尖圭コンジローマと誤診

はじめまして。

高橋先生に御相談したく、先生のブログに書き込みをさせて頂きましたがスパムメール?になってしまいメッセージが載せられない為、直接メールさせて頂きました。
○○○○在住○○○○と申します。宜しくお願い致します・・。

2、3日まえから陰部に痒み、痛み、それに伴い赤くはれ上がってきたので、本日、産婦人科にいってきました。
(そこは初めて行く病院でしたが、職場に近くホテルの様に綺麗で、患者さんも多く通っているらしくネットでみて好感がもて行ってみる事にしました。)

症状を話し、診察してもらったところ上記の症状はあまり見てもらえず、「尖圭コンジローマかもしれないなぁ。組織検査しよう」と、うも言わさず先生は組織を取り始めたのですが、麻酔したほうがいいなぁ・・といいながら結局麻酔が見当たらずそのまま組織採取。

その激痛に驚き、初めは我慢をしたのですが5.6箇所組織をとったのでしょうか、途中あまりにも痛いので「痛た・・・先生まだですか・・」と思わず言ってしまったほどでした。(私は割りと痛みには強い方なのですが・・)
先生は「うん、まだだよ。」と一言。
労わりのことばも励ます言葉も無く看護婦さんも見ているだけで、希望もしてない子宮頚部がん検診もやり(体部がん検診は今年1月、子宮頚部がん検診は2年前にやったと言ったのですが・・)
診察が終わって待合室に戻っても陰部が熱いわ痛いわで思わず泣いてしまった程の痛みでソファーに座る事も出来ませんでした。
産婦人科ってこんなんだったっけ?・・・と考えてしまいました・・・。

その後診察室に呼ばれ先生のお話で「組織検査の結果が2週間位で出るかそれまでは確定ではないが多分コンジローマだから焼くしかないね・・。」との事・・・。
私:「検査結果の日に焼くんですか?」
先生「いやいや、今度は焼くんだから麻酔しないとものすごい痛いからちゃんと日にち決めてやらないとだめだよ」との言葉・・・。
私は今日の組織検査もこんなに痛いのに!・・・と恐怖と不安でいっぱいになり、そのあとも、「性交渉で感染するんだよ。家庭の揉め事になるから、あんまりいえないけどあなたに非が無ければ旦那さんかなぁ・・もめないでね・・」と言うようなことも言われました。

結局、当初の痛痒い症状の結果は、「多分コンジローマからガンジタにもなるから、カビだと思うよ。一応軟膏出しておくから使い捨ての手袋かって塗ってね。」となんとも後味の悪い、又、ふに落ちない診察になってしまい
帰りも痛くてとてもバイクにも乗れなかったので、主人に迎えに着て貰い帰宅後早々に横になりながらPCを開けコンジローマを調べていたところ高橋先生のブログにたどり着き先生の丁寧な回答の文章に引き寄せられメールをさせて頂いた次第です。

事の成り行きを思わず書き留めてしまいましたが、他に相談しようが無くこんな唐突なメールになってしまってすいません・・・
ただ、ホントに痛かったんです・・・。

そこで高橋先生に2,3質問させて頂きたいのですが

①組織検査ってこんなにいたいのですか?(検査結果では他の病院に行ってみようかと思ってるのですがまたこの痛みをしなければならないと思うと苦痛で・・)

②治療の際、そのイボに麻酔をすると言われたのですが針で患部をさすのでしょうか?痛いですか?

③焼くとは・・やっぱり痛いんですか?

治療方法はPCで検索して、わかりましたがそれに伴う痛みがどの位なのか心配なのです。
私の思う所、先生がブログに載せてくれている患者さんの写真のようなイボのような症状は見当たらなかったので
ホントにこの病名を言われてビックリし、不安でたまりません・・。

お時間が出来たらで結構ですので、どうぞ御回答宜しくお願いします。
長文、乱文失礼しました・・・・。
                  
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
お答えいたします。

①組織検査ってこんなにいたいのですか?(検査結果では他の病院に行ってみようかと思ってるのですがまたこの痛みをしなければならないと思うと苦痛で・・)
【回答】
麻酔を行なわなければ、痛いです。この医師の資質が問題です。

