高橋クリニック「休診のお知らせ」

Clinicsakura

 

院長の高橋知宏が、慢性腎不全という大病したため、当分の間、診療は午前中だけです。

 

また、院長が精密検査のため、大学病院に受診することがあり、臨時休診することがあります。
初診の患者さんは、事前に高橋クリニックにお電話で、休診日を直接ご確認ください。ご迷惑をおかけします。Img_0006

6月29日(土曜日)は、京都の研究会に出席するため、正午12時前には診療を終えます。

診察希望の方は、午前11時までにお越しください。

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初対面の人に自己紹介


47427cbba39d4657867eb2d5f990053e週3回の透析をするために、品川駅近くのクリニックに行きます。品川駅にたまたま早く到着したので、品川駅構内のコーヒー店でユックリと休憩していました。アイスコーヒーと蛸のマリネを注文してオリーブオイル(+亜麻仁油+ごま油+胡椒+すり胡麻の混合ドレッシング)をかけようとしていました。

すると隣席のご夫婦の奥さまが「ご自分のドレッシングを持参されているのですね?」と驚かれていました。「実は私は身体障害者(透析患者)で、生きる世界が狭い(空間的にも時間的にも)ので、少しでも興味を持った事に熱中してしまうのです。その一つがオリーブオイルに凝っている事です。」神さまは人生にいろいろな仕掛けをするのです。私が医師にも関わず慢性腎不全になってしまいました。でも、限られた人生と認識すると、残りの人生を一生懸命に生きようとします。そう言った意味では、何事もなくダラダラと生きる人生よりも充実した人生だ思っています。小説にすれば、ダラダラ人生の主人公の小説よりも波乱万丈の主人公の小説の方が、はるかに面白いでしょうね。

病気のお話しをすると、その奥さまもご自分は膠原病だとおっしゃるのです。その症状は目の渇きと口の渇きなのだそうです。主治医は血液検査を行ってもハッキリした原因は不明とのこと、結果、膠原病と診断されたのです。『あれ?よくあるパターンだ!』と思いました。原因不明の症状の患者さんで頻尿があれば、ほとんどの病気の原因が排尿機能障害で、それを治すと症状は改善するのです。

そこで、排尿回数をお聞きしたら、……案の定、何と毎日12回だったのです。名刺をお渡しし、私の自著をAmazonで紹介して、日常の生活習慣をアドバイスしました。私に声をかけた事が、この奥さまのラッキーになると良いですね。

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上皇陛下と前立腺ガン

ニュースの記事で下の記事を見つけました。私の考えを✴️【備考】で解説しました。

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現在、上皇陛下は公務から離れられ、皇居内の生物学研究所で専門のハゼの研究を続けられたり、美智子さまと共に都内のテニスクラブをお忍びで訪問されたりと、日々を慈しむように過ごされている。だが、陛下は「がんサバイバー」としてのお姿もある。

 陛下の前立腺がんが見つかったのは、2002年末のことだった。検査結果について、当時の皇室医務主管だった金沢一郎さんは会見でこう説明した。

「お採りした組織の病理検査の結果、前立腺にがん細胞の存在が確認された。高分化型腫瘍で、比較的たちのよい腫瘍で転移はないと判断される。関係する医師の協議の結果、前立腺全摘出手術をお受けいただくこととした。手術は東京大学医学部附属病院で、東大病院と国立がんセンターの合同チームが行う」

✴️【備考】高分化型とはグリソンスコア6以下の前立腺ガンです。通常であれば、そのまま放置か、あるいは放射線治療になります。それを前立腺全摘手術をされたのです。』

 ステージ(進行度)について記者から質問が飛ぶと、「真ん中ぐらい」(金沢さん)と答えたので、ステージII程度だったと推測される。

✴️【備考】ステージ❷は前立腺の被膜を超えていない『限局型』の前立腺ガンです。』

 翌年1月18日、東大病院で、手術を受けられた。この時、陛下に病名を伝え、治療方針やリスクについて説明し、手術を取り仕切ったのが、国立がんセンター名誉総長の垣添忠生さん(78才)だった。

 がんの専門医としてがんセンターに長年勤務し、中央病院長や総長を歴任してきた垣添さんは、医師人生をがん治療に捧げてきた人物だ。

「手術に際しては、前立腺の絵を描いて、それをご覧いただきながらがんがあると思われる場所をお伝えし、手術や放射線治療など、考えられる治療方法についてご説明しました。

 結果的にはありませんでしたが、前立腺を摘出することで尿失禁が起きる可能性があります。そういったリスクも含めて、治療はどういう経緯をたどることが想定されるのか、包み隠さずお話ししました。それをお聞きになったうえで陛下は、『わかりました、お願いします』とおっしゃいました」(垣添さん)

✴️【備考】結果的には、上皇さまは、その後に前立腺ガンの転移が認められてホルモン治療を受けることになったのです。と言うことは、ステージ❷が誤診だったのか、あるいは針生検によってガン細胞が転移したのかも知れません。』

 一般的に、がんの告知を冷静に受け入れることができる患者は少ないとされている。特に告知されてからの2週間は「魔の2週間」と呼ばれ、受診結果が信じられず、セカンドオピニオンを受診したり、うつ病になったりするリスクがもっとも高まる期間だという。

「陛下は常に冷静でいらして、私どもが提案した治療方針に真摯に耳を傾け、受け入れてくださいました。陛下はサイエンティストでもいらっしゃるから、がんとわかっても客観的に、科学的にご自分の体を見つめていらっしゃるのだと感じました」(垣添さん)

 治療や病状の説明へのご質問や異論を口にされることはほぼなかった陛下が、1つだけ強く主張されたことがあるという。

「それは、ご自身の病状や手術の経過を『包み隠さず国民に伝えてほしい』ということでした」(垣添さん)

 皇室ジャーナリストの神田秀一さんは、上皇陛下の意図をこう解説する。

上皇陛下は1989年、即位後初めてのお言葉で《皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たす》と誓われました。憲法を守るとは、天皇として『国民主権』を宣誓されたということです。

 陛下は、がんを告知されるという極限の状況においても、“天皇は自分自身が第一であってはならず、その身体は国民のためにある”とお考えになられた。そこで、病状を包み隠さず、国民に逐一伝えてほしいと述べられたのでしょう」

 父である昭和天皇が、十二指腸がんを告知されないまま崩御されたことも、公表を強く望んだ理由の1つだったのかもしれない。神田さんが続ける。

「昭和天皇ががんになられた当時は、手術ひとつとっても『玉体にメスを入れるとは何事か』と、宮内庁や政府、医師の間で大激論を重ねるほどがんに対してナーバスだった時代です。国民の間でも“がんは死の病である”という認識が強く、当然国民にも昭和天皇の病状は伏せられていました」

 昭和から平成への御代がわり(1989年)当時は、昭和天皇に限らず、患者本人にすら病名が伝えられないことが一般的だった。実際、厚労省が行った「第42回がん対策推進協議会」(2014年)の資料によると、1993年頃までは、終末期の患者に告知する割合は2割を切っている。

「昭和天皇ががんであったことは、崩御されたあとの宮内庁記者会見により発表されました。がんとわかっていながらも告知することができなかった担当医の苦悩や、病名は伏せられているのに連日のように血圧値や脈拍数が報道され、不安を煽られる国民の姿をご覧になられていたことも、陛下がご自身の病状を公表することを強く望まれた一因だったのではないでしょうか」(宮内庁関係者)

 がんと向き合い、闘病するお姿をすべて公表する――そのお言葉通り、手術が終了したあとは、宮内庁より、

《天皇陛下の前立腺全摘出手術は,本日午前執刀を開始され,3時間40分で無事終了いたしました。(中略)手術は順調に進み,予定通りの手術ができ,前立腺の全摘除及び両側閉鎖リンパ節廓清は成功裏に終わりました》と病状が発表された。上皇陛下ご自身も手術後の退院に際して次のようなお言葉を表明されている。

✴️【備考】ステージ❷であれば、リンパ節の郭清をする必要があるのだろうか?ステージ❸であれば、リンパ節廓清の必要がありますが。』

《今回の入院に際し,治療に当たってくれた医療陣の努力に深く感謝します。また,大勢の人々が,心配し,回復を願ってくれたことを,心からうれしく思っています。退院に当たり,今病を得ている人々の回復を祈り,国民皆が,それぞれ体を大切に,元気に過ごすよう願っています》

※女性セブン2019年7月18日号

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✴️【備考】日本で最高のVIPである上皇陛下が、最高の医療機関と一流の医師たちによって、標準的診断と標準的治療を受けたのです。しかしながら、その結果は一般の人々と変わりませんでした。それから想像できることは、前立腺ガンに対する考え方の甘さと、標準的な診断と標準的治療の間に矛盾が存在していると考えられます。陛下は、ある意味で、現代医療による被害者だとも考えられます。

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PSA値と前立腺ガン発見率

PsariskPSA値が高いと前立腺がんを強く疑われます。このグラフは日本泌尿器科学会が公表しているものです。見て分かるように、PSA値が4.0を超える(〜10.0)と前立腺がんの発見率は40%〜50%を超えます。

しかし、高橋クリニックでPSA値が高いと言われて来院された患者さん500人の中、私の触診とエコー検査でがんを見つけることが出来たのは、60人つまり500人の12%でした。しかし、棒グラフの発見率と比べると、28%〜38%のこの差はどうしてでしょうか?

 

Stage5y_20190707170401これは、実は私が『前立腺針生検』を行わないで診断しているからです。針生検をすれば、前立腺に隠れているガン細胞(ラテント癌)が発見されるからです。エコー検査や触診で見つけることの出来ない前立腺がんは、ステージ❶と言う事になります。ステージ❶の前立腺がんの5年生存率と10年生存率は、ガンのなかった健康な人とまったく同じ生存率なのです。触診で判定可能なステージ❷、ステージ❸も5年生存率は健常人ろほぼ同じ生存率です。それでは、針生検をしてまで前立腺ガンを発見する必要があるのでしょうか?……ガンを発見したことで、ガン死のリスクよりも、ガンの恐怖で精神的に追い詰めることの方が、患者さんの人生のQOL(人生の充実度)低下のリスクの方がはるかに高いと思います。

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Tumor Dormancy Therapy 癌の休眠治療

Tumordormancybook癌の治療で手術ができない場合、あるいは不完全な手術の場合は、手術後に抗ガン剤などを使用した化学療法が一般的に行われています。

通常は体重当たり(◯◯mg/kg)、体表面積当たり(◯◯mg/m2)の投与量が決まっており、一般的にその通りに処方し治療します。検査などで確認できるガンの大きさが縮小して、主治医も患者さんも安心します。

しかし、それは一定期間に限られているのです。ある時期を境にガンの勢いが急に増して増加・増大し、最終的には患者さんはガンでお亡くなりになります。現実的にはあらゆる診療科でそのような症例がたくさん存在します。

素人的発想で思えば、ガン細胞を殺す抗がん剤で、何故に全滅出来ないのだろうと思いますよね?何故このような現象が起きるのかと言えば、抗ガン剤でガン細胞のすべてを消滅させることが出来ないからです。ガン細胞に抗がん剤の効果を確認する実験は、ガラス・シャーレで培養したガン細胞に薬液(抗がん剤)を注入し反応を観察するのです。実験のガラス・シャーレにガン細胞は2次元的に均一に広がっていますから、薬液は満遍なく注がれます。ところが、生体内のガンは3次元的立体的構造で存在します。表面に存在するガン細胞と、深部に存在するガン細胞とでは生きるための環境が異なります。毛細血管に接する表面のガン細胞は、当然ながら抗がん剤で容易に死滅しますが、毛細血管の届かない深部のガン細胞は生き残ります。生き残ったガン細胞は、死滅したガン細胞の情報を得て、抗ガン剤を勉強して抵抗力を工夫し、そして一気に増えるのです。

Tumordormancyppイラストは高橋豊著の「Tumor Dormancy therapy」という医学書に記載された、抗がん剤の治療での効果推移と生存期間を示したイメージグラフです。常識的・標準的な投与法・投与量でガンを治療すると、一時的には極端に収縮(50%以下)しますが、一定の期間が過ぎるとガン細胞が急に増え始め、抗がん剤も効かなくなり患者さんは亡くなるのです。しかし、抗がん剤の投与量と投与法を少なくすると、当然としてガン細胞の減少・収縮の効果はそれほど期待できませんが、不思議なことに生存期間は、延びるのです。そうです、延命効果が期待できるのです。このイラストを考案した研究者によると、抗がん剤の処方量が少ないと、免疫力の低下や体調の低下もわずかなので、ガンに対する抵抗力も維持できるので、標準治療に比べて延命効果が出ると言うのです。ガン細胞を抹殺するのではなく、抗がん剤を利用してガン細胞を休眠・冬眠させようとする考え方です。ある意味でガンと共存しようとも言えます。

しかし、この先生の考え方は、私は不十分だと思います。抗がん剤の副作用だけに注目しているからです。なぜかと言えば、ガン細胞は物でなく生命そのものです。例えば、細菌感染症の患者さんに、抗生剤や抗菌剤を長期間繰り返し繰り返し投与すると、抗生剤の効かないバイ菌が生まれるのです。いわゆる、薬剤抵抗性細菌と呼ばれます。バイ菌でさえ工夫して工夫して薬剤抵抗性の能力を確保するのに、高度の細胞である人間の細胞は、もっと能力が高いのに決まっていますよね?人間の細胞から変身したガン細胞にも同様の能力があるはずです。

前立腺ガンも他のガン細胞と同じです。標準的なホルモン治療を行うことで、50%以上の危険率で発生する「去勢抵抗性前立腺ガン」も、これまでお話ししたガン細胞の努力・工夫の結果と同じと考えます。以前にお話しした「去勢抵抗性前立腺ガンの対応」で解説したように、少量・微量の抗がん剤やホルモン剤で前立腺ガン細胞は確実に抑えることができるのです。

  【参考】去勢抵抗性前立腺ガンの対応 

 

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隠れた排尿困難で苦しむ前立腺ガンの患者さん

 静岡から70歳代の男性が前立腺ガンの相談に起こしになりました。PSA値が162(正常値4.0)にもなり、地元の基幹病院で骨シンチ検査を行ったら、左肩・左肋骨・骨盤・左大腿骨に前立腺ガンの骨転移が発見されたのです。

4月25日に前立腺針生検を行ったところ、14本中14本にガン細胞が発見されました。前立腺全体にガンが広がっていることを示しています。悪性度はグリソンスコアGS4+4=8の悪性度の高いガンだったのです。(GS5以下=軽度悪性、GS6・7=中等度悪性、GS8・9・10=極めて悪性)

ところが、患者さんは骨の痛みを訴えているのではなく、排尿困難と尿失禁、下腹部の痛みと陰部と下半身の浮腫み(むくみ)を訴えているのです。地元の主治医に症状を訴えても、「前立腺ガンだから仕方がない。早く前立腺ガうンの治療をしてください。」と言うだけで、症状に対する治療はしないのです。

Pcaretension37235m76pp悩んでいた時に、ある製薬会社の主催する前立腺の講演会が地元で行われていました。もちろん参加して視聴していた時に、隣の席の人と会話をしたのです。ご自分の今の悩みを少し口にしたら、その人が「騙されたと思って高橋クリニックに相談に行きなさい」と勧められたのです。たまたま当院に通院している患者さんだったのです(笑)。

早速、エコー検査を行い前立腺ガンを観察しました。先ずお腹を見たら…『!?……何だこれは!』お腹がパンパンでガッチガッチなのです。どう見ても「尿閉」です。そして陰部もむくんでいるのです。エコー検査で観ると、膀胱はパンパンです。そして、膀胱の粘膜が凸凹=肉柱(にくちゅう)形成が認められました(白い矢印)。これは明らかに排尿障害の後遺症の所見です。

2fae7c7c41074a9ea574a7cad162a238早速、カテーテルを使って導尿をしました。何と!1700㎖(写真)も取れたのです。患者さんはお腹がスッキリになりました。数ヶ月前に残尿が500㎖と言われましたが、「前立腺ガンだから」と言って主治医はそのまま放置したのです。そして体重も、この1ヶ月で5kgも増え、下半身もむくんだのです。その話しを必死に訴えても、無視されたのです。どう考えても、【前立腺肥大症→→→排尿障害→→→尿閉→→→閉塞性腎機能低下→→→浮腫み→→→体重増加】だったのです。

Pcaretension37235m762ppさらにエコー検査で前立腺を詳細に観察しました。前立腺の大きさは70cc(正常20cc)の一見前立腺肥大症ですが、前立腺の全体像が均一ではなく、外腺の左右に黒い部分(赤い矢印)が認められ、おそらく前立腺ガンの所見です。直腸触診で前立腺は全体的に硬く、左右のそれぞれ一部にさらに硬いシコリが触れました。おそらく、この2つの部分が前立腺の被膜を破り、前立腺の外に出て骨転移になったのでしょう。

この患者さんの現時点で一番辛いのは、前立腺肥大症による排尿障害です。前立腺ガンの治療も大切ですが、今、命に関わる病気は閉塞性腎機能障害に他ありません。ガンのことしか考えていない馬鹿な医師がいるのです。患者さんの状況を把握して、治療の優先順位を考えなければならないのです。もしかすると、4月ごろに行った前立腺の針生検がキッカケで、排尿障害が増悪して尿閉になったのかも知れません。取り敢えず先に、前立腺を小さくするプロスタールを処方して、排尿障害の治療薬であるユリーフを処方しました。

骨転移しているステージ④の前立腺ガンの治療は、針生検を実施した地元の基幹病院で行なってもらったら?とアドバイスしました。しかし、患者さんは当院での治療を希望されました。私の奇想天外の治療も同時に開始することになったのです。

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テレビCM

 

 

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テレビCMで包茎手術専門クリニックが頻繁に宣伝されています。タートルネックの若者が躍るのです。あれをご覧になって、どのように思われますか?素晴らしいと思われますか?

