尿意と便意

Trigonhasei便秘をすると尿意が頻繁に感じることがあります。また、頻尿の患者さんには便意も生じることがあります。
尿は腎臓・尿管・膀胱・尿道という泌尿器を通過し、大便は食道・胃・小腸・大腸・直腸という消化器を通過します。臓器は別の役割を担っているのに、不思議に思われる方も多いでしょう。
その答えのヒントになるのが、右の発生学のイラストです。
胎児の発生初期には、「総排泄腔」という袋状の臓器があり、そこに胎児の老廃物(尿・消化管液)は集められ、へその緒を通じて母体に捨てられていました。
胎児が成長すると、総排泄腔の中央あたりに「尿直腸中隔」という壁が延びてきて、膀胱と直腸を上下に分割するのです。結果として総排泄腔の上が膀胱に、下が直腸になります。膀胱も直腸も元々は一つの臓器だったので、脊髄レベルでは神経支配が本当に隣り合わせです。中には膀胱と直腸の神経が一部共用している人も存在するので、尿意と便意が密接に連動する人がいるのです。

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脊髄腫瘍による神経因性膀胱 コメント相談より

「神経因性膀胱は治らない?」にコメント相談がありました。
内容がとても重いので、ここで詳細に回答します。
少しずつしか回答できませんので、お待ち下さい。
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【相談】
去年の夏に“脊髄星状細胞腫”と診断され、手術をしました。
その際に“T12-L1”の位置を一部骨切りをし、腫瘍を除去しようと試みました。
しかし、病理検査の分しか、取れませんでした。
その時に、神経に触れたのか、徐々に下肢に麻痺が出現し、歩く事(立位も)が出来なくなり、寝たきり状態になりました。
今年の4月には、排泄障害も出てきました。
症状が出る、数時間前までは、尿意があり、尿器に出てましたが。
その後、尿意が無くなり、失禁状態になりました。
数日後になると、今度は出なくなり、腹部の膨満感が酷く、バルーンを挿入すると、一気に“3000cc”ほど出ました。
それからは“バルーン”を留置しています。
今は尿意・便意は無く、時々“ペニス”が「ザワザワする」と言ってます。
脊髄の病気になると、一度機能が停止した部分は、戻らないと聞きましたが、かすかに感覚がある!?以上は、望みを途絶えたくないと思ってます。
このような症状でも、尿意が戻り、自尿が出るようになりますか?
彼はまだ“・・歳”です。

長くなりまして、申し訳ありません。
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【高橋クリニックからの回答】
星状細胞腫は、通常頭蓋内脳腫瘍の10%を占める腫瘍です。予後は様々で、頭蓋内の場合、外科的全摘出は不可能とされています。放射線感受性がないことが多いので、放射線治療は期待が持てないようです。
脊髄腫瘍の場合、硬膜内と硬膜外のどちらかに局在します。侵された脊髄レベルの症状が徐々にみられます。
硬膜外の場合は早い時期に神経根症状として痛み症状が顕著に表れます。
腫瘍の成長により、脊髄の圧迫・動脈静脈の閉塞による虚血、硬膜内・脊髄内の場合は直接浸潤による脊髄障害が出ます。

ご主人の症状に「痛み」が強く表現されていないので、おそらく脊髄内の星状細胞腫と思われます。
この病気の特徴から次第に麻痺や神経障害が出現するので、手術をしてもしなくても、必ず現在の症状になったと思われます。ですから、執刀医を責めたり、手術に対して後悔することは止めましょう。

腫瘍病変部が「T12とL1」という事実から、・・・

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「新内視鏡手術」 健康雑誌「わかさ」4月号

Wakasa健康雑誌「わかさ」4月号の別冊付録「尿のトラブルスッキリ解消!新作戦」で私の内視鏡手術が紹介されました。

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感染症の真実 共生関係

Sanmi1tai_3【曼荼羅図】
感染症の経過をみると、さまざまなパターンがあります。
一見して一貫性がないように思えるこの自然現象(病気はすべて自然現象)を注意深くみていくと、右のイラストのように思えます。
まるで仏教世界の曼荼羅図のようですが、これを使って複雑な感染症の世界を解説しましょう。理解できた時点であなたは解脱したのです・・・。
まずは、イラストの説明から・・・

【配置と役割】
この曼荼羅イラストは、人間を中心にバイ菌(細菌)・カビ(真菌)・ウィルスを配置しています。人間の上部には、白血球・免疫抗体が配置され人間を守護しています。
人間・バイ菌・カビ・ウィルスの輪郭が二重に表現されています。
一つ目の輪郭は、本来の背伸びをしていない、あるいは無理をしていない存在範囲です。
二つ目の輪郭は周囲に対して存在を過剰にアピールしている逸脱した状態を意味します。各々の調和が取れていない状態ともいえます。

一般の人の中にはバイ菌を敵視し、殺菌!消毒!抗生剤!とお題目のように唱え実行する人がいます。しかし人間はバイ菌がいなければ生きていけません。腸内に存在する大腸菌や乳酸菌は、発酵で人間に必要な栄養素(ビタミン)を産生します。バイ菌は人間から栄養を頂戴しエネルギーを作って、自らを生かしています。
この関係は、持ちつ持たれつの共生関係です。健康な状態の時には、この共生関係が良好だということになります。

人の体を調べれば分かることですが、人間にはバイ菌以外にもカビもウィルスも無数に存在します。人間の細胞の数が60兆といいますから、恐らく何十兆何百兆という微生物が存在するでしょう。カビやウィルスとの共生関係を示す知識を私は持ち合わせていませんが、おそらく共生関係にあるのでしょう。
病気にならないためには、この良好な共生関係を保つことです。共生関係のアンバランスが炎症や病気の原因です。

