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粉瘤(アテローム)と蜂か織炎

粉瘤(アテローム)は体のいたるところにできます。
粉瘤は、そのままでは何事もないのですが、化膿するとオデキという状態になり、痛みがでてきます。
その状態で、自然に粉瘤が溶けてくれれば炎症は治まりますが、中にはひどくなり、蜂か織炎という状態になることがあります。
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1週間前からおしりが痛いと来院した男性患者さんです。
右臀部にひょうたん型の腫れを認めます。
初めは、下の部分が痛み腫れだし、次第に上へと腫れが大きくなったそうです。
1週間も放置したため、次第に腫れと痛みが増して、歩くのがやっとという感じで来院されました。

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横から観察すると、隆起が一目瞭然です。
下側の腫れの方が上側の腫れに比べて大きいのが分かります。
初めの炎症は、患者さんが説明したように下側だったのでしょう。
触れるとプヨプヨしていて膿が充満しているのが分かります。

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超音波エコー検査では、腫れの上下に膿の存在が確認できます。
黒い部分が液体=膿です。所々に散在しているのが組織片(脂肪?)でしょう。
下部の白い部分は脂肪組織です。
上の腫れと下の腫れが画像上でも、連絡しているのが確認できました。

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3D超音波エコー検査で検査すると、内腔の組織片の存在が具体的なイメージで確認できます。
内腔の凸凹は、皮下組織の脂肪の組織構造が、切開して中を開けなくても、そのままイメージとして観察されています。
だから?と言われると答えに窮しますが、臨床では一見無駄と思われる検査で、思わぬ発見をすることがあります。

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痛みの原因は、皮下に貯留している膿ですから、これを注射器で極力吸引除去します。
昔は、一番腫れている個所に大きく十字切開をして、中に貯留している膿と溶けた粉瘤を除去していました。そして切開部は縫合しないで、中を十分に消毒をして開放創のままガーゼを突っ込んで処置を終えました。

Ater1511m345炎症を起こしている部分は酸性になっているので、組織のアルカリ性環境にしか効果がない局所麻酔は、注射を行なっても十分に効かず、患者さんは大層痛い思いをするのが常でした。
また、炎症を起こした開放創は、傷跡として残るのがほとんどで、粉瘤の炎症を繰り返す方の皮膚は傷跡だらけになります。
この患者さんも以前に炎症を繰り返しているらしく、患部に3箇所の傷跡が認められました。

Ater1511m346膿は白血球の死骸です。
白血球は、炎症の中で重要な役目をします。細菌を食べ細菌を白血球自身の中で劇薬成分で破壊します。
これ以上食べれなくなると自爆をします。自爆で飛び散った白血球の劇薬を含んだ中身は、周囲の組織を破壊します。組織が破壊されたという情報は、体中の白血球に届き、次々に白血球の援軍が来襲して患部の炎症は留まることを知らずにドンドン拡大するのです。

治療として、まず膿を可能な限り吸引すると、炎症の連鎖の原因である白血球の劇薬のスープを除去することになります。炎症の連鎖が治まると、体も炎症を収束させようという気になるのです。
吸引によって、腫れはなくなりました。吸引量は約50mlで、ごらんの様な血性膿でした。
患部にステロイドと抗生剤の軟膏を塗布します。ステロイドは白血球の興奮を抑えます。抗生剤は細菌を殺してくれるばかりでなく、白血球の興奮も抑えてくれます。
さらに抗生剤の注射と抗生剤・消炎鎮痛剤の内服で、私ができる治療は終了です。

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