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排尿痛

【概念】
オシッコの時に痛みが出るのを排尿痛(はいにょうつう)といいます。痛みの時期と場所で次のように分類でき、原因の病気も推理出来ます。
●出始めから前半の痛み
●後半から最後の方の痛み
●排尿直後の痛み
●尿道先端の痛み
●尿道中間の痛み
●尿道の奥の痛み

●出始めから前半の痛み
1.急性尿道炎(淋病・クラミジア・雑菌)

●後半から最後の方の痛み
1.前立腺炎
2.急性膀胱炎・慢性膀胱炎

●排尿直後の痛み
1.前立腺炎
2.急性膀胱炎・慢性膀胱炎
3.尿管結石

●尿道先端の痛み
1.急性尿道炎(淋病・クラミジア・雑菌)

●尿道中間の痛み
1.慢性前立腺炎

●尿道の奥の痛み
1.慢性前立腺炎

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血尿

【概念】
尿に血液が混じる現象を血尿(けつにょう)といいます。肉眼的にハッキリ確認できる血尿を肉眼的血尿、顕微鏡でしか確認できない血尿を顕微鏡的血尿といいます。

【血尿の原因】
血尿には何らかの原因が必ずあります。疲れただけでは血尿にはなりません。ですから血尿を認めた時には、必ず泌尿器科医か腎臓専門の内科医の受診をお薦めします。
●慢性腎炎
●尿路結石
●急性膀胱炎
●急性前立腺炎
●腎腫瘍
●尿管腫瘍
●膀胱腫瘍
●尿道腫瘍
●血管奇形
●子宮内膜症
●隣接臓器癌の尿路臓器への浸潤

【実例1】 2ヶ月続いた血尿の原因は?
患者さんは60歳男性です。平成16年1月に血尿に気づきました。内科の主治医に相談したところ、尿管結石でしょうとそのまま放置。何もしないで血尿は収まりました。4月になり再び血尿が出現、様子を見ましたが一向に収まらないので、6月16日当院に紹介で来院しました。血尿はご覧のように明らかです。超音波エコー検査で膀胱の左後ろ壁に1.5cm×1.0cmの腫瘍陰影を認めたので、膀胱鏡検査を行いました。写真のように乳頭腫状の膀胱腫瘍です。
grosshematuria.jpg BT60y15494echo.jpg BT60y15494neck.jpg

【実例2】 半年間続く生理ごとの出血性膀胱炎

endmetoriosis.jpg

【実例】 出血のない膀胱腫瘍
43歳の男性の方が、セカンドオピニオンで来院されました。人間ドックの超音波エコー検査で膀胱に怪しい影が認められたというのです。
地元の大学病院泌尿器科で内視鏡検査を受けたところ、膀胱粘膜に検査した医師が今まで見たこともない腫瘍が認められたとのこと。早速手術を薦められ、入院予約をしたのですが、「今まで見たこともない」というフレーズが妙に引っかかり、インターネットで私のクリニックを検索して来院なさいました。
私が行った超音波エコー検査でも、下の写真のように18mm×13mm大の腫瘍陰影が確認できます。黒く見えるのが尿のたまった膀胱です。膀胱の三角部といわれる場所に、ウサギが耳を立てたように見えるのが膀胱腫瘍です。
bt15798-43echo.jpg
内視鏡検査では、写真のような表面平滑の腫瘍が観察できました。一見しては炎症性によるポリープで悪性所見はないようですが、やはり念のために組織検査が必要です。前の大学病院で検査手術をお薦めしました。
膀胱腫瘍だからといって必ずしも血尿がある訳ではありません。
bt15798-43cyst.jpg

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慢性膀胱炎

【概念と疫学】
頻尿・残尿感があり、尿検査を行っても異常がなく、「気のせい」「精神的」と診断されてしまう病気に慢性膀胱炎があります。
尿検査で異常が出るのは、細菌感染が原因の尿路感染症や尿路結石や癌の時の血尿だけです。それ以外の泌尿器科の病気では、尿検査に異常を認めません。
尿検査だけで異常がなければ、「心の病気」と診断してしまう医師にも問題があります。その背景には女性、特に若い女性には排尿障害がないという思い込みや誤解が医師や一般の人にあります。また患者さん本人も排尿障害を自覚していない場合がほとんどです。私は慢性膀胱炎の本当の原因は排尿障害だと信じています。


