症状のない淋病・クラミジア感染症(2007年日本性感染症学会レポート#4)

12月2日(日)のランチョンセミナー「淋菌、クラミジア、マイコプラズマの拡大防止策」というテーマでありました。
札幌医科大学の高橋聡先生が講師です。
Asympgono全くの健常人204人に淋菌検査を行なったところ、陽性はゼロだったという報告です。
要するに、淋菌感染症で無症状の人間はいないという結果です。
臨床現場では、無症状だが淋病が心配だという患者さんが来院しますが、そのような患者さんは淋病はないという結果です。
Asympcl上記の報告の流れで、全くの健常人204人にクラミジア検査を行なったところ、陽性率は204人中7人で3.4%であったという報告です。
クラミジア感染症の場合、無症状でも安心できないという結果です。
Sympgono

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STDの咽頭感染(2007年日本性感染症学会レポート#3)

Gonocla1東京女子医大東医療センター耳鼻咽喉科と宮本町中央診療所の研究報告です。
淋菌とクラミジアの咽頭感染が懸念されている昨今、実際の統計として報告しています。
男性で16%、女性で21%の咽頭感染の陽性率です。STD感染が心配な患者さんのうち10人に1人~2人は感染していることになります。

Gonocla2同じ研究報告の別の観点からです。
淋菌・クラミジア感染の咽頭感染・性器感染を調べた結果です。
性器感染は認められなくても、咽頭感染は認める場合が少なからずあるという驚くべき事実です。
臨床医からすると、性器感染がなければ咽頭感染はないだろうと考えるのが普通です。
ですからこの結果は臨床医にとっては盲点になります。
Gonocla3逆に、性器に淋菌・クラミジア同時感染している女性の咽頭感染率は、クラミジア感染が26.1%、淋菌感染が14.3%です。かなりの数字です。

【注意】
高橋クリニックではSTDの咽頭検査は行っていません。

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尖圭コンジローマ治療の新時代(2007年日本性感染症学会レポート#2)

Condy200712std12月2日(日)に昨日と引き続き日本性行為感染症学会に出席しました。
今回はコーヒーブレイクセミナーです。共済は持田製薬です。なぜ持田製薬か分かりますか?尖圭コンジローマ治療新薬のベセルナクリーム5%を販売している会社だからです。
待ちに待った薬が今月12月にやっと販売になります。この記事をお読みの方もルンルンでしょう。
Condy200712std1この講演を聴いていたら、どこかで見たことがある組織の写真が出ていました。『似ているなぁ?』と思ってみていました。自分のクリニックに返って確認してみたら、やはりそうです。私の作成した組織のスライドと同じなのです。
Condmicroよくよく考えてみたら、以前に持田製薬から私の作成したブログの写真を使用させていただきたいと申し出があって、了承したことを思い出しました。年はとりたくないものです。すぐに忘却ですから・・・。
でも、大学病院の専門家に一開業医である私の作成した組織スライドが認められたということは、ある意味名誉なことです。チョッと嬉しい・・・。
Condy200712std2このスライドはHPVの攻撃細胞を的確に示しています。
HPV6型・11型は扁平上皮細胞のみを攻撃します。これが尖圭コンジローマの原因になるのです。
HPV18型は子宮頚部の腺細胞を攻撃し、HPV16型も子宮頚部の腺細胞と異型性細胞を攻撃します。これが子宮頸癌になるのです。
尖圭コンジローマの原因であるHPV6型11型は子宮頸癌にはならないのです。
Condy200712std3尖圭コンジローマ感染者は、ここ10年足らず(1999年~2005年)で2倍に増えています。性感染症の分野で治療法に限界を感じた時に、ベセルナクリームが登場です。

Condy200712std4ベセルナクリームの主成分であるイミキモドは、免疫細胞にスイッチを入れ炎症を起こさせる薬です。
その炎症によって、ウィルス感染した細胞の自滅とウィルスそのものの死滅を謀るのです。有名なインターフェロンが介在しています。
Condy200712std5ベセルナクリームの刺激により、自然免疫と獲得免疫の両方の免疫作用により尖圭コンジローマは死滅します。
しかし、獲得免疫はベセルナクリームの主成分であるイミキモドの介在があって初めて形成された獲得免疫ですから、再感染の可能性は十分あります。すなわち、尖圭コンジローマが治っても尖圭コンジローマの免疫はできません。尖圭コンジローマの感染機会があれば、何度でも感染し発症する可能性があるのです。

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ヒトパピローマウィルスHPVのワクチン(2007年日本性感染症学会レポート#1)

12月1日(土)・2日(日)に大手町のサンケイプラザで日本性感染症学会 第20回学術集会に参加しました。
学会会長の慈恵医大の小野寺昭一教授が、大学の先輩だったので、挨拶がてら参加しました。
Hpvv200712std尖圭コンジローマの治療新薬のベセルナクリーム5%の発売もあってか、ヒトパピローマウィルスHPVに関する演題が多かった気がします。
ランチョンセミナーが12時半からあったので聴講しました。
ランチョンセミナーとは軽い昼食をしながら、ある病気の治療・診断で最先端のスペシャリストのお話を聞くというものです。
Hpvv200712std1聴講する全員にお弁当が出されます。
講師がアメリカ人だったので、同時通訳のイヤホーンキットが配布されました。
右のソニー製の器械です。
Hpvv200712std2講師はアンナ・バーバラ・モスキッキ医師です。
テーマはヒトパピローマウィルスHPVのワクチンについてです。