バイ菌が自己主張すると、守護神の白血球が抑えにかかります。ウィルスが自己主張すると、今度は免疫抗体が抑えにかかります。
ところが守護神である白血球も免疫抗体もカビを抑えることはできません。でもご安心下さい。バイ菌とカビは敵対関係にあり、いつもお互いを牽制し合い、その力関係は均衡状態で維持しています。常にバイ菌の方が強いのでカビは小さくなっています。
カビは植物に近い微生物です。我々人間は植物細胞に対して免疫がありません。元来動物細胞は植物細胞に寄生していましたから、遠い太古の過去のから植物に対して免疫を持つ必要がなかったのです。しかし、最近食物アレルギーや花粉症などの植物に対しての免疫異常が問題になっていますが、これは、ここ数十年の生命界の異常事態です。
Treponema免疫がつかない有名な病原菌として「梅毒」があります。梅毒の原因菌であるトレポネーマもやはり植物由来の菌らしいのです。
動物細胞にとって植物由来の細胞からできている病原菌は、免疫が獲得できない厄介な存在です。
(画像:戸田新細菌学 南山堂から)

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「排尿障害」フォーブス日本版3月号

Forbes経済月刊誌「フォーブス日本版」3月号(2月発売)180ページ~185ページにわたって「排尿障害」をテーマにした特集が掲載されています。

昨年の暮れに取材を受けました。
経済誌から取材を受けたのは初めてです。
取材記者によると、経済誌の読者に中高年の方もおられるので、健康をテーマに定期的に取材を行なっているそうです。
内容は、いつもブログの中で私が主張していることです。

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人生いろいろ、膀胱の表情もいろいろ?

以前に立体画像として観察できる3D4D(立体)超音波エコー検査について解説しました。
主に下部尿路症(膀胱・前立腺・尿道に関連していると思われる症状)を訴えて来院された患者さんのうち、平成19年9月~平成20年2月の5ヵ月間にこの検査を行った患者さんが実に300人を超えました。
この検査で分かったことは、普通の2次元(2D)超音波エコー検査では想像もつかなかった多彩な所見が得られたことです。もちろん病的な所見ですが、膀胱はいろいろな表情を実は示していたことが分かりました。
ここで、その表情を疾患別にまとめてご紹介しましょう。

Wnlmorifice_2【正常の膀胱表情】
まずは、膀胱底部の標準的表情です。
膀胱底部とは、膀胱出口周囲の膀胱の一番底に当る部分です。
男性だと前立腺に接しています。女性だとその裏に子宮が接しています。
膀胱出口の形状によって病気(下部尿路症)が出現します。
膀胱出口に向かってシワが何本か観察できます。これは膀胱縦走筋です。膀胱出口を開くために存在します。

Bnclose_2【正常の膀胱表情 イラスト】
上の画像をイラストで解説したのが右の図です。
膀胱出口(膀胱頚部)が中央に位置し、円形に観察できます。円はほぼ正円です。正円以外の膀胱出口の形状は、病気の原因になります。
排尿筋である輪状膀胱平滑筋がブーメラン状の形状をしています。
その間に膀胱三角部が存在します。

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未病#2

Mibyo以前に他のテーマのブログの中で「未病」について説明しました。
ここでは、もう少し一般的な概念として説明したいと思います。
私たちが、健康と病気を概念として考える時、右のような図をイメージします。つまり、「健康」と「病気」という2つの塊が別々に存在しています。健康な人が風邪にかかれば病気になり、1週間も経過すれば、健康になるという感覚です。2つの山を赤い矢印で示すように行ったり来たりです。まるでデジタル信号です。「オン・オフ」、「1・0」の繰り返しです。容易に理解できますね?

しかし・・・

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思い込み 「神経因性膀胱は治らない?」

この命題は、ある意味「本当」で、ある意味「嘘」です。
医師は、神経因性膀胱そのものは元の健全な膀胱に戻ることはないし、神経因性膀胱による症状(排尿障害)も治ることはないと、考えています。
私は、膀胱が元の健全な膀胱に戻ることはないと思っていますが、神経因性膀胱による排尿障害という症状は「治る」と考えています。
膀胱に力がないから排尿できないというのが神経因性膀胱の一般的な概念です。
私はこの概念を否定しています。例え本当に神経因性膀胱であっても治療法が的確であれば、排尿障害は治るというのが、私の自論です。

下記にその実例を上げましょう。

患者さんは岩手県在住の73歳男性です。
たまたま受けた健康診断でPSAが4.2(正常値は4.0以下)とわずかに高く、前立腺癌を疑われ、病院に入院して前立腺針生検を受けました。
12ヵ所の生検で1ヵ所から偶然に(12分の1ですから偶然と考えてよいでしょう)癌細胞が発見され、その後お決まりのホルモン療法を受けています。
前立腺癌の骨転移を調べる骨シンチ後に、まったくオシッコが出ない尿閉状態になり、それ以来6ヵ月間1日6回の自己導尿(自分でカテーテル・管を尿道から膀胱まで挿入し排尿する操作)を続けています。
大学病院から定期的に来る「神経因性膀胱専門」の偉い泌尿器科医は「神経因性膀胱」と当たり前のように診断し、自己導尿は一生続ける必要があると誰でも思いつく判断です。
患者さんにしてみれば、それまで自分の力で排尿できたのに、針生検や検査後から自然排尿できなくなったことを考えると納得がいきません。神経因性膀胱も以前からあったものだとの医師の判断です。
前立腺癌腫瘍マーカーのPSAは1を前後しています。患者さんの悩みは前立腺癌ではなく排尿障害であるにもかかわらず、主治医は執拗に放射線治療をすすめます。