 どう見ても包茎に悩まれている人の劣等感を増加させているだけですよね?日本人の男性は、70%〜80%は包茎なのです。つまり包茎であることが日本人男性の正常なのです。それなのに、包茎である男性に劣等感を感じさせるとは、医師として情け無いのです。どう考えても、患者さんのためではなく、金儲けのためだけのコマーシャルです。

テレビのあれだけ沢山のコマーシャルは、かなり高額の金額(1千万円以上?)になりますよ。その経費をどこから集めると思いますか?どう考えても、手術した患者さんから頂くのです。雑誌やインターネットなどの手術金額は、7万円程の比較的お安いのです。しかし、実際に相談のため受診すると、「あ〜、あの金額は基本的な手術ですね。でも、基本的手術をすると、こうなります。」と言って醜くなった術後の写真を見せつけられるのです。

(注)基本的手術で仕上がりがひどいのは、手術テクニックが下手くそだということです。

「でも高度の難しい手術をすると、…」と言って『きれい』になった術後の写真を見せつけるのです。「ただし、この手術は基本的手術の』料金にプラウ10万円になります。さらに貴方は包皮が長くて厚いので、さらにプラス10万円です。」

(注)包茎の長さや厚みは、包茎手術テクニックには無関係です。もしも包茎の長さや厚みが手術に影響するのであれば、手術をする執刀医がよっぽど下手くそだということです。

22b3a86fd7314ea484f13187b4a24676「また、よく見ると、亀頭が小さいので、包茎手術をしても包皮がかぶってしまいます。それを避けるために亀頭を大きくする必要があります。亀頭にヒアルロン酸を注射すると大きくなります。ヒアルロン酸は1本10万円で、貴方の場合には3本必要ですから、プラス30万円です。総額57万円になります。」

(注)ヒアルロン酸の注射で亀頭が溶けたり腐って亀頭が取れてしまった患者さんを私は診ています。

「今日、貴方はラッキーですね。手術のとても上手い先生が、たまたまキャンセルが出たので、今日であれば直ぐに手術ができます。料金も特別割引きして、57万円ー10万円=47万円で手術しましょう!」

どうですか?こいつらは、どう考えても人を助ける使命を帯びた医師ではありませんね。騙されてはいけません。どうしても包茎手術をしたいのであれば、上◯◯クリニック、A◯◯クリニック、東京ノ◯◯クリニック、ヒル◯◯クリニックなとのテレビにも雑誌にもたくさんコマーシャルを出しているチェーンクリニックではなく、病気の治療している「普通」の泌尿器科の個人クリニックを受診してください。

 

 

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前立腺ガンを心配する患者さんに「ひと言」

PSA値が高く前立腺ガンを地元に医師に疑われ、当院に飛行機や新幹線を使って来院する患者さんがたくさんおられます。その患者さんの中で実際に前立腺ガンを確認できたのが、12%でした。2年間にPSA値が高い人が500人来院して、その内60人に、触診と超音波エコー検査で前立腺ガンを確認できました。440人には前立腺ガンは確認できませんでした。ただし、絶対にガンがないとは言い切れませんから、半年に一度、あるいは1年に一度のペースで定期検査に来ていただいています。前立腺ガンの倍加速度(細胞の数が2倍になるまでの期間)が、2年~30年とされていますから、年に1回の定期検査でも十分と思われます。

前立腺ガンの5年生存率や10年生存率をその他の癌と比較してみましょう。
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 【癌ステージ②:5年生存率、10年生存率 】

前立腺癌:99%(100%)、80.6%(100%)

食道がん:52.2%、27.5% 

胃 がん  :58.7%、43.4%

肝臓がん:32%、13.2%

肺 がん  :48.8%、22.9% 

膵臓がん:15.9%、7.4% 

大腸がん:81%、64.2%
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 【5年生存率は2008年~2010年。10年生存率は2002年~2005年のデータ】

ちなみに前立腺ガンの(100%)は、健常者の生存率と比較して全く同じ=100%と言うことです。

この表を見て、どう思われますか?他のガンと比較すると、前立腺ガンは断トツに良性ですよね?まして健常者の寿命とほぼ同じなのです。これから考えれば、前立腺ガンを積極的に治療する必要があるのだろうか?と思われます。

Kanngaeppところが一度PSA値が高く前立腺ガンを疑われたら、その後ズ~と『前立腺ガン(悲)、前立腺ガン(涙)、前立腺ガン(悩)』と悩まれる続ける患者さんが多くおられるのです。そこで私は患者さんに次のような事をお話しします。

「人間は思ったものにしかなれないのです。高層ビルを作りたいと思ったから、資金を集め設計し建築会社に依頼して建物が建てられるのです。例えば、私は医師になろうと思ったから医師になれたのであって、誰かが私に相談もなく医師にした訳ではありません。要するに、この世界はヒトが『思った事しか現実化』になれないのです。ですから、逆の悪い意味でガンの事ばかりを考えていると、現実化して癌ができてしまいますよ。ネガティブな事ばかり考えているとネガティブな現象が起き、ポジティブな事を考えていればポジティブな現象になりますよ。」

 

 

 

 

 

 

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カンジダ性皮膚炎の治療

カンジダ性皮膚炎には、カンジダ性膣炎やカンジダ性亀頭包皮炎があります。ご婦人の場合は、抗カンジダ菌の膣剤が使用されます。男性の場合には治療として、まずは誤診されてステロイド軟膏や抗生剤軟膏を処方されるのです。なかなか治らないので、初めてカンジダ性?と気が付かれるのです。

先ずは、抗真菌剤の塗布や患部を石鹸で洗わないようにしなければなりません。真菌は、ある意味で植物細胞なので根が張っています。ですから、石鹸で洗えば洗うほど敵対する細菌(動物細胞)は取れて、根の生えたカビだけが残るのです。

健康な人は、皮膚に存在する雑菌とカビであるカンジダ菌が互いに牽制し合って、お互いの増殖が抑えられています。

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男性で水分を多く摂取する人は、水の排出反応である炎症が起きやすくなります。特に性行為の後にご婦人の一部の常在菌であるカンジダ菌の感染でカンジダ性亀頭包皮炎になってしまいます。石鹸で洗えば洗うほど皮膚の雑菌は排除されますが、根を張り巡らしているカンジダ菌は残ります。結果、牽制相手である雑菌がいなくなり、カンジダ菌が逆に増殖します。人間はカビを殺菌することはできないので、免疫が頑張っても炎症が起こるだけでカビ=カンジダ菌が残るので、炎症がドンドンひどくなりカンジダ性亀頭包皮炎になるのです。

最近、新たな治療方法を業者さんの提案で思い付きました。「次亜水」という殺菌水が最近注目を浴びています。殺菌薬なのに強い酸性でもなくアルカリ性でもない、皮膚に適した弱酸性の薬液なのです。次亜水の濃度に応じて、雑菌、ノロウィルス、インフルエンザウィルス、カンジダ菌などの広範囲の病原菌を殺菌します。そして、生体には悪影響がないのです。

石鹸で患部を洗っても、その後で次亜水をスプレーすれば、残ったカンジダ菌が殺菌されます。なかなか良いでしょう?ただし、保険薬品ではないので、自費です。1ヵ月分の50㎖スプレー1本で1200円になります。

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PSA検査評価の誤解

前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSA検査によって多くの前立腺ガンの患者さんが発見されることは事実です。しかしながら、寿命に影響しないステージ1の患者さんまで発見されて、多くの患者さんがガンノイローゼになり精神的に落ち込んでいます。その後の人生が暗〜くなってしまうのです。

Psasys1前立腺は分泌組織で腺構造です。その腺構造の外側に前立腺細胞があります。前立腺細胞はPSAというタンパク分解酵素を生産して腺腔構造に貯めるのです。PSAは射精の時に精液に混じり、ドロドロの精液をサラサラにして妊娠し易くします。ところが、何らかの原因でPSAが腺腔構造から漏れ出る→血液に混じる→PSA検査で注目されることがあります。

その漏れ出る原因が、次の5項目が挙げられます。

Psasys2❶排尿機能障害:膀胱の出口が十分に開かないで排尿すると、腹圧が直接的に前立腺に負担となになります。

その結果、前立腺が絞られますからPSAが腺腔から漏れ出ます。病気としては、前立腺肥大症、膀胱頸部硬化症、神経因性膀胱などがあります。

Psasys6❷慢性炎症:排尿障害などで前立腺に物理的負担が排尿のたび毎にかかるので、当然として慢性的傷害性炎症が発生し、一部の前立腺細胞は死滅します。死滅細胞が欠落した跡に新たな細胞が補充されるまでの間に、そこからPSAが漏れてしまうのです。一般的に炎症だからと言って抗生剤を2週間ほど処方され、再度PSA検査行い、高いと前立腺ガンの疑いが強いと診断されます。しかし、たった2週間くらいで、欠損部に新たな細胞が補充されるでしょうか?……疑問です。

Psasys3❸先天性瘻孔:前立腺細胞の接合部が生れながら不完全で亀裂=瘻孔ができ、そこからPSAが漏れてしまうのです。

全ての人類がみんな完璧でみんな同じとは限りません。

PSA検査の観点からみれば、ある意味で先天性PSA値異常症です。

Psasys4❹針生検の後遺症:上記の三点が原因でPSA値が高くなり、前立腺ガンを疑われ針生検をされた患者さんがたくさんおられます。針生検後の経過観察で定期的にPSA検査が行われます。すると時間とともに次第にPSA値が高くなるのです。主治医は、また針生検をしましょうと強要するのです。ところが、針生検で前立腺の中に当然傷ができます。傷が必ずしもきれいに治るとは限りません。そこからPSAが漏れても不思議ではありません。さらに1回の針生検で10本〜16本も傷つけられるのですから、針生検の後では、必ずPSA値は次第に上昇するに決まっています。

Psasys5❺前立腺ガン:腺腔構造の壁の一部にガン細胞ができると、周囲の多数の腺細胞との接合が不完全ですから、そこからPSAが漏れてしまうのです。これだけが前立腺ガンのPSA値の上昇なのです。

以上のように、さまざまな原因でPSA値は高くなるのです。PSA値が高い場合は、前立腺の直腸触診とエコー検査で前立腺ガンを確認できなければ、寿命に影響しないステージ①あるいは上記の原因❶❷❸❹であると考えて、無闇に針生検をしてはいけないのです。そうすれば多くの犠牲者を出さなくて済みます。 逆に針生検をすることで、隠れていたラテント癌を傷つけ刺激して、最終的には悪性度の高い前立腺ガンを作るキッカケを医師が創ってしまうのです。神さまは人生のあらゆる所にトラップ・罠を仕掛けているのです。私たち医師は自分たちのために医療を行うのではなく、患者さんの人生をクオリティーの高いものにしてあげるべく、創意工夫努力しなければならないのです。

【備考】内容についてのご質問やご相談は、コメントもしくはお電話(03-3771-8000午前中のみ)でご連絡ください。

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膀胱三角部から見た二足歩行と四足歩行

Bladderposition_1 膀胱のセンサー部分である膀胱三角部は、イラストのように膀胱出口の真裏(お尻側)にあります。膀胱は内臓の中で一番下に位置していますから、イスに座る時や立って歩行している際には、内臓全ての重さを受けることになります。そして、圧力のかかっている膀胱の一番圧力がかかるのはイラストで分かるように膀胱三角部です。

ところが、横になって寝ると膀胱にかかる内臓の重さは、ほぼ無くなります。その一例が急性膀胱炎の患者さんは、昼間起きている際には頻尿や残尿感、尿意切迫感で苦しみますが、夜に寝ると頻尿が出なくるのは、過敏になつている膀胱三角部に内臓の重さがなくなるからです。

Bladderposition2さて、四つ足動物(四足歩行)は、イラストで示すように膀胱がその他の内臓と同じ平面上に位置しますから、膀胱には内臓の圧力がかかりません。ですから、四つ足動物で頻尿になることはほとんどないと言えます。ですから、頻尿や残尿感で苦しまれている方は、周囲の視線を無視して四つん這いになれば、多少の症状は軽減できます。

Bladderposition3夜間頻尿で苦しんでいる患者さんは、横になってていても頻尿症状が消えないのです。その理由は膀胱の内圧力に関係なく、膀胱三角部が興奮しているからです。何故かといえば、隠れた排尿機能障害で膀胱三角部が厚くなり平滑筋が常に興奮している場合と、前立腺肥大症の中葉肥大で膀胱三角部が下から圧迫されている場合に分けられます。

写真は中葉肥大型の前立腺の超音波エコー所見です。赤い線で記した膀胱三角部が前立腺に下から強く圧迫されています。当然、オシッコがたまっていなくても、頻尿や残尿感が出ます。

 

 

 

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ラジオ放送に出演

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6月1日の土曜日の午前10時半に、名古屋のCBCラジオから生放送のインビューを受けました。お相手の北野誠さんは、お笑い芸能人です。電話で直接お話ししました。事前に質問を受け取り、回答を送りました。すると、台本を送って頂きました。インタビューでの会話のやり取りは、台本通りにはいきませんでしたが、ほぼ6割ほどは話せたと思います。しかし私も緊張しましたから、恥ずかしながら多少どもってしまいました。さて、台本の内容は下記のようでした。

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【ズバリこの人に聞きたい!】

2019年 6月1日10時30分~(10分)

ゲスト:高橋クリニック院長 高橋知宏(たかはし・ともひろ)先生

    03-3771-8000

「ズバリこの人にききたい」コーナーTM・CI~BG(変更)

加藤:話題の本の著者や、話題の人に、インタビューするコーナーです。

   今日のテーマは、「排尿トラブル」です。

ゲストは、書籍「本当はこわい排尿障害」の著者で、日本泌尿器科学会専門医で、高橋クリニック院長の高橋知宏(ともひろ)先生です。

中高年のおよそ半数が、頻尿や尿漏れ、排尿時の痛み、残尿など、何らかの「排尿障害」を抱えているといわれます。

高橋先生は、「膀胱の出口が十分に開かない」ことに着目した治療により、全国から「シモの悩み」を抱えた患者が訪れています。

今週は、「排尿トラブル」をテーマに伺います。

     

北野:高橋知宏(たかはし・ともひろ)先生です。

電話がつながっています。

ゲスト:(あいさつ)

Q1:排尿障害、排尿トラブル、どんなものがある

*一般的に思われているのは、前立腺肥大症と神経因性膀胱です。しかし、これは排尿機能障害の結果の一部です。

  • 排尿機能障害はいろいろな病気を作ります。

慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、心因性頻尿、膀胱疼痛症などです。他に関連症状として、陰部搔痒症、舌痛症、慢性胃痛症、腰痛症、坐骨神経痛、多汗症、花粉症、過敏性腸症候群、自律神経症などがあります。

Q2:なぜ、排尿障害がおこる?

*発生学的に膀胱と直腸は一覧双生児です。ところが、膀胱出口は液体である尿を溜めなければなりません。結果、個体の大便を溜める直腸の出口=肛門に比較して尿漏れがないような構造=出にくい構造=排尿機能障害になりやすいのです。

また、四足歩行の両生類(3億6000万年前)から二足歩行の類人猿(2800万年前)までに完成した膀胱が、二足歩行になってからの膀胱からすれば期間は短く環境に適応していないのでしょう。

Q3:尿漏れの原因、どんな病気と関係ある?病気じゃない時は?

*腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、追っかけ漏れ、錯覚漏れの4つです。

どちらも排尿機能障害が原因です。

❶腹圧性尿失禁:排尿障害で腹圧を長年かけているので骨盤底筋の位置が下がったので、外尿道括約筋が緩むため

❷切迫性尿失禁:排尿障害で膀胱が過敏になり、尿意を我慢することができなくなり、結果的に条件反射で腹圧をかけ尿が漏れるのです。

❸追っかけ漏れ:排尿障害があると、尿道が反射的に拡張して排尿します。排尿が終わると尿道全体が収縮するのですが、排尿障害が続くと拡張したままになり、男性の場合、尿道の奥が振り切れないので、後から尿が漏れるのです。

❹錯覚漏れ:排尿障害のヒトは頻尿になるのですが、人によって脊髄神経回路の個性によって嘘の漏れ感覚を作るのです。

Q4:頻尿の原因、どんな病気と関係ある?

A:患者さんが自覚するしないに無関係に、排尿機能障害が原因で、膀胱三角部に負荷がかかり過敏になり、それが頻尿を作ります。

先ほど記載した、前立腺肥大症、神経因性膀胱、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、膀胱疼痛症などです。

Q5;排尿障害がかゆみの原因に?

A:男性の場合は、陰嚢掻痒症で皮膚炎と誤診されます。ご婦人の場合は、膣の痒みでカンジダ性膣炎と誤診されます。男女共通では肛門の痒みで肛門周囲炎と誤診されます。

診断された系列の治療で治り再発がなければ、診断が正しかったと考えて良いでしょう。しかし、なかなか治らないのであれば、それは誤診と考えます。

排尿障害が原因で膀胱三角部が興奮して脊髄神経回路を介して頻尿になるのが普通ですが、脊髄神経回路の個性によって頻尿にならずに、他の部位の痒み感覚になるのです。

Q6:排尿障害の予防、対策は?

A:もともと人間は発生学的および解剖学的に考えて、排尿機能障害の素因があります。昭和10年(1935年)ごろの平均寿命は50歳に満たなかったので、排尿機能障害の症状は顕在化しませんでした。ところが現在では、平均寿命が80歳を越えて90歳近くにまで延びています。その結果、排尿機能障害の症状が顕在化したのです。

  • 予防

排尿の際には、腹圧をかけ息んでオシッコをしないでください。それをやると、膀胱出口に負荷がかかり、膀胱出口がマッチョになり、さらに排尿機能障害が強くなるのです。

  • 対策

無知な医師が「血液をサラサラにするために水分をたくさん飲みなさい、出来れば2リットル以上飲みなさい」とテレビで放映してから、多くの人々が水分を多く摂取するようになりました。そのため膀胱に増々負荷がかかり症状が顕在化したのです。水分摂取は出来れば1日1リットル程度に制限してください。ちなみに水分を多く摂ろうが撮るまいが、血液は体内の内部環境ですから「常にサラサラ」です。

 

「本当はこわい排尿障害」 集英社新書800円+税

北野:高橋先生ありがとうございました。「ズバリこの人に聞きたい」でした。

 

 

 

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前立腺肥大症の割合とラテント癌

Bphglaf現在の日本人は、80歳までに80%の人が前立腺肥大症になると言われています。

このグラフは、An Atlas of PROSTATIC DISEASEというイギリスの専門書に掲載されているグラフを改変したものです。赤い折れ線グラフは亡くなられた人の解剖の結果で、前立腺肥大症の割合を表しています。年齢数字の下に記載されている(数字)は剖検数・解剖数です。緑の折れ線グラフは別の統計結果で、臨床的に前立腺肥大症(症候性前立腺肥大症)の割合を表しています。解剖学的にも臨床的なにも割合はほぼ同じです。

これらグラフはイギリスのデータですが、日本人でもほぼ同じとされています。では何故?こんなに日本人男性も前立腺肥大症が増えてくるのでしょうか?私が研修医の頃は、80歳までに前立腺肥大症になるのは、20%くらい、つまり5人に1人でした。ほとんどの人は前立腺が萎縮していました。今の泌尿器科医師は過去に比べて、前立腺肥大症だけに関して言えば、需要が4倍も増したことになります。

その理由は2つあると思われます。

1つは平均寿命が延びたという事です。40年前は今の20%でしたから、80%の人は前立腺肥大症ではなかったと言う事を考えれば、前立腺肥大症になる人は短命だと考えられます。

2つ目は、栄養状態が良くなったのが、前立腺肥大症の増殖を刺激しているのでしょう。つまり栄養状態良好が短命な前立腺肥大症の患者さんの延命効果があるとも言えます。

Bphpcaこのグラフは、前立腺肥大症の年齢別の発生割合と、前立腺ラテント癌の年齢別の発生割合を比較したグラフです。後輩に和田鉄郎先生の研究結果です。前立腺肥大症の割合が増えると、同調するようにラテント癌も増えています。前立腺肥大症と前立腺ガンは無関係と思われますが、何故、このようにガンが増えるのでしょうか?それには理由があります。

Bphstage前立腺の外腺は、胎児の初期の男性ホルモン上昇で始めて生まれます。出生直後に再び男性ホルモンが上昇して前立腺の内腺が生まれるのです。子供が成長して思春期に入ると、男性ホルモンが長期間高くなるので、前立腺が完成します。そして更年期前後から男性ホルモンが確実に低下していきます。その時期くらいから、前立腺肥大症の患者さんが増えます。

前立腺の外腺から見ると、次の環境です。

🔲ホルモンレベルでは、男性ホルモンの上昇が3回、明確な下降が1回の計4回です。(①〜④)

🔲物理的刺激は、⑤出産直後に内腺ができ、初めて外腺が圧迫されます。⑥思春期になり内腺が成長して外腺はさらに圧迫されます。⑦そして更年期前後から内腺が前立腺肥大症になり、さらに外腺は強烈に圧迫されるのです。

Bphstage2結果、外腺は生まれてから7回(ホルモン刺激4回+物理的刺激3回)も受け続けるのです。内蔵でこれほど刺激を受ける臓器があるでしょうか?結局、前立腺外腺からガン細胞が生まれるのです。

ただこの時点では、沈黙した悪性度の低いラテント癌ですが、では何故に死に至るような前立腺ガンになるのでしょうか?その理由は、排尿機能障害による前立腺に対する物理的負荷が、PSA値を高めてしまうため、ワンパターン思考の医師によって前立腺針生検をされ、8回目の強烈な刺激を受ける結果😱、死に至る悪性度の高い前立腺ガンに変身☠️させているのです。

 

 

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日米の前立腺ガンの比較

7498e69a9cc3438a95b2ad9c3efd6300日米の前立腺ガンの発生率(10万人当たり)年齢別の比較したグラフがこれです。こんなに格差のある前立腺ガンの多いアメリカでは、PSA検査を行うのを条件付きの制限を加えています。

何故、アメリカではPSA検査を日本のように自由にしなかったのか?実は、PSA検査はアメリカで考案・普及した検査です。PSA検査の考案者は、転移した前立腺ガンの状況を把握・確認するための検査として開発したのでした。ところが、『PSA検査で前立腺ガンを早期発見ができるかも知れない?』と考えた医師や企業が、PSA検査・検診を普及させたのです。

その結果、寿命に影響のない、治療の必要のないラテント癌を発見し、「そうら!ヤッパリ前立腺ガンですね!」と言って積極的な治療(前立腺全摘手術、放射線治療)、あるいは保存的治療を行いますが、患者さんは『癌だ!ガンだ!がんだ〜!』と常に神経症にさせてしまい、その後の人生のクオリティーが下げてしまうのです。

では何故、アメリカで開発したPSA検査が、アメリカで普及し、日本の3倍以上の人口のアメリカで、日本の7倍以上の前立腺ガン(3✖️7=21、実質的に日本の21倍以上)を発見したにも関わらず、アメリカではPSA検査を制限したのでしょう?その理由は政府の要請で、寿命に影響しない前立腺ガンを必要以上に発見し、治療することで患者さんの精神的・肉体的後遺症を作るので、患者さんにとっては統計的には不利益であると評価されたからです。

PSA検査を輸入した日本では、アメリカでの経過を無視して、日本独自の統計結果を優先して、「PSA検査!PSA検査!針生検!針生検!ガンだ!ガンだ!」と固執するのです。統計は研究者の意思により統計結果は容易に変えることができます。日本の泌尿器科学会が根拠にするヨーロッパの前立腺ガンPSA検診鯛規模調査ERSPC文献をよく読むと、結果は反対にも解釈できる中途半端な文献でした。

