器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎
器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎なんて病名は聞いたこともないでしょう?私も初めてです。それもそのはず、私が作った造語の病名です。ほかに示すことのできる病名がないので、あえて作りました。診断する時に明確な病名がないので、説明する時に困ることがあります。そのような時には自作の病名を作ることがあります。(ほかに私が作った造語に真珠様陰茎小丘疹と膣前庭乳頭症があります。専門書にpearly penile papulesという病名はあったのですが、和訳病名がなかったので、患者さんに説明する時にまどろっこしいので、真珠様陰茎小丘疹という名称を作りました。真珠様陰茎小丘疹という名称は泌尿器科学会で正式な病名となりました。泌尿器科学会の医師たちは、私が作った造語だとは知らないでしょう。)
この病気で悩まれる患者さんが多いので、あえて病名を造語し、ここで解説しましょう。
患者さんからメール相談がありましたので、患者さんの承諾を得て、ここに掲載します。
メール相談
高橋先生へ
○○○○と申します。
HPを拝見いたしまして、私も1つ相談がしたいと思い、メールいたしました。
3年位前から包皮部分に丸く一筋のすり傷(?)のようなものができました。
通常は痛くもかゆくもなんとも無いのですが、マスターベーションやSEXなどですれてくるとすぐに痛くなります。(ちょっとした傷がすれると痛いのと同じです。しごきすぎると若干血がにじんでくることもあります。)
これとは別で以前泌尿器科に行った際、ついでに見てもらったところ「とりあえずこの薬を塗ってみたら?」と ゲンタシン軟膏という薬をもらって1ヶ月くらい塗ったのですが何の効果もありませんでした。
また擦り傷と思い、オロナインを塗ってみても効果なしでした。
いろいろ調べてみても性病ではなさそうで、単なる皮膚の病気かなと思っていますが、いかがなものでしょうか?
こんなのすぐに直ると思っていたのですが、3年間も直らず今後もこのままかと思うとうんざりします。
添付写真ではわかりにくいかも知れませんが、送付いたしました。”カリ”の部分の直下にある余裕のある包皮の少し下にあるピンク色の横に走っている筋です。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
○○○○ ○○○○@hotmail.com
お答えいたします。
包皮が長いと、マスターベーションや性行為のピストン運動で、常に力が掛かるところができます。その力点の皮膚が弱くなり、切れたり赤くなったりします。
簡単にいえば、包皮皮膚のピストン疲労性障害です。
ピストンのストロークを変化させるか、包茎手術が予防法です。
お大事に。
高橋クリニック 高橋 知宏
お願い。
このような質問がたまにありますので、ブログに匿名で文章と写真を悩まれる方のために、できれば掲載したいのですが、よろしいでしょうか?無理は言いません。
お返事お待ちします。
お大事に。
高橋クリニック 高橋 知宏
高橋先生へ
ご回答ありがとうございます。
ブログ掲載に関しましては、どうぞ掲載してください。
私もブログを拝見していろいろと勉強になりましてので。
掲載時にはメール連絡をお願いします。
ところで、これは薬を塗ることによって直ることはないのでしょうか?
包皮が長いために包茎手術という対策がありましたが、仮性包茎ではありますが、それほど包皮が長いとは思っていません。日常から皮はむけておりますし。。。。
3年間ずっとこのまままで、SEXやマスターベーションを控えても自然回復はしなかったもので結構悩んでいます。
よろしくお願いします。
お答えいたします。
ご承諾ありがとございます。
さて、本質的には外傷とそれによる炎症ですから、傷のための軟膏を塗っていただくだけです。
包皮の絶対的長さが問題なのではなく、貴方のピストン運動で生じる力が、貴方の包皮のそのあまり具合と協力して、その部分だけに相応の負担としてかかるということです。
お大事に。
高橋クリニック 高橋 知宏
【参考】
組織学的な考察を「器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎#2」でも解説しています。そちらも参考にお読みください。
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