に存在しますが、実は尿管の平滑筋の一部なのです。ですから尿管の感覚なのです。その実例として、尿管結石の患者さんが、尿管の出口付近に落下すると、尿が溜まっていなくても、尿意・頻尿・残尿感になるのです。そして結石が膀胱に落下すると、尿意はなくなるのです。また、立っていたり走ると尿意が強く感じる患者さんが、横になると尿意が無くなります。その理由は、膀胱三角部の位置が膀胱の一番下にあるので、立位・走行時に尿の重さが一番かかるので膀胱全体に尿意が感じ、横になると、重さが分散するので尿意が無くなるのです。

Sphinc9_20200815164901  ですから、ボトックスは膀胱三角部を中心に注射しなければなりません。膀胱粘膜で膀胱三角部が一番厚いので、注射は注意せずに出来ます。膀胱粘膜の他の部分は薄いのです。同じようにボトックスを注射すると、膀胱壁内の膀胱輪状筋と膀胱縦走筋に必ず注射されてしまうので、膀胱が収縮が難しくなります。過活動膀胱も神経因性膀胱も膀胱出口が十分に開かないことが原因なのです。当然ですが、残尿が残るでしょう。

 膀胱全体20か所に注射をしましょうと言う考え方は、過活動膀胱で頻尿の患者さんは、膀胱壁の排尿筋(縦走筋・輪状筋)が収縮傾向にあり膀胱容量が狭くなっているから頻尿になるのだと思い込んでいるのでしょう。そのために膀胱壁の排尿筋をボトックス注射でゆるめるので膀胱容量が広がり、膀胱内圧が低くなり頻尿が改善すると誤解しているのです。ある意味で、間質性膀胱炎の治療である膀胱水圧拡張術を行っているのと同じです。

 そのため膀胱出口の緊張を緩めるために、膀胱出口付近をボスミン注射すると、出口が開きやすくなります。その結果、過活動膀胱・神経因性膀胱も本質的に改善します。膀胱出口が開かない理由を前回解説しました。膀胱括約筋と尿道括約筋とを連結している平滑筋線維がアンバランスになって、理想的に開かないからです。治療として、今まではα1ブロッカー(ユリーフ・シロドシン・ハルナール・タムスロシン)を服用すれば、膀胱括約筋と平滑筋線維の緊張がゆるみ、膀胱出口が開きやすくなるのです。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2020/08/post-2557fb.html


 しかしながら、薬剤でも症状が改善しない患者さんが存在します。オシッコが出にくい、頻尿や痛みが取れない等の症状が続くのです。その理由は、病気が長期間だった為に、❶膀胱括約筋が過剰に肥大、❷周囲が繊維化して硬くなった、❸周囲に知覚センサーができ上がった、❹脊髄神経回路が増強した等です。そのためには、内視鏡手術で膀胱出口付近を切除して、物理学的改善と、知覚センサーを排除すれば良いのです。

 でも手術をされたくないヒトも存在しますし、かなりのご高齢であれば、手術のリスクもあるので私も手術したくありません。そこで、ボスミン注射の誕生で治療が可能かもしれません。排尿のメカニズムを熟知すれば、注射の部位が容易に理解できるでしょう。このイラストが、注射部位を示しています。❶頻尿の知覚センサーは膀胱三角部が主体ですから、膀胱内では膀胱三角部だけに注射します。❷病気の本質は排尿障害ですから、肥大した膀胱括約筋に注射します。❸痛みセンサーは私の経験上、膀胱出口の周囲に存在しますから、膀胱括約筋の注射で軽快します。

944e3648e20e483796ba8e984896bcfc  2007年頃の私は、過活動膀胱の症状の基本は、膀胱三角部の過敏さだけだと思っていましたから、膀胱三角部だけにしかボトックスを注射していませんでした。排尿障害が基本ですから、膀胱括約筋にも注射する必要があったのです。さらに、知覚センサーが膀胱三角部だけではなく、膀胱出口周辺にもあることを体験したので、膀胱出口にも注射の必要があるのだと、今の私は思っています。

保険点数は、9,680点(96,800円、3割負担で28,040円、1割負担で9,680円)です。この金額の中に、7万円のボトックス費用が入っています。それ以外に自費の手術用のコートシートが五千円です。

 

 

 

 

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傍外尿道口嚢胞(オシッコの出口のそばにある水袋)

Bulla2_20200910093801 先天性の病気で傍外尿道口嚢胞があります。男性患者さんが見た目が悪く治療を希望するのですが、良性疾患なので医師から断られます。尿道口の手術をすると、後遺症として尿道狭窄になる可能性が高いからです。

良心的な医師であれば、注射器で中身を吸引してくれますが、内膜が残るので、そこから液体が作られるので、再生してしまうのです。


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さらに努力する医師は、外科的な処置を試みます。メスやハサミを使用して嚢胞を切除するのです。しかし、内膜の処置をしなければ、皮膚の表面に内膜が残る形になるので、常に皮膚が濡れている状態になるのです。