日本がPSA検査・PSA検診に固執するには、それなりの理由があるのです。アメリカでは前立腺ガンを除いても、泌尿器科の病気がはるかに多いのでPSA検査で前立腺ガンを発見しなくても、泌尿器科学会の収入ははるかに多いのです。ですから、アメリカ政府のPSA検査の評価に対して、簡単に受け入れたのでしょう。またアメリカは自由診療で治療の単価も高額なのです。例えば、盲腸の虫垂炎手術治療は一泊二日で100万円を超えます。でも日本では健康保険制度が確立し、また政府の決めた治療費の単価も安いのです。そして人種の違いにより泌尿器科疾患がアメリカに比べてはるかに少ないのです。せっかくPSA検査で泌尿器科がやっと注目を浴び、また健康診断や人間ドックの結果で泌尿器科に紹介される患者さんは今まではほとんどなかったのに、PSA検査のお陰で人気の診療科目になったのですから、それを泌尿器科学会が拒否するとは到底思えません。

 

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前立腺がんと大豆イソフラボン

米国がん学会で2005年(平成15年)に発表があった文献の内容をここでご紹介します。

Pcainvitroハーバード大学医学部とイソフラボンの会社(ニチモウ・バイオテックス(株))の共同研究の報告です。乳がん細胞と前立腺がん細胞を利用したイン・ビトロ(in vitro試験管・培養器)実験です。

乳がん細胞と前立腺がん細胞をそれぞれ培養器に入れ増殖させます。2つのグループに分け、そのまま増殖させるグループと、イソフラボンを注入したグループに分けるのです。そしてがん細胞の増殖の経過を観察したのです。

初めのグラフは、前立腺がん細胞の増殖率の比較です。通常に培養したコントロール群の増殖率を100%とすると、イソフラボン(Agly Max)群の増殖率は32.2%です。その差は何と67.8%にも及ぶのです。イソフラボンの培養液で育った前立腺がん細胞の増殖率は、通常のがん細胞の増殖率の3分の1になるのです。生体内でも同じ条件だとすれば、前立腺がんになってしまった患者さんがイソフラボン(Agly Max)を服用すれば、服用しない患者さんと比較して3倍長生きできることになります。乳がん細胞の場合も前立腺がん細胞とほぼ同じで、その差が63.9%でした。

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次に、前立腺がん細胞の培養中のアポトーシス(細胞の死滅)を比較すると、イソフラボンで培養した前立腺がん細胞のアポトーシス(細胞の死滅)率は20.7%でした。つまり培養したがん細胞の5分の1が死滅したのです。乳がん細胞のアポトーシス死滅率は16.5%でした。

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この実験のキッカケは、乳がんと前立腺がんの罹患率を比べると、アジア人の発症率が西洋人に比べてはるかに少ない事実からです。 その理由は何か?と考えた時に食習慣、特に大豆食品の摂取量に可能性を指摘されたのです。そして、大豆の摂取量が多いほど、これらのガンの発生率が低いのでした。当然、大豆の何らかの成分が、これらのガンの発生率を抑えていると考えられたのです。大豆と言えば、イソフラボンです。

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上のグラフは乳がんで下のグラフは前立腺がんの日米比較のグラフです。この両方のグラフを見ると、日本と比較してアメリカでは、断トツにそれぞれの癌の発症率は高いのです。

これから分かるように、納豆・味噌汁などの大豆食品の摂取している日本人の方が、はるかにガンの発生率は少ないのです。しかし、最近の日本人の食習慣も変わり、毎日納豆を食べ味噌汁を飲む人は少なくなってきています。それから考えると、徐々に乳がんも前立腺がんも次第に増加してくるでしょう。

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これらのサプリメントを服用すれば、抗がん剤を服用しなくても、ガンの成長や勢いや増大をある程度抑える可能性があると考えられます。神経質でガン神経症の人にはオススメです。このページでご紹介した大豆イソフラボンは、ニチモウ・バイオテックス(株)のアグリマックスというサプリメントです。乳がんや前立腺がんの患者さんやこれらの病気の疑いをかけられている人は、このサプリメントをオススメします。ご希望の方は、右のパンフレットをお読みください。

http://draglymax.jp/

クリニックID 5045900

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原因不明の痛み症候群

泌尿器科の病気で、原因不明のために、患者さんが苦しむ病気がいくつもあります。痛み症候群(私の造語)として解説致します。

❶膀胱疼痛症

❷前立腺痛症

❸うっ血性慢性骨盤疼痛症候群

❹陰部疼痛症

❺間質性膀胱炎

❻慢性前立腺炎

今、パッと思いつく病気は上記の通りです。どの病気も、原因が明確に確定されず原因治療ができないので、どんな痛み止め(鎮痛剤)を処方しても、当然のように治りません。

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開業医ななって30年間に、痛みで苦しんでいた上記の患者さんをたくさん拝見しました。私のブログでもいくつも症例をご紹介しました。その患者さんの多くに排尿機能障害が認められました。しかし、多くの患者さん自身が排尿機能障害を自覚してはいないのです。私の造語、いわゆる「隠れ排尿障害」です。

具体的な症例として下記のブログをご覧ください。

①痛みでアメリカから来院したご婦人 http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2018/06/post-9fc5.html

②痛みで徳島から来院した男性 http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2019/04/post-6fa87c.html 

③痛みで苦しむ娘さんをお連れになったお父さん http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/kobore/2018/08/post-3fd3.html 

④1日3回の激痛が大学病院で治らず来院したご婦人(学会報告の症例1) http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2008/04/2008_4cfc.html

医師は患者さんが訴えなければ、排尿機能障害を調べようとも治療しようとも考えないのです。患者さんの訴える自覚症状だけに注目・固執して治療するので、患者さんは当然治りません。

患者さんが自覚しない程度の排尿機能障害は、検査・治療の「必要なし・問題なし」と医師が勝手に判断してしまうのです。しかし、排尿機能障害の負担を評価するのは、患者さんの意思ではなく、患者さんの「体自身」なのです。患者さんが自覚しない病変を医師が「問題なし」と判断すること自体が「問題」なのです。

例えば失恋しても、次々に恋愛を繰り返す人もいれば、たった一回の失恋で自殺する人もいます。病気の状況を診断基準だけで単純にに判断してはいけないのです。病気の状況を判断するのは、体なのです。医師の常識が誤診や原因不明を生むのです。患者さんが自覚していない=病気の原因ではない、と思い込んでいる医師の誤解が、痛み病気症候群を治せないでいるのです。病気の程度が問題ではなく、それに反応する脊髄神経回路=ソフトウェアの個性の問題なのです。

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目の前の患者さんは単純な生命体=単細胞生物=例えばミドリムシではありません。超複雑な精密ロボットだと思って診察しなければならないのです。目の前の表面的な症状だけに惑わされずに、裏の隠れた症状も推理しなければなりません。

 

 

 

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痛みで苦しむ徳島の患者さん

私の著書を読み、徳島県から男性患者さんが娘さんと二人で来院されました。陰部と会陰部の強い痛みと肛門の痛みで苦しんでいた患者さんです。

平成30年11月に血尿認められ、地元の内科医で膀胱炎と診断され抗生剤を処方されました。その後、陰部・会陰部の痛みが出てきて、次第に強くなり、12月には救急車で搬送されました。救急病院で精密検査を行いましたが、「異常なし」でした。

その後、地元の市民病院で痛みの原因を調べたところ、超音波エコー検査で膀胱腫瘍(癌)の初期が偶然にも発見され、平成31年1月に手術(経尿道的膀胱腫瘍切除)を行いました。

Pain37115m72ところが、膀胱腫瘍を治療したにもかかわらず、問題の痛みが治りません。主治医に相談しても「分かりません」「貴方の気のせいです」「慢性前立腺炎でしょう?」と冷たく対応されてしまいました。この悩み解決のために、内科、肛門科、泌尿器科合わせて10軒以上も診察・検査したが、痛みの原因は分りませんでした。

たまたま友人に紹介された私の著書を書店で取り寄せ、本の内容と自分の病状が一致したことに驚き、3回も読んでしましました。そして当院に来院されました。

Pain37115m72pp早速、超音波エコー検査を行いました。パット見て分かりにくい所見です。膀胱出口に白く硬化像が確認できます。

一番気になる所見が、膀胱縦走筋と前立腺結石の区別がつきにくい所です。一つの塊に見えます。当然、排尿機能障害の結果です。また、膀胱括約筋も白く肥大しています。これもまた排尿機能障害の結果です。当然、膀胱三角部が肥大・変形しますから、膀胱三角部が過敏になり、この患者さんの苦しみである原因不明の痛みになったのです。

排尿障害治療薬と頻尿治療薬で治療を開始しました。1ヶ月後に症状が軽快したかどうか、連絡を楽しみです。

【備考」

この患者さんが来院したのが4月23日(火)でした。4月25日(木)に電話があり、痛みが50%になったという喜びの電話でした。何と!クスリを服用して3日目には症状が改善したのでした!

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新書の出版後、80代の患者さんがたくさん

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1月に新書が出版されてから、全国から80歳過ぎの平均年齢を超えた高齢者がたくさんお越しになっています。

 

今週の4月15日〜20日の6日間だけでも、表のように80歳代の新患の患者さんが4人もおいでになりました。

川崎から81歳の方は頻尿が治らず、地元の泌尿器科を受診しても異常なしと診断されていました。エコー検査で確認すると膀胱頸部硬化症でした。所が頻尿とは無関係に前立腺ガンを発見しました。偶然でラッキーでした。

逆にPSAが高いことで杉並区から来院された82歳の患者さんは、膀胱頸部硬化症が原因の排尿障害でPSAが高いだけでした。

青森から来院された80歳の方も頻尿で、やはり膀胱頸部硬化症でした。

ポイントは、頻尿、PSA値の高値、膀胱頸部硬化症、前立腺ガンであり、この4つの組合せのいろいろな症例でした。ワンパターンで患者さんを診察してはダメなのです。

 

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本当はこわい排尿障害

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ついに2019年1月17日から私の書いた新書「本当はこわい排尿障害」が販売になりました。

私の治療で軽快した患者さんが実は作家で「先生のユニークな考え方をもっと公開すべきだ」と言って出版社を紹介し、トントン拍子に出版されることになりました。
ご覧のようにクリニックの受付けカウンターに置いています…さてさて売れるでしょうか?たくさんの人に読まれることで、多くの悩まれる患者さんが救われる筈です。
Amazonでもご購入できます。

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膀胱・直腸の違いで分かる病気の本質

膀胱と直腸は、元々は同じ臓器だったのです。
以前にも、膀胱の発生学的構造について解説しました。そこでおさらいです。

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まずは、胎児の4週の時点で、膀胱の基礎が出来上がります。それが、「総排泄腔」です。その形はとてもシンプルです。総排泄腔の前に「へその緒」が繋がっています。総排泄腔の前後の真ん中辺りにクビレが生じます。これを「尿直腸中隔」と呼びます。イラストでは「中隔」と示しています。
胎児の6週に成ると中隔というクビレがドンドン深くなっていきます。深くなるに連れ、総排泄腔の前は膀胱に、背後は直腸になろうと変形します。つまり、膀胱と直腸は、発生の途中では同じ臓器だったのです。ですから、出産後に成長して成人になれば、別の臓器と思われますが、神経的には脊髄神経で繋がっている方もおられます。その証拠に、膀胱炎になると便意を催すヒトもいれば、下痢すると頻尿になるヒトも存在します。
胎児の7週に成ると、尿直腸中隔は完成して膀胱と直腸は完全に分離独立します。膀胱の末端は、体壁皮膚の外側まで通過して「尿道」になります。胎児の11週には男性の場合は、この尿道から芽が出て、それが「前立腺」になります。背後の直腸は、大腸(S字結腸)の末端と接続して、大腸は直腸まで連続します。

ここまで見ると、膀胱も直腸も、ほぼほぼ同じ臓器です。何が違うかと言うと、膀胱は腎臓・尿管と繋がり尿を溜め排泄し、直腸は消化器官末端の大腸と繋がって大便の通り道です。尿管の粘膜細胞である移行上皮が膀胱の粘膜として広がり、大腸の粘膜細胞の円柱上皮が広がり直腸の粘膜になるのです。最初は同じ臓器なのに、粘膜細胞は異なるのです。
さて、ここで疑問が生じます。オシッコが出なくなる「神経因性膀胱」の原因は、膀胱の力が無くなったから尿が出なくなると言われています。しかし、直腸の力が無くなったから大便が出なくなる病気は存在しません。もともと直腸には、そのような力がある構造でもなく、大便の塊を腹圧をかけて押し出す際に、便意を感じてチョコっと力を補助するだけです。直腸の筋肉はただ単に蠕動(ぜんどう)運動するだけです。膀胱もほぼ同じで、尿を溜める時に膨らみ、尿を出す時に一滴も残らず閉じるだけの力があればよく、肝心の排出力は腹圧をかけて尿が出るだけです。ではどうして、「神経因性膀胱」という病気で尿が出なくなるのでしょうか。それは、生まれは同じ双子の臓器ですが、膀胱出口の構造が直腸の出口よりもシンプルではないからです。

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ここで、先ず直腸の出口=肛門の仕組みを見てみましょう。内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が隣り合わせで接しています。排便の際には、外〇〇括約筋が開きますが、内〇〇括約筋は軽く収縮します。なぜなら、直腸の縦走筋と協力して、直腸を漏斗状に姿を変えて大便が出やすくするのです。ここで容易に分かることは、内〇〇括約筋が頑張っても骨格筋である外〇〇括約筋には負けてしまうので肛門は容易に開くのです。

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直腸と比較すると、膀胱の出口は少し複雑です。
内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が上下に位置しているのです。
排泄物が液体の膀胱の場合は、直腸と同じに隣接していると、尿が漏れ出てしまうからです。しかし、排尿時は、直腸と同じ動きをします。外〇〇括約筋が開こうとすると、内〇〇括約筋が収縮して同時に膀胱縦走筋が収縮します。その相互作用で膀胱の頸部は漏斗状に姿を変えて排尿しやすくなります。
ところが、直腸と違い、内と外〇〇括約筋が上下に位置していて、外〇〇括約筋の力が内〇〇括約筋に十分な伝わりません。そのため、微妙なバランスで内〇〇括約筋が開くことになります。もしも、このバランスが乱れれば、内〇〇括約筋は十分に開かず、排尿障害になるのです。

つまり、直腸は内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が並行に位置し、膀胱は内〇〇括約筋と外〇〇括約筋が縦に位置しているのです。力の強さは、骨格筋・随意筋である外〇〇括約筋の方が、内臓筋・不随意筋である内〇〇括約筋よりもはるかに強いのです。ですから、並行に並んでいる直腸の場合は、内〇〇括約筋は外〇〇括約筋の言いなりです。そのため、外〇〇括約筋が開くと内〇〇括約筋が容易に開いてしまうのです。しかし、ある程度の距離を置いて縦に並んだ膀胱の場合は、内〇〇括約筋が自己主張するので、外〇〇括約筋の言いなりにならないのです。その程度は、歳を重ねるごとに強くなり、また男性の場合は前立腺が大きくなるほどに強くなるのです。

便秘などの大便の出が悪いのは、大便の固さに問題があるのです。しかし尿は液体ですから、出の悪さは膀胱出口の開閉だけに依存しています。内尿道括約筋(膀胱括約筋)と外尿道括約筋の連携プレイが問題になるのです。神経因性膀胱は膀胱全体の筋肉の力がないからと言うのは「嘘」です。『治らないんだ😞』と詐欺被害者になってしまいます。騙されてガッカリしないでください。ですから、神経因性膀胱などの治療には、内尿道括約筋を緩める薬や手術で内尿道括約筋をカットしてあげればいいのです。

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医療サイトの投稿原稿#12 「痛みで悩むご婦人」

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アメリカ在住の30代のご婦人が、2017年の9月から、夜間に突然、陰部がとても痛くて目が覚めました。陰部全体の痛みと尿道が引っ張られるような痛みです。これ以降、毎晩起こる痛みのため不眠症になってしまいました。
地元アメリカで、泌尿器科・婦人科などいろいろな医師を受診し、治療を受けましたが治りません。何回も通院すると、医師に見放されたような態度を取られてしまいました。患者さんは、そのような状況になってもくじけないで、インターネットで情報をいろいろ収集しました。その中で、私の書いているブログ記事をたまたま発見したのです。
地元のアメリカでは、私の推薦するクスリを調達できなかったので、日本にいる家族に連絡して、α-ブロッカーのエブランチルを送ってもらい服用してみました。すると、今まで自覚していなかったオシッコの出が良くなったのです。痛みには、それほど効き目がありませんでしたが、私の理論が正しいことを実感したのでした。

その後、日本に帰郷して、関東近県の地元の内科の先生に、無理にお願いして、お祖父さんにフリバスを処方して頂き、それを服用を始めました。すると、どうでしょう!あれほど苦しんでいた痛みが無くなり、夜グッスリと眠れるようになったのです。地元の内科の先生も、その話しを聞いて驚いたそうです。
日本滞在中に私の診療所へ受診しようと、2018年6月末に来院されました。
早速、エコー検査をすると、写真のように膀胱縦走筋(膀胱排尿筋)の走行が、膀胱出口に向いていません。当然、膀胱三角部が厚くなっています。厚さが約7mmです。正常は2mmです。厚さ2mmで排尿回数5回が正常だとすると、7mmだと、オシッコの回数は15回〜18回のはずです(私の自論展開)。しかし、この患者さんの排尿回数は、1日たったの4回でした。
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膀胱三角部で作られた頻尿のエネルギーがまったく表現されていません。これは、患者さんの脊髄神経回路の特性によるものです。しかし、脊髄に送られた情報(エネルギー)をそのまま貯めておくことはできません。そこで、脊髄が新たな神経回路を形成したのです。それが「痛み」症状なのです。
フリバスは、前立腺肥大症の治療薬でお馴染み、排尿障害治療薬のα1-ブロッカーです。もちろん保険適応外ですが、膀胱出口の緊張をゆるめ、男女関係なく排尿障害の治療に役立ちます。また、α-レセプターは、膀胱出口ばかりでなく膀胱三角部にもありますから、膀胱三角部の興奮もフリバスで抑えられたのでしょう。また、排尿障害のため振動して硬くなった膀胱出口も、膀胱三角部と同じくセンサーが形成されるので、膀胱出口の情報も脊髄を介して痛み症状になったのです。
このような症例に遭遇した場合、一般的には①頻尿症状がなければ、陰部疼痛症・うっ血性骨盤疼痛症候群、②頻尿症状があれば、過活動膀胱・間質性膀胱炎・膀胱疼痛症候群、③子宮筋腫があれば、子宮筋腫の関連痛、④他に症状がなければ、陰部神経症と診断されるのが「落ち」でしょう。病気の症状発現のためには、「ブラック・ボックス」である脊髄神経回路が介入していることを医師は肝に銘じるべきです。
また、この患者さんはフリバスで痛みが消失しましたが、不十分な場合、炎症による痛みではありませんから、通常の痛み止め(ロキソニンなど)は無効です。脊髄中枢の「痛み回路」抑制効果のある、リリカ・トラムセットが有効です。

フリバスは地元の内科の先生に継続して処方いただき、さらに膀胱三角部を的確に抑えるベタニスを追加で処方しました。

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医療サイトの投稿原稿 「神経因性膀胱が治らないと言う誤解」

 膀胱の収縮力低下の結果、オシッコが出なくなる病気を「神経因性膀胱」と呼びます。
一般的に泌尿器科の医師は、男性で前立腺が大きくなく残尿量が多ければ、神経因性膀胱と診断します。また、女性の場合でも残尿量が多ければ、やはり神経因性膀胱と診断します。その理由は、排尿障害の明確な原因がなく、単純に膀胱の収縮力が低下しているからだとされます。そして、脊髄神経や脳の精密検査を行い、脳梗塞の後遺症だ、椎間板ヘルニアの影響だ、二分脊椎だ、馬尾神経障害だ、過去の骨盤内手術の後遺症だなどを理由に、「治りません」と結論づけるのです。
治療手段は、「生涯に渡って膀胱カテーテル留置か、毎日何回もの自己導尿しかありませんね。」と告げるのです。ここには、病気を治そうと努力する医師の姿が一かけらも見えません。
Nbsystem
このイラストは、排尿の際の膀胱周囲の物理的力を表現しています。
① 自分の意志で尿道括約筋が開く
② 呼応して自動的に自律神経で膀胱括約筋が開く
③ 蓄尿の重量(重力)
④ 膀胱が収縮する
⑤ 臓器の総重量(重力)がかかる。
⑥ 腹筋・腹圧がかかる
以上の6つの要素で排尿します。
この中で、物理的力が一番強いのが腹筋・腹圧です。2番目が各臓器の総重量、3番目が膀胱収縮力です。その3番目の強さの膀胱収縮力が無くなったからと言って、オシッコが出なくなるでしょうか?どう考えても、他に原因があるとしか思えてなりません。
Nbexp
ここで、簡単にできる実験をお示しします。
点滴のビニール・バック溶液に着色し、点滴を全開にします。5分後、中身は空っぽになります。当たり前の光景です。点滴バックに外から圧力は掛かっていません。点滴を全開にしたので、溶液の重量(重力)で空っぽになっただけです。これから考えれば、膀胱の収縮力が欠如しても、膀胱出口が十分に開いていれば、オシッコは完全に出るはずです。まして腹筋・腹圧、臓器の重さ、畜尿の重さの三つの力が働くのですから、オシッコが出ない訳がありません。結局、オシッコが出ない神経因性膀胱の原因は、膀胱出口が十分に開かないためです。尿道括約筋は、骨格筋・横紋筋で自分の意志で開きます。しかし、膀胱括約筋は内臓筋・平滑筋の自律神経支配で自分の意志では開くことが出来ません。あくまでも尿道括約筋と連動してオートマティックに膀胱括約筋が開くのです。神経因性膀胱の患者さんは、このオートマティックが故障していると考えられます。その原因として、膀胱出口が硬くなってしまった膀胱頚部硬化症や前立腺肥大症が考えられます。
膀胱出口を開くための自律神経支配のオートマティックを直すことは出来ませんが、膀胱出口を緩めたり開くことは可能です。
① 保存的にはαブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフなど)を利用して膀胱出口の緊張を緩める。
② 前立腺肥大症の硬さを柔らかくするために抗男性ホルモン剤(アボルブ・プロスタール)を投与する。
③ 保存的治療で改善が得られなければ、外科的治療・経尿道的内視鏡手術を行い、膀胱出口を円錐状・漏斗状に開放する。膀胱括約筋と尿道括約筋は、男性で3㎝~4㎝、女性で2㎝の距離があるので、術後の尿失禁の心配はない。
神経因性膀胱を専門とする医師は、膀胱内圧測定や筋電図などを駆使して、神経因性膀胱を次のように分類します。
1弛緩性膀胱、2無抑制膀胱、3過活動性膀胱、4排尿筋括約筋協調不全
これらの分類は、ダメになり疲弊した膀胱の現状を分類しているだけで、患者さんの悩みや苦しみに対して何の解決にもなりません。
貯水タンクから水の流出がなければ、タンクの排水口が何かで詰まったと考え、排水口を点検・清掃して修理するでしょう。貯水タンクに収縮力がないから流出しないとは思いませんね。それと同じで、自己導尿して尿の排出できるのに膀胱収縮力がないからと診断するのは見当違いです。

