「新内視鏡手術」 健康雑誌「わかさ」4月号
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【曼荼羅図】
感染症の経過をみると、さまざまなパターンがあります。
一見して一貫性がないように思えるこの自然現象(病気はすべて自然現象)を注意深くみていくと、右のイラストのように思えます。
まるで仏教世界の曼荼羅図のようですが、これを使って複雑な感染症の世界を解説しましょう。理解できた時点であなたは解脱したのです・・・。
まずは、イラストの説明から・・・
【配置と役割】
この曼荼羅イラストは、人間を中心にバイ菌(細菌)・カビ(真菌)・ウィルスを配置しています。人間の上部には、白血球・免疫抗体が配置され人間を守護しています。
人間・バイ菌・カビ・ウィルスの輪郭が二重に表現されています。
一つ目の輪郭は、本来の背伸びをしていない、あるいは無理をしていない存在範囲です。
二つ目の輪郭は周囲に対して存在を過剰にアピールしている逸脱した状態を意味します。各々の調和が取れていない状態ともいえます。
一般の人の中にはバイ菌を敵視し、殺菌!消毒!抗生剤!とお題目のように唱え実行する人がいます。しかし人間はバイ菌がいなければ生きていけません。腸内に存在する大腸菌や乳酸菌は、発酵で人間に必要な栄養素(ビタミン)を産生します。バイ菌は人間から栄養を頂戴しエネルギーを作って、自らを生かしています。
この関係は、持ちつ持たれつの共生関係です。健康な状態の時には、この共生関係が良好だということになります。
人の体を調べれば分かることですが、人間にはバイ菌以外にもカビもウィルスも無数に存在します。人間の細胞の数が60兆といいますから、恐らく何十兆何百兆という微生物が存在するでしょう。カビやウィルスとの共生関係を示す知識を私は持ち合わせていませんが、おそらく共生関係にあるのでしょう。
病気にならないためには、この良好な共生関係を保つことです。共生関係のアンバランスが炎症や病気の原因です。
バイ菌が自己主張すると、守護神の白血球が抑えにかかります。ウィルスが自己主張すると、今度は免疫抗体が抑えにかかります。
ところが守護神である白血球も免疫抗体もカビを抑えることはできません。でもご安心下さい。バイ菌とカビは敵対関係にあり、いつもお互いを牽制し合い、その力関係は均衡状態で維持しています。常にバイ菌の方が強いのでカビは小さくなっています。
カビは植物に近い微生物です。我々人間は植物細胞に対して免疫がありません。元来動物細胞は植物細胞に寄生していましたから、遠い太古の過去のから植物に対して免疫を持つ必要がなかったのです。しかし、最近食物アレルギーや花粉症などの植物に対しての免疫異常が問題になっていますが、これは、ここ数十年の生命界の異常事態です。
免疫がつかない有名な病原菌として「梅毒」があります。梅毒の原因菌であるトレポネーマもやはり植物由来の菌らしいのです。
動物細胞にとって植物由来の細胞からできている病原菌は、免疫が獲得できない厄介な存在です。
(画像:戸田新細菌学 南山堂から)
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以前に立体画像として観察できる3D4D(立体)超音波エコー検査について解説しました。
主に下部尿路症(膀胱・前立腺・尿道に関連していると思われる症状)を訴えて来院された患者さんのうち、平成19年9月~平成20年2月の5ヵ月間にこの検査を行った患者さんが実に300人を超えました。
この検査で分かったことは、普通の2次元(2D)超音波エコー検査では想像もつかなかった多彩な所見が得られたことです。もちろん病的な所見ですが、膀胱はいろいろな表情を実は示していたことが分かりました。
ここで、その表情を疾患別にまとめてご紹介しましょう。
【正常の膀胱表情】
まずは、膀胱底部の標準的表情です。
膀胱底部とは、膀胱出口周囲の膀胱の一番底に当る部分です。
男性だと前立腺に接しています。女性だとその裏に子宮が接しています。
膀胱出口の形状によって病気(下部尿路症)が出現します。
膀胱出口に向かってシワが何本か観察できます。これは膀胱縦走筋です。膀胱出口を開くために存在します。
【正常の膀胱表情 イラスト】
上の画像をイラストで解説したのが右の図です。
膀胱出口(膀胱頚部)が中央に位置し、円形に観察できます。円はほぼ正円です。正円以外の膀胱出口の形状は、病気の原因になります。
排尿筋である輪状膀胱平滑筋がブーメラン状の形状をしています。
その間に膀胱三角部が存在します。
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