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過敏性腸症候群と下部尿路症との密接な関係

Img_1083_24月26日の夜に城南泌尿器科懇話会が開催されました。
特別講演で「排便排尿機能障害ー自律神経と微細炎症の視点からー」というテーマで、公立黒川病院・管理者・東北大学名誉教授の本郷道夫先生が講演されました。

この先生のご専門は、消化管の機能性疾患です。代表的な病気は、最近流行りの過敏性腸症候群です。
今回の講演では、過敏性腸症候群の患者さんにかなりの確率で、下部尿路疾患すなわち慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱・膀胱疼痛症候群・慢性骨盤疼痛症候群などの病気が合併しているというのです。
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そこで、過敏性腸症候群について考察してみましょう。
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過敏性腸症候群の病態生理(発病の仕組み)のキーワードは次の通りです。
①視床下部(Hs)
②副腎皮質刺激ホルモン(CRH)
③セロトニン
④肥満細胞(Mast Cell)
⑤サイトカイン(Cytokine)
⑥腸内細菌
このフローチャートでは、何が最初の原因が定かではありません。あたかも、精神的ストレスが原因のように思えます。しかし、原因が分からないと短絡的にストレスのせいにするのは、医学会でよくある慣習です。ストレスだけで病気にはなりません。病気があるからストレスになるのです。表面上の症状、うつ病状態を見て、そのように判断するのです。
本郷道夫先生の講演内容から推察すると、次のような仕組みのようです。
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①特定の腸内細菌が腸粘膜を微細に傷つけます。
②すると、腸粘膜の樹状細胞や肥満細胞がサイトカインを放出するので、腸に微細な炎症が生じます。
③その結果、腸管が過敏になりコントロールが難しくなるのです。
④この微細な炎症が長期間続くと、脳中枢の視床下部が気づき、副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。
⑤すると、肥満細胞が活性化されて、サイトカインの分泌が盛んになり、過敏性腸症候群がますます悪化するのです。

腸内細菌が原因とする裏付けの動物実験があります。
健常者と過敏性腸症候群のヒトの腸内細菌叢を比較すると、細菌の分布が明らかに違います。また、動物実験で、健常者の便と過敏性腸症候群のヒトに便をネズミの腸内に移植すると、過敏性腸症候群の患者さんの便を移植を受けたネズミだけが、過敏性腸症候群のネズミになるのです。

Img_1084セロトニンの関与については、治療薬であるイリボーが、その証明になります。つまり、イリボーは、セロトニンの効果を抑制する作用があるので、効果が出てくるのです。
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過敏性腸症候群の原因はともかく、腸の症状の他に様々な症状が発生します。うつ病、不安神経症、腹痛、腰痛などです。さらに、一見無関係と思われる病気、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、膀胱疼痛症候群、慢性骨盤疼痛症候群、線維筋痛症、逆流性食道炎などの病気と合併することが多いのです。
線維筋痛症の専門書には、間質性膀胱炎の合併率は10%にも上ります。また、慢性前立腺炎の患者さんで、過敏性腸症候群を以前から治療されている患者が時々おられます。
実際に、慢性前立腺炎の患者さんの中で、私の処方したクスリの他に、内科の医師が処方した過敏性腸症候群の治療薬を併用したら、症状がかなりの軽快したそうです。

過敏性腸症候群といろいろな下部尿路症の病気の間には、発症に関与する共通点があるのかもしれません。それを調べることで、病気の本質が将来に判明するといいですね。

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前立腺ガンの居場所

触診とエコー検査で確認できた前立腺ガンは、この6年間で100人以上もいました。その中で、前立腺外腺の他にガン陰影を発見したのは1例だけです。99%が外腺に認めました。
その他に前立腺全体を悪性度の高い癌が拡がっていた患者さんが1人いまいたが、この患者さんは、エコー検査では、前立腺全体に拡散したために確認はできませんでした。この様な患者さんは、本当に稀です。

