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尿のシミ出しpost-micturition dribble PMD

男性の方で排尿後のオシッコの「シミ出し」で下着を汚したり、太ももに尿が流れた経験をしたことがありませんか?思い当たる方も多いでしょう。どんなにペニスを振ってオシッコを切ってもシミ出しを抑えることが出来ないのです。
このオシッコの「シミ出し」を専門用語でpost-micturition dribble PMDといいます。専門書によれば、尿道球部の平滑筋(球海綿体筋)収縮が排尿後に十分に行われないため、尿道球部内のスペースに残った尿が後から排出する現象をいいます。この現象は、前立腺肥大症や排尿障害の患者さんで多く認められます。患者さんの中には尿失禁だと訴える場合が多いようです。オシッコの切れの悪さの一面でもあります。

専門書によれば、このPMDは上記のように原因不明の尿道球部収縮障害と結論して話が終わっています。専門書執筆を依頼されるほどの泌尿器科専門家が、男性の多くが経験しているであろう現象の根拠について、この程度にしか説明できない訳ですから、泌尿器科の病気にまつわるあらゆる現象に関して、一般病院の泌尿器科医がいかにいい加減な説明を行っているか容易に想像出来ます。

膀胱の2つの機能、蓄尿・排尿に関しては、様々なレベルの中枢をセンターとする反射回路が存在します。一番活躍しているのが仙髄(仙骨部脊髄中枢神経)で、腰髄・胸髄・延髄と拡がっていきます。
「シミ出し」現象で問題になるのが、膀胱-仙髄-尿道反射です。膀胱出口に尿が浸入あるいは存在すると、尿道が開くという神経反射です。膀胱出口付近に尿があれば、尿道が開いて尿を出しやすくするというこの反射機能は、考えてみればとても合目的です。当たり前と言えば、とても当たり前の機能に思えて仕方がありません。この当たり前の機能が正常に働いて尿道球部が開いたままになっているのであれば、(専門家のように)その現象を異常と考えるより、膀胱出口に尿が残っている排尿障害と考える方が自然な論理展開だと私は思います。
すなわち、排尿後の尿の「シミ出し」現象は、排尿障害があるという間接的な警告症状だと考えると、話が一本につながります。決して原因不明の現象ではありません。

PMDの簡単な対処法をお教えしましょう。
urethral milkingと呼ばれる方法です。陰嚢中心から肛門にかけての場所、いわゆる会陰部に両手人差し指と中指の指先を当てます。会陰部の真裏に問題の尿道球部があるからです。その会陰部をペニスに向かって4本の指先でしごくのです。しごく度に尿道球部に残る尿がピュッと飛び出ます。これを出なくなるまで何回か行えばOKです。

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