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超音波エコー検査で分かる前立腺ガン

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前立腺の解剖学的所見は、模式図のようです。尿道を取り囲むように前立腺内腺があり、前立腺内腺を取り囲むように前立腺外腺があります。前立腺外腺は直腸側に多く集まっています。
前立腺外腺は直腸に面しているので、触診で直腸から前立腺外腺を触れることができます。前立腺肥大症は、前立腺内腺から発生しますが、前立腺癌は前立腺外腺から発生します。ですから、超音波エコー検査も触診も前立腺外腺に集中すれば、ほとんどの前立腺癌は確認できます。95%以上の確率です。

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❶以前にご紹介した80才の男性患者さんです。自己治療でいろいろ実施していましたが、私の治療方針に賛同して来院しました。現在のPSA値は25で、一般の医師から言えば、完璧に前立線ガンです。早速、超音波エコー検査を行いました。前立線はとても大きく68cc(正常は20cc)でした。前立線の右端に前立線ガンらしき塊が検知されました。
超音波エコー検査では、前立腺肥大症は白く見えます。腺組織+平滑筋+線維組織の混成組織だから超音波が反射され白く描出されます。前立腺癌は癌細胞だけが集まる水分を多く含んだ組織なので、超音波が通過して黒く見えます。写真の赤い矢印の部分です。触診で、前立線全体が肥大症の硬さに、右端にわずかながら前立線ガンの硬い硬結が触れました。明らかに前立線ガンの初期所見です。おそらく、治療の必要のないラテント癌が大きくなっただけでしょう。
この患者さんは、80歳を超えていますから、前立腺針生検や無理な治療法を選択しなければ、天寿を全うできるでしょう。私よりも長生きかもしれません。うらやましい。

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❷50歳男性の患者さんで歯科医師の方です。
超音波エコー検査で外腺に前立腺癌らしき陰影(赤い矢印)が前立腺の右端(写真の左側の左下)に見えます。
直径が7mm前後の小さいものです。体積にして0.1ccです。
陰影の部分に一致して触診で癌の硬結が触れます。

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❸58歳男性の患者さんです。
2013年に神田のあるクリニックでPSA値6.27と高いため、前立腺針生検を実施しましたが、癌細胞を認めませんでした。最近になり基幹病院でMRI検査で陰影が発見され、またもや前立腺針生検をすすめられています。超音波エコー検査で前立腺外腺の中央部に陰影が見えます。触診でも硬結が触れますから、前立腺癌と診断しました。

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❹51歳男性の患者さんです。
2年前に会社検診でPSA値6と高く、前立腺針生検を勧められたのですが、決心がつかず当院受診した経緯があります。その際には前立腺癌の所見は得られませんでした。半年後PSA値8.5と高くなり、超音波エコー検査で疑いの陰影が発見されました。その後1年と半年ぶりに、PSA値17と非常に高いため来院しました。
前立腺外腺中央に明瞭な陰影が認められ、触診で同部に硬結を触れました。

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❺64歳男性の患者さんです。
大学病院の検査で、PSA値47.3ととてつもない高い値で当院を受診しました。
MRI検査で前立腺外腺に陰影があると診断されています。超音波エコー検査では、MRI検査の結果と同じに所見が得られました。

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❻60歳代の男性で、実は同級生の医師です。
8年前からPSA値は3~4の間を推移していましたが、超音波エコー検査で前立腺肥大症を指摘されました。
平成26年11月になりPSA値4.6と正常域を超えたので、心配になり、私に電話で相談していました。
平成27年6月になって、PSA値が5.6とさらに高くなり、心配は極致になり高橋クリニックを受診しました。
超音波エコー検査では前立腺の大きさは23㏄と正常域ですが、前立腺結石が多数認められ、強い排尿障害を認めます。通常の超音波エコー検査では一見異常がないように見えます。
通常の画像では、前立腺の正常組織と前立腺癌の組織を区別することはできません。

そこで超音波エコー検査の画像を腎臓専用の設定に変え、さらにコントラストを弱くします。
正常の前立腺組織は線維と筋肉と腺組織で白っぽく描出されますが、前立腺癌組織は線維組織や筋組織が少ないので黒く描出されます。
そこで画像のコントラストを調整すると、前立腺外腺の右側(画面では左)に丸い陰影(赤い矢印)が確認できます。

画像をさらに強調画像にすると、0.41㏄の陰影が確認できます。
前立腺触診で、前立腺右側だけに小指大の前立腺肥大症?という若干硬い組織を触れます。通常前立腺肥大症は左右均一に触れるのが普通ですから、違和感を感じます。恐らく前立腺癌の初期と思われます。

友人に前立腺癌の可能性があることを告げると、白黒はっきりさせたいと希望しました。そこで大学病院に紹介しました。大学病院では当然、前立腺針生検を実施し、結果グリソンスコア6という悪性度が中等度以下でした。
グリソンスコア6以下であれば、何にも治療しないという選択肢もあるのですが、友人は積極的な治療を希望し、放射線治療(小線源)を希望し実施したそうです。友人のサバサバした決断に感心しました。

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❼74歳男性の患者さんです。
地元の健診でPSA値55と高く、今年の4月に大学病院の泌尿器科を受診、再検査でPSA値62.4、その後何回か検査をし、7月に73.1になった患者さんです。
前立腺針生検を拒否し、当院受診し、超音波エコー検査で前立腺ガンを確認しました。
前立腺肥大症治療薬であるプロスタールを1カ月服用して、PSA値が26に低下しました。超音波エコー検査でも触診でも前立腺ガンは不明瞭です。