しかるに、今の泌尿器科医師は、前立腺の深部中央の前立腺組織採取を懸命に行っているように思えます。
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例えば、この写真の患者さんは、前立腺尖部の左に厚さ2ミリ程度のガン組織の塊りを確認できます。
前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

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この写真の患者さんは、前立腺の右側に厚さ4ミリ程度のガン組織の陰影を確認できます。
やはり、前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

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この写真の患者さんは、前立腺の右側奥の膀胱の裏側に厚さ4ミリ程度のガン組織の陰影を確認できます。
やはり、前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

これらの写真をご覧になって分かるように、前立腺ガンのほとんどが、前立腺の外腺に発生します。それにも、かかわらず触診もしないで、前立腺の内腺に向かって針を何本も刺すのです。前立腺ガンが見つからないばかりでなく、下手すると前立腺ガンを傷つけいためるだけです。そのせいで前立腺ガンは発見できませんでしたが、針生検が残った前立腺ガンを刺激して悪性度を増すのかもしれません。

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病気と症状と治療のタイミング

慢性前立腺炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺肥大症、神経因性膀胱、PSA高値などの患者さんが全国からお越しになります。
その理由は、地元の病院やクリニックでは治らないからです。
治らない原因の第一は、まずは病気の本質を治療しないからです。例えば、慢性前立腺炎や慢性膀胱炎は、「炎」という取りあえずの病名に合わせた治療しかしないからです。また、間質性膀胱炎や過活動膀胱は原因不明の病気ですから、頻尿や痛みに対する治療しかしないからです。更に、前立腺肥大症は、頻尿の出現理由を考えないで治療するからです。
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病気の本質は、「排尿障害」です。
排尿障害→膀胱三角部の過敏→脊髄神経回路の構築→症状(頻尿・尿意切迫感・残尿感・痛み・シビレ・かゆみ)の発現です。それぞれの病気の仕組みは、下記の通りです。
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★慢性前立腺炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★慢性膀胱炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★間質性膀胱炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★過活動膀胱=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★前立腺肥大症=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕前立腺の肥大➕脊髄神経回路の完成
★神経因性膀胱=排尿障害➕膀胱出口の硬化→→→排尿障害の強化
★PSA高値=排尿障害±炎症±前立腺肥大症±先天性±前立腺ガン
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ご覧の通り、すべての病気に排尿障害が絡んでいます。その排尿障害の程度はピンからキリまであります。なかには、患者さん自身が自覚しない程度、あるいは医師が評価しない程度の排尿障害のため、まったく治療しないので中々治らないのです。

病気はイラストのように4つの時期に分けて判断します。
★1期は排尿障害があるにもかかわらず症状の出ない状態です。いわゆる「未病」の状態です。
★2期は、脊髄神経回路が完成して症状がで始めた状態です。
★3期は、排尿障害が治療されないために、脊髄神経回路がバージョンアップしてしまい、症状が強く出ている状態です。
★4期は、脊髄神経回路が排尿障害から独立・独り立ちして、神経回路がますます複雑になり、完成度が極めて高くなった状態です。排尿障害を治療しても治リません。信じられないほどの強い症状になります。頻尿が毎日80回以上、突然あるいは持続性のナイフで刺されたような痛み、血が出るくらい何遍掻いてもカユミが収まらない状態です。

治療する医師は、この状態を十分に把握して治療しなければなりません。
★排尿障害に対してはアルファブロッカー(ユリーフ、ハルナール、フリバス、エブランチル)です。
★膀胱三角部の過敏さに対しては、ベタニス、ベシケア、ウリトス、ステープラ、アボルブ、タガメット、サプリメント(イソフラボン、ノコギリヤシ、カボチャの種、正露丸)です。
★脊髄神経回路に対しては、トラムセット、リリカ、カロナール、仙骨神経ブロック、サプリメント(グリシン)です。

世間では、患者さんを十分に調べもせずに、病名だけで治療する輩の何と多いことか!親身になって、患者さんの言葉を真摯に受け止めて治療しようと努力する医師が、もっと増えて欲しいと思います。