②治療の際、そのイボに麻酔をすると言われたのですが針で患部をさすのでしょうか?痛いですか?
【回答】
イボの直下に麻酔します。

③焼くとは・・やっぱり痛いんですか?
【回答】
麻酔が効いていれば無痛です。

尖圭コンジローマではなく、膣前庭乳頭症ではありませんか?
膣前庭乳頭症は痒いのが特徴です。
尖圭コンジローマは痒くありません。

お大事に。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
高橋先生

御回答ありがとうございました。
お礼が遅くなってしまい申し訳ありませんでした。

先生からの回答を見て、検査された内容がどうしても納得が行かなかったので、他の産婦人科に行ってきました。
結果、やはり尖圭コンジローマではありませんでした。
前病院には怒りを抑えきれない気分ですが、今回診察してくれた先生が、診察内容を詳しく説明してくれたので、私自身安心しております。

高橋先生のご回答で再院の決心がつき大変感謝しております。
ありがとうございました。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
お答えいたします。

悩みが解決して良かったですね。

貴方の体験したエピソードは、たくさんのご婦人が経験しています。
不幸な方を作らないためにも、貴方とのメールのやり取りを匿名でブログに掲載してもよろしいでしょうか?
お返事をお待ちします。

お大事に。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

高橋先生。

私のような辛い経験をする方が、減る事を切実に願っております。

2回目に行った婦人科の先生は、きちんとした説明もして下さいましたし、何より気持ちを察してくれての診察でしたのでとても安心できました。
コンジローマだとまず自分が気づいて診察しに来る患者さんが多いとのこと。
そして、きちんとコンジローマの説明もしてくださり、私の場合、イボは見当たらず先生もどうしてそんなやり方をするのか信じられないとおっしゃっていました。(傷口も、化膿してないから、もう少しすればよくなってくるよ。と・・今日あたりから気にせず歩けるようになりました。)
結局カンジタの症状がでていて、外部の塗り薬だけだといつまでも治らないのできちんと中から治しましょうと丁寧に処置してくださいました。

余談ですが
誤診をした婦人科の院長は、業界内?でも人悶着ある先生だったみたいで、今回の件も、完治せずに、いつまでも病院に通うように塗り薬だけにしたのではないか・・と、ご立腹でした。

婦人科は女性にとってはナイーブな所の問題です。
意をけっして、診察に行く方も多いところで、病院の情報も収集しにくいと思います。その中で、今回のような事が多く起こっているのであれば患者の私達はとても切ないです。私がされた事が誰かのお役に立てるのであれば幸いなことです。

簡単ですが経過も記載しましたので、どうぞお役立てくださいませ。

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薬局で購入可能な口唇ヘルペス治療のアクチビア軟膏で・・・

Activir
最近のテレビCMで、口唇ヘルペス治療薬のアクチビア軟膏が大々的にオンエアされています。
抗ヘルペス剤が実は尖圭コンジローマに有効であるのは、もうご存知ですね?
この軟膏は薬局で処方箋なしで購入できます。尖圭コンジローマでお悩みの方はお試し下さい。効果があるかも知れません。もちろん自己責任で・・・。

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ヒトパピローマウィルスHPVと黒塗りベンツ

「ヒトパピローマウィルスHPVと黒塗りベンツ」意味不明でしょう?

以前にヒトパピローマウィルスHPVの遺伝子タイプと病気について述べています。
しかし、このことを理解せずに子宮頸癌のウィルスと尖圭コンジローマのウィルスを混同される患者さんが多く、必要以上に怖がっています。そこで再度ここで説明しましょう。

ヒトパピローマウィルスHPVは、例えると遺伝子が乗った乗り物です。ヒトパピローマウィルスHPVの遺伝子は90種類のタイプがあり、1つの種類にさらに幾つかの亜型(サブタイプ)があります。すなわち、ヒトパピローマウィルスHPVの遺伝子家族は、サブタイプも含めれば、何百という大家族なのです。

尖圭コンジローマは6型と11型、子宮頸癌は16型と18型と31型です。ボーエン様丘疹と有棘細胞癌と陰茎癌は同じ16型ですが、別々の症状(表現形)から、恐らくは16型のサブタイプの家族なのでしょう。