下の写真は、膀胱粘膜濾胞変性の慢性膀胱炎の内視鏡所見です。膀胱粘膜が凸凹しているのが観察できます。こんな状態でも尿検査は異常なしです。
cystica.jpg


下の写真は、膀胱粘膜白苔変性の慢性膀胱炎の内視鏡所見です。膀胱出口から膀胱三角部にかけて白い苔(こけ)状の粘膜変性が確認できます。この方も尿検査には異常なく、「気のせい」と診断されていた女性です。
white_belag.jpg


下の写真は、内視鏡で観察された膀胱出口の多数のポリープです。慢性膀胱炎の患者さんには炎症性ポリープと呼ばれるこのようなポリープの存在を観察できます。従来は特に意味のない存在としか認識されていませんでしたが、私はこのポリープの存在を排尿障害の証拠と認識しています。
polyp.jpg


分類
慢性膀胱炎の分類は次の分け方があります。
●感染の原因による分類
1.細菌性慢性膀胱炎
2.非細菌性慢性膀胱炎
●年齢による分類
1.若年型慢性膀胱炎
2.中高年型慢性膀胱炎

細菌性慢性膀胱炎
雑菌による慢性膀胱炎です。ほとんどの原因に重篤な基礎疾患があります。
例えば、子宮癌・直腸癌・膀胱癌・糖尿病・脳卒中・脳梗塞・寝たきり・脊髄損傷などです。基礎疾患が重篤であるので、慢性膀胱炎の症状を訴える方はごく少数です。

非細菌性慢性膀胱炎
雑菌が原因でない慢性膀胱炎です。原因となる基礎疾患がありませんから、原因不明で恐らく「気のせい」あるいは「精神的」「心因性」と診断されてしまう膀胱炎です。一番多いタイプの慢性膀胱炎です。

若年型慢性膀胱炎
10代後半から30代後半までに起きる慢性膀胱炎です。このタイプが非細菌性慢性膀胱炎の一番多い膀胱炎です。写真の白苔変性の慢性膀胱炎はこのタイプです。
私見では、患者さんが気が付かない排尿障害が慢性膀胱炎の原因と考えています。

中高年型慢性膀胱炎
更年期(45歳~55歳)を過ぎてから起きる非細菌性慢性膀胱炎です。女性ホルモン低下が主な原因です。写真の濾胞変性の慢性膀胱炎はこのタイプです。

【症状】
●オシッコが近い(頻尿ひんにょう)
●残尿感(ざんにょうかん)
●常に尿意で悩ませられる(尿意頻拍にょういひんぱく)
●下腹部が重い、痛い、しびれる
●排尿後の尿道の痛み
●陰部の痛み
●肛門の痛み
●足の痛み、しびれ
●腰痛・背部痛
●血が出る(血尿)

【検査】
●尿検査
●超音波エコー検査
●尿流量測定ウロフロメトリー検査
●残尿量測定検査
●膀胱鏡検査

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慢性前立腺炎

【概念と疫学】
若い男性の治りにくい病気に慢性前立腺炎があります。下半身の多彩の症状によて、「心の病気」と誤診されてしまう病気でもあります。
慢性前立腺炎、特に非細菌性慢性前立腺炎については、その原因が未知の細菌やウィルス説・アレルギー説・膠原病説・骨盤内静脈鬱滞説・心因性説など様々な原因が挙げられています。私は排尿障害が原因であると唱えています。


【症状】
その多彩な症状としては、具体的には次に列挙する取り留めのない訴えです。
●頻尿
●会陰部(陰嚢と肛門の間)の疼痛
●恥骨部疼痛
●尿道痛(先端・全体・奥など)
●大腿(太もも)の不快感(しびれ・痛み)
●足の裏の不快感(しびれ・痛み)
●腰痛
●背部痛
●射精時の痛み・射精後の痛み
慢性前立腺炎と診断される方はまだいい方で、下半身の様々な症状のために、大した検査もしないで心因性・精神的と診断される方がかなり多くおられます。