Hpvv200712std4ヒトパピローマウィルスHPVはご存知のように子宮頸癌の原因とされています。
日本人女性10万人に8人罹患率で、全年齢の女性の7番目の死亡原因の病気であり、15歳~44歳女性死亡原因の2番目に多い病気です。死亡率は10万人に2.8人です。
Hpvv200712std5日本人女性子宮頸癌の内、ヒトパピローマウィルスHPV罹患率は81.6%であり、ヒトパピローマウィルスHPV16型・18型に限れば、52.1%です。
すなわち、子宮頸癌の患者さんのうち半数の方に、HPV16型・18型に感染していたということになります。
Hpvv200712std11このヒトパピローマウィルスHPVと子宮頸癌には、ある相関関係があり、ウィルス感染が長ければ長いほど子宮頸癌になるのだろうということです。
赤いラインがヒトパピローマウィルスHPV・ハイリスクHRの罹患率です。青いラインが子宮頸癌の罹患率です。HPV罹患率は若年者で30%くらいですが、35歳以降に10%前後で推移して、それ以上下がりません。したがって、HPVは感染しても90%の方は自然治癒しますが、残り10%の方に感染が継続します。感染継続が10年ほどになると子宮頸癌の罹患率が上昇してきますから、【感染+感染期間】が子宮頸癌の発症と深く相関しているらしいというのです。
Hpvv200712std7先ほどのスライドでも分かるように、20歳未満のHPV罹患率は30%と高いです。これには理由があり、女性の子宮頚部が思春期前だと扁平上皮に覆われていなく円柱上皮がむき出しに露出していて、HPVの感染が容易になるからです。
成人女性になると、子宮頚部が扁平上皮に覆われるので、HPV感染しにくくなります。
Hpvv200712std8右のスライドは、上の内容を示す実際の写真です。
左が思春期前、中央が思春期、右が成人です。

Hpvv200712std10さて、アメリカでは子宮頸癌用のワクチン(16型・18型)と尖圭コンジローマ用のワクチン(6型・11型)の両方の予防ワクチンができています。
全部混合した4価(6型・11型・16型・18型)のワクチンを接種したグループと摂取しないグループで効果をみた研究のスライドです。
子宮頚部に病的所見の見られた女性の中でワクチン接種4616人中HPV6・11・16・18型検出陽性はゼロ!未接種4675人中同検出陽性は52人でした。
驚いたことに、HPVの別の型検出陽性は38人で、未接種の検出陽性62人に比較して低率になり、他の型のウィルスも抑制されました。
Hpvv200712std9各国で若年者にHPVワクチン接種を薦めています。
アメリカでは9歳から18歳、イギリス12歳から13歳、オーストラリア12歳から26歳、ドイツ12歳から17歳です。子宮頚部の未成熟な思春期前にワクチン接種でHPV感染から女性を守ろうとするのが世界的趨勢です。
日本でこのワクチンが承認されるのは、おそらく2年から3年後でしょう。

子宮頸癌のウィルスは16型・18型・50番台の型が主です。6型・11型のウィルスは尖圭コンジローマの原因であって、決して子宮頸癌の原因ではないということを知っておいてください。婦人科医の中には尖圭コンジローマ→子宮頸癌へ移行すると誤解している医師が存在します。患者さんの自衛策として注意が必要です。

【注意】
私は婦人科医ではないので、女性性器の病気に関するご相談は、まず婦人科医を受診して下さい。
それでも解決しない場合に限って、セカンド・オピニオンで当院を受診するのはOKです。

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ヒトパピローマウィルスHPVのご婦人感染・罹患率

15歳~29歳の若い女性のヒトパピローマウィルスHPVの罹患率は平均40%です。
年齢別に詳細に分類すると、
●15歳~19歳:45%
●20歳~24歳:40%
●25歳~29歳:30%
です。20歳未満のご婦人の感染率がとても高いのに驚かされます。このデータは首都圏のデータではないので、首都圏・都内のご婦人の場合、これ以上の感染・罹患率である可能性が高いと考えれられます。

ヒトパピローマウィルスHPVは子宮頸癌と尖圭コンジローマの関連ウィルスですから、これを子宮頸癌危険度で分類すると、
●high-risk(子宮頸癌危険群:16・18・45・56型DNA):23.6%
●intermediate-risk(子宮頸癌中等度危険群:31・33・51・52・58型DNA):20.0%
●low-risk(尖圭コンジローマ群:6・11・42・43・44型DNA):3.6%
となります。

尖圭コンジローマウィルスの罹患率は、若いご婦人のヒトパピローマウィルスHPV罹患率が約40%で、low-riskが3.6%ですから、次の計算式で求められます。
【0.4×0.036=0.0144】
すなわち、1.44%の確率で若いご婦人が尖圭コンジローマウィルスに罹患している計算になります。具体的には、若いご婦人の100人に1人~2人は尖圭コンジローマウィルスをお持ちになっていることになります。

※参考資料:日本性行為感染症学会誌2001年第12巻 第1号

【注意】
女性性器に関する病気は全て婦人科の診療範囲の病気です。ですから、女性性器の病気でお悩みの時には、始めに必ず婦人科を受診して下さい。婦人科を受診しても尖圭コンジローマのように治りが悪い場合には、高橋クリニックでもご相談を受けます。


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