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間質性膀胱炎の問題点

間質性膀胱炎は、難病指定の疾患として、公に認められています。

間質性膀胱炎は、診断基準が設けられており、治療は最終的に膀胱水圧拡張術になります。また、膀胱水圧拡張術を行なっても、平均で8か月で再発します。さらに、膀胱は次第に萎縮小さくなり、最終的には膀胱摘出術+人工膀胱を作られてしまうのです。
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【診断基準】「間質性膀胱炎(ハンナ型)」
A.症状
頻尿、尿意亢進、尿意切迫感、膀胱不快感、膀胱痛などの症状がある。(注)
注)症状には、頻尿、夜間頻尿、尿意亢進、残尿感、尿意切迫感、膀胱不快感、膀胱痛などがある。その種類や程度は多岐にわたるので、症状の特定や程度の規定はできない。
B.検査所見
膀胱内にハンナ病変を認める。(注)
注)ハンナ病変とは、正常の毛細血管構造を欠く特有の発赤粘膜である。病理学的には、上皮はしばしば剥離し(糜爛)、粘膜下組織には血管の増生と炎症細胞の集簇がみられる。ハンナ病変はハンナ潰瘍又は単に潰瘍と称されることもある。
Img_0842注)膀胱拡張術後の点状出血を認める場合も間質性膀胱炎と診断されるが、今回対象となるハンナ型とは異なり間質性膀胱炎(非ハンナ型)と分類される。膀胱拡張術後の点状出血とは、膀胱を約80cm水柱圧で拡張し、その後に内容液を排出する際に見られる膀胱粘膜からの点状の出血である。
C.鑑別診断
上記の症状や所見を説明できる他の疾患や状態がない。(注)
注)類似の症状を呈する疾患や状態は多数あるので、それらを鑑別する。例えば、過活動膀胱、膀胱癌、細菌性膀胱炎、放射線性膀胱炎、結核性膀胱炎、薬剤性膀胱炎、膀胱結石、前立腺肥大症、前立腺癌、前立腺炎、尿道狭窄、尿道憩室、尿道炎、下部尿管結石、子宮内膜症、膣炎、神経性頻尿、多尿などである。
<診断のカテゴリー>
Definite:A、B、Cの全てを満たすもの。
上記B.検査所見で以下の2型に分類し、間質性膀胱炎(ハンナ型)を対象とする。(注)
①間質性膀胱炎(ハンナ型):ハンナ病変を有するもの。
②間質性膀胱炎(非ハンナ型):ハンナ病変はないが膀胱拡張術時の点状出血を有するもの。
注)①の患者の方が高齢で症状も重症で、病理学な炎症所見が強い。治療方法も異なるので、この2者の鑑別は重要である。
<重症度分類>
日本間質性膀胱炎研究会作成の重症度基準を用いて重症を対象とする。
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これらの症状が、他の多くの病気と共通するにもかかわらず、それぞれの病気の症状が何故出るのかという理由を明言している文献や医師はいません。
それなのに、診断基準でいい加減に診断して、病名を付けている事に疑問を感じます。表目的な所見だけで診断するのが、科学・医学でしょうか?
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診断基準に記載されている「点状出血」は、排尿障害の患者さんの内視鏡手術で、よく見掛ける所見です。間質性膀胱炎専門の医師は、ほとんどが内視鏡手術を行わない医師たちですから、寄って集まって、こんないい加減な判断基準を作成したのでしょう。

症状が強く、過敏になっている膀胱を膀胱水圧拡張術で無理やりに膨らませ、膀胱の平滑筋・粘膜・神経・血管を破壊・分断する治療を知的医師の行う行状とは到底思えません。今まで何を修行してきたのか!とお思えて仕方がありません。安易な暴力的破壊的治療は、日本で開発されたものではなく、欧米で考案されたものです。この治療で至るところに傷ついた膀胱は、その傷を必ず治します。平滑筋も粘膜も神経も血管も治ります。ところが、傷は正常に戻る訳ではありません。それぞれが、瘢痕・ケロイドを作りながら治るのです。瘢痕・ケロイドは硬い組織です。膀胱は膨らむ臓器にもかかわらず、そこら中に硬〜い瘢痕・ケロイドが出来ますから、膀胱は膨らまなくなります。さらに瘢痕・ケロイドは痛みが出て、膀胱は小さく萎縮して、症状は強くなるばかりです。