ところが、尖圭コンジローマの患者さん(ご婦人)は、尖圭コンジローマ=子宮頸癌だと誤解し、恐れおののくのです。また、婦人科医の中にも、追い討ちをかけるように「尖圭コンジローマ=子宮頸癌」と断言する無茶苦茶な医師がいるので、誤解の被害が拡大するのです。

Bentz参考写真:内容とは無関係です。
黒塗りベンツは富裕層が乗る乗り物として有名ですが、その昔、一般的には「その筋の人」が乗り回す車のように思われていました。
ところがベンツに乗る人は、その筋の人ばかりではなく、会社社長・重役・医師・弁護士・代議士・大物タレント・趣味の人など多種多様の人物が乗っています。

「尖圭コンジローマ=ヒトパピローマウィルスHPV=子宮頸癌」という偏見は、「黒塗りのベンツ=その筋の人」という誤解と同じです。
「言葉のつじつまが整合していれば、正しい知識」という誤解がこのような悲劇を生むのです。日常生活であれば、それで十分でしょうが、病気という非日常の場合は事情が違います。医師も患者さんも、病気と言葉の定義をもっと正確に把握しましょう。

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軟膏治療で1年

私のオリジナル軟膏(アルダラも5-FUも含まれていない軟膏)を初診でいらした尖圭コンジローマの患者さんに、まず処方します。処方内容は、このブログを参考にして下さい。
1ヶ月で反応や効果がなければ、あるいは増悪するようであれば、電気焼灼手術を選択しますが、中には根気強く軟膏治療を続けていただける患者さんがおられます。
Cond19925m40【平成18年10月】
この患者さんは40歳男性です。初診の4ヶ月前から気がつきました。
治らないので高橋クリニックに来院されたのです。
写真で示すように、肛門が見えないほど尖圭コンジローマで覆われています。
これ以上を放置すると、尖圭コンジローマのイボの先端が腐り始めて、悪臭を放つようになります。
この写真からは、腐った所見はありません。

Cond19925m402【平成19年3月】
5ヵ月後の所見です。
尖圭コンジローマが間引かれているのが容易に観察できます。
効果が出ています。

Cond19925m403【平成19年6月】
8ヵ月後の所見です。
まだ、ちらほら確認できますが、初めと比較したら「天と地」・「月とスッポン」です。

Cond19925m404【平成19年10月】
治療開始1年後です。
ほぼ完全に治っています。
今までは、毎日2回のペースで軟膏を塗っていただいでいましたが、今日から1週間に1回のペースでお願いしました。

しかし、患者さんはよく通い続けてくれました。頭が下がる思いです。
この患者さんに多福が来ますように!多福招来!(幸という漢字は使いません。幸は危機一髪の危険な状態の際に、やっとの思いで助かって:しあわせという意味だからです)

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胃潰瘍の薬と尖圭コンジローマ

Wart20657m33尖圭コンジローマの治療のため、液体窒素治療を週1回3ヶ月間続けてきた患者さんが治らないので高橋クリニックの門をたたきました。
写真のように、立派な尖圭コンジローマがあり、液体窒素治療のため凍傷状態です。
Wart20657m332高橋クリニックオリジナル軟膏(アルダラも5FUも含まれていません)治療後1ヶ月の状態です。
凍傷は軽快し、尖圭コンジローマも変化がでてきました。

Wart20657m333治療開始後3ヶ月の所見です。
尖圭コンジローマはかなり小さくなりました。あと少しです。

Wart20657m334治療開始後5ヶ月です。
尖圭コンジローマは完全に消失しました。傷も残らずにです。

Wart20657m335このお話の主題はこれからです。
尖圭コンジローマの治療1ヵ月後に、患者さんが指のイボにも軟膏を塗っても良いか?という質問に対して、胃潰瘍の薬を処方しました。もちろん飲んでいただく薬です。イボに胃潰瘍の薬が効くと海外の文献にあったからです。

Wart20657m336すると2ヵ月後には、指のイボに反応が出てきました。

Wart20657m3374ヵ月後には、指のイボがほとんどなくなったではありませんか!
尖圭コンジローマも胃潰瘍の薬との相乗効果で消失したのかも知れません。

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アルダラ、ついに承認!

