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30代男性の尿管瘤

Netterureterocele尿管と膀胱つなぎ目が、何らかの原因で狭くなり、風船のように膨らんでしまった状態を「尿管留」と言います。イラストのように、尿管断端が風船状になります。風船状態が膀胱を刺激し、頻尿になったり排尿障害が出る人もいます。治療は手術的に狭い部分を切開し、尿管を開放して上げれば良いのです。

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この患者さんは、30代の男性の方です。他の病院で左尿管留と診断されたのですが、そのまま放置状態にされ、悩んで高橋クリニックに来院しました。
超音波エコー検査で、確かに左尿管留を認めました(赤い矢印で囲んでいる部分)。この尿管留による刺激症状が、患者さんの訴える症状を作っていると思われました。患者さんの強い機能で、手術になりました。

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手術直前の内視鏡検査で、膀胱の左に二つ玉の尿管留を確認しました。
この二つ玉の中央に尿管口がささやかに開いたり閉じたりしています。



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そこで、電気メスを使い、二つ玉のつなぎ目に十分な切開を入れ、さらに、切開部分を大きく開きました。
開いた部分から中を覗くと、健全な連続性のある尿管粘膜が確認できました。


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術後の超音波エコー検査で、尿管瘤がしぼんでチューリップのように口が開いて見えます。





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超音波エコー検査のプローブの角度を変えて観察すると、尿管瘤がラッパのように口が開いているのが分かります。赤い矢印に尿の通り道が確保されています。



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3D超音波エコー検査機器で観察すると、尿管瘤の小さな豆が観察でき、手術した部分が凹みとして描写されています。




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超音波エコー検査で分かる前立腺・膀胱の形態学的変化

私は、排尿に問題をかかえた患者さんに対して、必ず超音波エコー検査を実施します。
一般的に、泌尿器科医は、エコー検査なるものを正式には学習していません。大学病院などの大きな病院では、放射線科の医師や検査技師が、ルーティンの方法でエコー検査し、その診断を放射線科医が読影し、診断結果を泌尿器科医が参考に読んでいるだけです。
放射線科医も画像を見ているだけで、実際の患者さんを診ずに診断しています。実際の患者さんの訴えや他の所見をフィードバックなしで診断しています。ある意味、画像だけの机上の空論を報告書に書いているだけです。
私は、大学病院勤務時代はエコー検査に重きを置いていませんでした。研修医の頃のエコー検査機器は、大した画像ではなかったからです。

ところが、救急病院に転職したら、そんなことは言っていられませんでした。急患の状態を正確に把握するためには、血液検査、レントゲン、心電図、CT検査、聴診器、身体的所見、エコー検査しかありません。これらの検査情報を駆使して、患者さんの状態を正確に把握して、緊急手術するかしないかを、短時間に決断するのです。

その際に、エコー検査がとても重宝しました。そのころには、エコー機器も進歩し、画像はとても鮮明でした。リアルタイムに所見が得られ、患者さんの顔を見ながら、患部に直接アプローチ出来るのです。患者さんの症状とエコー所見の一致を何度も経験しました。そんな状況で、エコー検査を毎日5件以上実施し、年間1500件、救急病院の3年間で4500件以上研鑽しました。すると、その救急病院の毎日のエコー検査担当は、外科医の私になったのです。

開業医になってからは、年間500件✖️28年=1万4000件もの多くの患者さんを診ています。ですから、初診の患者さんが過去のエコー検査で異常なしと診断されたと言われても私は信じませんし、異常のなかった患者さんに遭遇したこともありませんでした。
そこで、エコー検査所見の主な要点を解説しました。

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