私の考える間質性膀胱炎の周辺疾患のイメージは、この図式の通りです。基本的原因は、軽微な排尿障害です。それが長期に渡って慢性的に繰り返されるので、膀胱出口周辺に形態学的変化が生じ、膀胱の過敏さが様々な形で作られます。その一つ一つの症状の組合せと、診断する医師によって、急性膀胱炎・心因性頻尿・過活動膀胱・間質性膀胱炎・心身症・自律神経失調症・膀胱疼痛症とバラバラに診断されるのです。排尿障害を治療しないから、間質性膀胱炎は難病指定になってしまったのです。

今までに、間質性膀胱炎と診断された患者さんを内視鏡手術で何人も治してきました。もしも、原因不明であるならば、内視鏡手術で治る訳がありません。過去に学会でも発表しました。しかし、学会場での反応は今一でした。医師であっても常識から逸脱することは、なかなか難しいのです。

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鼻先で笑われた!

現在通院しているご婦人のエピソードです。原因不明の痛みで苦しみ当院を受診しました。

たまたま健康診断で、病歴や現在服用しているお薬を健診医師に説明する場面に遭遇したそうです。その際に、私が工夫して処方したお薬を説明したそうです。その時に「フン😏」と鼻先で笑われたそうです。恐らく、『こんな意味のない薬で医師に騙されて…フッ😏』『心の病だろう…フッ😏』と医師は思ったのでしょう?「鼻先で笑う」と言う言葉は知っていましたが、まさか本当にあるんだ!と思い患者さんはビックリしたのと、逆に怒りを覚えたそうです。無知な医師ほど、己れの知識が完璧だ!と天狗に思っているのです。

Pain34754f49psこの患者さんは、排尿障害による膀胱三角部の過敏による痛み・頻尿・むず痒さが主な症状でした。
超音波エコー検査で、膀胱括約筋①が偏向しています。本来なら膀胱出口②に向かっていなければなりません。排尿障害のため膀胱括約筋が引っ張られ偏向したのです。そのため、膀胱三角部③が肥厚しています。圧力センサーである膀胱三角部が厚くなればなる程、内部圧力が高まり刺激を受けやすく、それが症状を作るのです。これらは全て排尿障害による変形です。

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ウロフロメトリー尿流曲線では、尿の勢いが低下しています。正常であれば、平均速度20ml毎秒のはずが、最高速度が10ml毎秒を超える程度です。
通常は、膀胱出口の緊張を緩めるαブロッカー(エブランチル)と、膀胱三角部の興奮を抑えるベタニスの併用服用で症状は軽快するのですが、この患者さんは、なかなか手強い方でした。そのため、薬の処方をワンパターンではなく、いろいろ工夫しました。
まず、排尿障害の治療薬は、男性用の前立腺肥大症の薬がたくさんのあります。本来の薬理作用から考えれば、男女無関係に処方してもよいのですが、保険適応では無理です。そこで、……。
ベタニスの効き目が今いちだったので、これまた、薬をイロイロと変えました。
それでも、完全には症状が取り切れないので、磁気治療器に定期的に受けてもらっています。
さらに、症状を作っているのが、膀胱三角部の平滑筋ですから、平滑筋の興奮を抑える治療薬を工夫しました。
❶サプリメントの大豆イソフラボンは、平滑筋の興奮を抑えます。
❷市販薬の正露丸も平滑筋の興奮を抑えます。
❸自然の睡眠薬であるアミノ酸のグリシンは、膀胱を支配する神経節の興奮を抑えます。
❹胃潰瘍の薬であるタガメットも免疫作用で修復修正作用が期待できます。
現在の患者さんの症状は、一番辛い時100%から比べると10%~20%まで症状が落ち着いています。

以上のように、根拠があって薬剤やサプリメントを勧めているのです。その根拠も考えもせず、狭い教科書的な最低限の世界しか知らないくせに、鼻先で笑うような医師にはなりたくないものです。


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残尿量正常値の意味

一般的に泌尿器科医が、残尿量の正常範囲は50ml以下と判断しています。

ところが、この数値は嘘です。解剖学や生理学の教科書には、排尿後の残尿量はゼロ(0ml)が正常と明確に記載されています。にもかかわらず、臨床の泌尿器科医は、何故50mlまで正常と断定するのでしょう。臨床医学と基礎医学は違うのでしょうか?

