前立腺ガンの本質#2
前立腺ガンを発見するために、日本の医師は針生検をしたがるのです。しかし、50歳〜70歳の男性の40%〜60%には前立腺ガンが必ず存在します。80歳以上の患者さんにおいては、80%前後も存在します。ですから、PSA値が高いと言って針生検すれば、2人に1人の50%にはガン細胞が見つかるのです。10カ所〜20カ所も針で刺すのですから、前立腺は当然として外傷性炎症が起きます。炎症ではイラストのように白血球やマクロファージが集中して、傷付いたガン細胞を多数貪食します。すると、傷付かなかった生き残りのガン細胞は『何とかしなければ!』と思い、対応策としてガン細胞を無理やり増やそうと細胞分裂を繰り返します。ガン細胞の細胞分裂は、ある意味でとてもリスクがある分裂なのです。ガン細胞は細胞分裂をすると、ソックリ同じ細胞が作れないからです。その中に悪性度の高い細胞が突然変異で生まれるのです。
ですから針生検をしてはいけないのです。しかしながら、針生検をされた患者さんが、たくさんおいでになります。そこで、針生検をされた患者が、これ以上悪化しないように治療しなければなりません。人を助けるのが、私の使命だからです。
触診とエコー検査でガンを発見したからと言って、何もしないと考えてはいけません。必ず治療しなければいけません。そこで治療としては、前立腺ガンに男性ホルモンを徹底的に低下させることが一般的ですが、それが原因で「去勢抵抗性前立腺ガン」が発生して悪性度が増して亡くなる人が増えるのです。残りの寿命が短い人に対しては、この治療で問題ありませんが、平均寿命が82歳を超える現在では、この治療は欠点です。そのために男性ホルモンを低下される治療をしてはいけません。
❶触診やエコー検査で発見できなかた患者さんや針生検で発見されたステージⅠと診断された患者さんは、半年に1回の触診とエコー検査をすべきだと思います。ず〜と前立腺ガンが出現しない患者さんが、多数存在します。しかし悪性度が高いグリソンスコアが7〜10の患者さんの場合は、エストラサイトの微量な治療を始めます。次の解説を参考にして下さい。
❷ステージⅡ・Ⅲの場合は、微量なホルモン治療を行います。大量のホルモン治療を行うと、数年後には悪性度の高い去勢抵抗性前立腺ガンになるのです。その場合、ホルモン治療の抵抗性になるので、どんな治療をしても着実に悪化してしまいます。積極的に治療すればするほど、悪性度が増すと思ってください。治療を10分の1にすれば、悪性度が増すまで10倍かかると考えるのです。
そこで私が利用するのが昔からある「エストラサイト」です。エストラサイトは、男性ホルモンを直接は低下させません。この薬は「女性ホルモン+抗ガン剤」なのです。前立腺ガンが生まれた直接の原因は、男性ホルモンが低下するのですから、男性ホルモンはそのまま維持します。女性ホルモンと抗ガン剤で、イラストで示すようにフェンシングで少しずつ殺害するのです。大砲で攻撃するように一気に殺害すると、中心の前立腺ガン細胞が、懸命に細胞分裂をを起こしますから悪性度が増すのです。
そこで、エストラサイトの普通の処方が毎日4カプセルを1週間あるいは2週間に1回1カプセルだけを処方するのです。男性ホルモンの低下はしませんから、ガン細胞は気付きません。しかし、女性ホルモンと抗ガン剤でも前立腺ガン細胞は死滅します。投与量が28分の1〜56分の1しか処方しませんから、死滅するガン細胞はほんのわずかです。ですから、中心のガン細胞が気が付かないので、一生懸命に細胞分裂をしません。それを続けると、触診やエコー検査でも、次第に前立腺ガンの塊りが柔らかく小さくなるのです。
❸触診で悪性度が高い場合やステージⅣで骨転移している場合は、エストラサイトだけでは不十分です。その場合には、「イクスタンジ」を併用します。悪性度の高い去勢抵抗性前立腺ガンは、ガン細胞自身が自分を活性化させる男性ホルモンを作るのです。細胞内の男性ホルモンを抑えるのがイクスタンジです。イクスタンジも毎日4カプセルですから、投与量は抵抗性をさせないように、エストラサイトと同じく、1週間あるいは2週間に1回1カプセル処方します。例えば、処方は月曜日にエストラサイト1カプセルであれば、火曜日にイクスタンジを1カプセル服用するのです。
❹ガン細胞が抵抗性能力を作らないように、すべての細胞をリラックスさせる薬剤を併用治療として行っています。その薬がザルティアです。ザルティアは平滑筋の緊張を緩めてくれるのです。
その作用を利用して、排尿障害の原因である前立腺平滑筋の緊張を緩め、さらにインポテンツの患者さんの陰茎動脈の緊張を緩めて勃起しやすくするのです。すべての細胞には一酸化窒素NOが存在します。細胞が緊張を緩める作用があります。そして細胞内にはこの一酸化窒素を分解する酵素があるのです。細胞は常に緩んでいる訳でもなく、常に緊張している訳でもありません。必要に応じて、緊張したり緩んだりするのです。ザルティアは緩みを元に戻す一酸化窒素を分解する酵素を抑えて緊張させないのです。
ガン細胞にも、この一酸化窒素と分解酵素があるのです。ガン細胞が緊張状態だと、治療薬に抵抗するに決まっています。ですから、ガン細胞の緊張を緩めて治療薬を受け入れさせるのです。そのためにザルティアを併用するのです。
コメント
高橋医院長 様
先日、コメントを送信しましたが、私の操作ミスで届かなかったかと思います。改めて質問内容を送信致します。もし重複しているようであればご容赦ください。
初めまして、私は熊本在住で今年73歳になります。2003年に前立腺摘出手術を受け現に至ります。 手術前のPSAは22.91で、MRI診断の結果がんと判定され手術となりました。術後半年でPSAは0.06、2008年に0.35、2013年0.69、2018年2.15、2020年10月23日の検査では3.47と上昇傾向です。体調については自覚する問題は特にありません。
この17年間は治療として、温熱療法やサプリメント主体でやってきました。 10月23日のMRI診断では”術部左側にT2WIで淡い高信号、拡散強調画像高信号、早期濃染を呈する病変を認め、局所再発を疑う(大きさ11×6m程、2010年時 8m程)。スキャン範囲に新たなリンパ節転移や骨転移は無い”との所見。主治医からはホルモン療法か放射線治療を勧められていますが、どうも気が進みません。ガンに対する姿勢は薬で叩くか放射線で焼き切れば良いと言う感じです。 今回、高橋先生のブログを拝見し、ガンに対する取組姿勢に大いに共感を覚えました。そこで、ご相談ですが、前立腺術後の再発についてエストラサイト療法は適用可能ですか?可能の場合、治療中の副作用はどの程度ですか?
また遠隔地での治療はどのようになりますか?ご教示お願い致します。
【回答】
可能です。
一度来て頂いてから、お薬を処方します。
その後は電話連絡で診察します。
薬は着払いでお送りします。
エストラサイトの副作用は、乳首が少し痛むことです。
投稿: | 2020/10/31 00:26
高橋医院長 様
お忙しいところ回答有難うございました。
新型コロナ禍のおり、遠方への外出は感染リスクが高い為外出を控えております。
当面は様子を見て判断したいと思います。 オンラインで診察、治療が出来れば良いなと思わずにはおれません。
休眠療法と言う選択肢が見付かったのが幸いです。
投稿: | 2020/11/05 22:47