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子宮頸がんの原因

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最近、増加傾向にある子宮頸がんの原因は、
ヒトパピローマウィルスHPV(Human Papilloma Virus)の感染が原因とされています。
グラフを見てお分かりのように、20歳過ぎてから急激に増加しています。
では、何故ヒトパピローマウィルスが感染するとガン細胞が生じるのかをイラストを使って解説しましょう。

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ヒトパピローマウィルスは性感染症STDの一種です。
性行為により子宮頸部の粘膜にウィルスが感染すると、ウィルスは粘膜の基底細胞層に侵入します。
粘膜細胞の核内にウィルス侵入し、核を支配してウィルスの構造に必要な部品を無理矢理造るのです。
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大量に造られたウィルスは、次々に細胞内に放出され、細胞はパンパンになります。
ウィルスを作っていた核は、大量のウィルスに潰されてしまいます結局、細胞は破裂して、細胞の周囲にウィルスは拡散します。
拡散したウィルスは、近くの粘膜細胞に感染し、同じ工程を繰り返します。
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この工程を何回も何回も繰り返すうちに、ウィルス産生を中断して破裂しない中途半端な細胞が生まれてきます。
そのような細胞の核は、ウィルスにより変性し正常な核ではなくなります。この異常な核がガン細胞になるのです。

Img_1063このウィルス感染とウィルス増殖を抑えることで、子宮頸がんを防ぐことができる筈です。
ところが普通の体は、このウィルスを抑えることが出来ないのです。
その理由は、粘膜の基底細胞層のウィルス感染を探知する免疫の樹状細胞が侵入できないからです。基底細胞層は、基底膜に覆われています。この基底膜の中に樹状細胞が大き過ぎて侵入できない結果、ウィルス感染を探知できないのです。
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この考え方からすると、粘膜異形成が確認されたらHPVウィルスに感染した証拠ですから、基底膜を一部破壊して樹状細胞に認識させればよいでしょう。そのためには、剣山のような道具で子宮頸部を数カ所刺せばよいでしょう。
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免疫抗体は小さいので、容易に基底膜に侵入しウィルスを攻撃できます。そのため、子宮頸部・粘膜に異常細胞(異形成)を認めたら、一般的に行われている定期的検診しながらガン細胞に成熟するのを待たないで、HPVワクチンを注射して体にHPV抗体を積極的に造らせるべきです。

改めて言います。子宮頸がんはHPVウィルス感染症の終末の状態です。感染症を抑えないで、この病気を防ぐことは出来ません。子宮頸部の粘膜に異常細胞(異形成)が発見されたら積極的に免疫抗体を作らせるべきです。

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前立腺ガンの低用量治療法

前立腺ガンはモノではなく、生き物です。ところが、医師は患者さんの前立腺ガンをモノとして対応しているとしか思えません。もしも、モノであるのならば、治療法に抵抗するホルモン抵抗性・去勢抵抗性前立腺ガンCRPCにはならないでしょう。
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ガン細胞だって意思はないかもしれませんが、正常の細胞と同じに、それなりの感受性はあるはずです。そのガン細胞を針生検で10カ所以上も突いて突いて突いて、その後大量のホルモン剤や抗ガン剤を投与され正面から攻撃されたら、何とか自分を守ろうと努力工夫して強くなるのに決まっています。
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そのような考えで、
①まずは、針生検をしないで前立腺ガンを確定診断する。
②次に、ホルモン剤を通常の投与を続けると、ガン細胞もその攻撃に対して気がつき対抗手段を画策するので、極少量か、前立腺肥大症の治療薬を投与する。
③抗ガン剤も同様で、極少量を投与して、ガン細胞に気付かれないように毒を盛る。
④排尿障害のあるヒトは、排尿の際、前立腺に物理的刺激がかかるので、なるべく回避するために排尿障害の治療薬を処方する。