【医療関係読者からの感想】

また、以下には高橋先生の記事の感想をいただきましたので、一部を記載させていただきます。
記事は全体の89.8%の方が満足していると回答しており、


・眼前の患者に診断をつけたら終わりではなく、病態生理を突き詰めてどうしたらその症状を改善できるかという、医療の根本姿勢を考えさせられるお話でした。
・明日からの外来で、患者への説明と頻尿への治療に役立てたいと思います。ありがとうございました。
・以前からブログを拝見し勉強させていただいてます。
・ぜひ継続してください もっと勉強したいです
・他科の医師としてとても勉強になりました。
・専門外ですが患者さんから相談されることがありますので、大変参考になりました。
・神経因性膀胱の診断でも膀胱出口が硬くなってしまった膀胱頚部硬化症や前立腺肥大症があることに今まで気づいておらず中々薬の効果が出ない人がいると思っておりました。とても参考になりました。

などのお声をいただいております。
今後の執筆のモチベーションにしていただけますと幸いです。

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慢性前立腺炎と慢性膀胱炎の見方

Lutsimg
この記事は、泌尿器科の専門医に読んで頂きたいですね。

慢性前立腺炎の症状は、下部尿路症LUTS (Lower Urinary Tract Syndrome)の一部です。他には、前立腺肥大症、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症などです。

これら下部尿路症の症状の中心にあるのが、膀胱の症状です。頻尿、残尿感、痛み、下部尿路周辺の痛み・痒み・シビレ・不快感です。この症状の組合せによって、病気が決まると考えます。例えば、
①前立腺肥大症は、尿の出が悪くて、頻尿や夜間頻尿があって、前立腺が大きい場合です。
②慢性前立腺炎は頻尿・痛みがあって、前立腺が小さく年齢も比較的若い場合です。
③慢性膀胱炎は頻尿・残尿感があって、年に何回も症状が起きて、尿検査で白血球や常在菌が発見される場合です。
④過活動膀胱は頻尿・尿意切迫感があって、検査に異常がない場合です。
⑤間質性膀胱炎は頻尿・痛みがあって、膀胱粘膜に異常所見が認められた膀胱です。
⑥膀胱疼痛症は痛みが主で、ハッキリした原因かない膀胱です。

どうですか?このように並べて比較すると、症状は、ほぼほぼ同じで、チョッとした検査結果の違いにしか見えませんね?症状の作成の元は膀胱ですが、原因の違いによって症状の違いが出るのではなく、膀胱を神経支配している仙骨神経の仙髄2番〜仙髄4番レベル(人によっては腰髄4番〜仙髄5番)の神経回路が作る違いです。
Blackbox
症状の多様性は、膀胱と排尿障害の程度と脊髄神経回路との組合わせの結果です。それが、病気の多様性を作るのです。排尿障害が強くて前立腺が大きいと前立腺肥大症、前立腺が大きくないと神経因性膀胱、前立腺のないご婦人も神経因性膀胱と診断されます。排尿障害はそれ程でもなく前立腺が小さいと慢性前立腺炎、前立腺のないご婦人の場合は過活動膀胱、頻尿と痛みで間質性膀胱炎、痛みだけだと膀胱疼痛症と診断されます。

慢性前立腺炎の患者さんは、医師が「炎症」と言う固定観念に縛られて、ひたすら炎症を抑えるクスリ、抗生剤・抗菌剤・セルニルトン・エビプロスタットを処方するのです。しかし、慢性前立腺炎の本質は排尿障害と膀胱の過敏さですから、炎症の治療で治る訳がありません。積極的に排尿障害の治療と膀胱刺激症状の治療をすればいいのです。

排尿障害による慢性膀胱刺激の患者さんは、定期的に頻尿や残尿感などの膀胱の症状が出現し、さらに尿検査で白血球やバイ菌が確認されるので、膀胱「炎」と誤診断されます。

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膀胱の構造から考えた治療の選択肢

Lutstherapy
慢性前立腺炎や間質性膀胱炎などの下部尿路症の主な原因は、患者さん本人が気付いていない排尿障害です。
機能性排尿障害が、膀胱括約筋を肥厚させ、さらに強い器質性の排尿障害になります。
それと同時に膀胱三角部が肥厚・過敏になります。
膀胱出口の膀胱括約筋と膀胱三角部が肥厚して排尿障害が強くなるため、膀胱体部にも負担が掛かります。
膀胱括約筋のスイッチである受容体は、α1受容体ですから、治療薬はα1ブロッカーのユリーフ、ハルナール、フリバスです。
膀胱三角部のスイッチである受容体は、β3受容体ですから治療薬はβ3作動薬であるベタニスです。
膀胱体部のスイッチである受容体は、ムスカリン受容体ですから、治療薬は抗コリン剤のベシケアなどです。
下部尿路(膀胱・前立腺・尿道)の慢性的病気は、この膀胱括約筋と膀胱三角部と膀胱体部の三つ巴で作られる症状です。ですから、α1ブロッカーとβ3作動薬と抗コリン剤の3つを駆使すればいいのです。

Recepter3type
ところが、この理論で治療しても、すべての患者さんがスッキリ、ピッタリと治る訳ではありません。
なぜなら、平滑筋に作用するスイッチである受容体は、万人が常に均一均等に配分している訳ではないからです。膀胱括約筋=α1受容体、膀胱三角部=β3受容体、膀胱体部=ムスカリン受容体とデジタルにキッチリと配分しているとは限りません。
イラストのグラフで示すように、人によって、受容体の分布配分が様々です。
私なら、まずはα1ブロッカーを投与します。早めに結果を出す時や患者さんの症状が強い際には、β3作動薬を併用します。この処方で大方8割の患者さんは症状が軽快します。
一部の患者さんでは、効果がイマイチの場合があります。その場合には、α1ブロッカーの種類を変えるか、抗コリン剤を併用します。

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排尿障害が原因のいろいろな病気

医師になって約40年(正確には39年)、それまで蓄積した臨床体験から、一見、排尿障害と無関係に思える病気の原因が、排尿障害と密接に関係している事が分かりました。
原因を分かりにくくしているのが、膀胱や前立腺を神経支配している、脊髄神経回路だったのです。
Lutsgroup
脊髄神経回路は、人によってさまさまな症状を作ります。医師は、その神経回路の様子を想像出来ませんから、たくさんの原因不明の病気を創るのです。その発想の貧弱さが、結局は患者さんたちを苦しめて来たのです。

①排尿「機能障害」→膀胱括約筋の肥大・膀胱三角部の過敏

②膀胱括約筋の肥大→排尿障害の悪化→前立腺に負担→前立腺肥大症→排尿障害がさらに悪化

③前立腺に負担→PSA値の上昇→前立腺癌を疑われる→前立腺針生検

④膀胱に負担→膀胱の疲弊→膀胱の弛緩→神経因性膀胱→治らない病気と誤解

⑤膀胱の疲弊→膀胱の萎縮→間質性膀胱炎→水圧拡張術→さらに萎縮が進む

⑥膀胱三角部の過敏→神経回路の興奮→❶慢性前立腺炎❷慢性膀胱炎❸過活動膀胱❹膀胱疼痛症❺慢性骨盤疼痛症候群❻線維筋痛症❼舌痛症❽慢性胃痛症❾幻臭症➓坐骨神経痛→気のせいと誤解

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医療サイトの投稿を断念

私が契約した医療サイトに、1月から12篇も投稿しているのに、未だ4篇しか公開されていません。
そこで、質問メールを送ったところ、下記の回答が寄せられました。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
高橋知宏先生 御侍史

平素より大変お世話になっております。
いつも○○○○への投稿、誠にありがとうございます。

10月のサイトリリースに合わせまして、
改めて原稿を確認し、読者からのご意見を元に掲載基準の見直しを行いました。

その結果ですが、大変申し訳ありませんが
「古代医師の地位」の原稿以外は掲載は見送らせていただきます。

○○○○は様々な医療従事者が閲覧されるメディアであり、医療従事者といえども読者の前提知識は揃っておりません。泌尿器科の医師と他科の医師、コメディカルなど読者の職業や専門により、曲解され、それが日常の臨床行為に影響する可能性があります。そのため、臨床内容に関しての仮説や私見の掲載は、正誤にかかわらず本サービスでは控えさせていただきます。

またもう1点お問い合わせいただいておりました
「古代医師の地位」につきましては、閲読数は約2,600程度となります。サイトの移行完了後は週次で閲読数などのレポートは執筆者の皆様に配信いたします。お待たせをしておりまして誠に申し訳ございません。

また何かございましたらご連絡くださいませ。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
-------------------------------------------------------
○○○○編集部 ○○○○
-*-*-*-*-*-*-*-*-*-

○○○○編集部 ○○○○ 様
ご返信ありがとうございます。
私なりに思う事があり、掲載させて頂きます。

私の投稿内容の影響を一般の素人ではなく、医学知識を十分お持ちの、医師をはじめとする医療関係者に対する、このような「…曲解され…」可能性発言は、本当に上から目線の発言としか思えません。ある意味で、貴社のサイトの視聴者に対する侮辱です。専門外とはいえ、医学情報に対してご自分でお読みになり、理解して正否を判断する筈です。それを盲目的に信じて実行する訳がありません。この表現は、群れを成して突き進む牛や豚・羊に対する侮辱表現です。
Img_1401
初めての投稿の際に、現在の医療常識を別の観点から見れば、新たな病気の解決策が見つかるという私の信念をお認め頂き、さらに偏った内容の投稿を採用して頂き、とても喜んでいました。それまでの4つの投稿に対して、サイトの医療関係者の視聴者から頂いた多くの感想にも励まされました。
恐らく、貴社の方針の変更で、下記のようなメッセージを送られたのでしょう。貴社の中心的存在である医療関係者の指示でしょうか?収集した文献やデータから研究者の意向で作り上げた知識だけに固執した医療関係者によくある考え方です。患者さん一人一人を十分に診もしないで、数字やデータだけで統計を取るワンパターン思考の人間が多いのです。そのような見知らぬ人の作ったエビデンスに固執した人間は、私のように無名の非常識な意見に対しては、本能的に合わないのです。

沢山の患者さんの臨床経験や体験を元に閃めいた知識を元に、患者さんを助けようとする無名の医師の知恵よりも、世界的名声や権力を持った研究者や医師たちの作り上げた、固定観念に縛られたデータや文献を信じて止まないのです。「長い物に巻かれろ」的な小心者的配慮です。

医学の歴史上、常識からの進歩はありませんでした。コルトコフの発見した血管雑音しかり、種痘しかり、聴診器しかり、産ジュク熱しかり、脚気の原因を発見した高木兼寛先生しかり、常識菌であったピロリ菌しかり、アメリカでの否定されたPSA検査の有効性しかりです。既にある知識に執着・固執する事が、患者さんに不利益を与える犯罪とも言えます。

私は、これまでに日本泌尿器科学会総会、東部総会、城南地区(目黒区・世田谷区・品川区・大田区)泌尿器科講演会、大森医師会研究会などで、十数回も講演・発表しています。その際に、視聴者からの感心こそあれ、否定されたことはありません。つまり、非常識な知識を公開している訳ではありません。

私はブログを10サイト持ち、各種の病気に関する私の考えや検査結果・治療成果を正直に公表しています。そのため、常識的な治療で治らない多くの患者さんが、北は北海道から南は九州・沖縄まで、中には海外からもたくさんお越しになります。その患者さんの時間と交通費のことを考えたら、病気が治っても、ある意味で患者さんには時間と金の無駄使いという不利益です。医療サイトを介して、私の突拍子もない考えをヒントに、全国の医療関係者が、自分なりに消化吸収し理解して、地元の悩まれている患者さんを助けて頂ければと思い投稿したのです。
しかし、このような返信内容では、私の信念を曲げてまで、貴社に平服して、これ以上投稿する気持ちが無くなりました。今後一切の投稿は致しませんので、ご了承ください。

【備考』
ちなみに、投稿原稿は下記の通りです。

投稿日 テーマ
1   PSAが高くなる理由
2   三つの膀胱炎
2/25 オシッコの臭いで悩む若者
3/11 神経因性膀胱が治らないという誤解
3/25 古代医師の地位
4/8 前立腺癌の自然増加
5/3 前立腺針生検の弊害
5/27 ひとりの体に二人の自分
6/13 更年期とコレステロール
6/21 禁句「病は気から」
7/10 痛みで悩むご婦人
7/27 治る病気と治らない病気

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あるサイトの投稿を断念

私が契約した医療サイトに、1月から12篇も投稿しているのに、未だ4篇しか公開されていません。
そこで、質問メールを送ったところ、下記の回答が寄せられました。

-*-*-*-*-*-*-*-*-*-
高橋知宏先生 御侍史

平素より大変お世話になっております。
いつも○○○○への投稿、誠にありがとうございます。

10月のサイトリリースに合わせまして、
改めて原稿を確認し、読者からのご意見を元に掲載基準の見直しを行いました。

その結果ですが、大変申し訳ありませんが
「古代医師の地位」の原稿以外は掲載は見送らせていただきます。

○○○○は様々な医療従事者が閲覧されるメディアであり、医療従事者といえども読者の前提知識は揃っておりません。泌尿器科の医師と他科の医師、コメディカルなど読者の職業や専門により、曲解され、それが日常の臨床行為に影響する可能性があります。そのため、臨床内容に関しての仮説や私見の掲載は、正誤にかかわらず本サービスでは控えさせていただきます。

またもう1点お問い合わせいただいておりました
「古代医師の地位」につきましては、閲読数は約2,600程度となります。サイトの移行完了後は週次で閲読数などのレポートは執筆者の皆様に配信いたします。お待たせをしておりまして誠に申し訳ございません。

また何かございましたらご連絡くださいませ。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
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○○○○編集部 ○○○○
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○○○○編集部 ○○○○ 様
ご返信ありがとうございます。
私なりに思う事があり、掲載させて頂きます。

私の投稿内容の影響を一般の素人ではなく、医学知識を十分お持ちの、医師をはじめとする医療関係者に対する、このような「…曲解され…」可能性発言は、本当に上から目線の発言としか思えません。ある意味で、貴社のサイトの視聴者に対する侮辱です。専門外とはいえ、医学情報に対してご自分でお読みになり、理解して正否を判断する筈です。それを盲目的に信じて実行する訳がありません。この表現は、群れを成して突き進む牛や豚・羊に対する侮辱表現です。
Img_1401
初めての投稿の際に、現在の医療常識を別の観点から見れば、新たな病気の解決策が見つかるという私の信念をお認め頂き、さらに偏った内容の投稿を採用して頂き、とても喜んでいました。それまでの4つの投稿に対して、サイトの医療関係者の視聴者から頂いた多くの感想にも励まされました。
恐らく、貴社の方針の変更で、下記のようなメッセージを送られたのでしょう。貴社の中心的存在である医療関係者の指示でしょうか?収集した文献やデータから研究者の意向で作り上げた知識だけに固執した医療関係者によくある考え方です。患者さん一人一人を十分に診もしないで、数字やデータだけで統計を取るワンパターン思考の人間が多いのです。そのような見知らぬ人の作ったエビデンスに固執した人間は、私のように無名の非常識な意見に対しては、本能的に合わないのです。

沢山の患者さんの臨床経験や体験を元に閃めいた知識を元に、患者さんを助けようとする無名の医師の知恵よりも、世界的名声や権力を持った研究者や医師たちの作り上げた、固定観念に縛られたデータや文献を信じて止まないのです。「長い物に巻かれろ」的な小心者的配慮です。

医学の歴史上、常識からの進歩はありませんでした。コルトコフの発見した血管雑音しかり、種痘しかり、聴診器しかり、産ジュク熱しかり、脚気の原因を発見した高木兼寛先生しかり、常識菌であったピロリ菌しかり、アメリカでの否定されたPSA検査の有効性しかりです。既にある知識に執着・固執する事が、患者さんに不利益を与える犯罪とも言えます。

私は、これまでに日本泌尿器科学会総会、東部総会、城南地区(目黒区・世田谷区・品川区・大田区)泌尿器科講演会、大森医師会研究会などで、十数回も講演・発表しています。その際に、視聴者からの感心こそあれ、否定されたことはありません。つまり、非常識な知識を公開している訳ではありません。

私はブログを10サイト持ち、各種の病気に関する私の考えや検査結果・治療成果を正直に公表しています。そのため、常識的な治療で治らない多くの患者さんが、北は北海道から南は九州・沖縄まで、中には海外からもたくさんお越しになります。その患者さんの時間と交通費のことを考えたら、病気が治っても、ある意味で患者さんには時間と金の無駄使いという不利益です。医療サイトを介して、私の突拍子もない考えをヒントに、全国の医療関係者が、自分なりに消化吸収し理解して、地元の悩まれている患者さんを助けて頂ければと思い投稿したのです。
しかし、このような返信内容では、私の信念を曲げてまで、貴社に平服して、これ以上投稿する気持ちが無くなりました。今後一切の投稿は致しませんので、ご了承ください。

【備考』
ちなみに、投稿原稿は下記の通りです。

投稿日 テーマ
1   PSAが高くなる理由
2   三つの膀胱炎
2/25 オシッコの臭いで悩む若者
3/11 神経因性膀胱が治らないという誤解
3/25 古代医師の地位
4/8 前立腺癌の自然増加
5/3 前立腺針生検の弊害
5/27 ひとりの体に二人の自分
6/13 更年期とコレステロール
6/21 禁句「病は気から」
7/10 痛みで悩むご婦人
7/27 治る病気と治らない病気

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尿意の秘密

Oabnyoi
膀胱や前立腺の数々の病気を調べ研究して治療するに当たって、基本的な概念を明らかにする必要があります。その対象が「尿意」です。
泌尿器科学会で名だたる先生たちが唱える、尿意のメカニズムは次のようです。
まずは、膀胱の基本的構造をイラストで示しました。膀胱粘膜があり、その下に粘膜下組織、平滑筋層、神経組織のC線維があります。
Oabnyoi2
①オシッコがたまり膀胱が膨らむと、当然、膀胱粘膜が引き伸ばされます。
②すると、膀胱粘膜からATPやアセチルコリンなどのさまざまな「生物活性物質」が放出されます。
③それら生物活性物質が膀胱粘膜のすぐ下に存在するC線維を刺激して、それが脊髄神経回路に伝達されて尿意になるのです。
Oabnyoi3
もしも、この通りだとすると、説明できない現象があります。
頻尿や尿意切迫感を抑えるβ3作動薬のベタニスや抗コリン剤のベシケア・ステーブラ・トビエースなどは、膀胱の平滑筋を緩める働きがあります。そのお陰で、頻尿や尿意切迫感の患者さんが、オシッコを我慢できるようになるのです。しかし、もしそうだとしたら、平滑筋が緩み、膀胱がさらに膨らみ、膀胱の粘膜はなお一層伸びて、生物活性物質が大量に放出される筈です、すると、頻尿の尿意切迫感が強くならなければなりません。したがって、この理論は、間違いです。
Oabnyoi4
では、どのように考えればいいのでしようか?
ヒントは、β3作動薬や抗コリン剤が平滑筋にしか効かないことにあります。そして、平滑筋を緩める=尿意が低下する点にあります。平滑筋細胞は、細胞間が電気結合=ギャップ結合で繋がっていて、1個の細胞の情報がすべての細胞に伝わります。つまり、1個の細胞の意識が、すべての細胞の共通の意識になるのです。膀胱が膨らむと、平滑筋は引き伸ばされて緊張(赤いギザギザ線)し、平滑筋全体に伝達されます。その緊張情報=膀胱内圧=尿意情報が神経に伝達されて尿意になるのです。この仕組みは、ほぼ神経細胞と一緒です。神経は線状なので1次元ですが、平滑筋は立体的なので3次元です。膀胱平滑筋は、収縮と弛緩する物理的な動力装置としての働きと、機能的な感覚センサーとしての働きがあるのです。