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これには、ある訳があるのです。
今でこそ前立腺肥大症の手術は一般的で、日本中どこの泌尿器科でも実施されている手術です。内視鏡手術、レーザー光線手術などいろいろです。出血もなく、私などは日帰り手術で行っています。
ところが、その昔、前立腺肥大症の手術は開腹手術でした。イラストで示すように、下腹部を切開して前立腺を露出します。前立腺被膜に平行に6か所に太い縫合糸で事前に予防的止血縫合をします。前立腺被膜下の動静脈を予め縛って止血することで、術中術後の出血を出来るだけ抑えるための処置です。止血縫合糸の間を切開して前立腺を摘出するという方法です。

この方法が確立するまで、前立腺手術には術中・術後も、かなりの出血でした。そのため、大量の輸血や出血死する患者さんがいました。当時の日本は、泌尿器科の専門医は確立されておらず、外科医が前立腺の手術を行っていました。ある外科医が臨終間際に息子の外科医に遺言を残したそうです。「前立腺だけは、手を出すな!」と。泌尿器科専門医が確立された後も、安全な手術法は確立されていませんでした。そのため、どうしても手術しなければならない程、具合の悪い人だけを手術することにしたのです。

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そのための具体的な基準の一つに、排尿障害の程度を決めたのです。それが、残尿50ml以上だったのです。つまり、無暗やたらに手術での被害者を作らないための方策が、残尿50ml以上だったのです。
その50ml以上の基準が独り歩きして、残尿量50mlまでは正常=排尿障害なしと間違った解釈に進んでしまったのです。

基礎医学の生理学・解剖学に記載されている様に、排尿直後の残尿量は、ゼロ(0ml)が基準です。残尿量が、例え10mlであっても正常ではなく、排尿障害が必ず存在します。

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PSA値326の患者さん

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患者さんのご紹介で、60代の患者さんがお越しになりました。
PSA値がなんと326という高値なのです。
早速、前立腺の触診しました。すると、前立腺の左右に硬結が触れました。間違いなく前立腺ガンです。大きさは、左の方が大きい所見でした。
写真は、前立腺の右のエコー検査所見です。左側の画像が前立腺の正面像で、右側が前立腺ガンの縦断面です。正面像の左下(前立腺の右)に小さな陰影が確認できます。体積は、0.31㏄です。さらに、赤い矢印の下に別の陰影が見えます。左の前立腺ガンの一部でしょう。
前立腺肥大症もあり、前立腺の大きさは58㏄(正常20㏄)です。

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この写真は、前立腺の左のエコー検査所見です。左側の画像が前立腺の正面像で、右側が前立腺ガンの縦断面です。正面像の右下(前立腺の左)に先程の陰影よりも大きな陰影が確認できます。体積は、1.43㏄です。その陰影の左側にかすかな陰影が見えます。右側の前立腺ガンの連続陰影でしょう。

左右に分かれて存在している前立腺ガンから考えて、細胞の悪性エネルギーが強く悪性度は高いでしょう。
両方の前立腺ガンの体積(0.31+1.43=1.74㏄以上)から考えても、PSA値326は高すぎます。おそらく、骨転移しているでしょう。そこで、当院のような街中の開業医では、骨転移の確認ができませんから、大きな病院で検査に行っていただきました。

後日、患者さんが再度ご夫婦で訪れました。大学病院で精密検査と針生検を行いました。結果、大腿骨と骨盤に転移があり、悪性度はグリソンスコア4+4=8の高いものでした。前回の私の診察結果の予想通りでした。現在、大学病院でホルモン療法を始めたそうです。その後、当院でも定期的に診察することになりました。大学病院では、絶対に実行しない代替医療を補助的に患者さんを応援するつもりです。