尖圭コンジローマ患者さんが待ちに待った尖圭コンジローマ治療薬軟膏アルダラが、やっと保健薬として日本で承認されました。
平成17年に臨床治験(私も参加)を行い、2年越しでやっとです。
商品名は、ベセルナクリーム5%です。持田製薬㈱からの販売です。早くてこの秋頃でしょう。10月ごろかな?
こうご期待!

追伸:
9月に承認が取れ発売に一生懸命なのですが、どうやら安定供給に不安があり、10月11日現在まだ発売されていません。
承認から発売まで3ヶ月という国の原則があるので、どんなに遅くても12月上旬には発売になるでしょう。

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性器のイボ(疣贅ゆうぜい) アメリカ泌尿器科学専門書(Campbell-Walsh Urology)の最近の知見

GENITAL WARTS

Diagnosis

Genital warts (condylomata acuminata) are caused by HPV.HPV is a DNA-containing virus that is spread by direct skin-to-skin contact.Over 100 types of HPV exist, and over 30 types can infect the genital area.
Risk factors for acquiring HPV include multiple sexual partners, early age at onset of sexual intercourse, and having a sexual partner with HPV.Most infections are subclinical and asymptomatic.It has been shown that 60% of a group of female college students followed by Papanicolaou smear every 6 months for 3 years were infected with HPV at some point.The median duration of HPV infection was 8 months, with only 9% remaining infected after 2 years (Ho et al, 1998).

External visible warts are typically caused by HPV types 6 and 11.Patients may be infected with more than one type of HPV.Genital warts may appear anywhere on the external genitalia (Figs. 11-12 to 11-14).It has been suggested that inoculation occurs at the site of genital micro-trauma (Frydenberg and Malek, 1993).
HPV has also been found on the cervix, vagina, urethra, anus, and on mucous membranes such as the conjunctiva, mouth, and nasal passages.Intra-anal warts are contracted via receptive anal sex.However, perianal warts are contracted by skin-to-skin contact and not exclusively through receptive anal intercourse.

Add to lightbox page 380 page 381
Figure 11-12 Meatal wart caused by human papillomavirus.

Types 6 and 11 HPV are low risk for conversion to invasive carcinoma of the external genitalia.Some other types present in the anogenital region.Types 16, 18, 31, 33, 35, 39, 45, and 51 have been associated with cervical dysplasia and neoplasm in women and squamous intraepithelial neoplasia in men (Syrjanen 1981;Adam et al, 2000;Kulasingam et al, 2002).Over 99% of cervical cancers and 84% of anal cancers are associated with HPV, most commonly HPV 16 and 18 (Frisch et al, 1997;Walboomers et al, 1999;Kulasingam et al, 2002).Because HPV progresses rapidly in HIV-infected women, cervical cancer is considered one of the illnesses that defines the acquired immunodeficiency syndrome (AIDS).Smoking may increase the risk of dysplastic progression and malignancy in both men and women.

In women, HPV may be associated with nonspecific symptoms, such as vulvodynia or pruritus.Malodorous vaginal discharge may also be a presenting sign, and the high rate of coinfection with other STDs observed in this setting may be a contributing factor.

The diagnosis is usually made through the visualization or palpation of nontender papillomatous genital lesions.Aceto-whitening with 3% to 5% acetic acid placed on a towel and wrapped around the genitalia may show subclinical, flat condylomata appearing as whitish areas.Using this method, it was shown that 50% to 77% of steady male partners of women with HPV infection and/or cervical neoplasia had subclinical HPV infection (Schneider et al, 1988).Conversely, female partners of men with genital warts have a high incidence of HPV infection (Campion et al, 1985).The benefit of evaluating and treating asymptomatic sexual partners of women with genital warts or abnormal Papanicolaou smears remains unclear.
Therefore, routine androscopy is not recommended.Biopsies of genital warts are not routinely needed but should be undertaken in all instances of atypical, pigmented, indurated, fixed, or ulcerated warts.In addition, biopsy should be performed if the lesions persist or worsen after treatment and in immunocompromised patients.