実は平滑筋には他にも違う働きがいろいろあります。動脈壁の中膜にある平滑筋は、動脈壁の内膜に溜まった悪玉コレステロールを食べて泡沫細胞になります。これはマクロファージ=貪食細胞と同じです。また、動脈壁の内膜に集まった泡沫細胞を固めるために平滑筋がコラーゲンを作ります。これは線維芽細胞と同じです。

以上のように平滑筋には、多彩な能力があるのです。その平滑筋には、私たちが知らない能力があるかもしれません。その不明の能力が原因不明の病気に関与しているかもしれません。そういう意味では、平滑筋の興奮を抑える大豆イソフラボンが、さまざまな病気の予防に役立つ可能性があります。

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誤解

Lutsmap2
今まで解説してきた下部尿路症は、基本的考え方は恐らくこうでしょう。

①前立腺肥大症は、前立腺肥大症が膀胱を刺激して、頻尿・残尿感・尿意切迫感が出現する。前立腺の手術をしても治らない人がいる。
②急性膀胱炎は、バイ菌が刺激して、膀胱粘膜が過敏に反応して、頻尿・残尿感が出る。若いご婦人のこの病気はセックスの後に起こる。しかし、高齢者の場合は原因不明である。
③慢性前立腺炎は、前立腺の炎症が膀胱を刺激して、頻尿・排尿痛・陰部の痛みが出る。抗菌剤を長期間投与しても治らない。
④間質性膀胱炎は、膀胱の粘膜に原因不明の炎症が起きで、頻尿・膀胱の強い痛みになる。萎縮した膀胱を水圧拡張しても治らない。
⑤過活動膀胱は、原因不明で頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁になる。
⑥膀胱疼痛症候群は、原因不明で軽い頻尿程度がある程度、主症状は排尿に関係なく膀胱の痛み。麻薬の痛み止めを服用しても治らない。

結局は、すべての病気の原因を膀胱が受け止めて、下部尿路症状を作っているのだろうという考え方です。その割には、原因と思われる病態を治療してもなかなか治りません。さらに原因が別としても、膀胱は同じですから、同じ症状でもいいと考えられませんか?何故いろいろと違う症状なのでしょう。明らかな膀胱粘膜の炎症である細菌性急性膀胱炎と同じ頻尿・残尿感・排尿痛にならないのでしょう?……どうしてでしょうか?
Lutsmap
これには、理由があるのです。
前回解説したように、疫学的調査で症状を比較すると、尿勢低下のみが「機能障害」です。一般的に、病気の症状は、機能障害が原因で、その他の症状を作っていると考えられます。機能障害で排尿時に膀胱括約筋と膀胱三角部が弛緩しないため、膀胱出口が開かないために排尿障害になります。弛緩しない膀胱括約筋と膀胱三角部は、縦走筋と力比べするために、膀胱括約筋・膀胱三角部が肥大化・肥厚化し、ますます排尿障害を悪化します。
①排尿障害が悪化すると、
ⅰ.膀胱内圧のエネルギーが、長期間前立腺を刺激したため、前立腺が対応反応して肥大化→「前立腺肥大症」になる。
ⅱ.膀胱内圧が長期間に渡って上昇するので、膀胱自身が疲弊する。疲弊の結果、
a)膀胱が弛緩する→「神経因性膀胱」
b)膀胱が萎縮する→「間質性膀胱炎」

さらに膀胱三角部は尿意を知覚するセンサーですから、肥厚化によって尿意エネルギーは大量に産生されるために、脊髄神経回路を介して、頻尿・残尿感・尿意切迫感・切迫性尿失禁・膀胱の痛み・陰部の痛み・シビレ・痒みになるのです。
①男性で不定愁訴があって、前立腺が大きくないと、→「慢性前立腺炎」
②尿検査で白血球/細菌が見つかると、→「慢性膀胱炎」
③検査結果がほぼ正常で精神的に落ち込むと、→「心因性頻尿」
④検査結果が多少異常があっても、痛みがとても強いと、→「膀胱疼痛症」
⑤痛みの領域が広いと、→「慢性骨盤疼痛症候群」
⑥検査結果がほぼ正常だと、→「過活動膀胱」

ご覧のように、下部尿路症で付けられた診断名の根拠が、如何にいい加減か分かります。診断名から治療しても、病気が治るとは思えません。診断名を考案した医師たちの短絡的な発想が情け無い。表向きの症状だけで病名を作るのは、素人でも作れることです。
イラストで示すように、病気の根本的原因は、排尿障害と膀胱括約筋・膀胱三角部の肥大化と異常興奮が原因です。そのために、排尿障害の治療薬であるα1ブロッカーと、膀胱三角部の興奮を抑えるβ3作動薬と抗コリン剤が必要になるのです。

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下部尿路症のいろいろ

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「下部尿路症」には、次のようないろいろな病気があります。
①前立腺肥大症
前立腺が大きいから頻尿になる。
でも、手術で前立腺を除去しても、頻尿が治らない患者さんが存在する。「歳のせい」にされる。
②急性膀胱炎
バイ菌が原因で膀胱粘膜が炎症を起こし頻尿になる。頻尿=炎症?=バイ菌と単純に思われる。
③慢性膀胱炎
バイ菌はいないのに、繰り返し膀胱炎症状の頻尿になる。頻尿=炎症?=見つからないバイ菌=不潔にしている
④過活動膀胱
バイ菌も明確な原因もなく、頻尿になる。ダメな膀胱
⑤間質性膀胱炎
膀胱粘膜下の間質に炎症所見が認められる。バイ菌はいない。アレルギーが原因と思われている。頻尿と痛みが併発する。
⑥膀胱疼痛症
バイ菌はいない、膀胱粘膜に炎症もない。頻尿±ただ痛みが前面に出る。
⑦非細菌性慢性前立腺炎
前立腺に明確な原因もなく、頻尿や痛みが出る。只ひたすらに抗生剤とセルニルトンを処方するだけ。
⑧慢性骨盤疼痛症候群
男女問わず、原因不明で痛み±頻尿で苦しむ。
⑨神経因性膀胱
排尿直後にもかかわらず、残尿が50㎖以上も残っている。そして頻尿±残尿感±不快感が出る。原因は膀胱の神経がダメになった➡︎治せない。
⑩前立腺がんの手術後の頻尿
手術前には、なかった頻尿が手術後から頻繁に出る。主治医は、手術の後遺症だからと言って、何もしてくれない。理由は、膀胱と尿道を接合縫合する際に、膀胱三角部を縫ったからです。

以上の病気の原因はいろいろだったり、不明ですが、症状は似たり寄ったりの頻尿・残尿感・尿意切迫感です。しかし同じような症状なのに、症状を作る明確な原因が突き止められていません。何となく膀胱が過敏になっているから、という対症療法で済ませるので、すべての病気をいい加減にしか治せないのです。こんな事で、よく偉そうに泌尿器科学会を専門医がリードしていますよね?

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これらの下部尿路症の患者さんのいろいろな症状のうち、ある一定の確率で尿勢低下=排尿機能障害を認めます。機能障害が病気の原因で、膀胱を苦しめていると考えるべきです。治療としては、排尿機能障害を中心にα1ブロッカーであるユリーフ・ハルナール・フリバスを処方して、膀胱三角部の過敏反応を抑えるために、β3作動薬のベタニスと、抗コリン剤であるベシケア・ステーブラ・トビエースを処方します。
世間では、頻尿や尿意切迫感だけに振り回されて、原因を追求せずに、β3作動薬や抗コリン剤だけを処方しています。もちろん、それだけでも症状が落ち着く患者さんもおられますが、繰り返し症状は出てきて、次第に治療が困難になるほど症状が強くなります。なぜなら、患者さんの脊髄神経回路がバージョンアップするからです。そして、過活動膀胱➡︎間質性膀胱炎➡︎膀胱疼痛症➡︎慢性骨盤疼痛症候群という表面的な病名に診断されてしまうのです。そも病名に流れる根底には、ただ一つ「排尿障害」があるのです。

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平滑筋の秘密

膀胱炎や慢性前立腺炎患者さんの頻尿や残尿感などの知覚異常の症状が、平滑筋に作用する抗コリン剤やβ3刺激剤で緩和することに疑問を感じませんか?知覚異常に対して平滑筋という筋肉をゆるめるクスリです。

一般的に人体には知覚神経の末端に特有な形状のセンサーがあります。痛みセンサー、圧力センサー、熱センサー、冷感センサー、触覚センサーなど本当にいろいろです。しかし、……しかしです、膀胱には尿意を感じるセンサーが発現されていないのです。センサーがないのに、何故、尿意を感じることができるのでしょうか?
泌尿器科学会で超有名な専門医たちは、そこに「C線維」という裸の神経線維があり、そこに膀胱粘膜から放出された化学伝達物質が、C線維という裸の神経を刺激して「尿意」を感じると説明しています。……裸の神経?そのような神経は、自律神経の末端だけです。体性神経なのにセンサーなしで、裸はおかしいだろう!膀胱だけが、センサーがなく、こんな原始的な形状とは、その考え方に絶対に無理があります。電話機がないのに、電話線に向かったしゃべると情報が伝わるというマンガの様なお話しです。

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組織学的に平滑筋は、無数にある細胞の一つ一つがつながっているのです。1つの細胞の意識➡︎無数の細胞の意識と同じなのです。それが細胞間結合(電気結合・ギャップ結合)です。その無数にある平滑筋の一部に自律神経が付着しています。自律神経からの情報・命令を一部の平滑筋が受け取ると、その情報を細胞間結合を介して、次々に無数の平滑筋に伝達します。つまり、平滑筋は動力装置としての働きの他に、伝達装置としても働くのです。

Semi2016sensorこの形状を見ていると、何かに見えませんか?……そうなんです、……知覚神経とセンサーの組合せです。実は、平滑筋そのものが「センサー」なのです。ですから、膀胱の平滑筋が緊張すると、尿意が強くなり、平滑筋が緩むと尿意がなくなるのです。教科書的な知識だけが全てだと思っている、貧弱な発想の専門医師が原因です。抗コリン剤やβ3作用剤が尿意を抑える作用があるのは、平滑筋の緊張を低下させてくれるからです。つまり、抗コリン剤とβ3作用剤の2つは、どちらもセンサーに直接作用するのです。同じ意味で、ユリーフ・ハルナール・フリバスなどのα1-ブロッカーも、平滑筋の緊張を低下させるので、頻尿・残尿感を軽快させることになります。

以上のように排尿障害し続くと、何故に頻尿・残尿感・尿意切迫感などの症状が発現するのでしようか?実は、膀胱三角部の括約筋は、圧力センサーでもあるのです。通常は蓄尿で膀胱内圧が高まると、その圧力が膀胱三角部の圧力センサーを刺激して尿意を感じるのです。ところが、膀胱三角部が肥厚したために膀胱三角部の組織密度が高まり、膀胱内圧の反応閾値に関係なく、圧力センサーが過剰に反応してしまうのです。

治療としては、膀胱括約筋の緊張を緩めて上げれば良いのです。そのために、ユリーフ・ハルナール・フリバスなどのα1-ブロッカーの処方です。ご婦人の場合は、エブランチルしか処方できません。
次に膀胱三角部に特異的に作用するベタニスなどのβ3刺激剤が有効になります。
また、膀胱内圧を下げることで、膀胱三角部の圧力センサーを二次的に刺激しないように、輪状筋の過敏性収縮を抑えることです。そのために、ベシケア・ステーブラ・トビエースなどの抗コリン剤が必要になります。
一般的に、抗コリン剤で膀胱収縮力が低下するというデータはありませんから、縦走筋には抗コリン剤の作用するムスカリン受容体は、おそらく分布が少ないのでしょう。ですから、膀胱内側の薄い輪状筋だけに抗コリン剤が作用するのです。

ところが、抗コリン剤にもβ3作用剤のも「副作用」として排尿障害が起こることがあります。抗コリン剤では服用した患者さんのうち5%未満程度、β3作用剤の場合は1%未満程度でしょう。これには、理由があります。
本来は、膀胱内側の輪状筋だけにあるはずのムスカリン受容体が、膀胱外側の縦走筋にまで及ぶ人がいるのです。同じくβ3受容体も縦走筋にまで及ぶ人がいるのです。そのため、排尿時に膀胱出口を開こうとする縦走筋が収縮できなくなってしまうからです。

縦走筋のムスカリン受容体やβ3受容体の分布が少なければ、副作用が出る確率は低いです。前立腺肥大症が大きく成長して、排尿時に縦走筋の負担が大きいと、縦走筋はとても疲弊します。そのため、受容体の分布がわずかであっても収縮しにくくなるので、排尿障害が顕著に出ます。

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過活動膀胱OABの診療ガイドライン

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日本泌尿器科学の作成した過活動膀胱のガイドラインについて問題点を解説しましょう。
先ずは、一般医のためのアルゴリズムです。



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*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
原因不明の「過活動膀胱」
⬇︎➡︎細菌➡︎膀胱炎➡︎抗生剤治療➡︎治らない‼︎
⬇︎⬅︎抗コリン剤+β3作用剤
治らない‼︎
⬇︎
専門医へ
*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
問診と尿検査で感染症を否定すれば、それが過活動膀胱と診断されます。
抗コリン剤やβ3作用剤で容易に治らない患者さんを専門医に紹介する手順です。
オーソドックスの簡単な検査とすぐ手に入る治療薬で治らない場合は、過活動膀胱の専門医に紹介されます。

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2番目のアルゴリズムは、専門医の診断・治療手順です。

*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
紹介の治らない「過活動膀胱」の患者さん
⬇︎➡︎神経疾患➡︎神経の治療➡︎後遺症➡︎治らない‼︎
⬇︎➡︎前立腺肥大症➡︎肥大症の治療➡︎歳のせい➡︎治らない‼︎
精密検査
⬇︎……➡︎行動療法?➡︎治らない‼︎
⬇︎……➡︎神経作動薬➡︎治らない‼︎
⬇︎……➡︎電気治療➡︎治らない‼︎
⬇︎……➡︎磁気治療➡︎治らない‼︎
⬇︎……➡︎ボツリヌス菌毒素➡︎治らない‼︎
膀胱摘出‼︎
*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
過去に神経疾患、例えば脳梗塞・脳出血・脊髄疾患などの既往があると、神経内科、整形外科、脊髄外科に紹介するので、過活動膀胱の治療はされません。前立腺肥大症があれば、その治療に専念しますが、結局は過活動膀胱の原因をつかめないまま電気治療、磁気治療、外科手術に至るのです。究極、膀胱を摘出です。過活動膀胱の患者さんから見たら、最終ゴールは膀胱全摘?という印象でしょう。

偉い先生たちが寄ってたかって決めたアルゴリズムが、この程度なのです。
ここの問題点は、ただ1つです。過活動膀胱の発症原因を突き止めていないこと。原因の根本治療せずに、只ひたすら対症療法、頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁の治療に徹していることです。前立腺肥大症や膀胱炎の際にも、過活動膀胱の症状になる理由を突き止めもしないで治療することが、対症療法に過ぎません。もっと本質的に考えなければなりません。下部尿路の多くの病気の症状で、何故、頻尿・残尿感・尿意切迫感が発症するのかということです。

こんなアルゴリズム:診断治療手順は、チョッと勉強すれば、素人でも思いつくことです。プロフェッショナルな3人以上集まって「文殊の知恵」とならないのはなげかわしい!獲得した知識の奥深さを認識しないで、ただひたすらダラダラと積んでいるだけだから、医師としての責務を果たすことができないのです。

【参考資料】
過活動膀胱の診療ガイドライン

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見えてきた排尿障害の仕組み

過去にたくさんの排尿障害の仕組みを考察してきました。
検査所見の存在に対して、疑問点が常にありました。排尿障害の患者さんには、男女問わず、膀胱出口が硬く盛り上がっていました。その理由については、排尿障害のために膀胱出口が排尿時に振動するので、次第に膀胱出口が盛り上がると考えていました。でも実際に、内視鏡手術の際に膀胱出口を切開・切除すると、そこは必ず平滑筋組織です。もしも振動エネルギーで盛り上がっているのであれば、線維組織のはずです。つまり、盛り上がった膀胱出口の組織は、膀胱括約筋の二次的な姿なのです。排尿障害の患者さんの膀胱括約筋は、必ずマッチョなのです。

マッチョになるためには、振動エネルギーではなく、筋トレによるものだと考えられます。筋トレ?……膀胱括約筋の筋トレ相手は、排尿時に収縮する膀胱出口周囲の縦走筋です。つまり何らかの理由で、排尿時に膀胱括約筋が柔らかく弛緩しないので、縦走筋に引っ張られる際に鍛えられたのでしょう。

そう考えると、α1-ブロッカーであるユリーフやハルナールなどの即効性の理由が理解できます。α1-ブロッカーは、前立腺や尿道の緊張を緩めるのではなく、膀胱括約筋=内尿道括約筋の緊張を緩めるので、膀胱出口が開きやすくなるのです。
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膀胱の構造は、大きく分けて膀胱体部、膀胱三角部、膀胱出口(膀胱頸部)に分けられます。筋肉の観点から見ると、膀胱体部は二層構造で、内側が輪状筋、外側が縦走筋です。輪状筋は、膀胱の横方向の直径を小さくするように収縮させます。縦走筋は膀胱の外側に存在し、膀胱の天辺の部分が膀胱出口に向かうように収縮させます。この2つの筋肉の働きで、膀胱は膨らんだり縮んだりするのです。膀胱出口は複雑で、膀胱出口ギリギリまで輪状筋と縦走筋が到達し、その内側に膀胱括約筋=内尿道括約筋が位置します。先ほど説明したように、排尿障害のある人は、膀胱出口周囲の膀胱括約筋が発達・肥厚しています。これは、縦走筋と膀胱括約筋の排尿時の動きがシンクロせずに、逆にバランスが悪く、縦走筋が収縮する時に膀胱括約筋が緩まないで対抗している証拠です。

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この画像は、3Dエコー検査で観察した膀胱出口の所見です。
見て分かるように、膀胱出口を中心とした同心円状ではありません。
これを分かりやすく説明したのが、次のイラストです。


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イラストで見えるように、輪状筋は、膀胱三角部を挟んでブーメランの様な形をしています。
何故この様な形状をしているかは、それなりの理由があります。
発生段階で、尿管の原基を囲むように輪状筋が発達したからです。そして、尿管の原基から膀胱三角部が形成したのです。

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3Dエコー画像を元に、下部尿路の基本的構造を左のイラスト側面像で示しました。
膀胱出口周囲に存在する赤い部分が、どちらも膀胱括約筋です。
前の部分が膀胱出口前面で、後ろの部分が膀胱三角部に当たります。
膀胱内側の肌色の部分が輪状筋で、外側の空色の部分が縦走筋です。

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健常であれば、右のイラストで示すように排尿時に、前後の膀胱括約筋が先ず緩みます。
そして縦方向に収縮した縦走筋の意のままに膀胱出口は開き、オシッコがスムーズに出るのです。
一連の動作は自律神経によってコントロールされており、人の意識は息むだけです。
この排尿に関わるいくつかのステップに支障が出ると、排尿障害になるのです。

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排尿障害の患者さんは、どう言う訳か膀胱三角部も含め、排尿時に弛緩しないでギューっと収縮します。縦走筋が収縮して膀胱出口を開こうとしても十分に開かないのです。
この経過が長期間に渡ると、膀胱括約筋が縦走筋と筋トレしていることになり、イラストのように次第にマッチョになります。排尿障害の患者さんをエコー検査で観察すると、膀胱出口前部の膀胱括約筋と膀胱三角部の膀胱括約筋が厚くなり、膀胱側に突出しています。

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この膀胱括約筋の肥厚は、イラストで表現したように、まるで膀胱出口を鍵でロックした状態になるのです。
この状態が何十年も続けば、縦走筋や輪状筋は疲れ果てて、男女関係なく神経因性膀胱と診断されます。排尿時の圧力が前立腺を刺激して、前立腺肥大症になります。膀胱三角部が突出すると、中葉肥大型と判断される形状です。
排尿障害の患者さんの内視鏡手術の際には、この固くなった膀胱括約筋の切開・切除が重要になります。ところが、前立腺肥大症だと、「肥大症」とい言葉に翻弄されて前立腺しか手術しないので、手術後も排尿障害が続くのです。