これら多彩な症状は精神的に起きる症状ではなく、脊髄中枢の過敏さによる関連痛なる生理学的反応です。
ところが私も含めて医師が関連痛なる生理現象について勉強したのは、遠い過去、医学部の3年生頃です。
臨床医になってそんな知識は頭の片隅に存在しないので、患者さんの訴える症状を心因性・精神的と誤診してしまうのです。

【分類】
●細菌性慢性前立腺炎
●非細菌性慢性前立腺炎

細菌性慢性前立腺炎
狭い意味での慢性前立腺炎です。細菌感染で発症する前立腺の炎症です。細菌の種類としては、クラミジアや腸内細菌が挙げられます。治療は抗生剤の投与です。

非細菌性慢性前立腺炎
この記事を読まれている方のほとんどの原因が、細菌を証明することのできない非細菌性慢性前立腺炎の方でしょう。細菌感染を証明しようと、前立腺マッサージ後の前立腺液検査や尿検査を何回も行っても証明できないことが多い病気でもあります。医師によっては感染を証明できないから「気のせい」「心因性」「ストレス性」などと誤診する事例が多い病気でもあります。

この状態を他の病名で呼ぶ医師も存在します。
●前立腺疼痛症
●前立腺症
●陰部神経症
●骨盤内静脈鬱滞症候群

【実例】
下の写真は、非細菌性慢性前立腺炎と他の医療機関で診断され、13年間治らないので来院した43歳の男性患者さんの内視鏡写真です。症状は突然襲って来る尿意と頻尿です。脊椎麻酔をして膀胱出口を観察していますが、まるで巾着のように狭くすぼまっています。膀胱頚部硬化症の所見です。膀胱出口の直径が2mmしか開いていません。これでは排尿する時に、膀胱や前立腺に負担がかかり辛い症状が出現しても不思議ではありません。この患者さんのように、本当は排尿障害を主体とした膀胱頚部硬化症であるのに、症状が慢性前立腺炎と似ていて、細菌が証明されないので非細菌性慢性前立腺炎と誤診される患者さんが後を絶ちません。
BNS14218.jpg

下の写真は、上記と同じ患者さんの手術直後の内視鏡写真です。膀胱出口が大きく開きました。直径10mm程になり排尿障害も改善されました。頻尿も次第に収まりました。
BNS14218op.jpg

さらに慢性前立腺炎について詳しくお知りになりたい方は、慢性前立腺炎ページをご覧下さい。

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前立腺肥大症

【概念と疫学】
最近よく耳にする病名に前立腺肥大症という言葉があります。
高齢者の病気だと思っておられる方がほとんどでしょう?実は若い方にも出てくる病気です。
私のクリニックでは30代後半~40代前半の方の手術をすることが時々あります。
ところが、多くの医師、内科医ばかりでなく泌尿器科医も若い方の前立腺肥大症はないと思っておられるので、排尿障害や頻尿などの症状が出現しても気のせいにしてしまい、患者さんが苦しむ事例が比較的多くあります。

近年、日本人にも前立腺肥大症になる男性が増加傾向にあります。統計予想によると、日本人男性が80歳までに80%の方が前立腺肥大症になるそうです。残りの20%は前立腺肥大症の逆で前立腺が萎縮してしまうのです。
なぜ高齢者になると、前立腺が肥大するのでしょう。これには食生活の欧米化によるところが大です。なぜ食生活の欧米化が前立腺肥大症を造るのかを説明しましょう。