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前立腺ガン悪性度の見分け方

PSA値が高いことで、前立腺ガンを疑われ、前立腺ガンの悪性度を調べることで、今後の治療に役立てるためにと、針生検を実施します。ですから、PSAが高いと、泌尿器科医は針生検を前提にして、話を進めていくのです。患者さんにしてみれば、PSA高値=針生検という決められた路線に無理矢理乗せられてしまうような印象です。男性は、手術などの痛みに対して、とても過敏です。それに、具体的な説明もなしに針生検!針生検!針生検!と馬鹿の一つ覚えのように迫られて、治療する前から精神的に病んでしまいます。

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PSA高値=針生検には、実は、浅はかな人間(医師)に神様が仕掛けたトラップが隠されているのです。インターネットで容易に手に入る公のデータで、悪性度の高い前立腺ガンの場合、針生検直後から生存率が一気に低下します。5年生存率が30%、10年生存率が20%まで低下するのです。針生検が、癌細胞を刺激して、勢いをつけたターボチャージャー・エンジンの様な印象です。

これを考えると、患者さんからしてみれば、針生検をしないで、前立腺ガンの診断と治療が出来ないものか?と考えますよね?癌細胞を刺激しない触診とエコー検査とMRI検査で前立腺ガンは、かなりの確率で確認できます。一般的には、これらの検査で悪性度は不明とされていますが、医師が検査結果を緻密に考えれば、かなり予想が付けられます。
Img_0809❶触診
・かなり硬ければ、発生してから長期間経過しているか、あるいは悪性度が高いかのどちらかです。
特にガンの表面がイビツで石のように硬ければ、悪性度が高いと考えます。
・前立腺の左右に癌が触れれば、一か所に留まっていられない程エネルギーが強い=悪性度が高いと考えます。
・前立腺肥大症の硬さであれば、悪性度が低いと見なします。

Pca33063m51psa17ps❷エコー検査
・透過度が高ければ(黒く見えれば)、ガン細胞だけの集合体と考えます。触診の結果を考慮して悪性度を決めます。
・前立腺肥大症に近い透過度(白っぽい)であれば、悪性度が低いと見なします。
・前立腺と前立腺ガンの境界線が明瞭であれば、悪性度が低いと見なします。
・前立腺と前立腺ガンの境界線が不明瞭であれば、発育速度がバラバラなので悪性度が高いと見なします。
❸MRI検査
・前立腺の被膜を越えていれば、発育速度が速いと考えて悪性度が高いと見なします。
・また、リンパ節に転移していれば、やはり悪性度が高いと判断します。
❹治療経過
ホルモン治療により反応が弱い、逆に大きく硬くなってきたと判断された場合には、悪性度の高い前立腺ガンと考えます。
❺患者さんの決断
針生検をしないで、確定診断を受けずに治療するのが嫌だと言う患者さんもおられます。白黒ハッキリさせたいと言う性格の患者さんです。
その場合には、針生検の弊害を熟知した上で、針生検→悪性度の確認→手術・放射線治療という流れに乗るべきでしょう。

前立腺ガンの成長は、年単位なので、慌てることなく、ジックリ考えながら判断すれば良いでしょう。悪性度は、膵臓がんの30分の1程度ですから、刺激しなければ、ほとんどの患者さんが天寿を全うできます。私は透析患者ですから、血管病気、心筋梗塞や脳梗塞で突然死のリスクがあります。私の方こそ、天寿が全う出来ない可能性があるのです。

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代替医療に希望を託す前立腺ガン患者さん

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関東近郊から来院した患者さんのエピソードです。

平成26年1月に前立腺ガンを宣告されました。針生検を勧められましたが、患者さんは拒否して、治療だけを受けることにしました。前立腺ガンの治療であるリュープリン注射とカソデックス内服です。
PSA値は、0.5まで降下しましたが、思うところがあって平成27年11月に今までの治療を中止したのです。