以上のように排尿障害し続くと、何故に頻尿・残尿感・尿意切迫感などの症状が発現するのでしようか?実は、膀胱三角部の括約筋は、圧力センサーでもあるのです。通常は蓄尿で膀胱内圧が高まると、その圧力が膀胱三角部の圧力センサーを刺激して尿意を感じるのです。ところが、膀胱三角部が肥厚したために膀胱三角部の組織密度が高まり、膀胱内圧の反応閾値に関係なく、圧力センサーが過剰に反応してしまうのです。

治療としては、膀胱括約筋の緊張を緩めて上げれば良いのです。そのために、ユリーフ・ハルナール・フリバスなどのα1-ブロッカーの処方です。ご婦人の場合は、エブランチルしか処方できません。
次に膀胱三角部に特異的に作用するベタニスなどのβ3刺激剤が有効になります。
また、膀胱内圧を下げることで、膀胱三角部の圧力センサーを二次的に刺激しないように、輪状筋の過敏性収縮を抑えることです。そのために、ベシケア・ステーブラ・トビエースなどの抗コリン剤が必要になります。
一般的に抗コリン剤で膀胱収縮力が低下するというデータはありませんから、縦走筋には抗コリン剤の作用するムスカリン受容体は、おそらく分布が少ないのでしょう。ですから、膀胱内側の薄い輪状筋だけに抗コリン剤が作用するのです。

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血尿で困惑したご老人

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92歳のご高齢の男性が、血尿でご家族と一緒に来院されました。
前立腺の出血か腎臓からの出血かと私は思いました。 尿検査で確認すると、尿の全てが真っ赤です。
前立腺の出血は、出始めの尿だけです。腎臓からの出血は、出始めから最後まで血尿です。膀胱からの出血は、そのどちらかです。
そこで、エコー検査をすると、排除障害があるようで、残尿が200ml以上も残っていました。すると、前立腺のすぐ後ろの膀胱に直径2センチ程のイビツな陰影が確認できました。

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側面、正面の2枚の写真に赤い影が見えますね。これは、ドップラーエコーで血流を確認したところ、イビツ陰影の中心に動脈血流が確認できたのです。間違いなく膀胱腫瘍(膀胱ガン)です。
90歳超えで、いろいろな病気をたくさんお持ちなので、地元の医科大学病院にご紹介しました。
大学病院の内視鏡検査の結果も、やはり膀胱腫瘍でした。治療をどうするかを現在検討中だそうです。

今回の膀胱腫瘍は、直径2センチくらいの大きいものでしたが、エコー検査で判別できるのは、5ミリ(0.5センチ)くらいまで確認できます。膀胱には、同じように炎症性ポリープも観察することもありますが、その場合、ドップラーエコー検査で血流を確認できれば膀胱腫瘍、確認できなければ炎症性ポリープと判定します。


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グリソンスコア5+5=10のラテント癌

今回、ご紹介するのは、PSA値が高く心配になり、平成29年6月に来院した72歳の男性患者さんです。
平成28年にPSA値が5以上になり、診療所や大学病院で前立腺針生検をすすめられました。当院初診時には、超音波エコー検査でも触診でも、前立腺癌の所見は認められませんでした。

夜間頻尿(2回~6回)があり、超音波エコー検査で前立腺結石と膀胱三角部の肥厚を認めたので、排尿障害によるPSA値上昇と判断したのでした。
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その後も超音波エコー検査と触診を2回実施しましたが、前立腺癌の所見は得られませんでした。
その間、PSA検査を受け、その値が11を超えることもあり、患者さんは悩みました。また、周囲の友人のアドバイスも受け、私に内緒で、某がんセンターで前立腺針生検を受けてしまったのです。その結果、12本中2本に前立腺癌が発見されてしまいました。それもグリソンスコア5+5=10の悪性度の一番高い前立腺癌でした。
エコー検査や触診で確認できなくて、針生検で12本中2本ですから、ステージⅠのラテント癌ということです。問題なのは、悪性度の高いグリソンスコア10の前立腺癌を針生検で刺激してしまったことにあります。患者さんは、急いで当院を受診して今後の方針を相談に来られました。半ば後悔をしているようです。
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先ず、針生検した病院での治療方針が決まるまで、骨シンチ、MRI検査の結果待ちで3週間ほどありました。主治医は何も考えずに、計画を立てて待っています。
その間に針生検による傷害を治すために、体内の免疫・炎症システムが活発になります。結果、免疫細胞に傷付いた癌細胞は、マクロファージに貪食されるか、別の場所に運ばれてしまいます。それが、前立腺癌の骨転移や前立腺癌の浸潤になる可能性もあるのです。

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能力の高い前立腺癌細胞が、自分たちの受けている状況を何もせずに傍観している訳がありません。癌細胞にとって、出来ることは、細胞分裂しかありません。癌細胞が細胞分裂をすればするほど悪性度が増すのです。癌細胞は通常3〜6週間に1回バラバラに分裂しますから、放置できません。
治療方針が決まるまで、エストラサイトを週1回1カプセルの低容量を服用してもらいました。その後、重粒子線治療を決めたのですが、人気で混んでいるため9月に開始することになりました。それまで、エストラサイトを続けて服用していただきました。

今回の記事は、この患者さんからのご希望で掲載しました。いろいろな体験をされる患者さんがおられます。記事を参考にベストの選択をされてください。


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泌尿器科の医師は、排尿障害と言う基本概念に戻れ!

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①前立腺ガンの腫瘍マーカーであるPSAが高くなる原因のほとんどが、前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症による排尿障害が原因です。500人中の88%、440人が排尿障害でPSAが高い患者さんでした。

②慢性前立腺炎の患者さんも調べると、前立腺肥大症や膀胱頚部硬化症などの患者さんが自覚しない「隠れ排尿障害」が認められ、排尿障害の治療を行うと症状は軽快します。

③間質性膀胱炎や過活動膀胱の女性患者さんにも、「隠れ排尿障害」が潜んでいて、排尿障害を治療すると、症状は軽快します。

④陰部がかゆくなる陰嚢掻痒症・陰部掻痒症・陰門掻痒症(肛門のかゆみ)などの患者さんにも、「隠れ排尿障害」が潜んでいて、排尿障害を治療すると、かゆみは軽快します。

⑤原因不明の坐骨神経痛の患者さんの中にも、一定の割合で、「隠れ排尿障害」が潜んでいて、排尿障害を治療すると、痛みが軽快します。

⑥神経因性膀胱は、膀胱に力が無くなったから排尿できないと、一般的に考えられます。しかし、なぜ突然に神経因性膀胱になるのかという議論はなされません。長年かけて膀胱出口が十分に開放されないために、疲労・疲弊してしまった膀胱を「神経因性膀胱」と診断しているだけです。ダメになった膀胱を検査結果で、幾つにも分類しても、患者さんを治すことができませんから、全く意味がありません。隠れ排尿障害であったために、患者さんは排尿障害を自覚していません。しかし、膀胱は次第に疲れて、ある日突然に排尿障害を自覚して、それが神経因性膀胱と診断されるのです。

病気の原因をおろそかにして、目に見える症状だけに振り回されている医師は、素人同然です。長い年月をかけて得た知識と経験を利用して、患者さんの病気し本質を見つけようではありませんか!


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夜尿症・おねしょ

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夜尿症いわゆる「おねしょ」は、子供の成長と共に改善すると思われていました。
本来、膀胱は尿がある程度たまると反射的に収縮して排尿するのが本能です。起きている時には、膀胱からの情報が脊髄を介して膀胱の収縮を抑えます。
夜尿症・オネショの発生率の年齢分布は、このグラフの通りです。
5歳で15%、12歳で10%、大人で0.5%存在します!千人で5人=1億人で何と5万人!にもなります。

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しかし、幼少期の睡眠時には、脊髄回路が未成熟のために、膀胱からの情報が脊髄を介して十分に脳に到達出来ません。「尿が満杯になった!」という情報が脳に到達しなければ、脳が膀胱を抑えることは出来ませんから、膀胱は身勝手に収縮・排尿=尿失禁=夜尿症・オネショになるのです。

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順調に発育・成長すると、脊髄に夜間の排尿抑制回路が形成されるので、夜間に目を覚まさなくても、オシッコを我慢でき、オネショにならないのです。

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ところが、オネショに関して、まったく無頓着であると、この抑制回路が形成されずに、逆に、尿意=排尿と言う尿意・排尿反射回路が形成されてしまい、大人になっても、夜尿症・オネショが治らなくなるのです。

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このオネショの対策として、
①夜間に尿がたまったことを見計らって、子供を無理に起こす。
②オネショしたら、警笛を鳴らすセンサーを装着して、その都度起こす。
③膀胱の尿意を鈍感にする次のクスリを服用する。
ⅰ)ブラダロンⅱ)抗うつ剤(トフラニール・アナフラニールなど)
④最近、採用されたのが、抗利尿ホルモン剤です。夜間に利尿ホルモンが作用して、日中に身体にたまった水分をオシッコで出そうとします。その作用を抑えることで、夜間を尿量が減少して、尿意、排尿反射回路を育てないようにするのです。ミニリンメルトが商品名です。

とりあえず、積極的にオネショを治そうとしないと、大人になっても生涯オネショ人間になってしまいます。

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尿失禁と骨盤底筋体操

咳やクシャミなどで、オシッコが漏れるのを腹圧性尿失禁と言います。
前立腺肥大症の男性と比べて、女性患者さんの方が、はるかに多いのです。その理由は、一般的に何回も出産したからと言われていますが、出産経験のない患者さんもおられます。それから考えると、出産の有無は無関係です。

どうして、ご婦人に腹圧性尿失禁が多いのかを考えてみましょう。
イラストは、ご婦人の排尿の仕組みを分かりやすく描きました。
膀胱出口が開くためには、膀胱括約筋と尿道括約筋の両者が協調しなければなりません。膀胱括約筋は、膀胱出口を前後左右(平面方向)に開いてくれます。尿道括約筋は、膀胱出口を下の方向(縦方向)に引っ張ります。その2つの力学的ベクトルで膀胱出口は、ロート状(円錐状)に開くのです。
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ところが、膀胱括約筋は、内臓の筋肉=平滑筋で出来ており、尿道括約筋は、骨格筋=横紋筋で出来ています。その力は、尿道括約筋>>>>>膀胱括約筋です。更年期を過ぎた頃には、弱者である膀胱括約筋は疲れ切って、膀胱出口を十分に開けなくなり、膀胱出口が尿道括約筋に強く引っ張られてしまいます。その結果、膀胱出口が尿道側に「お辞儀」するように狭くなるのです。

「息んでリキんで」オシッコをする習慣のあるご婦人は、この現象が隠れていて尿失禁が生じやすくなります。その理由は、
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①腹圧をかけてオシッコするため、強力な腹圧のために膀胱を固定している靭帯や筋膜がゆるみます。尿道括約筋は外側に引っ張る方向にあったのが、尿道括約筋の位置が下にズレたため、内側に引っ張る方向になるのです。この状態は尿道括約筋が閉まらなくなります。
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②膀胱括約筋が、力んだ尿道括約筋に負けて、膀胱出口の本来の境界線の位置が、尿道側に下降し、二次的な膀胱出口ができてしまいます❶。本来の膀胱出口と尿道括約筋は十分に距離❷がありますが、二次的膀胱出口と尿道括約筋の距離❸は極端に短くなります。この状態にあると、尿道括約筋に膀胱内圧が直接作用するので、尿道括約筋は容易に開いてしまいます。

①+②の2つの理由で、腹圧や咳などで膀胱内圧が急激に高まると、尿道括約筋が簡単にゆるみ、尿失禁になるのです。オシッコが漏れてしまう腹圧性尿失禁の患者さんは、本質的には長年の間、オシッコが出にくいヒトなのです。結局のところ、オシッコが出にくいから、オシッコが漏れるように身体が変身したと言うのが真実です。腹圧をかけて息めば息むほど、膀胱出口の境界線は、次第に尿道括約筋に近接するのです。

さて、腹圧性尿失禁の対策として、骨盤底筋体操があります。体操することで尿道括約筋の緊張が高まり、尿道括約筋の走行が、内側の方向→平行あるいは外側の方向へ向かうので、尿道括約筋が締まりやすくなり尿失禁が減少するのです。
ただし、尿道括約筋の位置が下方に位置していない時期に体操で骨盤底筋である尿道括約筋を鍛えると、膀胱括約筋と尿道括約筋の力の差がますます増えます。その結果、排尿ごとに膀胱出口が強く引っ張られるので、逆に尿失禁しやすくなるかもしれません。男性のように硬い前立腺が、尿失禁を防がないので、ご婦人の場合は尿失禁が多くなるのです。
ご婦人が尿失禁を作らないためには、この隠れた排尿障害を早期に発見して、αブロッカーを服用させるべきです。隠れた排尿障害の症状としては、頻尿、冷え性などがある筈です。

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痛みで苦しむご婦人

アメリカ在住のご婦人が、昨年の9月から、夜間寝ていると、陰部が口で表現できない痛みで目が覚めました。これが原因で眠れなくなってしまいました。
地元アメリカでいろいろな医師に受診し治療を受けましたが治りません。何回も通院すると、医師に見放されるような態度を浴びせらました。そこで、患者さんはくじけないで、インターネットで情報を採集しました。その中に、私の書いているブログを発見したのでした。
地元のアメリカでは、私の推薦するクスリを調達できませんから、日本にいる家族に連絡して、エブランチルを送ってもらい服用してみました。すると、オシッコの出が良くなったのです。痛みは、それほど効き目がありませんでしたが、私の理論が正しいことを認識したのでした。

その後、日本に帰郷して、関東近県の地元の内科の先生に無理にお願いして、お祖父さんにフリバスを処方して頂き、服用を始めました。すると、どうでしょう!あれほど苦しんだ痛みが無くなり、夜グッスリと眠れるようになったのです。
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日本に滞在中に高橋クリニックへ受診しようと、来院されました。
早速、エコー検査をすると、写真のように膀胱括約筋の走行が、膀胱出口に向いていません。当然、膀胱三角部が厚くなっています。厚さが約7mmです。正常は2mmです。厚さ2mmで排尿回数5回が正常だとすると、7mmだと、オシッコの回数は15回〜18回のはずです。しかし、この患者さんの排尿回数は、1日たったの4回でした。

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膀胱三角部で作られたエネルギーが頻尿の症状として表現されていません。これは、患者さんの脊髄神経回路の特性によるものです。しかし、脊髄に送られた情報(エネルギー)をそのまま貯めておくことはできません。そこで、脊髄が新たな神経回路を形成したのです。それが「痛み」症状なのです。


フリバスは、前立腺肥大症の治療薬でお馴染み、排尿障害治療薬のαブロッカーです。保険適応は男性にしかありませんが、膀胱出口の緊張をゆるめ、男女関係なく排尿障害の治療に役立ちます。また、αレセプターは、膀胱出口ばかりでなく膀胱三角部にもありますから、膀胱三角部の興奮もフリバスで抑えられたのでしょう。また、振動して硬くなった膀胱出口もセンサーが形成されるので、膀胱出口の情報も脊髄を介して痛み症状になったのです。

フリバスは地元の内科の先生に処方していただき、さらに膀胱三角部を的確に抑えるベタニスを追加で処方しました。


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膀胱出口閉塞症・症候群と言う考え方

アメリカには膀胱出口閉塞症と言う考え方がありますが、具体的に明確な定義がありません。日本では、膀胱に関する病気がたくさんあります。膀胱の病気には、アレルギー性膀胱炎・細菌性急性膀胱炎・慢性膀胱炎・心因性頻尿・過活動膀胱・膀胱疼痛症・間質性膀胱炎・うっ血性骨盤疼痛症候群・慢性骨盤内疼痛症候群・神経因性膀胱などです。ところが、すべての病気が原因不明です。
この中で、ハッキリした原因があるのはアレルギー性膀胱炎と細菌性急性膀胱炎の2つだけです。この2つ以外の病気の原因は、とてもいい加減です。

①慢性膀胱炎:
陰部を不潔にしている、お尻を拭く時に後ろから前に拭くので不潔になる、などの理由で膀胱炎になるとされる。患者さんが一生懸命に陰部を清潔にしても治らない。
②心因性頻尿:
ストレスなどで神経が過敏なった結果、頻尿になる。
③過活動膀胱:
原因不明で頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁の総合的病名。
④膀胱疼痛症:
原因不明の膀胱を中心とする痛みの病気。他の膀胱の病気に併発することがある。
⑤間質性膀胱炎:
極端な頻尿と痛みを伴う病気である。アレルギーと思われている。膀胱粘膜の所見で確定診断をする。
⑥うっ血性骨盤疼痛症候群:
ご婦人の原因不明の下半身疼痛を示す病名。うっ血所見(静脈血の低下・静脈瘤)があります。
⑦慢性骨盤内疼痛症候群:
慢性前立腺炎の別名。
⑧神経因性膀胱:
膀胱に力がなくなったからオシッコが出ない・・・その理由は不明。

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これらの患者さんを調べると、多かれ少なかれ、排尿障害が隠れています。ところが、極端な排尿障害ではないので、診察している医師が重要視せずに無視するので、結果、原因不明になるのです。その根源は、排尿の仕組みを正確に理解していないからです。尿道括約筋が開くから、連動して(白い破線矢印⇕)膀胱出口が自動的に開いて排尿すると思っているのです。生身の生体の扉が、そんな単純な仕組みで出来ていると思う方がおかしいでしょう。

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尿道括約筋は開くのではなく、引っ張っている(けん引)のです。特に膀胱三角部が尿道括約筋のギリギリ手前まで伸びていますから、前後方向に開きます。同時、に膀胱括約筋が収縮することで、膀胱出口がロート状に開くので尿がスムーズに出るのです。

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膀胱括約筋は内臓の筋肉=平滑筋です。尿道括約筋は体を動かすための骨格筋=横紋筋です。
力強さは、横紋筋>>>平滑筋ですから、年齢を重ねる毎に平滑筋=膀胱括約筋は疲労困憊して十分に収縮できなくなります。すると、力強い横紋筋=尿道括約筋だけが頑張るので、イラストの如く、膀胱出口が逆に狭くなり(ガチン)、オシッコが出にくくなるのです。

その状態が、繰り返し繰返し、長期間に渡って繰り返されると、膀胱出口は硬くなります。また、膀胱三角部もその振動で硬くなります。組織が硬くなると言う事は異常現象ですから、情報収集のためにセンサーが生まれ、脊髄神経回路と密接の繋がります。これがすべての病気の症状出現と結びつくのです。
膀胱三角部が過敏になれば、頻尿・残尿感・尿意切迫感・尿失禁になります。それぞれの症状の程度と組合せにより、慢性膀胱炎・過活動膀胱・間質性膀胱炎と診断されるのです。
膀胱三角部と連結している脊髄神経回路がバージョン・アップすると痛み症状が強くなり、膀胱疼痛症・間質性膀胱炎・慢性前立腺炎,慢性骨盤疼痛症候群と診断されるのです。
膀胱出口の硬さが増して、膀胱全体が疲弊すると、神経因性膀胱と診断されるのです。神経因性膀胱の専門医は、ダメになった膀胱をいろいろな検査で分類分けするのです。ダメになった理由を追求しないで、……「神経がダメになったのだから、治せませんね。」と、安易な診断をするのです。本当に無能です。
このように考えれば、極端なオシッコの出の悪さを自覚しなくても、病気が作られるのは理解できるでしよう。


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PSA値141で悩む患者さん

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健診の血液検査で、PSA値が何と141も高かかったので、医療関係者の娘さんとご一緒に60歳代の患者さんが心配そうな面持ちで来院されました。
エコー検査の所見は、写真で示すように、前立腺の外腺に相当な体積(3.44㏄)で前立腺ガンを確認できます。赤い矢印➡が前立腺ガンで青い矢印➡が精嚢腺です。
触診でも右葉〜中央にかけて硬結が触れます。間違いなく前立腺ガンです。触診の硬さからすると、グリソンスコア7〜8でしよう。

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患者さんは、針生検は受けたくないが、手術か放射線治療を選択したいという雰囲気です。しかし、針生検を受けないと、希望する治療法は選べません。私が唱える、「針生検が逆に前立腺ガンに火をつけて、悪性度が増すかもしれない」という理論にも納得しているので、決断がつかないのです。
グラフで示すように、前立腺針生検直後から悪性度の高い前立腺ガンの患者さんの生存率は極端に低下します。前立腺針生検するまでに、隠れていた悪性度の高い患者さんがすでに多く亡くなっていあたというデータはありません。どう考えても前立腺針生検が引き金になっていたのでしょう。

そこで、患者さんに提案をしました。針生検の2日前と前日の2日間だけエストラサイト(女性ホルモン+抗ガン剤)を1カプセル服用して、針生検によるガンの興奮を一時的に抑えること。術後、毎週1回1カプセル服用して、その後のガンの興奮を抑え込もうというものです。患者さんは、私の提案を承諾して頂けました。