もともと穏やかな前立腺ガンです。ですから、穏やかな治療するべきです。もしも、本来、穏やかな前立腺ガンが対応能力に長けているガン細胞であれば、強い攻撃に対しては強く報復する性格があるのかもしれません。しかし、どうやったら巧妙に前立腺ガンをだまして毒であるホルモン剤や抗ガン剤を取り込ませるかです。
以前にエストラサイトを利用した低用量処方について記事を揚げています。エストラサイトに限らず、強いお薬は低用量処方を試みることにしています。

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前立腺ガンが生まれる理由

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前立腺ガンは、前立腺の外腺(辺縁領域)に多くできます。その理由は、いろいろと言われていますが、前立腺の構造学的観点から考えてみます。
このイラストは、胎児11週目の下部尿路を表現しています。
まず、尿道から前立腺の原基である芽が出てきます。それが、中心領域と辺縁領域です。

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中心領域と辺縁領域がある程度の成長後に、遅れて移行領域が発芽します。
中心領域と辺縁領域の成長がある程度で休んでいると、移行領域の発育がますます大きくなり、尿道の前側から後ろ側に、尿道を覆いかぶさるように発育します。その結果、移行領域と中心領域が1つに融合して内腺になるのです。

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内腺はドンドン発育し大きくなり、次第に辺縁領域を外側に圧迫することになります。
辺縁領域=外腺は、内腺による圧迫と、硬い繊維組織でできている前立腺被膜の間に、ギューギューと挟めれ常に圧迫刺激を受け続けます。
40歳過ぎてから、内腺はますます大きくなって前立腺肥大症になりますから、外腺は更に一層圧迫されます。また、前立腺肥大症で排尿障害が出現し、排尿の際に排尿圧力が前立腺に直接かかり、外腺はトコトン刺激を受けます。
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つまり、前立腺外腺は、前立腺が生まれた時は辺縁領域として、出産後は外腺として、40代以降は内腺にできた前立腺肥大症に強く圧迫される外腺として、何回も圧迫刺激を受け続けています。そして、男性ホルモンであるテストステロンの変動刺激を胎児の頃から6回も受けています。これほど物理的刺激・化学的刺激を受ける窮屈な分泌腺は生体内には存在しません。外腺にガン細胞が生まれても不思議ではないでしょう。

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ガンの5年生存率(週刊現代の記事から)

今日4月2日月曜日に発売された週刊現代で、治る「がん」治らない「がん」というテーマの記事がありました。記事の根拠になるデータは、全国がんセンター協議会の統計から得ているそうです。
各臓器のガンを年代別(50代・60代・70代)・ステージ別(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)で記載されています。ガンの特徴を著しく表現できるのが、60代のステージⅢ(臓器の外側に浸潤)だと思います。そこで、ここに簡単にまとめてみました。
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肺がん: 35.1%
胃がん: 49.4%
直腸がん: 89.3%
結腸がん: 87.8%
肝臓がん: 8.4%★
膵臓がん: 6.0%★
腎臓がん: 58.2%
食道がん: 42.3%
胆嚢がん: 10.9%★
前立腺がん: 100.0%※
膀胱がん: 58.9%
甲状腺がん: 99.3%※
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このデータを見て、いかが思われましたか?
ガンとして恐怖しなければならないのは、生存率70%以下のガンだと思います。なぜなら3人に1人が5年持たないからです。そのようなガンが、肺がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、食道がん、胆嚢がん、膀胱がんです。特に、★で印したガンは、5年間に10人に1人しか生き残れません。
それらのガンと比較すると、前立腺がんや甲状腺がんは、同じガンとは思えません。有名な先生が唱えた「ガンもどき」と考えることができます。
記事の中では、前立腺がんは治療法が進歩したので、生存率が良くなったと言うことでした。それにしても、前立腺がんと甲状腺がんの生存率は断トツで高過ぎませんか?そういう意味では、前立腺がんは、「ガンもどき」かもしれません。前立腺の中に眠っている時は、「ガンもどき」で針生検で発見されると「癌」になってしまうのかもしれません。もちろん、「ガンもどき」から「癌」になるものもあるでしょう。そのタイミングを見つけるのが、PSA検査+触診+エコー検査かもしれません。

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