読字障害
先日、NHK番組の特集で「病の起源 読字障害」という番組を見ました。
字を見てもなかなか理解できない、意味不明の記号にしか見えないという感覚の病気です。欧米人の10%、日本人の5%に程度の差こそあれ、この障害を持つ方が存在するそうです。
歴史的に有名な人が、この障害を持っていたとされています。
CNN創業者テッド・ターナー、自動車王ヘンリー・フォード、ウォルト・ィズニー、アメリカ初代大統領ワシントン、マトリックスのキアヌ・リーブス、大脱走のスティーブ・マックイーン、ゴッドファーザーのマーロン・ブランド、ミッションインポッシブルのトム・クルーズ、黒柳徹子さん、ジョン・レノン、ベートーベン、モーツアルト、モハメッド・アリ、ベーブ・ルース、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチ、岡本太郎、ピカソ、稀有の建築家アントニオ・ガウディ、物理学者でボーア、ファラディなどなどきりがありません。
この話を妻と話していたら、私たちが何気なく書いたものを黙読しているが、この能力は明治になってから外国から輸入された文化だそうです。それまでの日本、江戸時代の文盲率は低かったのですが、一般庶民は字を読む時に必ず声を出して音読しないと読めなかったそうです。声を出さない、いわゆる黙読はインテリの階級しかできない能力だったそうです。
時代劇で、御触書きを誰か一人が大きな声を上げて読み上げているシーンを『字を読める者がみんなのために読み上げていた』と思っていましたがそうではなったのです。そうでもしないと、その場にいる全員が口々に大声を出して読み上げることになり、混乱するからなのです。
また同じく時代劇の中で、武家の子弟が書架の前で正座をし声高々に「子のたまわく・・・」というシーンは、『大袈裟な』と思っていましたが、事実、当時の子どもだからこそ声を出さないと読めなかったのです。
現代人が当たり前に行なっている「黙読」は、日本人が西洋から輸入した「黙読」文化であり、明治の教育によって訓練されて得た能力だったのです。現代人の歩き方も西洋から輸入した文化です。右足が前に出るときには左手が前に出るという歩き方です。この歩き方は軍隊行進の歩き方です。富国強兵を推し進めていた明治政府が国民全員を兵士にしようとしたのでしょう。日本人本来の歩き方は手を振らない歩き方です。
NHK番組の受け売りですが、「字」を読むためには、目から得た字の図形情報を大脳後頭葉で受け、その図形情報を音情報に変換して、音として読んでいるのです。つまり「字」という記号・図形情報を頭の中で音として聴いているのです。
読字障害は、この一連の流れの中で図形情報→音情報変換システムの障害に他なりません。
この病態生理が真実であれば、私たちは文字を読んでも視覚で直接理解している訳ではなく、間接的に音で理解していることになります。「黙読」をスムーズに運営させるためには、図形情報→音情報変換システムをフル稼働させなければならないことになり、脳神経のエネルギー浪費になるでしょう。それから考えると、「音読」は、図形情報→音情報変換システムに100%依存しなくなるので(文字を見て読んでいる以上、ゼロとは思えません)、脳神経のエネルギー消費が少なく、理解が直接的で速まり、その分、記憶力強化につながるのかも知れません。
速読法という読書法があります。1冊の本を1分ほどで読み理解するという方法です。読書量や情報量が増え、現代社会の一部のエリートたちには歓迎されている技・超能力です。この読書法は、図形情報→音情報変換システムを経由せずに、視覚情報を直接理解する訓練の結果なのでしょう。IQの高い人たちには効率的で適した方法でしょう。でも高校生の頃、音読で試験を乗り切った非効率的な私の頭には苦手な方法です。流通業界の識別認識システムのコンピューターのようで好きになれません。
過去の読字障害でありながらも名を馳せた人たちを見ると、IQの高さと社会で受け入れられる才能(EQとします)の高さとは別物であることが分かります。IQもEQも高い人、IQだけが高い人、EQだけが高い人、IQもEQも程ほどの人、どちらもない人、中間タイプの人、おそらく人間は脳の活動からみれば、この5タイプでしょう。あなたはどのタイプですか?
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