現在、代替医療で有名なゲルソン療法と自然食に徹しているのです。ゲルソン療法は、コーヒー浣腸を毎日行い、身体の中から悪い物質を排泄することを目的とします。しかし、これら代替医療を懸命に行なっていましたが、PSA値が次第に上昇して、PSA値0.5→47.1まで上昇しました。現在通院しているクリニックから、当院が紹介されて来院しました。

エコー検査で観ると、前立腺の右に前立腺ガンと思われる陰影が認められるます。体積は1.83ccです。
触診所見では、やはり前立腺の右葉に硬結が触れます。ただ硬さは前立腺肥大症に近いものです。ですから、前立腺ガンのグリソンスコア7以下でしょう。

878ed203b1bc4e2392b6de751fbbfb54依頼された医師からは、リュープリン注射とカソデックス内服を初めて欲しいとのことでした。しかし、2年余りの治療にもかかわらず、1年でPSA値が急上昇した訳ですから、今の治療は不十分で、逆にホルモン抵抗性前立腺ガンに変身したのかもしれません。そこで、今まで使用されていない治療を始めてみました。女性ホルモンと抗がん剤を合体させたエストラサイト、ホルモン抵抗性前立腺ガンの癌細胞中で作られた男性ホルモンをブロック阻止するイクスタンジの併用治療を開始しました。
Dcd503fd9c99408886ecc056a87935b9さて、話はまだ続きます。今後、遠赤外線などを利用した温熱療法(ハイパーサーミア)を希望されています。地元に温熱療法を実施している病院があるので、紹介状を書いて欲しいと依頼されました。そこで書きました。この患者さんはどのような経過を見せるでしょうか。

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前立腺の触診所見

前立腺の触診所見を皆さんに具体的にご紹介しましょう。
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❶正常
少し柔らかめです。硬さは、手の親指の根元(拇指球)の柔らかさです。
❷前立腺炎
極端に柔らかくプヨプヨです。しかも、指で圧迫すると、患者は痛がります。
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❸前立腺肥大症
少し芯のある硬さです。手をギューとグー✊にした時の親指の根元の硬さです。
Fd06e64787df437eb8a3dc81e278af4b❹前立腺ガン
⑴悪性度が低い(グリソンスコア6以下)
まるで前立腺肥大症の硬さです。しかし、前立腺肥大症と区別しなければなりません。そのコツは、左右どちらかにしかありません。前立腺肥大症は左右均等です。また、発育速度が遅くユックリと増殖するので、経過が長いと比較的大き目です。
⑵悪性度が中等度(グリソンスコア7)
これは難しいのです。悪性度の低いガンと悪性度の高いガンの中間の曖昧な硬さです。
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⑶悪性度が高い(グリソンスコア8・9・10)
まるで石の様な硬さです。あれ?これ石?という感じです。そして表面が凸凹です。悪性度が高い場合は、増殖速度が速くて密度も高いので、小さい硬結でも硬いのです。

触診を面倒くさがらず、マメにコツコツと診察すれば、次第に触診する指先がセンサーになるのです。人間は五感を研ぎ澄ませば、検査器械にも負けない超能力を得ることができます。若い泌尿器科医は、これをおろそかにしているのです。
さらに詳細に鑑別するためには、エコー検査が必要になります。

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エネルギーから観た生命力と前立腺ガン

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前立腺ガンについて色々な角度から観ていると、その本質が何となく見えてきます。
このグラフは、人体の生命力(緑の矢印線)と前立腺ガン(赤の矢印線)のエネルギーを表したものです。
産まれたばかりの生命力エネルギーを100%として、加齢と共に次第に低下してきます。50歳前後の更年期から、生命力エネルギーはガクッと低下します。
逆に、前立腺ガンのエネルギーは30代後半から芽生え始めてきますが、生命力エネルギーを超えることはありません。ですから、前立腺ガンは、ほとんどが寿命に影響しないのです。

ところが、PSA値が高いという理由で、針生検をするために前立腺ガンのエネルギーに火が付いて、急激に増加してしまいます。そのため、前立腺ガンのエネルギーが生命力エネルギーをはるかに超えた時点で寿命が尽きてしまうのです。

