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前立腺ガン悪性度の見分け方

PSA値が高いことで、前立腺ガンを疑われ、前立腺ガンの悪性度を調べることで、今後の治療に役立てるためにと、針生検を実施します。ですから、PSAが高いと、泌尿器科医は針生検を前提にして、話を進めていくのです。患者さんにしてみれば、PSA高値=針生検という決められた路線に無理矢理乗せられてしまうような印象です。男性は、手術などの痛みに対して、とても過敏です。それに、具体的な説明もなしに針生検!針生検!針生検!と馬鹿の一つ覚えのように迫られて、治療する前から精神的に病んでしまいます。

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PSA高値=針生検には、実は、浅はかな人間(医師)に神様が仕掛けたトラップが隠されているのです。インターネットで容易に手に入る公のデータで、悪性度の高い前立腺ガンの場合、針生検直後から生存率が一気に低下します。5年生存率が30%、10年生存率が20%まで低下するのです。針生検が、癌細胞を刺激して、勢いをつけたターボチャージャー・エンジンの様な印象です。

これを考えると、患者さんからしてみれば、針生検をしないで、前立腺ガンの診断と治療が出来ないものか?と考えますよね?癌細胞を刺激しない触診とエコー検査とMRI検査で前立腺ガンは、かなりの確率で確認できます。一般的には、これらの検査で悪性度は不明とされていますが、医師が検査結果を緻密に考えれば、かなり予想が付けられます。
Img_0809❶触診
・かなり硬ければ、発生してから長期間経過しているか、あるいは悪性度が高いかのどちらかです。
特にガンの表面がイビツで石のように硬ければ、悪性度が高いと考えます。
・前立腺の左右に癌が触れれば、一か所に留まっていられない程エネルギーが強い=悪性度が高いと考えます。
・前立腺肥大症の硬さであれば、悪性度が低いと見なします。

Pca33063m51psa17ps❷エコー検査
・透過度が高ければ(黒く見えれば)、ガン細胞だけの集合体と考えます。触診の結果を考慮して悪性度を決めます。
・前立腺肥大症に近い透過度(白っぽい)であれば、悪性度が低いと見なします。
・前立腺と前立腺ガンの境界線が明瞭であれば、悪性度が低いと見なします。
・前立腺と前立腺ガンの境界線が不明瞭であれば、発育速度がバラバラなので悪性度が高いと見なします。
❸MRI検査
・前立腺の被膜を越えていれば、発育速度が速いと考えて悪性度が高いと見なします。
・また、リンパ節に転移していれば、やはり悪性度が高いと判断します。
❹治療経過
ホルモン治療により反応が弱い、逆に大きく硬くなってきたと判断された場合には、悪性度の高い前立腺ガンと考えます。
❺患者さんの決断
針生検をしないで、確定診断を受けずに治療するのが嫌だと言う患者さんもおられます。白黒ハッキリさせたいと言う性格の患者さんです。
その場合には、針生検の弊害を熟知した上で、針生検→悪性度の確認→手術・放射線治療という流れに乗るべきでしょう。

前立腺ガンの成長は、年単位なので、慌てることなく、ジックリ考えながら判断すれば良いでしょう。悪性度は、膵臓がんの30分の1程度ですから、刺激しなければ、ほとんどの患者さんが天寿を全うできます。私は透析患者ですから、血管病気、心筋梗塞や脳梗塞で突然死のリスクがあります。私の方こそ、天寿が全う出来ない可能性があるのです。

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コメント

高橋先生
宜しくお願いいたします。
針生検をして、前立腺癌がみつかりました。
グリソンスコア3+4=7で
手術が放射線治療を選択することになりました。

先生の書かれたものを読むと「針生検をすると癌を刺激して悪性度が増す」「針生検をした場合、ホルモン療法(服薬)をすべきである」とのことですが、針生検の後のホルモン療法はどのくらいの期間続けるものなのでしょうか。

ホルモン療法はある時期を境に薬が効かなくなることがあるため、再発時に選択する治療となるホルモン治療を手術後(手術と並行して)は行わないと説明を受けました。

高橋先生の文章を読んで、私は針生検を受けたので、是非ホルモン治療をしたい気持ちがあるのですが(読んでいて腑に落ちる、納得できるご説明なので)、薬が効かなくなった後に、再発した場合の治療はどうなるのでしょうか。
★回答
放射線治療も手術治療も、針生検してから、治療するまで間が空きます。
その間の間に、針生検したために転移した癌細胞が増え続け、さらに悪性度を増す可能性があります。
それを防ぐために、短期間でいいですから、軽いホルモン治療をするのです。
選択した治療が終われば、終了すればいいのです。
ホルモン治療が効かなくなるのは、3年〜5年続けた場合です。」

再発時の治療がなくなるのではという不安があり、ご質問させていただきました。年末のお忙しいところ申し訳ございませんがよろしくお願いいたします。
★回答
天皇陛下も西郷輝彦さんも、針生検をして、手術治療するまで、間が空いたので、現在ホルモン治療を受けています。
癌細胞は物ではなく、生き物です。
針生検で攻撃されたのに、何もしないで、ジッとするとは思えません。
特に、癌細胞は貴方の細胞ですから、貴方の性格を反映しています。
貴方は、他人から攻撃されても、ジッと我慢して怒らない人ですか?
そうであれば、心配ないでしょう。

投稿: | 2017/12/29 15:41

高橋先生、大変お早いご回答ありがとうございます。

ご回答を読み、ますます、服用したいと考えました。
現在、針生検をしてから1か月が経過しました。
まだ間に合いますか。
手術を選択した場合は、3月後以降になるようです。

さらにご質問です。
①手術や放射線治療をする前に薬を服用した場合、副作用などの問題が発生することはないのでしょうか。
【回答】
ありません。」

②手術や放射線治療の際、薬を服用していることは医師に告げる必要はあるのでしょうか。(例えば高橋クリニックを受診して、処方していただき、服用し始めた場合、すぐに伝える必要がありますか。何か治療に影響はあるのでしょうか・・)
【回答】
短期間に少量の服用ですから、問題ありません。」

何度もお手数をおかけいたします。よろしくお願い申し上げます。

投稿: | 2017/12/30 00:41

高橋先生
年末のお忙しい中、何度もご丁寧にご回答くださりありがとうございました。取り急ぎお礼まで。
どうぞ、よいお年をお迎えください。

投稿: | 2017/12/30 18:21

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