さてさて、その患者さんが業を煮やして岩手から東京の高橋クリニックに来院されました。
検査で頑張って自尿が85ml、残尿が500ml以上です。患者さん曰く、「何とか自然排尿できた時は、直後の自己導尿での残尿は必ず500ml以上」という状態です。

ここで問題点を整理しましょう。・・・

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急性副睾丸炎の本当の原因

Epi21559m83283歳の男性が近所の開業医の先生から紹介されて来ました。
4日前から左の睾丸が痛くなり、昨日には右の睾丸も痛くなったというのです。しかも両方とも腫れてきたのでした。
触診で確かに両方の睾丸近くが硬く腫れていて、触ると痛がります。その上、水がたまっています。明らかに両側副睾丸炎です。
超音波エコー検査では、右の写真のようです。睾丸は丸く正常ですが、副睾丸は大きく不整形です。睾丸の周囲の黒い部分は炎症による体液(水)です。

Epi21559m833D4D超音波エコー検査に切り替えると、右の写真のようです。上の写真から想像できる立体画像です。

さて、ここで問題があります。急性副睾丸炎は、通常片方だけです。このご高齢の患者さんのように左右ほぼ同時に炎症を起こすことはまれです。一般的に急性副睾丸炎は原因不明ですが、両側同時に発症した場合には、システマティックな原因がある筈だと考えなければなりません。

患者さんに既往歴をお聞きすると、20年前に前立腺肥大症の経尿道的手術(TUR-P)を有名な病院で行なったが、手術直後もオシッコの出は悪かったとのこと。その後、金属ブジーで尿道拡張を何回か行ったというのです。最近、特に尿の出が悪くなっているというのです。

原因が判明しました。前立腺肥大症の内視鏡手術を行なったのですが、膀胱頚部硬化症だったのを見逃し前立腺しか削らなかったのです。そのため、膀胱から尿道に流入する尿はジェット流になり渦流が発生していました。最近、膀胱頚部の硬化が悪化し、ジェット流がさらに強くなり、射精管口から精管・副睾丸に炎症が波及して、今回の病状になったのです。

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重複腎盂尿管

患者さんがドクターショッピングをなさり、色々な病院でいろいろな検査を行ってきます。
ほとんどが無駄な検査で、「数打てば当る」的な発想です。検査をオーダーした医師の力量のなさがうかがい知れます。
大学病院や高度医療機関でさえもそうですから、私も注意しなければなりません。
慢性前立腺炎と診断されて悩まれた患者さんが、大学病院を点々とさまよい、その間に、数多くの検査を受けた後、高橋クリニックに来院されました。
Wureter21402cp59m2慢性前立腺炎の原因は探し当てたのですが、患者さんが持参された写真がとてもきれいだったので、ここでご披露しましょう。
この写真は、排泄性尿路撮影です。造影剤を静脈注射して時間を追ってレントゲン撮影するというものです。
この検査でたまたま「左重複腎盂尿管」が指摘されたのでした。腎盂尿管は、一つの腎臓に一つが原則ですが、先天的に一つの腎臓に二つ持っておられる方がいます。

Wureter21402cp59m重複腎盂尿管はそれほど珍しいものではありません。
ただ、検査・診断・治療の際に、病状を修飾することがあり、臨床の現場で医師を混乱させることがあるので中止が必要です。
上の写真は造影剤を使用した普通のレントゲン写真で、右の写真をコンピューター処理した立体画像です。きれいでしょう?画像をクリックして大きな画像でお楽しみ下さい。

ただし、この検査は、この患者さんと大学病院の医師には何の役にも立ちませんでした。
私には、重複腎盂尿管以外に重要な情報が得られましたが・・・秘密です・・・。

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粉瘤(アテローム)と蜂か織炎

粉瘤(アテローム)は体のいたるところにできます。
粉瘤は、そのままでは何事もないのですが、化膿するとオデキという状態になり、痛みがでてきます。
その状態で、自然に粉瘤が溶けてくれれば炎症は治まりますが、中にはひどくなり、蜂か織炎という状態になることがあります。
Ater1511m34
1週間前からおしりが痛いと来院した男性患者さんです。
右臀部にひょうたん型の腫れを認めます。
初めは、下の部分が痛み腫れだし、次第に上へと腫れが大きくなったそうです。
1週間も放置したため、次第に腫れと痛みが増して、歩くのがやっとという感じで来院されました。

Ater1511m342
横から観察すると、隆起が一目瞭然です。
下側の腫れの方が上側の腫れに比べて大きいのが分かります。
初めの炎症は、患者さんが説明したように下側だったのでしょう。
触れるとプヨプヨしていて膿が充満しているのが分かります。

Ater1511m348
超音波エコー検査では、腫れの上下に膿の存在が確認できます。
黒い部分が液体=膿です。所々に散在しているのが組織片(脂肪?)でしょう。
下部の白い部分は脂肪組織です。
上の腫れと下の腫れが画像上でも、連絡しているのが確認できました。

Ater1511m347
3D超音波エコー検査で検査すると、内腔の組織片の存在が具体的なイメージで確認できます。
内腔の凸凹は、皮下組織の脂肪の組織構造が、切開して中を開けなくても、そのままイメージとして観察されています。
だから?と言われると答えに窮しますが、臨床では一見無駄と思われる検査で、思わぬ発見をすることがあります。

Ater1511m343
痛みの原因は、皮下に貯留している膿ですから、これを注射器で極力吸引除去します。
昔は、一番腫れている個所に大きく十字切開をして、中に貯留している膿と溶けた粉瘤を除去していました。そして切開部は縫合しないで、中を十分に消毒をして開放創のままガーゼを突っ込んで処置を終えました。