E1981c7a5c034ae896757805d570da47泌尿器科医が前立腺癌を発見することを悪いとは思いません。しかし、見つけるために前立腺針生検を行うことが悪いのです。針生検は、前立腺癌という爆弾💣の導火線に火を付ける様なものです。その爆弾がハリボテ(グリソンスコア6以下)だったら良いのですが、本当の爆弾💣💣💣(グリソンスコア8・9・10)だったら大変です。泌尿器科医は、前立腺針生検をしないで前立腺癌をもっと精密・緻密に診断し、針生検なしで悪性度を予想できるくらいの診断能力を付け治療すべきです。そして、その悪性度に応じて治療法を工夫すべきでしょう。


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PSA高値の7人〜8人に1人が顕在ガン

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2年前にPSA値が高い患者さんを集計し、前立腺ガンの患者さんの発見率を調べてみました。
延べ人数ちょうど500人の初診患者さんで締めました。その中で前立腺癌と思われた患者さんが60名おられました。確率12%で、8人に1人(500人÷60人)の割合です。
また、先月11月の1カ月間に、PSA値が高くて来院した初診・再診患者さんの内、エコー所見と触診でハッキリと前立腺ガンと診断できた患者さんも集計してみました。
総数115人、その中で、前立腺ガンと確認できた顕在ガンの患者さは17人でした。約14.8%で、7人に1人の割合(115人÷17人)です。過去のデータから考えて、私の経験上、PSA値が高い患者さんの7人〜8人に1人が顕在ガン(ステージⅡ〜Ⅳ)です。
ところが、顕在ガンを除く、6人〜7人の患者さんに前立腺ガンが全くない訳ではありません。この患者さんに針生検を行えば、30%の確率でラテント癌(ステージⅠ)が発見できる筈です。つまり、6人〜7人の中で2人から前立腺ガンが発見されるでしょう。2年前の500人ー60人=440人のうち、30%の患者さん(440人×30%=132人)の132人のステージⅠのラテント癌が発見されるのです。

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このエコー検査の写真は、PSA値が高く針生検を受けた患者さんの所見です。前立腺ガンの影は見えません。単に前立腺肥大症の所見だけです。ところが、前立腺肥大症のために、PSA値が高くなり、針生検を受けてしまい、ラテント癌である前立腺ガンが発見されてしまったのです。患者さんが持参した最初に掲げた説明書には【グリソンスコア6】で良性に近い前立腺ガンでした。つまり、この患者さんは、見つけなくてもいい癌を無理矢理に発見されたのです。ある意味、この患者さんは、治療や手術を受けるかどうかは別として、無理矢理のガン宣告を受けてしまった精神的犠牲者です。医師は、『前立腺ガンを見つけてやったんだ!』と言う気持ちでしょうが、「治療しなくても寿命に影響ないので安心してくださいね。」と告げられても、安心できる訳もありません。

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前立腺触診の重要性

B3f9b424355348ffbec147f1a51c549a前立腺ガンの昔から存在する診断法が、直腸を介しての前立腺の触診です。
でも、最近の若い泌尿器科医師は、PSA値が高い患者さんに対して触診を省いて、MRI検査を実施したり、中には即、針生検を行う輩までいます。

理由は、触れて分からなければ、針生検すれば分かるのだからと考えて、無駄な検査はしないと言うのです。何でもかんでも『効率!効率!』と言う若者の意識が成せる現象です。医師の都合による、その効率のために、ステージⅠの前立腺ガンが発見され、『ど〜だ、それ見た事か!』と言わんばかりの態度で患者さんに説明するのです。発見された患者さんは堪ったものでありません。まして悪性度が少なければ、「様子を見ましょう」と無責任な言葉を発するのです。患者さんにしてみれば、散々心配させておいて『何だ!その言い草は!』という気持ちになります。

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医師サイドは、『悪性度を確認する必要があるから仕方がないだろう!』という気持ちです。しかし、それは医師の勉強不足です。5年生存率は、悪性度に関係なくステージに依存しているのです。
Img_0663逆に針生検することで、悪性度の高い前立腺ガンは一気に悪性度が増して、5年生存率が30%まで落ちるのです。ラテント癌の静かにしている悪性度の高い癌細胞と、顕在ガンのそれとでは、病理検査で区別ができないのです。