戦後の復興で食生活は豊かになり、また欧米食を国も目標としてきました。事実、欧米食は旧来の日本食に比べてはるかに高カロリー・高タンパク・高コレステロールです。これら栄養素は男性ホルモンの材料です。欧米食により男性ホルモンの分泌は高齢になっても盛んです。男性ホルモン分泌が盛んであることは、性行為が高齢者になってもできるということです。
生物学的にいえば、年を取ったオスにいつまでも生殖能力があるのでは若いオスにとっては死活問題です。種の繁栄から考えれば、若いオスの生殖活動を自然界が支えなければなりません。そこで、年を取ったオスの精液を亡き者にすればよいと自然、ここではDNAがある意志を持つのです。
前立腺は前立腺液を分泌する臓器です。前立腺液は精液の3分の1を占める構成成分です。その役目は精子を保護し精子にエネルギーを与える役目をします。つまり、射精で女性の膣内に発射された精液中の精子をいつまでも生かし続けさす役目を担っているのです。前立腺液が少なくなれば体外に出された精子は生きていけなくなります。前立腺液が出ないようにするには、前立腺組織内の分泌腺を他の組織で置き換えてやればよいのです。その他の組織こそ前立腺肥大症の組織なのです。この現象は自然が作ったパイプカット、男子不妊手術と呼べる組織変化です。本来なれば年齢と共に男性ホルモンは低下し前立腺はそれと呼応するように萎縮していました。それとは逆に男性ホルモン分泌がいつまでも盛んであればあるほど、前立腺はそれと呼応するように前立腺肥大症になるのです。

下の写真は前立腺肥大症の内視鏡写真です。6時の位置にある小さな半球状のドームは精液が噴出する「性丘(せいきゅう)」呼ばれる直径3mmの尿道内の構造物です。
この性丘から膀胱に向かって覗いているシーンですが、本来ならば膀胱が見えなければなりません。
ご覧のように、前立腺肥大症によって尿道が圧迫されて膀胱を見ることができません。
BPH1526557y.jpg

上記の症例の前立腺肥大症の手術(TUR-P 経尿道的前立腺切除手術)直後の内視鏡写真です。
先ほどまで確認できなかった膀胱内腔を見ることができます。前立腺肥大症による尿道圧迫が解除されたからです。
BPH1526557ypostop.jpg


【症状】
症状の発生原因は前立腺肥大症による尿道閉塞と膀胱刺激が主な原因です。
●オシッコが近い(尿道閉塞)
●息み時間が長い、すぐにオシッコが出ない(尿道閉塞)
●切れが悪い(尿道閉塞)
●尿が散る、便器を汚す(尿道閉塞)
●トイレに間に合わずに漏らしてしまう(膀胱刺激)
●途中で尿が止まる(尿道閉塞)
●残尿感がある(膀胱刺激)
●いつまでも尿意が残る(膀胱刺激)
●寝てから何度もトイレのために目が覚める(膀胱刺激)
●水に触れたり水の音を聞くと尿意が出る(膀胱刺激)

【検査】
●尿検査
●尿流量測定ウロフロメトリー検査
●残尿量測定検査
●内視鏡検査
●尿道造影レントゲン検査

尿検査
尿路感染を調べます。

尿流量測定ウロフロメトリー検査
下図は、正常な排尿状態の男性の検査結果です。縦軸の高さが尿の勢い(ml/秒)の良さです。横軸がオシッコにかかった時間(秒)です。
uroflownormal.jpg

下図は前立腺肥大症の男性の排尿状態です。正常の方と比べてオシッコの勢いの悪さは一目瞭然です。
uroflowBPH.jpg

内視鏡検査
内視鏡検査で前立腺肥大症による尿道閉塞状態を実際に確認して、手術の適応を決めます。前立腺肥大症と思っていたら、前立腺癌や膀胱癌の場合があります。

下の2枚の写真は、膀胱出口から前立腺部尿道にかけての内視鏡写真です。膀胱出口は大きく丸く開いているのが正常ですが、前立腺肥大症で左右から圧迫されていて十分開いていません。
BPHn.jpg

下の2枚の写真は、前立腺肥大症で圧迫された前立腺部尿道の内視鏡写真です。6時の位置に確認できる半球状のドームは「精丘(せいきゅう)」と呼ばれる精液の発射口です。正常であれば、この位置から膀胱が見えなければなりません。
BPHob.jpg

下の2枚の写真は、精丘から尿道にかけての内視鏡写真です。「くびれ」は尿道括約筋が圧迫している部分です。
BPHfr.jpg


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