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原因不明の痛み症候群

泌尿器科の病気で、原因不明のために、患者さんが苦しむ病気がいくつもあります。痛み症候群(私の造語)として解説致します。

❶膀胱疼痛症

❷前立腺痛症

❸うっ血性慢性骨盤疼痛症候群

❹陰部疼痛症

❺間質性膀胱炎

❻慢性前立腺炎

今、パッと思いつく病気は上記の通りです。どの病気も、原因が明確に確定されず原因治療ができないので、どんな痛み止め(鎮痛剤)を処方しても、当然のように治りません。

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開業医ななって30年間に、痛みで苦しんでいた上記の患者さんをたくさん拝見しました。私のブログでもいくつも症例をご紹介しました。その患者さんの多くに排尿機能障害が認められました。しかし、多くの患者さん自身が排尿機能障害を自覚してはいないのです。私の造語、いわゆる「隠れ排尿障害」です。

具体的な症例として下記のブログをご覧ください。

①痛みでアメリカから来院したご婦人 http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2018/06/post-9fc5.html

②痛みで徳島から来院した男性 http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2019/04/post-6fa87c.html 

③痛みで苦しむ娘さんをお連れになったお父さん http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2018/08/post-3fd3.html 

④1日3回の激痛が大学病院で治らず来院したご婦人(学会報告の症例1) http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2008/04/2008_4cfc.html

医師は患者さんが訴えなければ、排尿機能障害を調べようとも治療しようとも考えないのです。患者さんの訴える自覚症状だけに注目・固執して治療するので、患者さんは当然治りません。

患者さんが自覚しない程度の排尿機能障害は、検査・治療の「必要なし・問題なし」と医師が勝手に判断してしまうのです。しかし、排尿機能障害の負担を評価するのは、患者さんの意思ではなく、患者さんの「体自身」なのです。患者さんが自覚しない病変を医師が「問題なし」と判断すること自体が「問題」なのです。

例えば失恋しても、次々に恋愛を繰り返す人もいれば、たった一回の失恋で自殺する人もいます。病気の状況を診断基準だけで単純にに判断してはいけないのです。病気の状況を判断するのは、体なのです。医師の常識が誤診や原因不明を生むのです。患者さんが自覚していない=病気の原因ではない、と思い込んでいる医師の誤解が、痛み病気症候群を治せないでいるのです。病気の程度が問題ではなく、それに反応する脊髄神経回路=ソフトウェアの個性の問題なのです。

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目の前の患者さんは単純な生命体=単細胞生物=例えばミドリムシではありません。超複雑な精密ロボットだと思って診察しなければならないのです。目の前の表面的な症状だけに惑わされずに、裏の隠れた症状も推理しなければなりません。

 

 

 

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痛みで苦しむ徳島の患者さん

私の著書を読み、徳島県から男性患者さんが娘さんと二人で来院されました。陰部と会陰部の強い痛みと肛門の痛みで苦しんでいた患者さんです。

平成30年11月に血尿認められ、地元の内科医で膀胱炎と診断され抗生剤を処方されました。その後、陰部・会陰部の痛みが出てきて、次第に強くなり、12月には救急車で搬送されました。救急病院で精密検査を行いましたが、「異常なし」でした。

その後、地元の市民病院で痛みの原因を調べたところ、超音波エコー検査で膀胱腫瘍(癌)の初期が偶然にも発見され、平成31年1月に手術(経尿道的膀胱腫瘍切除)を行いました。

Pain37115m72ところが、膀胱腫瘍を治療したにもかかわらず、問題の痛みが治りません。主治医に相談しても「分かりません」「貴方の気のせいです」「慢性前立腺炎でしょう?」と冷たく対応されてしまいました。この悩み解決のために、内科、肛門科、泌尿器科合わせて10軒以上も診察・検査したが、痛みの原因は分りませんでした。

たまたま友人に紹介された私の著書を書店で取り寄せ、本の内容と自分の病状が一致したことに驚き、3回も読んでしましました。そして当院に来院されました。

Pain37115m72pp早速、超音波エコー検査を行いました。パット見て分かりにくい所見です。膀胱出口に白く硬化像が確認できます。

一番気になる所見が、膀胱縦走筋と前立腺結石の区別がつきにくい所です。一つの塊に見えます。当然、排尿機能障害の結果です。また、膀胱括約筋も白く肥大しています。これもまた排尿機能障害の結果です。当然、膀胱三角部が肥大・変形しますから、膀胱三角部が過敏になり、この患者さんの苦しみである原因不明の痛みになったのです。

排尿障害治療薬と頻尿治療薬で治療を開始しました。1ヶ月後に症状が軽快したかどうか、連絡を楽しみです。

【備考」

この患者さんが来院したのが4月23日(火)でした。4月25日(木)に電話があり、痛みが50%になったという喜びの電話でした。何と!クスリを服用して3日目には症状が改善したのでした!

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新書の出版後、80代の患者さんがたくさん

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1月に新書が出版されてから、全国から80歳過ぎの平均年齢を超えた高齢者がたくさんお越しになっています。

 

今週の4月15日〜20日の6日間だけでも、表のように80歳代の新患の患者さんが4人もおいでになりました。

川崎から81歳の方は頻尿が治らず、地元の泌尿器科を受診しても異常なしと診断されていました。エコー検査で確認すると膀胱頸部硬化症でした。所が頻尿とは無関係に前立腺ガンを発見しました。偶然でラッキーでした。

逆にPSAが高いことで杉並区から来院された82歳の患者さんは、膀胱頸部硬化症が原因の排尿障害でPSAが高いだけでした。

青森から来院された80歳の方も頻尿で、やはり膀胱頸部硬化症でした。

ポイントは、頻尿、PSA値の高値、膀胱頸部硬化症、前立腺ガンであり、この4つの組合せのいろいろな症例でした。ワンパターンで患者さんを診察してはダメなのです。

 

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高橋クリニック「休診のお知らせ」

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院長の高橋知宏が、慢性腎不全という大病したため、当分の間、診療は午前中だけです。

 

また、院長が精密検査のため、大学病院に受診することがあり、臨時休診することがあります。
初診の患者さんは、事前に高橋クリニックにお電話で、休診日を直接ご確認ください。ご迷惑をおかけします。

【休診日】

6月30日水曜日は、大学病院で検査のため、休診です。再診の方でお薬の処方と、リハビリは可能です。

 

 

 

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