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❽71歳の男性患者さんです。
3年前からPSA値4を超え、地元の病院でPSA値6と高く、勧められるままに前立腺針生検を受けました。結果、12本中2本に、わずかながら前立腺ガンが発見され、悪性度がGS3+3、3+4でした。中等度の悪性度だったので、何もしないで、そのまま経過観察になっていました。
ところが、PSA値は次第に高くなり、今月の8月には、PSA値16になりました。また、前立腺針生検を勧められたのですが、前回の前立腺針生検が痛く苦しかったので、インターネットで探し、大阪から当院を受診しました。
超音波エコー検査で、前立腺右端(赤い矢印)に陰影が確認できました。触診でも同じ位置に前立腺ガンと思われる硬結を触れます。ご希望により、本日から私の治療を開始しました。
前回の針生検の所見からすると、今回のような前立腺ガンの体積は考えられませんから、針生検によって前立腺ガンを刺激したのかも知れません。

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❾62歳の男性患者さんです。
平成27年7月にPSA値4.18とわずかに高いので、当院受診しました。その時点で、超音波エコー検査、触診で前立腺ガンは認めませんでした。
平成28年7月の1年後の定期的検査でも認めませんでした。
ところが、平成29年5月になり、触診で前立腺右端に硬結を触れ、超音波エコー検査で体積0.26ccの陰影(赤い矢印)を認めました。そこで、前立腺肥大症の治療薬プロスタールを開始しました。

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治療開始してから4か月後の超音波エコー検査所見です。
前立腺ガンの陰影は縮小し、体積は0.26cc➡0.07㏄にまでなりました。触診でも硬結は、わずかに跡が残っているかな?程度の感触でした。治療効果は、まずまずでした。

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❿71歳の男性患者さんです。
PSA値が46.6ととても高く、MRI検査でも、よく分からないので、前立腺針生検を勧められました。以前から頻尿(1日13回)があり、前立腺針生検が嫌で当院を受診しました。
前立腺は大きく116㏄(正常20㏄)です。超音波エコー検査で前立腺の右端に陰影(赤い矢印)が確認できます。
触診で同じ位置に硬結が触れました。おそらく前立腺ガンと診断し、前立腺肥大症の治療薬プロスタールを処方しました。

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治療始めて10ヵ月の超音波エコー検査所見です。
前立腺は116㏄➡97㏄と小さくなりました。
前立腺ガンと思われる陰影も2.03㏄➡0.57㏄と小さくなりました。
PSA値も46.6➡8.47まで低くなっています。

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⓫82歳の男性患者さんです。
PSA値が11.0と高い値なので、前立腺針生検を勧められて、大阪から来院した患者さんです。
触診で左右に前立腺ガンの硬結を触れます。
超音波エコー検査で右前立腺に5.2ccの前立腺ガンの陰影を認めます。

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左前立腺にも3.3㏄の前立腺ガンと思われる陰影を認めました。
男性の平均寿命の80歳を越えた男性患者さんに、前立腺針生検を勧める医師の考え方に疑問を持ちます。
前立腺肥大症の治療薬であるプロスタールの処方で、PSA値は2.1まで低下しています。

★★★腹部超音波エコー検査で確認できない前立腺癌もあります。非常に小さな前立腺癌、例えば、直径3mm以下の場合などです。また、悪性度の高い前立腺癌で、前立腺全体に散らばっている(拡散・diffuse)している場合は、体積として把握できないので確認できません。しかし、前立腺癌患者さんの5%以下です。
★★★泌尿器科の医師は、直腸に挿入する経直腸式超音波エコー検査に固執していますが、準備が大変だし、患者さんにも負担になる検査です。私は手軽に出来る腹部超音波エコー検査を推奨します。

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前立腺ガンと他のガンとの比較

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この比較表は、千葉県がんセンターの1997年〜2007年も60歳代男女の大腸ガン、胃がん、前立腺ガンの統計報告によるものです。
ポピュラーな大腸ガンや胃がんに比べて、前立腺ガンは断トツに5年生存率が良いのです。
前立腺ガンを除く、大腸癌、胃癌のステージ❶~❸の手術グループと手術しないグループでの5年生存率の差は、27%〜33%です。それに比較して前立腺ガンは、0%〜4%です。

このデータだけを見ると、ステージ❶~❸の前立腺ガンは、手術の必要があるのか疑問です。本当に手術の必要な前立腺ガンは、ステージ❹だけだと言うことになります。
ステージ❶を除いて、ステージ❷❸は、超音波エコー検査と触診で確認できます。確認した時点で、針生検をせずに、軽いホルモン治療して定期的に観察すればOKでしょう。ステージ❹の患者さんは、どのようにするかご自分で選択なさるのが得策と考えます。

日本人の3人に1人は癌で亡くなります。他のガンは早期発見が重要かも知れませんが、前立腺ガンに限っては、針生検による早期発見は無意味です。PSA検査を行って針生検に追い込まれない様にするべきです。どうしても前立腺ガンが心配なら、定期的に超音波エコー検査と触診を実施してもらえば良いでしょう。超音波エコー検査ができないクリニックでは、触診だけでも、ステージ分類は可能です。

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