Ater1511m345炎症を起こしている部分は酸性になっているので、組織のアルカリ性環境にしか効果がない局所麻酔は、注射を行なっても十分に効かず、患者さんは大層痛い思いをするのが常でした。
また、炎症を起こした開放創は、傷跡として残るのがほとんどで、粉瘤の炎症を繰り返す方の皮膚は傷跡だらけになります。
この患者さんも以前に炎症を繰り返しているらしく、患部に3箇所の傷跡が認められました。

Ater1511m346膿は白血球の死骸です。
白血球は、炎症の中で重要な役目をします。細菌を食べ細菌を白血球自身の中で劇薬成分で破壊します。
これ以上食べれなくなると自爆をします。自爆で飛び散った白血球の劇薬を含んだ中身は、周囲の組織を破壊します。組織が破壊されたという情報は、体中の白血球に届き、次々に白血球の援軍が来襲して患部の炎症は留まることを知らずにドンドン拡大するのです。

治療として、まず膿を可能な限り吸引すると、炎症の連鎖の原因である白血球の劇薬のスープを除去することになります。炎症の連鎖が治まると、体も炎症を収束させようという気になるのです。
吸引によって、腫れはなくなりました。吸引量は約50mlで、ごらんの様な血性膿でした。
患部にステロイドと抗生剤の軟膏を塗布します。ステロイドは白血球の興奮を抑えます。抗生剤は細菌を殺してくれるばかりでなく、白血球の興奮も抑えてくれます。
さらに抗生剤の注射と抗生剤・消炎鎮痛剤の内服で、私ができる治療は終了です。

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尿道口のアテローム

アテローム(粉瘤)は、体のいたるところに発生します。
今回紹介する患者さんは、尿道口近くに出来たアテロームの方です。

Paraorifisecyst20671m40一見すると、傍外尿道口嚢胞のようです。
傍外尿道口嚢胞は、透明感のある袋としての外観ですが、この患者さんはそうではありません。
そのつもりで手術を行ないました。
すると中身は透明な粘液ではなく、白い脂肪状の内容物でした。
結果として、アテローム(粉瘤)の傍外尿道口嚢胞タイプでした。
基本的には、手術は同じなので、心配する必要はありません。

Paraorifisecyst20671m402いつもの電気焼灼を行い、縫合せずに手術を終えます。
手術後は、消毒せずに白色ワセリン軟膏を塗ります。
最近の創傷処置の理論では、傷を消毒してはいけません。
乾燥させずに消毒しないように処置します。
すると、傷の周囲の細胞が容易に増殖し、満遍なく傷を覆ってくれるのです。その結果、傷はなくなります。

Paraorifisecyst20671m403手術2週間後、傷はほとんど分かりません。

写真は、患者さんの快諾を受けて掲載しています。

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死亡原因ではない前立腺ガンの罹患率

昨年暮れ、都内の泌尿器科医のクローズの食事会があり、私の1年後輩の和田鉄郎先生(現在、慈恵医大助教授)と久しぶりに話す機会がありました。
彼の研究テーマは前立腺ラテント癌についてです。ラテント癌とは潜伏癌のこと云います。他の病気が原因で亡くなられた方を病理学的調査をおこなってみると、相当数の前立腺潜伏癌が見つかったという研究です。
現在の前立腺癌の早期発見の状況について疑問を投げかける研究結果でしたので、皆さんにご披露しましょう。
(和田先生には許可を得ています。)

【最近の日本人の前立腺潜伏癌(ラテント癌)の臨床病理学的検討】
(日本泌尿器科学会誌78卷12号1987年)

Latentpcawada私の出身大学の病院で、2年間に不幸にも病気で亡くなられ、医学研究のため献体下さったご遺体で、解剖検査を行なった男性283人の前立腺病理学的精密検査を行なった前立腺潜伏癌の結果です。
亡くなられた原因である病気に、前立腺癌は含まれていません。
この研究は、彼がコツコツと地道な努力で得られたとても価値ある結果です。
大学で臨床ばかり行なっていて勉強や研究をおろそかにしていた私としては、とても頭が下がる思いです。
さて、この研究の結果、和田先生は現在の前立腺癌増加の理由について、(一般の泌尿器科医が信じて疑わない、PSA検査などの前立腺腫瘍マーカーの信頼性と前立腺癌の発見について)疑問を感じたそうです。

Latentpcawada2この表で示すように、80歳以上の男性では、50%の人に前立腺癌(潜伏癌)が存在していることが判明したのです。
40歳以上で前立腺癌の存在率は、何と24.2%です。今回の調べた男性が極々標準の人だと仮定すると、40歳以上の男性5人に1人以上の確率で前立腺癌が存在することになります。
50歳以上では、26.5%です。4人に1人以上です。これは恐るべき数字です。私は今年で55歳になりますから、このデータは人ごとではありません。
 
S07985090f007人間ドックや健康診断の際に、前立腺癌検診を50歳以上から勧められています。
通常、PSAという前立腺癌腫瘍マーカーの血液検査です。
しかし、50歳以上の男性でPSA検査陽性率が25%というのは聞いたことがありません。
実際に前立腺癌といわれても、目にしていなければピンと来ないでしょう。そこで前立腺癌について簡単に解説しましょう。
Nlpca右の図と解説は、Campbell-Walsh Urologyから複写したものです。前立腺の正常組織から前立腺癌への変化の様子を表しています。
Nmlp_2【1】
前立腺は精液の一部である前立腺液を産生する内分泌組織ですから顕微鏡で観察すると、分泌細胞を岸に並べた複雑な形の池のように見えます(図の左上)。
分泌細胞は均一で細胞質(細胞の中身)が明るく見えます。
右写真は実際の正常な前立腺組織像です。
(Sobotta実習人体組織学図譜 医学書院から)

