« 神経因性膀胱の分類(治療から見た本質的な分類) | トップページ | 神経因性膀胱の治療#4 69歳のご婦人 留置カテーテル生活からの解放 »

神経因性膀胱の治療#3 82歳の男性 自己導尿1日5回からの解放

82歳の高齢の男性です。(患者番号29354)
平成24年7月に突然尿が出なくなりました。(尿閉)
地元の大きな病院の泌尿器科を受診、前立腺は大きくなく、膀胱の力が足りない、「弛緩性神経因性膀胱」と診断されました。ベサコリン、ウブレチド、フリバスを処方されましたが、排尿障害はだんだん強くなり、平成25年2月から1日5回の自己導尿の指導を受け、途方に暮れ、インターネットで高橋クリニックを探し来院しました。

来院時には自分で排尿することは出来ず、1日に5回自己導尿を行っていました。自己導尿での採尿は、1回につき200ml~250mlです。
Nb29354m82echopre前立腺は大きくなく23ccと正常範囲内です。
早速、それまでの薬剤を中止にして、排尿障害の治療としてユリーフと、前立腺を軟らかくしようとプロスタールを処方しました。私の処方薬で、尿は少し出るようにはなりましたが、それでも1日4回の自己導尿が必要で、1回あたり150ml~200mlの尿が残っています。

自己導尿から解き離れたいという本人の強い希望で、内視鏡手術をすることになりました。

82歳という高齢者ですから私も躊躇しましたが、本人の強い希望で平成25年5月に内視鏡手術(日帰り手術)を実施しました。

Nb29354m82bladder手術前の内視鏡検査所見です。
肉柱形成が認められ、弛緩性神経因性膀胱の所見です。
肉柱と肉柱との間が凹み、憩室状態です。

Nb29354m82outletopen内視鏡検査で何もしない状態での膀胱出口の所見です。
十分に開口しているように見えます。

Nb29354m82outletcloseしかし、排尿するように息んでいただくと、正常であれば大きく開く筈なのに、この患者さんは写真のように閉じてしまいます。

Nb29354m82turpre内視鏡手術直前の膀胱出口の様子です。
直径5mmのループメスと比較して、膀胱出口がかなり狭いことが分かります。

Nb29354m82turpost内視鏡手術直後の膀胱出口の所見です。
直径5mmのループメスが余裕で挿入できます。

手術後1ヵ月は排尿がスムースにはいかず、時々自己導尿を行っていましたが、2ヵ月も過ぎるとご自分で満足な排尿が出来るようになり、自己導尿はしなくなりました。

Nb29354m82flow手術7週間過ぎには、外来検査の尿流量測定検査(ウロフロメトリー)も出来るようになり、排尿直後の残尿も72mlと大分減少しました。
勢いは完全ではありませんが、排尿できなかった訳ですから以前と比べると格段の差です。

Nb29354m82echopost超音波エコー検査での状況も、上記の手術前と比較して、大きく開放されたことが分かります。
患者さんはご自分の自己導尿セットを仕舞われたと嬉しそうにお話されています。

安易な「弛緩性神経因性膀胱」の診断と自己導尿しか改善策がないという常識には注意が必要です。膀胱括約筋の切開切除で患者さんの悩みを解決ることは可能です。

« 神経因性膀胱の分類(治療から見た本質的な分類) | トップページ | 神経因性膀胱の治療#4 69歳のご婦人 留置カテーテル生活からの解放 »

コメント

はじめまして。83歳で尿閉に悩まされている父の相談です。

4か月ほど前から自力で排尿できなくなり、現在は1日5回ほど自己導尿をする生活です。一人暮らしでこの生活を続けるのは大変なストレスで、先日は腎盂腎炎を起こししばらく入院をしました。
泌尿器科の医師曰く膀胱の筋肉が伸びきっていて排尿する力がない。とのこと。利尿剤(?)のような薬と、神経にいいビタミン剤を処方されている以外は特に治療をされていません。しばらく様子をみましょうとのことですが、QOLの低い生活に父は落ち込んでいます。

前立腺肥大ではありません。
父は橋本脳症を患っており、もしかしたらこれが関係しているかも?と言われたり、
腰椎狭窄(何か所か狭窄)などで歩行も危なっかしい状態ですが、それも関係あるかも?
という事で、はっきりと原因がわかりません。もっと掘り下げた治療というものを期待していますが、様子見状態です。
排便に関しては問題ありません。

今は本人も家族もどうしたらいいのか、壁にぶち当たった状態です。
アドバイスをいただければ嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
【回答】
膀胱に力がなくても、腹圧と重力で尿は出るはずです。
出ないのは、膀胱の出口が開かないからです。
開くような治療をしないからです。
開くような治療をしないから、膀胱が伸びきったのです。
主治医は、結果の時系列を勘違いしています。

投稿: マナプア | 2016/10/31 22:09

お返事ありがとうございました。
一度受診に伺います。

投稿: マナプア | 2016/11/02 08:45

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 神経因性膀胱の分類(治療から見た本質的な分類) | トップページ | 神経因性膀胱の治療#4 69歳のご婦人 留置カテーテル生活からの解放 »