 

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傍外尿道口嚢胞を完璧に除去するためには、嚢胞の内膜を除去しなければなりません。
私の考えた方法が電気焼灼手術です。イラストのように小さな雷を患部に照射するのです。そして内膜にまで焦すのです。ある意味で火傷(ヤケド)を作るのです。

Bulla7_20200910105301 作ったヤケドを治すために、特殊な軟膏を1カ月近く塗る続けると、新たな皮膚が再生して嚢胞は無くなるのです。右の写真が実際の写真です。

 

 

 

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ユリーフ、ハルナール、フリバスの違い

 Subtype 排尿障害の治療薬であるα1ブロッカーには、ユリーフ(シロドシン)、ハルナール(タムスロシン)、フリバス(ナフトビジル)があります。患者さんによっては、効果が同じ人もいれば、特定のものしか効果の出ない人もいます。

その理由は、表を見れば分かります。α1ブロッカーには、作用するα1受容体のサブタイプが微妙に違うのです。

❶ユリーフは、α1受容体のサブタイプA>>>B・Dにしか効果がないのです。
❷ハルナールは、α1受容体のサブタイプA>Dに効果があるのです。
❸フリバスは、α1受容体のサブタイプD>>Bに効果があるのです。

Yurif 人によって、α1受容体のサブタイプ分布が同じ比率ではないので、クスリも人によって合う合わないが存在します。サブタイプAが分布のほとんどの人には、ユリーフがダントツに効果が得られますが、フリバスは当然ながら効果が得られません。その場合には、ハルナールは、ほどほどの効果が得られます。

α1受容体は、交感神経の分泌するアドレナリンに反応する受容体なのです。α1ブロッカーは、この受容体であるスイッチをブロックするのです。イラストは、3種類の木が受容体のサブタイプです。交感神経である太陽からの日光がアドレナリンです。日傘をさして受容体に日陰を行なっているのがα1ブロッカーです。イラストは、日傘がユリーフでα1−Aサブタイプに日陰を作っているのです。

Yurif2 サブタイプ受容体が、毎日α1ブロッカーで抑制されると、体は他のサブタイプを増やそうとします。例えばAタイプが多かった人にユリーフを続けると、Dタイプが増えるので、今度はフリバスの方が効くようになるのです。病気と言うのは常に一定ではないので、変化を気配りしなけれなならないのです。まるで政治の変化と同じでしょう。代議士が隠れて、主流の政治グループから、他のグループに移行すると主流グループが困る事があるのと同じです(笑)。

 

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過活動膀胱の治療薬

 過活動膀胱の治療薬である頻尿治療薬である、抗コリン剤(トビエース・ベシケア)とβ3作動薬(べオーバ・ベタニス)があります。一般の医師は、単なる頻尿治療薬としか思わないで、処方しているだけです。

 抗コリン剤の作用するムスカリン受容体と、β3作動薬の作用するβ3受容体は、膀胱に均一に分布している訳ではなく、また人によって同じではありません。ですから、この事を常に想像して患者さんに工夫して処方をするべきです。

 しかしながら、それぞれの受容体(ムスカリン受容体・β3受容体)の分布が人によって違うという事は、実証はされてはいません。ムスカリン受容体もβ3受容体も膀胱全体にあると思われていますが、臨床経験上、そうではないと私は考えています。ムスクあリン受容体おはほぼ全域に存在し、β3受容体は膀胱三角部を中心に存在すると考えています。そこで、私が40年以上も患者さんと接すると、思い付いてだんだんと予想できることがあるのです。

Juyotaim_20200903102201❶イラストのように、🅰️ムスカリン受容体は膀胱のほぼ全体に分布する人と、🅱️膀胱の体部だけに分布する人に分かれます。
🅰️の患者さんに抗コリン剤を服用すると、膀胱全体と出口の平滑筋の緊張が緩むので、腹圧をかけると、尿がスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんが抗コリン剤を服用すると、膀胱大部だけが緩むのですが、膀胱出口は緩まないので、腹圧をかけると、相対的に膀胱出口が収縮してしまうので、オシッコが出にくくなったり、尿閉になる人が出て来ます。

Juyotaib_20200903102201❷β3受容体が🅰️膀胱三角部周囲から出口まで分布する人と、🅱️膀胱出口には分布しない人がいます。
🅰️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱出口周辺が緩むので、腹圧がかかるとオシッコはスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱三角部だけが緩んで膀胱出口が緩まないので腹圧をかけると膀胱出口が閉じてしまい、尿が出にくかったり、尿閉になることがあります。

以上のパターンの組み合わせ、❶🅰️🅱️と❷🅰️🅱️との組み合わせで、2✖️2=4タイプの人が存在します。最近では、抗コリン剤とβ3作動薬の併用で、頻尿を抑える効果が期待されていますが、必ずしも上手くいくとは限りません。特に【❶🅱️+❷🅱️】タイプの人は頻尿が減るかも知れませんが、オシッコの出が悪くなる可能性が高くなるのです。

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