【2】
何らかの原因で、分泌細胞が増殖して池の岸が厚ぼったくなります。
分泌細胞の核も大きく見えます。
核が大きくなる=核が限界まで活動(臨界状態)しているということです(図の真ん中の上)。
騒ぎを聞きつけてリンパ球が集まっています。増殖性炎症性萎縮と定義されています。

Pin_2【3】
池の岸の分泌細胞は、核も細胞も形や大きさが不ぞろいで、幾重にも重なるように池の面積を小さくしています。
対岸の岸と岸が連絡するような勢いです(図の右端)。
前立腺内皮細胞新生物と定義されています。
いわゆる前癌状態です。
右写真は、実際の組織像です。
(病理組織の見方と鑑別診断 医歯薬出版から)

Wellpca_1【4】
ついには対岸の岸がつながり、池は小さく区分けされてしまいます(図の真ん中の下)。
池の部分(前立腺液の収まっている空虚な部分)の面積が正常の組織と比較して極端に小さくなり、異型の分泌細胞(癌細胞)の面積が多くなる訳ですから、この時点で前立腺を触診すると硬い結節として正常な前立腺組織と容易に区別することが出来ます。
前立腺の直腸診で前立腺癌を診断できるのは、この時期です。
Modpca_1限局性癌と定義されます。腺管構造(池の部分)が均一で程よい大きさに保たれていて正常前立腺組織に近いのが高分化型といいます。
腺管構造が不均一に乱れ、小さくなり、癌細胞が増えるに従い、中分化型、低分化型と悪性度が増します。
右の写真は、上が高分化型、下が中分化型です。
腺腔構造が次第に不均一で小さくなるのが観察できます。
(病理組織の見方と鑑別診断 医歯薬出版から)
Poorpca_1【5】
癌の増殖は止まることを知りません。
最終的には前立腺液が溜まる池である部分(腺腔構造)がなくなり、細胞の塊だけになります(図の左下)。
増殖するあまり、癌細胞に一部は弾け飛び、他の臓器に転移します。転移性癌と定義されます。
右の写真は、低分化型の前立腺癌組織像です。一番上の正常の前立腺組織構造と比較して、全く異なる組織構造をとっていることが、容易に理解できるでしょう。
前立腺分泌細胞が癌化して、分泌細胞として本来どうしても必要な腺腔構造を忘却してしまった哀れな前立腺分泌細胞の姿がここに見ることができるのです。最近の事件の親の子殺しにも似ていると思えませんか?人間としてあるいは生命として子孫を残すことは最重要項目なのに、自分の子供を殺してしまうという哀れな事件を思い出されます。
(病理組織の見方と鑑別診断 医歯薬出版から)

S07985091f002_1前立腺癌の組織像と臨床上の経過をよく反映する分類に、グレソン分類Gleason scoreがあります。
前述したように前立腺癌の悪性度を高分化型、中分化型、低分化型と三つに分類しましたが、グレソン分類では、前立腺癌の細胞と組織像のパターン(顔)によって、悪性度gradeを1~5の5段階に分類します。
組織全体の内、最も多い面積を占めるパターンをprimary grade、次に優位なパターンをsecondary gradeとします。そしてprimary grade+secondary gradeの総和をもってGleason scoreとします。
例えば、PG1でSG3の場合は1+3=4となり、Gleason score4点になります。
すべての組織像がgrade1の場合は、PG1+SG1=2ですからGleason score2になります。
グレソン分類は、以上の考え方から、2点~10点までの9段階に分類します。2点~4点をlow score、5点~7点をmedium score、8点~10点をhigh scoreと区別します。当然low scoreの方が予後が良いと考えます。

グレソン・スコアでlow scoreと診断された組織の倍加時間(2倍の量に増えるにかかる時間)は、20年~30年とされています(和田先生からの受け売り)。例えば、70歳の男性で前立腺針生検の結果、low scoreであった時、前立腺癌が2倍の大きさに増えるまでには、患者さんは90歳~100歳になる訳です。そうなると、無理に前立腺癌の治療の必要があるのか?という疑問が出てきます。

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器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎

器械的反復刺激性包皮裂傷・包皮炎なんて病名は聞いたこともないでしょう?私も初めてです。それもそのはず、私が作った造語の病名です。ほかに示すことのできる病名がないので、あえて作りました。診断する時に明確な病名がないので、説明する時に困ることがあります。そのような時には自作の病名を作ることがあります。(ほかに私が作った造語に真珠様陰茎小丘疹と膣前庭乳頭症があります。専門書にpearly penile papulesという病名はあったのですが、和訳病名がなかったので、患者さんに説明する時にまどろっこしいので、真珠様陰茎小丘疹という名称を作りました。真珠様陰茎小丘疹という名称は泌尿器科学会で正式な病名となりました。泌尿器科学会の医師たちは、私が作った造語だとは知らないでしょう。)
この病気で悩まれる患者さんが多いので、あえて病名を造語し、ここで解説しましょう。
患者さんからメール相談がありましたので、患者さんの承諾を得て、ここに掲載します。

Foreskininjuryメール相談
高橋先生へ
○○○○と申します。
HPを拝見いたしまして、私も1つ相談がしたいと思い、メールいたしました。
3年位前から包皮部分に丸く一筋のすり傷(?)のようなものができました。
通常は痛くもかゆくもなんとも無いのですが、マスターベーションやSEXなどですれてくるとすぐに痛くなります。(ちょっとした傷がすれると痛いのと同じです。しごきすぎると若干血がにじんでくることもあります。)