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陰部の痛みを「歳のせい・気にせい」と言われた高齢者

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以前からオシッコが近い70歳過ぎのご高齢の患者さんです。ご家族3人でお越しになりました。
昨年の夏頃から陰部がピリピリ痛くて仕方がありません。そこで、診療所や病院を3軒受診しましたが、前立腺肥大症の診断で、ハルナールとセルニルトンを処方されましたが、症状は改善しません。
最近では、肛門まで痛くなり、肛門科を受診しましたが、いぼ痔があるだけで、特に問題なしと診断されたのです。
泌尿器科の医師は、「歳のせい・気のせい」とまで言われてしまいました。
早速、超音波エコー検査を行いました。この写真だけでは分かりにくいので、下にコメントを記しました。

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すぐに分かることは、膀胱括約筋ふが四方に分裂していることです。これは、排尿障害によって、膀胱括約筋に物理的負荷がかかった結果です。そのため、膀胱三角部が厚くなり、膀胱刺激症状がいくつも作られても不思議ではありません。陰部のピリピリ感も肛門の痛みも膀胱刺激症状の一つと考えられます。
前立腺も大きさは31㏄と若干大きいだけです。治療薬としては、
①ユリーフ
排尿障害を改善させるため
②アボルブ
前立腺を柔らかくすることで、前立腺から膀胱三角部への緊張がゆるませるため
③ベタニス
膀胱三角部の緊張をゆるませるため

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膀胱炎を繰返すご婦人

2004年から、膀胱炎を毎年4回〜5回起こしてきたご婦人が、ご夫婦で来院されました。

2018年までの15年間に、少なくても、のべ65回の膀胱炎に苦しんでいるのです。当然、当院に来院するまで、たくさんの病院・診療所を受診し、その都度その都度、尿検査でバイ菌(大腸菌・肺炎桿菌・プロテウス菌など)が確認されて「膀胱炎」と診断されました。いろいろな抗生剤(アミカシン・クラビッド・ミノマイシン・ST合剤・ホスミシン・セファレキシンなど)の処方を繰り返されていました。(患者さんから頂いたメモ用紙から)

しかし、数ヶ月で膀胱炎は、すぐに再発してしまうのです。そして、最近では次の膀胱炎まで、1カ月も持たなくなりました。患者さんは、重複腎盂尿管があるために慢性腎盂腎炎を心配されています。抗生剤の効かない耐性菌が検出されたと、さらに心配はつのるばかりです。

早速、超音波エコー検査を行いました。
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膀胱を横から観察した所見です。
膀胱括約筋が、膀胱出口ではなく明後日の方向に向いています。本来ならば、点線の矢印のように膀胱出口に向いていなければなりません。これは排尿障害による膀胱括約筋の形状変化です。
その結果、膀胱三角部が厚くなっています※。正常であれば、膀胱三角部の厚さは2mmですが、この患者さんの場合は9㎜と4倍以上厚くなっています。
膀胱三角部は、尿意を感じるセンサーですから、厚くなればなるほど頻尿になります。2㎜=5回とすると、9㎜=20回以上ということになります。ところが、患者さんの頻尿は1日15回ですから、毎日5回以上の頻尿のエネルギーが隠れていることになります。そのため、定期的に溜まったエネルギーを発散するのです。それが、繰り返される膀胱炎になるのです。

さて、このご婦人は、毎日なんと3リットルもの水分を摂取していました。医師がよく言う「膀胱炎だから、水分を多く取りなさい。」という言葉に翻弄されたのです。バイ菌が原因ではない膀胱炎の場合、水分を多く取ることで、ますます症状は悪化します。
まずは、水分摂取を控えることを指導しました。次にα−ブロッカー(ユ…)で排尿障害の改善を図り、ベタニスで膀胱三角部の過敏さを抑えることを目標にしました。

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未病と病気

病気には必ず原因があります。
だからと言って、必ず症状が出るわけではありません。
しかし、ひとたび症状が出ると、なかなか治らない病気もあります。
その理由を簡単に示すと、右のイラストのようです。
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原因と脊髄神経回路が密接に繋がるから、症状が発現するのです。
ところが、原因と神経回路が十分にリンクしていない、あるいは、神経回路が未完成であると、症状は出ないのです。それが、いわゆる「未病」です。
症状が出ないから安心とは言えません。例えば、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の患者さんは、病気が発症する前から、軽度の頻尿や冷え症があります。

Mibyo2
それらの症状が極端に悪化して、極端な頻尿や足のシビレや痛みなどが出て、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎と初めて診断されるのです。
脊髄神経回路は、ある意味で、ブラック・ボックスです。医学がどんなに進歩しても、神経回路を認識・把握することはできません。

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未病の状態が長く続くと、神経回路が完成されて、ある日突然に症状が出現するのです。患者さんの多くが、「それまで何でもありませんでした。ある日、突然です。」とおっしゃいます。何でもなかったのが「未病」だったのです。
神経回路が完成されて、症状の強度が高まったり、複数の症状が出たりするのです。排尿障害が原因の場合は、イラストのような症状、頻尿・残尿感・尿意切迫感・痛み・かゆみ・シビレ・違和感などになるのです。
これらの症状の強さと組合せにより、現場の医師が、慢性前立腺炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症候群、前立腺症、慢性骨盤疼痛症候群と、簡単なパズルゲームの解答のような診断をするのです。医師は、もっと想像力を働かせて診断・治療しなければならないのです。

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膀胱括約筋の変形

排尿時に、尿道括約筋が尿道側にけん引されます。その際に膀胱括約筋が収縮することによって、膀胱出口がロート状に開くことで、排尿します。
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この膀胱括約筋と尿道括約筋の連携が円滑にできないと、排尿障害になります。尿道括約筋は、ヒトの意志で収縮しますが、膀胱括約筋は自律神経の働きで、ヒトの意志ではコントロールできません。排尿障害の患者さんは、長年に渡って、膀胱括約筋の断端が、尿道括約筋によってけん引され続けるので、断端が変形します。今回、その変形した症例をいくつかご紹介しましょう。

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まずは、ほぼ正常な膀胱括約筋の姿です。正常であれば、膀胱括約筋の方向は一方向に向かっています。その方向は、膀胱出口です。膀胱括約筋によって膀胱出口が開けば、尿道括約筋のけん引力は、膀胱出口だけにかかるので、膀胱括約筋には影響は及びません。実は、50歳代の頃の私の膀胱括約筋の姿です。

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60歳代患者さんの膀胱括約筋の拡大写真です。
膀胱括約筋の末端の方向が2つに分かれています。
下の方向に分かれている部分は、尿道括約筋によって力強くけん引された結果です。

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30歳代患者さんのエコー検査所見です。
排尿障害が原因の慢性前立腺炎症状で苦しまれています。
やはり、膀胱括約筋が2方向に分かれています。

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70歳代患者さんです。
過去に前立腺肥大症の内視鏡手術を受けています。ところが、手術の後も、頻尿や痛みが治りません。
エコー検査の所見では、前立腺は削り取られていますが、膀胱三角部が手つかずで残っているので、症状がなくならないのです。
膀胱括約筋も2方向に分裂しています。

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この患者さんの膀胱括約筋は、実に大きく分裂しています。
長年かかって、繰り返し膀胱括約筋に物理的負担がかかると、こんなにも大きく開いてしまうのです。

排尿障害の患者さんが、皆んながみんな膀胱括約筋が変形している訳ではありません。多くの患者さんに認められます。2方向性の分裂所見のない患者さんの場合は、膀胱括約筋の方向が膀胱出口に向かずに、尿道括約筋の方向に向くことになります。いわゆる偏向型です。ご婦人の排尿障害の患者さんの場合は、ほとんどが分裂型ではなく、この偏向型が多いのです。

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平滑筋のスイッチ

前立腺肥大症・慢性前立腺炎・過活動膀胱・間質性膀胱炎などの治療に使用される薬剤のほとんどが、平滑筋に影響する薬理作用を持っています。
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平滑筋は、すべての内臓を構成する筋肉です。体を動かす時に使う筋肉は骨格筋(横紋筋)です。内臓の筋肉とはいえ、筋肉ですから、収縮と弛緩を繰り返します。収縮=緊張、弛緩=リラックスの状態です。その動きの典型的なものが胃や大腸の蠕動運動です。これらの動きは、骨格筋に比べてとても複雑です。その理由は、たくさんの平滑筋細胞がお互い密接に連絡しあって情報交換をしているからです。一部の平滑筋は自律神経(交感神経・副交感神経)と連絡しており、そこから得た情報を隣接する平滑筋に次々と伝達するのです。まるで、伝言ゲームのようです。

自律神経に関わらないのが、一酸化窒素NOです。一酸化窒素が平滑筋にそばに存在すると、受容体を介さないで無条件で平滑筋内に侵入します。一酸化窒素は、平滑筋をリラックスさせる作用があるのですが、平滑筋の中で、直ぐに消滅してしまいます。
何の受容体かは不明ですが、大豆イソフラボンの受容体、正露丸の受容体、タガメットがブロックする受容体(H2レセプター)なども、長年の臨床経験上ある筈です。

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交感神経に反応するのが、膀胱・前立腺の平滑筋のα₁−受容体、β₃−受容体です。
副交感神経に反応するのが、平滑筋のM−受容体です。
交感神経が興奮すると、膀胱出口・前立腺にあるα₁−受容体を刺激し、オシッコを出にくくします。さらに、膀胱三角部にあるβ₃−受容体を刺激し、尿を我慢させます。受容体は平滑筋に変化を促す【スイッチ=受容体】です。逆に副交感神経が興奮すると、膀胱体部の平滑筋にあるM−受容体を刺激して膀胱を収縮させます。

この仕組みを考慮して病気の治療を考えると、次のようです。
排尿障害が病気の原因ですから、膀胱出口・前立腺をリラックスさせるために、α₁−受容体をブロックするクスリとして、ユリーフ・ハルナール・フリバスを使用するのです。
また、膀胱三角部をリラックスさせるために、β₃−受容体刺激剤のベタニスを使用するのです。
さらに、膀胱体部をリラックスさせるために、M−受容体をブロックするクスリとして、ベシケア・ステーブラ・ウリトス・トビエースを使用します。
ただし、平滑筋の数々の受容体の分布は、患者さんの膀胱や前立腺の位置によって異なるので、その組合せの影響で、とても効くヒトもいれば、まったく効かないヒトもいます。

平滑筋の緊張をリラックスさせることで、膀胱や前立腺の過敏な症状が軽減できるのかと言えば、平滑筋は筋肉としての動力装置でもありますが、実はセンサー・感覚器でもあるのです。

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レーザー光線手術をしたのに、頻尿・痛みが治らない患者さん

70歳代の男性患者さんがご夫婦で来院されました。
2年前から恥骨部分が痛くて仕方がないそうです。5年前に尿閉を繰り返したので、レーザーを使った前立腺肥大症の手術を行いました。
しかし、手術後も頻尿は改善せずに、毎日15回の頻尿と、夜間2回の頻尿です。さらに、恥骨の痛みが加わり、患者さんは苦しみ悩んでいるのです。
複数の病院を受診して、CT検査などの精密検査をしたにもかかわらず治らないので、精神科にも受診させられました。
娘さんが、インターネットで高橋クリニックを見つけて来院しました。
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早速、超音波エコー検査をおこなうと、写真のような所見です。
これをご覧になっただけでは、ハッキリ分からないでしょう。
そこで、説明を加えたのが、次の写真です。

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黒く見える大部分が尿の見えるところです。
レーザー光線で手術を行い、切除された部分が三角形線で示す部分です。
口を開けたヘビのように見える膀胱括約筋の上に、膀胱三角部(赤い→)がハッキリ確認できます。
これで、患者さんの痛み症状と頻尿症状が、前立腺肥大症の手術を行ったにもかかわらず治らなかった理由です。

Turp1
排尿障害→前立腺肥大症→頻尿になる理由を解説しましょう。
排尿障害によって、排尿中に膀胱出口は十分に開きませんから、膀胱出口が振動します。
その振動により、膀胱三角部が過敏になり肥厚します。
膀胱三角部は、尿意のセンサーですから、ここが過敏になると、頻尿や痛みが作られます。

Turp2
最先端のレーザー光線手術で、前立腺肥大症の主な部分(腺腫)を摘出して、それを細かくスライスして膀胱から除去します。
前立腺肥大症の手術だから、前立腺さえ除去すれば良いと、未熟な医師が考えるのです。

Turp3
ところが、前立腺は小さくなって、オシッコの出は良くなりましたが、過敏になった膀胱三角部が手付かずです。結局、過敏になったセンサーはそのままですから、症状が治る訳がありません。
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【前立腺肥大症=排尿障害→頻尿+痛み】
と考えて、短絡的に前立腺肥大症を手術さえすれば、症状がなくなる!と思い込んでいるのです。病気は、そんなに単純ではありません。
本当は、
【排尿障害→前立腺肥大症+膀胱三角部の過敏→排尿障害の悪化+頻尿+痛み】
というのが、この病気の仕組みなのです。
治療は、前立腺肥大症と膀胱三角部の処置が必要になります。
ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー
この状態を解決するためには、膀胱三角部を落ち着かせることを目標とします。
①膀胱出口の緊張を緩めるために、ユリーフ
②膀胱三角部を直接に緩めるために、ベタニス
③残っている前立腺の硬さを柔らかくするために、アボルブ
④痛みは脊髄中枢で合成された痛みなので、脊髄中枢の興奮を抑える、トラムセット

以上の治療で改善が得られなければ、内視鏡手術で膀胱三角部を処置すればよいのです。


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去勢抵抗性前立腺ガンCRPCの発現率

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前立腺ガンを標準治療でテストステロン(男性ホルモン)を抑制するホルモン治療を行うと、4年~5年で効かなくなります。この状態の前立腺ガンを去勢抵抗性前立腺ガンCRPCと呼びます。

どの程度の頻度で、この状態になるのか明確に記された文献がないので、いろいろ調べてみました。すると、こんな表を見つけました。癌が骨転移する確率と、その予後(生存期間)です。
前立腺ガンの場合、骨転移が発現する確率が、【65%~75%】とかなりの高さです。2人に1人以上の危険率で骨に転移したということになります。ただし、初めから骨に転移した人は別です。ホルモン治療しているにもかかわらず、骨にガン細胞が転移すると言う事は、すなわち、ホルモン治療では抑えることが出来なくなった前立腺ガンと言うことになります。つまり、【骨転移≒去勢抵抗性前立腺ガン】ということです。

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先の表と同じサイトには、前立腺ガンの治療経過を示すイラストが併記されています。
このように、治療法・治療経過がイラストで表示できるほど、決まりきった前立腺ガンの個性なのです。では、どうして前立腺ガンは、このような性格が出てくるのでしようか?

前立腺ガンに、この特有な個性を促した要素かあるかもしれません。治療する前と後では、何が違うかと言うと、毎日のホルモン治療がキッカケです。ホルモン治療は、前立腺ガンを相当抑えることは出来ますが、完璧ではありません。そのために、ガン細胞がバージョンアップして、去勢抵抗性前立腺ガンが生まれるのです。「毎日」の治療がいけないのです。ガン細胞に治療を気付かせるのが去勢抵抗性前立腺ガンが生まれる原因だと私は考えています。

もしそうだとしたら、毎日ではなく、ガン細胞が気付かせない治療法を選択すれば良いと思います。つまり、密かに計画的に気付かないようにガン細胞の食事に毒を盛るような暗殺をするのです。
もう1つの考え方として、毎日大量の薬を間断なく連続して治療を続けると、ガン細胞の変身のストッパーを毎日1個ずつ外してしまうのではないでしょうか?そのため、治療を少量で1週間に1錠、2週間に1錠であれば、ガン細胞の変身ストッパーを外す時間がかかって、7年〜14年以上延ばすことが出来るかもしれません。
教科書的の知識だけが、常に正しいとは限りません。教科書的な知識の境界線を超えるような柔軟な発想で、目の前の事実の本質を見極めるべきです。

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間質性膀胱炎のヘパリン治療

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過去に、間質性膀胱炎の治療法でヘパリン膀胱注入した効果例の報告がありました。

ヘパリンが間質性膀胱炎になぜ?効果があるのか、よく分かりませんが、効き目があるのなら試すべきでしょう。

ヘパリン20,000単位20ml+キシロカイン4%10ml+重そう(商品名メイロン)20ml
の混合液50mlを膀胱内に注入して、1時間後に排尿するというものです。
ヘパリンは、膀胱粘膜を修復する、キシロカインは膀胱粘膜の神経を麻痺させる、重そうはキシロカインが膀胱粘膜に浸みやすくする、と言うものです。あくまでも表向きの理論です。本当かどうか不明です。

【ヘパリン 】★【キシロカイン】★【ヘパリン】
【メイロン】→⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎⬇︎←【メイロン】
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
【膀胱粘膜】【膀胱粘膜】【膀胱粘膜】【膀胱粘膜】

Img_1115なぜなら、間質性膀胱炎の治療法である水圧拡張手術は、無理矢理に膀胱を膨らます方法です。そのような手段をとれば、膀胱粘膜を始め膀胱の壁は、必ず破壊されます。それなのに、同じ医療機関で実施される治療法が、今度は膀胱粘膜を修復する治療を採用するのは、矛盾に満ちていると思えませんか?

膀胱粘膜の傷害が、間質性膀胱炎の原因と思っているのであれば、膀胱水圧拡張手術は行ってはいけません。膀胱の粘膜が過敏になった原因を追求しない現代医療はナンボのものなのでしょうか?

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予想以上に早く確認された前立腺ガン

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72歳の男性患者さんです。
去年の8月にPSA値が5.61と高く心配になり、関西からお越しになりました。
超音波エコー検査や触診で、前立腺ガンは確認できませんでしたから、経過観察にしました。

ところが9カ月後の5月に、PSA値が8.658と若干高くなったので、心配になり再度患者さんがお越しになりました。超音波エコー検査では、以前確認できなかった陰影が前立腺の左に(赤い矢印)確認されました。陰影の大きさは0.89ccの体積です。触診でも、前立腺の左に硬結が触れました。明らかに前立腺ガンです。

前立腺ガンは、倍加速度が速いもので2年と言われていましたが、例外もあると認識さました。前回、エコー検査でも触診でも認識できなかった前立腺ガンが、たった9カ月で確認できるまでになった訳ですから、倍加速度2年というのは正直安心できません。注意深く観察するためには、出来れば半年に一度のペースが良いのでしょう。

遠方から飛行機に乗って、3か月に一度来院される患者さんもおられますが、さすがに半年に一度で十分でしょう。交通費が勿体ないと思います。

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過敏性腸症候群と下部尿路症との密接な関係

Img_1083_24月26日の夜に城南泌尿器科懇話会が開催されました。
特別講演で「排便排尿機能障害ー自律神経と微細炎症の視点からー」というテーマで、公立黒川病院・管理者・東北大学名誉教授の本郷道夫先生が講演されました。

この先生のご専門は、消化管の機能性疾患です。代表的な病気は、最近流行りの過敏性腸症候群です。
今回の講演では、過敏性腸症候群の患者さんにかなりの確率で、下部尿路疾患すなわち慢性前立腺炎・間質性膀胱炎・過活動膀胱・膀胱疼痛症候群・慢性骨盤疼痛症候群などの病気が合併しているというのです。
ー★ー★ー★ー
そこで、過敏性腸症候群について考察してみましょう。
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過敏性腸症候群の病態生理(発病の仕組み)のキーワードは次の通りです。
①視床下部(Hs)
②副腎皮質刺激ホルモン(CRH)
③セロトニン
④肥満細胞(Mast Cell)
⑤サイトカイン(Cytokine)
⑥腸内細菌
このフローチャートでは、何が最初の原因が定かではありません。あたかも、精神的ストレスが原因のように思えます。しかし、原因が分からないと短絡的にストレスのせいにするのは、医学会でよくある慣習です。ストレスだけで病気にはなりません。病気があるからストレスになるのです。表面上の症状、うつ病状態を見て、そのように判断するのです。
本郷道夫先生の講演内容から推察すると、次のような仕組みのようです。
ー★ー★ー★ー
①特定の腸内細菌が腸粘膜を微細に傷つけます。
②すると、腸粘膜の樹状細胞や肥満細胞がサイトカインを放出するので、腸に微細な炎症が生じます。
③その結果、腸管が過敏になりコントロールが難しくなるのです。
④この微細な炎症が長期間続くと、脳中枢の視床下部が気づき、副腎皮質刺激ホルモンを分泌します。
⑤すると、肥満細胞が活性化されて、サイトカインの分泌が盛んになり、過敏性腸症候群がますます悪化するのです。

腸内細菌が原因とする裏付けの動物実験があります。
健常者と過敏性腸症候群のヒトの腸内細菌叢を比較すると、細菌の分布が明らかに違います。また、動物実験で、健常者の便と過敏性腸症候群のヒトに便をネズミの腸内に移植すると、過敏性腸症候群の患者さんの便を移植を受けたネズミだけが、過敏性腸症候群のネズミになるのです。

