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尿管結石

61歳の男性患者さんです。10年前に尿道腫瘍(癌)を私が内視鏡で治療・切除しています。その後、定期的に経過を追っています。11月になって尿が汚れ、頻尿になったと訴えておられるので、腫瘍再発が頭の中をよぎったこともあり、今日11月25日(木)に膀胱鏡検査を行いました。
幸いにも、尿道腫瘍の再発は認められなかったのですが(ホッと一安心!)、左の尿管口の後がなぜか異常に膨瘤しています。
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尿管腫瘍か?と思った時に... 私の視野に左尿管口から黒いものがチラッと見えているではありませんか!
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近づいてよ~く見ると、尿管結石が膀胱内に出掛かっている出産場面です。26年間泌尿器科医を生業にしてこのシーンは初めてです。結石が顔を出したり引っ込んだりを繰り返しています。なかなか出てきません。
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業を煮やして結石鉗子で摘もうとするも、滑ってしまってつかめません。「押してだめなら引いてみな」の逆で、「引いてダメなら押してみな!」を試み、結石の背後から尿管口に向かってしごいたら、ニュル~ッポンと出てきました。
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鉗子で「しっかり捕まえた!離さないぞ!」という感じで、取り出してきました。結石の大きさは、7mm x 4mm x 3mmの大きさです。ヤレヤレでした。患者さんは仙骨神経ブロックをしているので痛みもなく無事にご帰還です。
尿管結石のリアルタイムでは初めての出産シーンでした。
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内視鏡の画像では結石はとてつもなく大きいですが、実際の大きさは写真のようです。
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カンジダ性膣炎

ご婦人が風邪などで抗生剤を長期に内服を続けると、オリモノ(帯下)が急に多くなり陰部が非常に痒くなることがあります。いわゆる感染性膣炎です。原因としては、カンジダと呼ばれる真菌(カビ)やトリコモナスと呼ばれる寄生虫が原因になります。

女性の膣はデーデラン桿菌という乳酸菌によって守られています。乳酸菌はその名の通り乳酸という酸性物質を産生して、体の他の常在菌を抑えて膣を保護しています。そのため、女性のオリモノは乳酸菌の酸性物質その物で、チーズの臭いがする発酵物質なのです。
抗生剤を病気治療などで長期に内服されると、この乳酸菌は簡単に死んでしまいます。そのためにカンジダなどのカビの勢力が強くなりカンジダ性膣炎になってしまいます。

カンジダ性膣炎のご婦人から採取したオリモノの位相差顕微鏡像:
画面の右に斜めに走る構造物がカンジダの菌糸です。画面の左にりんごの実がなっているように見えるのが、カンジダの胞子です。大きさが6~7μmです。
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胞子の発芽:
画面中央に寄りに、胞子が芽を出そうとする瞬間(発芽)を確認できます。
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カンジダ性膣炎そのものは性行為感染症・STDではありませんが、場合によって性交渉を持った相手の男性が包茎であると、カンジダ性亀頭包皮炎になることがあります。

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