これとは別で以前泌尿器科に行った際、ついでに見てもらったところ「とりあえずこの薬を塗ってみたら?」と ゲンタシン軟膏という薬をもらって1ヶ月くらい塗ったのですが何の効果もありませんでした。
また擦り傷と思い、オロナインを塗ってみても効果なしでした。
いろいろ調べてみても性病ではなさそうで、単なる皮膚の病気かなと思っていますが、いかがなものでしょうか?
こんなのすぐに直ると思っていたのですが、3年間も直らず今後もこのままかと思うとうんざりします。
添付写真ではわかりにくいかも知れませんが、送付いたしました。”カリ”の部分の直下にある余裕のある包皮の少し下にあるピンク色の横に走っている筋です。
お忙しいところ恐縮ですがよろしくお願いいたします。
○○○○ ○○○○@hotmail.com

お答えいたします。
包皮が長いと、マスターベーションや性行為のピストン運動で、常に力が掛かるところができます。その力点の皮膚が弱くなり、切れたり赤くなったりします。
簡単にいえば、包皮皮膚のピストン疲労性障害です。
ピストンのストロークを変化させるか、包茎手術が予防法です。
お大事に。
高橋クリニック 高橋 知宏

お願い。
このような質問がたまにありますので、ブログに匿名で文章と写真を悩まれる方のために、できれば掲載したいのですが、よろしいでしょうか?無理は言いません。
お返事お待ちします。
お大事に。
高橋クリニック 高橋 知宏


高橋先生へ
ご回答ありがとうございます。
ブログ掲載に関しましては、どうぞ掲載してください。
私もブログを拝見していろいろと勉強になりましてので。
掲載時にはメール連絡をお願いします。
ところで、これは薬を塗ることによって直ることはないのでしょうか?
包皮が長いために包茎手術という対策がありましたが、仮性包茎ではありますが、それほど包皮が長いとは思っていません。日常から皮はむけておりますし。。。。
3年間ずっとこのまままで、SEXやマスターベーションを控えても自然回復はしなかったもので結構悩んでいます。
よろしくお願いします。

お答えいたします。
ご承諾ありがとございます。
さて、本質的には外傷とそれによる炎症ですから、傷のための軟膏を塗っていただくだけです。
包皮の絶対的長さが問題なのではなく、貴方のピストン運動で生じる力が、貴方の包皮のそのあまり具合と協力して、その部分だけに相応の負担としてかかるということです。
お大事に。
高橋クリニック 高橋 知宏

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傍外尿道口嚢胞

18931para傍外尿道口嚢胞(ぼうがいにょうどうこうのうほう)をご存知ですか?先天性の(生まれながらの)嚢胞(のうほう:体液がたまった小袋)が、尿道の傍らに生じる良性の腫瘤です。
ここでご紹介するのは20歳の男性です。物心ついた頃から腫瘤の気付きましたが放置してきました。青年になり気になりだしたので相談にみえました。
亀頭を正面から見ると、尿道口を隠すように腫瘤が観察できます。直径1cmほどです。

18931para2
外尿道口を開くように観察すると、尿道口の右壁から腫瘤の基部が確認できます。
このぐらい腫瘤が大きいく尿道口を塞ぐように占拠すると、尿線が曲がることがあります。
一般的に泌尿器科で行なわれる手術は、嚢胞を尿道の粘膜から切り離し切断面を吸収糸で縫合します。
しかし縫合することで尿道口の形が引きつれて尿線が曲がったり噴水状になることがあるので、手術の際には注意が必要です。

18931para3
亀頭を右真横から観察した写真です。
かなり前面に出っ歯ているのが確認できます。
20歳という年齢の若い男性が、このような状態で満足できる訳がありません。
遠めで見ても直ぐ分かるでしょう。
温泉などの公衆浴場で他人の目が気になったでしょう。
腫瘤が水をたわわに含んだブドウの状態の嚢胞であることが分かります。

18931para4
手術直後の所見です。
私が得意とする電気焼灼手術で嚢胞を全て焼きました。
電気焼灼手術は、電気的火花で少しずつ組織を焦がしていきます。
焦げる部分は、火花が当った0.1mm程度ですから、とても軽い火傷です。
ですから、傷の治りがとてもよい特徴をもっています。
また、縫合する必要がないので、ほとんど変形しません。

18931para5
手術4週間後の所見です。
尿道口の右側にほんの少し凹みがありますが、ほとんど気にならないそうです。
予想通り、尿道変形にはなりませんでした。
一番上の写真と2番目の写真と比較して下さい。
手術をしたかどうかも分からないほど治っています。
痛みもなく、尿線も真直ぐで、排尿もスムーズだそうです。
それを聞いて、執刀医の私もヤレヤレです。

18931para6
術後の亀頭右真横からの所見です。全く正常です。

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腎腫瘍

昨日(2006年6月29日)のニュースで、あるプロレス団体のスター選手が、腎腫瘍になり試合の出場を断念したと報道されていました。スポークスマンは、記者団の質問に対して、限りなく癌に近いことをほのめかしていました。

Renaltumor
【資料】 The CIVA collection of medical illustrations vol.6


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非性病性硬化性リンパ管炎

Lymphadenopathyペニスに硬いしこりができた!といって驚いて相談に来られる男性がおられます。
診察すると、陰茎に帯状の不定形の硬いしこりが触れます。リンパ管が硬くなった状態、非性病性硬化性リンパ管炎です。
ハッキリした原因は不明ですが、過度の性行為によるペニスへの刺激が原因だろうとされています。ほとんどの方が自然治癒しますから心配入りません。難治性の場合は、手術的に切除する場合があります。
決して性行為感染症・STDではありませんから、くれぐれもご心配なさらないように。

