前立腺の基礎医学♯2(解剖学的観点)
【解剖学的観点】
今まで私たちが学んだ前立腺の知識は、構造的に内腺と外腺に分類されていました。前立腺肥大症は内腺から、前立腺癌は外腺から発生すると信じられています。
しかし、新しい知識として、前立腺は移行領域、中心領域、辺縁領域に分けることが出来ます。
既存の知識である内腺は、移行領域と中心領域が融合して作られています。外腺は尿道括約筋付近から発生し外側に発育する辺縁領域です。移行領域は前立腺の前面から、中心領域は膀胱頚部から誕生するのです。尿道に沿って発育し、外腺の内側に存在します。つまり、尿道の周囲であるので、排尿の善し悪しに直接関わることになります。前立腺は尿道を挟んで、後側の上下からと前側の真ん中から発生するのです。
内腺は、思春期の男性ホルモンであるテストステロンの分泌が盛んな思春期以降に更に発育し、更年期の男性ホルモン分泌が低下するタイミングで、その変化が刺激になって前立腺肥大症に変化するのは、納得できる反応です。しかし、移行領域と中心領域由来の内腺からの前立腺肥大症は、尿道に直結しているので、排尿障害に当然関与します。また、内腺部分が大きく発育しても、以前から存在する外腺に周囲を阻まれますから、抵抗のない膀胱側に発育するので、それが膀胱突出型の前立腺肥大症(中葉肥大型)になるのです。このタイプは、極めて排尿機能が低下します。
【参考文献】
解剖学アトラス
An Atlas of Prostatic Diseases 3rd edition
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