つまり、触診やエコー検査で分からない前立腺ガンは、針生検してはいけないのです。ですから、
医師は手を抜かず丁寧に診ろ❗️
触診は必ず行なえ❗️
患者さんを苦しめるな❗️

Img_0735さて、ここで前立腺触診・エコー検査のテクニックを伝授しましょう。
❶患者さんを横向きか、上向きか、うつ伏せでお尻を突き出してもらいます。私は上向きで診察します。
❷ゴム手袋にワセリンを塗って、肛門に痛がらないようにそ〜と人差し指を挿入します。
❸人差し指で前立腺をソフトに触診します。
❹石のように硬い硬結が触れたら、悪性度の高い前立腺ガンです。表面が凸凹していれば、ステージⅢ〜Ⅳの癌と考えます。
❺硬結が前立腺肥大症の様な硬さの場合は、本当の前立腺肥大症と区別するために、前立腺の左右を触れます。左右が同じであれば前立腺肥大症です。左右が異なれば前立腺ガンです。前立腺肥大症は内腺から成長しますから、外腺は圧迫潰れ萎縮し無くなるのです。その結果、左右対称の前立腺肥大症になります。
❻硬結がなく、シワの様だったり、わずかな出っ張りだった場合には、エコー検査を利用して透過度を観察します。もしも白ければ傷か炎症の瘢痕です。黒ければ癌です。
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❼前立腺ガンのほとんどが、直腸に面した外腺にできます。エコー検査ででは、直腸側の前立腺外腺に注目します。
❽エコー所見では、前立腺ガンの境界線が明瞭であれば、発育速度が遅く周囲の癌細胞が揃って増えていると見なし、悪性度が低い(グリソンスコア7以下)考えられます。

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西郷輝彦さんの前立腺ガン再発

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6年前に前立腺ガンの手術を実施した俳優で歌手の西郷輝彦さんの前立腺ガン再発がニュースで話題になって報道されました。

このことから、私が思い付くことがあります。
前立腺ガンの治療として手術治療を選択したということは、ステージⅡ〜Ⅲだと言うことが想像できます。PSA値が高かったために、針生検した結果、悪性度がグリソンスコア7〜10だったのでしょう。つまり、悪性度が中等度〜悪性と高かったのです。
悪性度の高かった癌細胞を針生検で何本も刺激したのです。そんな微妙な癌細胞が、その後ジッと黙っているとは思えません。また、傷付いた癌細胞を、自然治癒力が免疫細胞を使って攻撃を掛けたり、癌細胞を何処かに持って行かれるかも知れないのです。

通常、針生検した後に直ぐに手術する訳ではなく、患者さん自身に治癒手段を選択してもらうまで、2週間から1カ月も掛かります。その間に癌細胞は増殖します。それは、前立腺だけに留まらず、免疫細胞で何処かに運ばれた場所で腰を下ろし増え続けるのです。増殖を繰り返すうちに悪性度が増すのです。その結果、前立腺ガンの骨転移となり、数年後に再発とされてしまったのです。

以前から私が主張しているように、針生検の弊害を考えなければなりません。しかし、針生検してしまった場合は、直後から手術するまでの間にホルモン治癒をするべきだったのです。しかし、手術までの時間も手術後もホルモン治療を行いません。外科医である泌尿器科医師は、自分の手術が完璧だから、それにケチを付けるホルモン治癒を決して許さないのです。そんな丁寧で繊細で完璧な手術にも関わらず、何で術前に針生検で10本も20本も前立腺を傷付けるのか不思議でなりません。そんなエセ完璧さに喜んでいる医師の能力を疑いたくなります。見えるテクニックだけでなく、見えないソフトウェアにもアンテナを張るべきです。

Img_0731天皇陛下も前立腺ガンの手術後に再発し、現在ホルモン治療を行っておられます。日本で最高のVIPである天皇陛下は、最高の医療機関で最高の治療を受けている筈です。その陛下であっても、不完全な医療を受けてしまい、このような結果になってしまったのです。
もし、針生検をした直後の人が、これをお読みになっているのであれば、内緒でホルモン治療薬を処方します。

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