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陰嚢のかゆみ 陰嚢掻痒症と排尿障害

臨床の現場では、時に原因が分からない病気に遭遇することがあります。
その例として、陰嚢掻痒症(いんのうそうようしょう)があります。別名、陰部掻痒症・陰門掻痒症です。女性の場合もあります。何しろ男女の区別なく、ハッキリした皮膚に所見もなく、外性器・肛門が痒くなる病気です。皮膚の所見は掻きこわしの所見だけです。
皮膚科は視診がとても重要です。皮膚にできた皮疹・湿疹・丘疹・発疹などを観察して、病気を診断するのです。なのに、皮膚が全く正常で、それでいて異常にかゆいのです。これでは皮膚科医も困るでしょう。原因が分からないので、取り合えず対症療法として痒み止めの軟膏や抗ヒスタミン剤を処方しますが難治性で再発を繰返すようです。
さて、ある時、皮膚科の病気に関して調べ物をしていたら、たまたま陰嚢掻痒症なる言葉を見つけ、詳細に読むと原因が前立腺肥大症・尿道狭窄となっているではありませんか!一般的な泌尿器科医にはこのような知識はありません。(私だけがないのか?・・・少し心配になりますが・・・)

220_1皮膚科の先生は、恐らく前立腺肥大症のような排尿障害は尿の切れが悪く、陰嚢に尿が付着してかゆくなるのだろう思っているのではないでしょうか。
しかしこれは誤解でしょう。なぜなら、陰嚢が尿でかぶれて痒みが生じるのであれば、赤ちゃんのオムツかぶれのように陰嚢皮膚が赤くただれていなければなりません。ところが陰嚢掻痒症の場合、ほとんど方が原因不明とされるように陰嚢皮膚は正常です。
では、なぜ痒くなるのでしょう。その原因を考えるのに関連痛という生理学的生体反応を知ると容易に理解できます。
生理学では、痒み=微細な痛み感覚として考えます。ですから陰嚢のかゆみ=陰嚢の痛みとして理解できます。もう少し正確に表現すれば、陰嚢の皮膚のかゆみ=陰嚢の皮膚の微細な痛みということになります。すでに説明したように、関連痛は現在痛みのある場所・部分とは異なる、離れた他の臓器・器官の刺激が、投影されて感じる痛みのことを指しています。しかし、そこには一定の法則があります。関連痛を感じている皮膚と同じ脊髄中枢の位置でコントロールされている臓器・器官の病的刺激の投影であるということです。
陰嚢の皮膚を支配している脊髄中枢は仙骨部脊髄2番~4番です。仙骨部脊髄2番~4番中枢で支配されている臓器は、膀胱・前立腺・尿道・直腸・子宮頚部(女性のみ)です。ですから、膀胱・前立腺・尿道・直腸の病的刺激で陰嚢は関連痛が生じることになります。
陰嚢のかゆみ(関連痛)を訴える患者さんに遭遇(診察)した場合、これらの臓器・器官の病気を選択肢として考えなければならないことになります。
19286m76scrbph【写真】の患者さんは76歳男性です。
夜間2回の頻尿と陰部のしめり感を訴え、近くの病院から紹介されて来ました。
ご覧のように陰嚢部の痒みで皮膚を掻き壊しています。陰嚢から股間にかけて皮膚が痛々しく見えます。
排尿障害を改善させれば、この痒みもおさまると考え、排尿障害の治療薬であるハルナールDを処方しました。
患者さんが服用し続けたら、かゆみは収まりました。Itch19286m77その結果、【写真】のように皮膚はきれいになり正常の状態に戻りました。

【参考】
最近(平成19年8月から)、産科用の3D4D超音波エコー検査を駆使して膀胱出口を観察しています。この陰嚢掻痒症の患者さんの立体画像を説明していますから参考にご覧下さい。

【注意】
先日、この記事を読んだ眼科医が来院しました。
診察室に入る直前に、クリニックのトイレで排尿してしまいました。この記事に書いてあるように、原因不明の陰嚢掻痒症は排尿障害が原因です。その原因を調べるために排尿障害の検査を行わなければなりません。
そのことを注意すると、「そんなことは書いていない!」と逆切れされる始末。素人が失敗するのは分かりますが、医師だったらなおさら、書いていなくとも、「陰嚢掻痒症と排尿障害」というテーマを読んだのなら理解判断出来るでしょう。
「受付で排尿しないように注意しろ!」とか「トイレに張り紙をしろ!」などと院長の私に意見、あらゆる患者さんが来院するクリニックで(外科・整形外科・内科・胃腸科・泌尿器科・リハビリを標榜)、いちいち患者さんの病名が分かるような質問をしませんし、トイレにベタベタ張り紙もしたくありません。眼しか診ていない人間の発想でしょう。

「皮膚の所見も見ないで、なぜ排尿障害が原因と分かるのだ?」「直接触れない医師はダメだ!」と陰嚢掻痒症の眼科医が、それを治せるかも知れない泌尿器科医にさんざん意見をして(捨て台詞を吐いて)、診察券も受けとらずに帰っていきました。この先生は、きっと患者さんに対してもこうなのでしょう。(私に似ている・・・)
今までに眼科医が想像できる診察と治療しか受けていないから、治らないという事実に疑問を持たない哀れな医師です。

患者さんとして来院した医師が、「医師の理想」を語り、治療者としての医師(私)がそれを拝聴したという構図です。
私も含め、理想を語る医師のいけ好かないこと・・・人のふり見て我がふり直せ・・・ですね。

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メール相談 「陰茎と肛門のしこり」

突然のメール失礼いたします。
komon早速ですが、今コンジロームなのかどうか悩んでいます。
肛門にイボができてしまい、ちんちんに何かできものができていました。
ちんちんのできものは血管の通る場所なので膨らんでしまっているようにも感じていますが、気になります。
肛門のイボはなんなんでしょうか。
突然のメールで申し訳ございませんがお教え下さい。

inkei-h添付ファイルにて写真をお送りさせていただきます。お願い申し上げます。
○○○○

【高橋クリニックからの回答】
お答えいたします。
ペニスは血管腫です。
肛門は痔核(イボ痔)です。
どちらも、広い意味で血管腫です。心配いりません。
添付された、この写真とメール内容を他の悩まれる方々のためにブログに利用させていただけますか?もちろん内容は匿名です。
ご返事お待ち申し上げます。