Img_1084セロトニンの関与については、治療薬であるイリボーが、その証明になります。つまり、イリボーは、セロトニンの効果を抑制する作用があるので、効果が出てくるのです。
ー★ー★ー★ー
過敏性腸症候群の原因はともかく、腸の症状の他に様々な症状が発生します。うつ病、不安神経症、腹痛、腰痛などです。さらに、一見無関係と思われる病気、慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、膀胱疼痛症候群、慢性骨盤疼痛症候群、線維筋痛症、逆流性食道炎などの病気と合併することが多いのです。
線維筋痛症の専門書には、間質性膀胱炎の合併率は10%にも上ります。また、慢性前立腺炎の患者さんで、過敏性腸症候群を以前から治療されている患者が時々おられます。
実際に、慢性前立腺炎の患者さんの中で、私の処方したクスリの他に、内科の医師が処方した過敏性腸症候群の治療薬を併用したら、症状がかなりの軽快したそうです。

過敏性腸症候群といろいろな下部尿路症の病気の間には、発症に関与する共通点があるのかもしれません。それを調べることで、病気の本質が将来に判明するといいですね。

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前立腺ガンの居場所

触診とエコー検査で確認できた前立腺ガンは、この6年間で100人以上もいました。その中で、前立腺外腺の他にガン陰影を発見したのは1例だけです。99%が外腺に認めました。
その他に前立腺全体を悪性度の高い癌が拡がっていた患者さんが1人いまいたが、この患者さんは、エコー検査では、前立腺全体に拡散したために確認はできませんでした。この様な患者さんは、本当に稀です。

しかるに、今の泌尿器科医師は、前立腺の深部中央の前立腺組織採取を懸命に行っているように思えます。
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例えば、この写真の患者さんは、前立腺尖部の左に厚さ2ミリ程度のガン組織の塊りを確認できます。
前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

Pca36270m56psa119ps
この写真の患者さんは、前立腺の右側に厚さ4ミリ程度のガン組織の陰影を確認できます。
やはり、前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

Img_1009
この写真の患者さんは、前立腺の右側奥の膀胱の裏側に厚さ4ミリ程度のガン組織の陰影を確認できます。
やはり、前立腺の境界線ギリギリに接した外腺に認めます。

これらの写真をご覧になって分かるように、前立腺ガンのほとんどが、前立腺の外腺に発生します。それにも、かかわらず触診もしないで、前立腺の内腺に向かって針を何本も刺すのです。前立腺ガンが見つからないばかりでなく、下手すると前立腺ガンを傷つけいためるだけです。そのせいで前立腺ガンは発見できませんでしたが、針生検が残った前立腺ガンを刺激して悪性度を増すのかもしれません。

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病気と症状と治療のタイミング

慢性前立腺炎、慢性膀胱炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱、前立腺肥大症、神経因性膀胱、PSA高値などの患者さんが全国からお越しになります。
その理由は、地元の病院やクリニックでは治らないからです。
治らない原因の第一は、まずは病気の本質を治療しないからです。例えば、慢性前立腺炎や慢性膀胱炎は、「炎」という取りあえずの病名に合わせた治療しかしないからです。また、間質性膀胱炎や過活動膀胱は原因不明の病気ですから、頻尿や痛みに対する治療しかしないからです。更に、前立腺肥大症は、頻尿の出現理由を考えないで治療するからです。
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病気の本質は、「排尿障害」です。
排尿障害→膀胱三角部の過敏→脊髄神経回路の構築→症状(頻尿・尿意切迫感・残尿感・痛み・シビレ・かゆみ)の発現です。それぞれの病気の仕組みは、下記の通りです。
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★慢性前立腺炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★慢性膀胱炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★間質性膀胱炎=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★過活動膀胱=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕脊髄神経回路の完成
★前立腺肥大症=排尿障害➕膀胱三角部の過敏➕前立腺の肥大➕脊髄神経回路の完成
★神経因性膀胱=排尿障害➕膀胱出口の硬化→→→排尿障害の強化
★PSA高値=排尿障害±炎症±前立腺肥大症±先天性±前立腺ガン
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ご覧の通り、すべての病気に排尿障害が絡んでいます。その排尿障害の程度はピンからキリまであります。なかには、患者さん自身が自覚しない程度、あるいは医師が評価しない程度の排尿障害のため、まったく治療しないので中々治らないのです。

病気はイラストのように4つの時期に分けて判断します。
★1期は排尿障害があるにもかかわらず症状の出ない状態です。いわゆる「未病」の状態です。
★2期は、脊髄神経回路が完成して症状がで始めた状態です。
★3期は、排尿障害が治療されないために、脊髄神経回路がバージョンアップしてしまい、症状が強く出ている状態です。
★4期は、脊髄神経回路が排尿障害から独立・独り立ちして、神経回路がますます複雑になり、完成度が極めて高くなった状態です。排尿障害を治療しても治リません。信じられないほどの強い症状になります。頻尿が毎日80回以上、突然あるいは持続性のナイフで刺されたような痛み、血が出るくらい何遍掻いてもカユミが収まらない状態です。

治療する医師は、この状態を十分に把握して治療しなければなりません。
★排尿障害に対してはアルファブロッカー(ユリーフ、ハルナール、フリバス、エブランチル)です。
★膀胱三角部の過敏さに対しては、ベタニス、ベシケア、ウリトス、ステープラ、アボルブ、タガメット、サプリメント(イソフラボン、ノコギリヤシ、カボチャの種、正露丸)です。
★脊髄神経回路に対しては、トラムセット、リリカ、カロナール、仙骨神経ブロック、サプリメント(グリシン)です。

世間では、患者さんを十分に調べもせずに、病名だけで治療する輩の何と多いことか!親身になって、患者さんの言葉を真摯に受け止めて治療しようと努力する医師が、もっと増えて欲しいと思います。


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子宮頸がんの原因

Img_1062

最近、増加傾向にある子宮頸がんの原因は、
ヒトパピローマウィルスHPV(Human Papilloma Virus)の感染が原因とされています。
グラフを見てお分かりのように、20歳過ぎてから急激に増加しています。
では、何故ヒトパピローマウィルスが感染するとガン細胞が生じるのかをイラストを使って解説しましょう。

Img_1019
ヒトパピローマウィルスは性感染症STDの一種です。
性行為により子宮頸部の粘膜にウィルスが感染すると、ウィルスは粘膜の基底細胞層に侵入します。
粘膜細胞の核内にウィルス侵入し、核を支配してウィルスの構造に必要な部品を無理矢理造るのです。
Hpvinfection
大量に造られたウィルスは、次々に細胞内に放出され、細胞はパンパンになります。
ウィルスを作っていた核は、大量のウィルスに潰されてしまいます結局、細胞は破裂して、細胞の周囲にウィルスは拡散します。
拡散したウィルスは、近くの粘膜細胞に感染し、同じ工程を繰り返します。
Img_1018
この工程を何回も何回も繰り返すうちに、ウィルス産生を中断して破裂しない中途半端な細胞が生まれてきます。
そのような細胞の核は、ウィルスにより変性し正常な核ではなくなります。この異常な核がガン細胞になるのです。

Img_1063このウィルス感染とウィルス増殖を抑えることで、子宮頸がんを防ぐことができる筈です。
ところが普通の体は、このウィルスを抑えることが出来ないのです。
その理由は、粘膜の基底細胞層のウィルス感染を探知する免疫の樹状細胞が侵入できないからです。基底細胞層は、基底膜に覆われています。この基底膜の中に樹状細胞が大き過ぎて侵入できない結果、ウィルス感染を探知できないのです。
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この考え方からすると、粘膜異形成が確認されたらHPVウィルスに感染した証拠ですから、基底膜を一部破壊して樹状細胞に認識させればよいでしょう。そのためには、剣山のような道具で子宮頸部を数カ所刺せばよいでしょう。
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免疫抗体は小さいので、容易に基底膜に侵入しウィルスを攻撃できます。そのため、子宮頸部・粘膜に異常細胞(異形成)を認めたら、一般的に行われている定期的検診しながらガン細胞に成熟するのを待たないで、HPVワクチンを注射して体にHPV抗体を積極的に造らせるべきです。

改めて言います。子宮頸がんはHPVウィルス感染症の終末の状態です。感染症を抑えないで、この病気を防ぐことは出来ません。子宮頸部の粘膜に異常細胞(異形成)が発見されたら積極的に免疫抗体を作らせるべきです。

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前立腺ガンの低用量治療法

前立腺ガンはモノではなく、生き物です。ところが、医師は患者さんの前立腺ガンをモノとして対応しているとしか思えません。もしも、モノであるのならば、治療法に抵抗するホルモン抵抗性・去勢抵抗性前立腺ガンCRPCにはならないでしょう。
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ガン細胞だって意思はないかもしれませんが、正常の細胞と同じに、それなりの感受性はあるはずです。そのガン細胞を針生検で10カ所以上も突いて突いて突いて、その後大量のホルモン剤や抗ガン剤を投与され正面から攻撃されたら、何とか自分を守ろうと努力工夫して強くなるのに決まっています。
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そのような考えで、
①まずは、針生検をしないで前立腺ガンを確定診断する。
②次に、ホルモン剤を通常の投与を続けると、ガン細胞もその攻撃に対して気がつき対抗手段を画策するので、極少量か、前立腺肥大症の治療薬を投与する。
③抗ガン剤も同様で、極少量を投与して、ガン細胞に気付かれないように毒を盛る。
④排尿障害のあるヒトは、排尿の際、前立腺に物理的刺激がかかるので、なるべく回避するために排尿障害の治療薬を処方する。

もともと穏やかな前立腺ガンです。ですから、穏やかな治療するべきです。もしも、本来、穏やかな前立腺ガンが対応能力に長けているガン細胞であれば、強い攻撃に対しては強く報復する性格があるのかもしれません。しかし、どうやったら巧妙に前立腺ガンをだまして毒であるホルモン剤や抗ガン剤を取り込ませるかです。
以前にエストラサイトを利用した低用量処方について記事を揚げています。エストラサイトに限らず、強いお薬は低用量処方を試みることにしています。

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前立腺ガンが生まれる理由

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前立腺ガンは、前立腺の外腺(辺縁領域)に多くできます。その理由は、いろいろと言われていますが、前立腺の構造学的観点から考えてみます。
このイラストは、胎児11週目の下部尿路を表現しています。
まず、尿道から前立腺の原基である芽が出てきます。それが、中心領域と辺縁領域です。

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中心領域と辺縁領域がある程度の成長後に、遅れて移行領域が発芽します。
中心領域と辺縁領域の成長がある程度で休んでいると、移行領域の発育がますます大きくなり、尿道の前側から後ろ側に、尿道を覆いかぶさるように発育します。その結果、移行領域と中心領域が1つに融合して内腺になるのです。

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内腺はドンドン発育し大きくなり、次第に辺縁領域を外側に圧迫することになります。
辺縁領域=外腺は、内腺による圧迫と、硬い繊維組織でできている前立腺被膜の間に、ギューギューと挟めれ常に圧迫刺激を受け続けます。
40歳過ぎてから、内腺はますます大きくなって前立腺肥大症になりますから、外腺は更に一層圧迫されます。また、前立腺肥大症で排尿障害が出現し、排尿の際に排尿圧力が前立腺に直接かかり、外腺はトコトン刺激を受けます。
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つまり、前立腺外腺は、前立腺が生まれた時は辺縁領域として、出産後は外腺として、40代以降は内腺にできた前立腺肥大症に強く圧迫される外腺として、何回も圧迫刺激を受け続けています。そして、男性ホルモンであるテストステロンの変動刺激を胎児の頃から6回も受けています。これほど物理的刺激・化学的刺激を受ける窮屈な分泌腺は生体内には存在しません。外腺にガン細胞が生まれても不思議ではないでしょう。

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ガンの5年生存率(週刊現代の記事から)

今日4月2日月曜日に発売された週刊現代で、治る「がん」治らない「がん」というテーマの記事がありました。記事の根拠になるデータは、全国がんセンター協議会の統計から得ているそうです。
各臓器のガンを年代別(50代・60代・70代)・ステージ別(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・Ⅳ)で記載されています。ガンの特徴を著しく表現できるのが、60代のステージⅢ(臓器の外側に浸潤)だと思います。そこで、ここに簡単にまとめてみました。
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肺がん: 35.1%
胃がん: 49.4%
直腸がん: 89.3%
結腸がん: 87.8%
肝臓がん: 8.4%★
膵臓がん: 6.0%★
腎臓がん: 58.2%
食道がん: 42.3%
胆嚢がん: 10.9%★
前立腺がん: 100.0%※
膀胱がん: 58.9%
甲状腺がん: 99.3%※
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このデータを見て、いかが思われましたか?
ガンとして恐怖しなければならないのは、生存率70%以下のガンだと思います。なぜなら3人に1人が5年持たないからです。そのようなガンが、肺がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、腎臓がん、食道がん、胆嚢がん、膀胱がんです。特に、★で印したガンは、5年間に10人に1人しか生き残れません。
それらのガンと比較すると、前立腺がんや甲状腺がんは、同じガンとは思えません。有名な先生が唱えた「ガンもどき」と考えることができます。
記事の中では、前立腺がんは治療法が進歩したので、生存率が良くなったと言うことでした。それにしても、前立腺がんと甲状腺がんの生存率は断トツで高過ぎませんか?そういう意味では、前立腺がんは、「ガンもどき」かもしれません。前立腺の中に眠っている時は、「ガンもどき」で針生検で発見されると「癌」になってしまうのかもしれません。もちろん、「ガンもどき」から「癌」になるものもあるでしょう。そのタイミングを見つけるのが、PSA検査+触診+エコー検査かもしれません。

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膀胱とと直腸は双子の兄弟

以前にも、膀胱の発生学的構造について解説しました。

前回、解説に使用したイラストは、発生学専門書から引用したものでした。医師や医学生であれば、容易に理解できる内容でしたが、今回は私がイラストを作り直しました。母体中の胎児の発達状況は、とてもダイナミックなものです。
Sohaisetu1
まずは、胎児の4週の時点で、膀胱の基礎が出来上がります。
それが、「総排泄腔」です。その形はとてもシンプルです。
総排泄腔の前に「へその緒」が繋がっています。
総排泄腔の前後の真ん中辺りにクビレが生じます。
これを「尿直腸中隔」と呼びます。イラストでは「中隔」と示しています。

Sohaisetu2
胎児の6週に成ると中隔というクビレがドンドン深くなっていきます。
深くなるに連れ、総排泄腔の前は膀胱に、背後は直腸になろうと変形します。
つまり、膀胱と直腸は、発生の途中では同じ臓器だったのです。
ですから、出産後に成長して成人になれば、別の臓器と思われますが、神経的には脊髄神経で繋がっている方もおられます。その証拠に、膀胱炎になると便意を催すヒトもいれば、下痢すると頻尿になるヒトも存在します。

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胎児の7週に成ると、尿直腸中隔は完成して膀胱と直腸は完全に分離独立します。
膀胱の末端は、体壁皮膚の外側まで通過して「尿道」になります。
胎児の11週には男性の場合は、この尿道から芽が出て、それが「前立腺」になります。
背後の直腸は、大腸(S字結腸)の末端と接続して、大腸は直腸まで連続します。

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総排泄腔外反症という先天性の病気があります。
この病気は、総排泄腔が胎児の成長過程で分化せずに、膀胱と直腸が分離しなかったために起きる現象です。次回のブログで詳細を掲載します。

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針生検で発見できなかった前立腺ガンの患者さん

患者さんは50代の男性です。
平成29年11月にPSA値が26(正常値4.0)と高く、地元のがんセンターで前立腺針生検(10本)を実施したのですが、ガン細胞が発見されませんでした。その後の主治医対応に納得がいかないので、高橋クリニックに訪問されました。
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初診時の触診では、前立腺がとても大きく、前立腺全体が前立腺肥大症!の雰囲気です。
しかし、前立腺の奥の右上部(膀胱寄り、精嚢腺側)に前立腺肥大症よりも若干堅い硬結が触れます。前立腺ガンと思われます。
私の人差し指がギリギリ届く範囲の距離です。
自分の指の長さが短いと思った時が、自分の診断能力の限界を感じる瞬間です。

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そこで、エコー検査で観察すると、前立腺は114cc(正常値20cc)と5倍以上の大きな前立腺肥大症でした。さらに丁寧に観察すると、前立腺の膀胱よりの精嚢腺手前にガンと思われる陰影が確認できました。この写真の赤い矢印の部分がガン組織です。
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恐らく、前の主治医が事前に十分に下調べもせずに、PSAの値だけで大雑把に針生検した結果だったのでしょう。前立腺肥大症であれば、前立腺針生検の本数を増やさなければ、発見の確率は低くなります。前立腺20㏄で10本ならば針1本当たりの単位体積は2.0㏄ですが、前立腺114㏄だと1本当たり11.4㏄になってしまいます。同じ単位体積にするには、57本もの針生検をしなければ一致しません。しかし、現実的には無理です。なぜなら、本数を重ねる毎に前立腺がグチャグチャになってしまうからです。
この患者さんのガン発見のためには、エコー所見を参考に、イラストのように針を5センチ程先に刺入させ、その場所からパンチ刺入すればガン組織を採取できるでしょう。

エコー所見では、陰影が丸味のある形状をしていますから、悪性度は低いものと思われます。先ずはプロスタールを処方しました。前立腺肥大症が小さくなると同時にガン組織も小さくなるでしょう。

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神経因性膀胱の誤解

膀胱の収縮力低下の結果、オシッコが出なくなるのが「神経因性膀胱(しんけいいんせいぼうこう)」と呼ばれる病気です。
泌尿器科の医師は、男性で前立腺が大きくなく残尿量が多ければ、神経因性膀胱と簡単に診断します。また、女性の場合も残尿量が多ければ、やはり神経因性膀胱と診断してしまうのです。その理由は、単純に膀胱の収縮力がないからだということです。そして、脊髄神経や脳の精密検査を行い、脳梗塞の後遺症だ、椎間板ヘルニアせいだ、馬尾神経障害だ、二分脊椎だ、過去の骨盤内手術の後遺症だなどの理由に、「治りません!」と簡単に結論づけるのです。さらに、治療手段は、「膀胱カテーテルを一生留置するか、自己導尿しかありません!」とワンパターンの回答です。これを聞いた患者さんはお先真っ暗です。
ここには、『神経因性膀胱は絶対に治らない』という思い込みが医師にあるのです。

このイラストは、排尿の際の膀胱周囲の物理的力を表現しています。
Mechaurination排尿するまでの下部尿路のシステムを順番に説明しています。
①自分の意志で尿道括約筋が開く
②呼応して自律神経で膀胱括約筋が開く
③蓄尿の重量(重力)
④膀胱が収縮する
⑤各臓器の自重(重力)がかかる(膀胱は内臓の中で最低位置)
⑥腹筋・腹圧がかかる
以上の6つの要素が作用して排尿します。
この中で、物理的力が一番強いのが腹筋・腹圧で、2番目が各臓器の総重量、3番目が膀胱収縮力です。その3番目の強さの膀胱収縮力が無くなったからと言って、オシッコが本当に出なくなるでしょうか?どう考えても、他に原因があると思えてなりません。

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ここで、誰でもできる簡単な実験をお示しします。
ビニールの点滴バッグ溶液に着色(左の写真)し、点滴を全開にします。5分ほどで中身は空っぽになります。どう見ても当たり前の光景です。点滴パックに外から圧力は全く掛かっていません。点滴を全開にしたので、溶液の重量(重力)だけで空っぽになったのです。
この点滴バックを膀胱に例えれば、収縮力のないからと言う理由で、神経因性膀胱に残尿が認められる現象が理解できません。なのに神経因性膀胱と呼ばれる病気は、なぜ、オシッコが出なくなるのでしょうか?
膀胱はこの点滴バックに比較して、蓄尿の重量以外に腹筋・腹圧、臓器の重さの3つの出力の要素が健在しているにもかかわらず、オシッコが出ないのです。理由は簡単です。膀胱出口が開放しないからです。その原因は膀胱頚部硬化症(男女共通)か前立腺肥大症(男性のみ)です。ですから、『神経因性膀胱は治せない』病気ではなく、『膀胱出口の緊張を緩めるαブロッカーの投与や、内視鏡手術(TUR-Bladder neck)』を実施すれば治ります!

医師は目の前の現象を正確に緻密に理解し、苦しんでいる患者さんを助けるのが使命です。膀胱収縮力が低下したからオシッコが出ないなどと素人的発想で安易に臨床を済ませないでほしい。学生時代に習った解剖学・生理学を駆使して患者さんを助けろ!疲弊した膀胱を分類するために無意味な検査(膀胱内圧・筋電図など)して、データを集めて遊ぶのはヤメろ!

神経因性膀胱の患者さんが自己導尿でカテーテルを使えば、容易に排尿できます。膀胱の収縮力とは無関係です。膀胱出口が単に開放されれば、排尿できるのです。


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