« 膀胱の基礎医学♯2(解剖学的観点) | トップページ | 膀胱の基礎医学#4①(臨床医学的観点) »

膀胱の基礎医学#3(生理学的観点)

Img_0891
膀胱三角部の真下には、膀胱括約筋が三角形の形で存在し、膀胱出口近くに位置しています。この筋肉は平滑筋で出来ており、骨格筋である尿道括約筋とは性格が異なります。平滑筋は自律神経の支配で、骨格筋は随意神経(運動神経)の支配下にあります。これらが、排尿機能に関わっています。
膀胱三角部は尿管由来ですから、神経支配は尿管と同じで、膀胱のほとんどの部分と神経支配が異なります。尿管の方が膀胱の知覚よりも鋭敏ですから、膀胱の尿意のほとんどが膀胱三角部なのです。

Mechaurin2ps
膀胱の機能は、尿を溜め(蓄尿)、膨らんでも一定の量まで我慢し、脳中枢の許可を得て膀胱出口が開き膀胱全体が収縮して排尿するのです。
❶膀胱出口・膀胱括約筋(内尿道括約筋)
交感神経の支配下にあり、自分の意志とは無関係の平滑筋です。αレセプター(受容体)を刺激して収縮させます。排尿時には、交感神経の刺激がストップして開き易くします。ただし、尿道括約筋の協力がなければ開きません。
❷膀胱三角部・膀胱括約筋
このイラストのように教科書的には、膀胱出口と膀胱三角部の膀胱括約筋の区別はありません。しかし、膀胱頚部が排尿の際に漏斗状の円錐状に開放するためには、膀胱三角部が適度に収縮し、膀胱出口の部分が緩んで、その形状になります。膀胱出口は交感神経支配で、膀胱三角部は交感神経・副交感神経支配かも知れません。排尿時に交感神経が声掛けをストップして膀胱出口が緩み、逆に交感神経が声掛けして膀胱三角部が軽く緊張するのです。膀胱三角部は尿意センサーですから、尿を我慢する時に膀胱三角部が緊張すると、尿意が強くなってしまいます。ですから、頻尿の患者さんは、膀胱三角部の括約筋が過緊張のために尿意が強くなり、その過緊張を抑えるαブロッカーが頻尿の治療薬になるのです。坑コリン剤も頻尿治療薬ですが、αブロッカーほど効きませんから、膀胱三角部の主導権は交感神経でしょう。
❸尿道括約筋(外尿道括約筋)
膀胱出口から4センチ程の場所に存在する筋肉です。自分の意志で収縮する骨格筋です。恥骨と肛門と尾骨が一連で繋がっています。神経支配は体性神経・随意神経です。
❹膀胱全体・膀胱輪状筋・膀胱縦走筋
膀胱の弛緩・収縮に関与しています。ムスカリン受容体(コリン受容体)が、その反応に関わっています。神経支配は副交感神経・自律神経です。
❺前立腺(男性)
前立腺の間質成分は平滑筋です。ですから、自律神経の支配下の交感神経がコントロールしています。膀胱括約筋とシンクロして前立腺も同調します。しかし、前立腺肥大症があるとシンクロし難くなってしまいます。

何かの原因で、この5つの要素に障害があると、排尿障害になります。ところが、臨床医師が、この1つ1つの要素のチェックをしないで、簡単に診断してしまうのです。隠れた排尿障害を見つけてもらえず、症状だけに注目するのです。患者さんは、たまったものではありません。

【参考文献】
「解剖学」金原出版
「人体解剖学」成美堂出版

« 膀胱の基礎医学♯2(解剖学的観点) | トップページ | 膀胱の基礎医学#4①(臨床医学的観点) »

コメント

はじめまして、相談させて下さい。
31歳の女です。

去年の11月辺りから、生理が近くなると頻尿になるようになりました。
頻尿といっても、日中8.7回、夜は起きない程度です。関係ないかもしれないですが、何時に寝ても3時に起きてしまいます。
トイレに行ってもあまり出ないのでトイレに行きたくても2.3時間は我慢しているので、本当はもっと多くなるかもしれません。

頻尿よりも辛いのが、下腹部のうずきです。
おしっこをずっとしていたい様な感じが続きます。
ご飯を食べた後が特にひどくて、椅子から立った瞬間に漏らしてしまったかの様な感じが酷い時にありました。
実際は漏れてはいなかったのですが、その後下腹部のうずきが続きました。
体操座りや前屈みの姿勢をすると、楽になります。

膀胱に痛みは今の所ないですが、舌が痛みます。
生理が終わっても、下半身のうずきは軽くあります。

婦人科、泌尿器科にも受診しましたが、おしっこはきれいで問題なしと言われました。
どちらでも超音波でみてもらいましたが、子宮と膀胱は異常なしでした。
生理に関係してる様なのでと、1週間ほど前から当帰芍薬散を飲んでいます。

このまま当帰芍薬散を飲んでいて大丈夫ですか?
【回答】
効果ないと思います。」

高橋先生以外の先生は、間質性膀胱炎の診断をする時は必ず膀胱を水圧で広げるやり方しかしないのですか、こちらのブログでしない方がよいとあります。
1回でもすると、悪化してしまうのでしょうか?
【回答】
はい。」

軽いパニック障害があり、新幹線や電車に乗るのが難しいです。できれば地元で治療できたらいいのですが。
どうかよろしくお願いします。

投稿: りんご県在住 | 2018/02/13 09:22

お忙しい中のお返事ありがとうございます。
また質問よろしいでしょうか。
2008年7月のブログにありました、間質性膀胱炎の要約を拝読した上でのものです。

膀胱水圧拡張以外で間質性膀胱炎と診断してもらうことは、可能でしょうか?
★回答
間質性膀胱炎という病名は、詐欺的病名です。
他にも、慢性膀胱炎、過活動膀胱、心因性頻尿、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群なども同じです。
原因不明のまま病名と治療法があるといういい加減な考え方です。
これら病気は全て排尿障害による様々な症状につけられた病名です。
排尿障害を治さなければ直りません。」

地元の泌尿器科の先生にこの薬が飲みたいです、といえば処方して貰えるものですか?
★回答
まず処方してくれないでしょう。」

私もエブランチル?を飲み続ければ、おしっこをずっとしていたいような下半身のうずきは治りますか?
★回答
できれば、エブランチルとベタニスの併用が良いでしょう。」

どうかよろしくお願いします。

投稿: りんご県在住 | 2018/02/13 13:23

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 膀胱の基礎医学♯2(解剖学的観点) | トップページ | 膀胱の基礎医学#4①(臨床医学的観点) »