お妾(めかけ)さん
風邪で来院した患者さんが体験したお話です。
今から15年前、彼が独身だった頃の2月、そう今頃です。6畳の部屋で一人で寝ていると、深夜に突然寝苦しくなり、急にかけ布団ごと誰かにガバっと上半身が起こされました。
すると目の前に40歳代の女性の姿がありました。恐くて仕方がありません。この日を境に、この現象が1ヶ月も続き、屈強な彼もさすがに精神的にまいってしまいました。
家族に相談して、そっちの方のスペシャリストを呼んでもらいました。その方の支持で部屋をいろいろ捜してみると、仏壇の奥に小さな木魚があり、さらにその奥に亡くなった祖父のアルバムを見つけたのでした。心霊写真と思しき写真が何枚かありました。もちろん、まともな写真があり・・・その中に・・・祖父のお妾さんの写真があったのです。その顔・姿が深夜に突然に現れるご婦人その人だったのです。【お妾さんの浮世絵】
そのお妾さんはすでに亡くなっていますが、彼女の命日が話しをしている患者さんの誕生日と同じだという偶然が重なり、さらにその年が亡くなって50年、50回忌の年だったのです。
そこで成仏してもらおうと、スペシャリストの方に祈祷をしてもらうことになりました。角部屋で三方が窓になっている部屋です。部屋を閉めきり部屋の真ん中に線香を一本立てました。読経しながら線香に火をつけました。線香の煙が初めの内は一本線になってゆっくり立ち昇っていました。しかし次第に「ボッボッ」とあってはならないリズムを取りながらお線香が燃え始め、アッと言う間にその線香は燃え尽きてしまいました。
スペシャリストの方が「窓を開けてこの部屋の魂を解放しましょう!」と言って、一斉にすべての窓を開放しました。窓を背にして座っていた患者さんは、突然ガクッとなって気持ちが悪くなりゲーゲー吐き始めました。
スペシャリストの方が、「窓を背にして座り、魂の通り道を邪魔したので・・・」と言って霊的な処置を施してくれ、事なきを得ました。
その後、深夜のこの怪奇現象は起こらなくなりました。患者さんの診察の時間よりも、このお話を聞いていた時間の方が長かった・・・ある日の暇な診察室での出来事でした。
| 固定リンク
« 工事の人は何処へ? | トップページ | 願い »
コメント