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医療サイトの投稿原稿#12 「痛みで悩むご婦人」

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アメリカ在住の30代のご婦人が、2017年の9月から、夜間に突然、陰部がとても痛くて目が覚めました。陰部全体の痛みと尿道が引っ張られるような痛みです。これ以降、毎晩起こる痛みのため不眠症になってしまいました。
地元アメリカで、泌尿器科・婦人科などいろいろな医師を受診し、治療を受けましたが治りません。何回も通院すると、医師に見放されたような態度を取られてしまいました。患者さんは、そのような状況になってもくじけないで、インターネットで情報をいろいろ収集しました。その中で、私の書いているブログ記事をたまたま発見したのです。
地元のアメリカでは、私の推薦するクスリを調達できなかったので、日本にいる家族に連絡して、α-ブロッカーのエブランチルを送ってもらい服用してみました。すると、今まで自覚していなかったオシッコの出が良くなったのです。痛みには、それほど効き目がありませんでしたが、私の理論が正しいことを実感したのでした。

その後、日本に帰郷して、関東近県の地元の内科の先生に、無理にお願いして、お祖父さんにフリバスを処方して頂き、それを服用を始めました。すると、どうでしょう!あれほど苦しんでいた痛みが無くなり、夜グッスリと眠れるようになったのです。地元の内科の先生も、その話しを聞いて驚いたそうです。
日本滞在中に私の診療所へ受診しようと、2018年6月末に来院されました。
早速、エコー検査をすると、写真のように膀胱縦走筋(膀胱排尿筋)の走行が、膀胱出口に向いていません。当然、膀胱三角部が厚くなっています。厚さが約7mmです。正常は2mmです。厚さ2mmで排尿回数5回が正常だとすると、7mmだと、オシッコの回数は15回〜18回のはずです(私の自論展開)。しかし、この患者さんの排尿回数は、1日たったの4回でした。
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膀胱三角部で作られた頻尿のエネルギーがまったく表現されていません。これは、患者さんの脊髄神経回路の特性によるものです。しかし、脊髄に送られた情報(エネルギー)をそのまま貯めておくことはできません。そこで、脊髄が新たな神経回路を形成したのです。それが「痛み」症状なのです。
フリバスは、前立腺肥大症の治療薬でお馴染み、排尿障害治療薬のα1-ブロッカーです。もちろん保険適応外ですが、膀胱出口の緊張をゆるめ、男女関係なく排尿障害の治療に役立ちます。また、α-レセプターは、膀胱出口ばかりでなく膀胱三角部にもありますから、膀胱三角部の興奮もフリバスで抑えられたのでしょう。また、排尿障害のため振動して硬くなった膀胱出口も、膀胱三角部と同じくセンサーが形成されるので、膀胱出口の情報も脊髄を介して痛み症状になったのです。
このような症例に遭遇した場合、一般的には①頻尿症状がなければ、陰部疼痛症・うっ血性骨盤疼痛症候群、②頻尿症状があれば、過活動膀胱・間質性膀胱炎・膀胱疼痛症候群、③子宮筋腫があれば、子宮筋腫の関連痛、④他に症状がなければ、陰部神経症と診断されるのが「落ち」でしょう。病気の症状発現のためには、「ブラック・ボックス」である脊髄神経回路が介入していることを医師は肝に銘じるべきです。
また、この患者さんはフリバスで痛みが消失しましたが、不十分な場合、炎症による痛みではありませんから、通常の痛み止め(ロキソニンなど)は無効です。脊髄中枢の「痛み回路」抑制効果のある、リリカ・トラムセットが有効です。

フリバスは地元の内科の先生に継続して処方いただき、さらに膀胱三角部を的確に抑えるベタニスを追加で処方しました。

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