高橋クリニック 高橋 知宏
クリニック:03-3771-8000
院長直通:03-3771-8034

相談者の方に快諾を得て、メール内容と写真を掲載しています。

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前立腺結石

前立腺結石は前立腺内に生じる結石です。発生原因は不明です。

17139m46bns3慢性前立腺炎症状で原因が膀胱頚部硬化症の患者さんの前立腺部尿道の内視鏡所見です。写真手前に精丘という精液の噴出孔が見えます。精丘の右横に小さな光る点3個は、小さな結石(石灰)です。

17139m46bns4近づくと尿道粘膜に結石を確認できます。左右に山吹色から茶褐色の結石が確認できます。

17139m46bns5さらに近づくと結石と粘膜の関係が明確に確認できます。画面左上の結石は粘膜に付着していますが、画面右の結石が尿道粘膜の中から顔を出しているように見えます。これは、左上のように粘膜に付着した結石が、周囲の粘膜に囲まれ吸い込まれて埋没していく様のようです。要するの前立腺結石は尿道粘膜に付着した石灰・結石が前立腺に吸収されたものと考えることが出来ます。

17139m46bns6膀胱頚部硬化症の内視鏡手術を行い、その後、実際に採取した前立腺結石です。
私の自論では、前立腺結石は排尿障害で尿道内に生じたジェット流が作る渦流が、結石を作ると考えています。すなわち、前立腺結石が存在すれば、必ず排尿障害があります。もしその時点で下部尿路の症状、例えば、頻尿・残尿感・尿漏れ・睾丸痛・排尿痛・会陰部痛・射精痛・尿道違和感などがあれば、原因は前立腺肥大症・膀胱頚部硬化症・膀胱出口閉塞症などの排尿障害だと診断できる訳です。
気をつけなければならないのは、排尿障害を言及せずに原因不明の前立腺結石が下部尿路症状の原因だと誤診する医師がほとんどだということです。注意が必要です。

calc17902m60bns病理組織検査を行なうと、組織内に取り込まれた小結石・石灰を認めrます。結石の周囲にリンパ球が集まり、慢性の炎症を起こしているのが判別できます。

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尿道下裂

時折、成人の尿道下裂の患者さんが来られます。尿道下裂は先天性の病気、いわゆる奇形です。3ヶ月までの胎児の時に、尿道の完成をみなかった状態を指します。程度の差はありますが、高度の場合、乳幼児の時期に小児科医に指摘されて泌尿器科あるいは小児外科で手術を行います。

今回、44歳の男性で排尿障害の患者さんが来られました。軽度の尿道下裂でほとんど問題ないのですが、外尿道口が狭いので、大きくしなければなりません。
そこで、外尿道口を拡げる手術と偽の尿道口を一つにまとめる手術を行うことにしました。

15296m44urethra実際の尿道口付近の所見です。大きく開いて見えるのは、偽の外尿道口です。

15296m44urethra2本当の尿道口は、直径2mmの金属の棒を挿入した所にあります。尿が出てくるのはこの狭い外尿道口からです。

15296m44urethra3偽の外尿道口と真の外尿道口に約1cmの距離がありますから、ここを電気焼灼で道を作ります。

15296m44urethra4電気焼灼で作った道と真の尿道口を確認しています。

15296m44urethra5さらに焼き進めていくと、真の尿道口と偽の尿道口が一つになります。作った道は、新しい外尿道口の後壁になります。

15296m44urethra6手術後、直径6mmのラテックス製カテーテルを挿入して、出来立ての尿道口が縮まらないように2週間留置・矯正します。2週間後が楽しみです。

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多発性粉瘤症 ご婦人編

以前に男性の多発性粉瘤症の患者さんを紹介しましたが、ご婦人でも同じ病気があります。以前の男性患者さんは陰嚢の粉瘤症でしたが、ご夫人の場合、大陰唇に生じます。

患者さんは31歳のご婦人です。陰部が化膿を繰り返すので来られました。拝見すると、両側の大陰唇に大小不同多数の粉瘤を認め、その内の2箇所が化膿していました。化膿は抗生剤で治せますが、粉瘤がある限り繰り返します。
粉瘤そのものは、皮脂腺の塊で悪い病気ではありません。しかし、ご婦人の性器が凸凹で美的に憂鬱になることがあります。そのことをお聞きすると、実は夫婦生活に支障があることが分かりました。通常のセックスは可能なのですが、ご主人が愛する奥様の性器を見ようとすると無下に拒否をしてしまうのでした。ご主人にさえ見せたくないというのが本心でした。
これでは若い夫婦の危機です。一肌脱ぎましょうと、手術をお薦めしました。ご婦人は今までの悩みが吹っ切れると快諾しました。

17231f31aterm2仙骨神経ブロックを行い十分麻酔を行いました。両側の大陰唇に白っぽい粉瘤を多数認めます。一見して大陰唇全体がイボイボです。

17231f31aterm5たくさんある粉瘤の1個1個をつまんで電気焼灼を行います。電気焼灼の熱源で粉瘤の脂肪の塊が軟らかくなります。この脂肪を全て取り除きます。

17231f31aterm6脂肪を取り除いただけでは、しばらくすると、また再発します。再発しないようにするため、脂肪を包んでいる被膜を取り除かなければなりません。

17231f31aterm9電気焼灼手術直後の所見です。大陰唇全体に無残な焦げ目が付きます。

17231f31aterm12取り除いた粉瘤の脂肪と被膜です。