性器疣贅(せいきゆうぜい)

診断学的見解

性器疣贅(尖圭コンジローマ)は、HPVが原因である。HPVは、直接の皮膚から皮膚への接触によって広げられるDNA型ウイルスである。HPVの100タイプ以上が存在し、30タイプ以上は性器に感染することができる。HPVに感染するためのリスクファクタは次の通りである。複数の性的パートナー、性交年齢が若い、HPV感染の性的パートナーがいる。大部分の感染症は無症状で、症状がない。3年間に6ヵ月ごとパパニコロー塗沫標本でフォローした女子大生グループの60%に複数の検査時期でHPVに感染していたことを示された。2年間超えても感染が続いたのはわずか9%で、HPV感染症の持続期間中央値は、8ヵ月であった。(Hoら1998)

外陰部の視診可能な疣は、通常はHPVタイプ6と11が原因である。患者は、複数種類のHPVに感染している可能性がある。性器疣贅は、外陰部(図11-12~11-14)のどこにでも現れる。感染接種が性器の微小外傷の部位で起こることが示唆された。(Frydenbergとマレク1993)HPVは子宮頸部、膣、尿道、肛門、様々な粘膜(例えば結膜、口、鼻腔のような)で見つかりもした。肛門内の疣贅は、受けた肛門性交を経て感染する。しかしながら、肛門周囲疣贅は、もっぱら肛門性交だけでなく、皮膚から皮膚への接触で感染する。

lightbox 380・381ページを追加
図11-12 外尿道口疣は、ヒトパピローマウイルスによっての原因となった。

タイプ6と11のHPVは、外陰部の浸潤癌への変異リスクが低い。わずかであるが他のタイプは、肛門性器部で現れる。タイプ16、18、31、33、35、39、45と51は、男性で女性と扁平上皮内異常増殖で子宮頸部異形成と腫瘍を伴った(Syrjanen 1981;アダムなど、2000;Kulasingamなど、2002)。HPVは、子宮頸癌の99%以上と肛門癌の84%以上にHPV、最も一般的にHPV 16と18と関連する。(フリッシュら1997;Walboomersなど、1999;Kulasingamなど、2002)。
HPVがHIV感染女性で急速に悪化するので、子宮頸癌は後天性免疫不全症候群(AIDS)を定義する疾患のうちの1つと考えられる。喫煙は、男女両方に、形成異常の進行と悪性の危険度を増す可能性がある。

女性において、HPVは非特異性の症状、例えば陰部掻痒症や単なる掻痒症、を伴う可能性がある。悪臭のおりものは感染のサインである可能性もある。このような状況で観察される他のSTDの同時感染の高い率は、一因である可能性がある。

診断は、通常、無痛性の乳頭状性器病変の視診や触診を通してなされる。3%~5%の酢酸によるアセト漂白は、タオルにしみ込ませ、性器をくるむと、視診では分からない平坦なコンジロームを白変病変として示してくれる。
この方法を使用して、HPV感染症(±子宮頸部異常増殖)の女性の視診で確認できないステディの男性パートナーの50%~77%にHPV感染症を有することを示された。(シュナイダーら1988) 逆に言えば、性器疣贅を持つ男性の女性パートナーは、HPV感染症(キャンピオンなど、1985)の高い発病率を持つ。性器疣贅や異常なパパニコロー塗沫標本が見つかった女性のイボの出ない性的パートナーを診断評価し、治療する有益性は、不明なままである。従って、ルーチンのandroscopyは、推奨されない。性器疣贅の生検は、通常必要ではない。しかし、典型的ではない場合、色素沈着がある場合、固い場合、固定された場合、潰瘍状になった場合の疣は、生検が行われなければならない。加えて、治療後や免疫無防備状態の患者で、病変が持続するか、悪化するかを考慮に入れて、生検は実行されなければならない。

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ヒトパピローマウィルスHPVのタイプ別疾患

ヒトパピローマウィルスHPVのDNAの型別と尖圭コンジローマなどの疣の状態の質問が多いので、専門書のデータから引用します。
Hpvtype【戸田新細菌学 南山堂 291ページ】
皮膚・粘膜の原発性腫瘍性病変のほとんどに、ヒトパピローマウィルスHPVが関与しています。型別は90種類以上確認されています。
大雑把に、右表のように分類することができます。これは2002年の本からの引用ですから、現在はもっとDNA型が多いかも知れません。
Hpvtype6【性感染症STD 南山堂】 
尖圭コンジローマで問題なのが、6型と11型です。(写真はヒトパピローマウィルスHPVの6型の電子顕微鏡像です。以前にも電子顕微鏡像は示しています。
6型は、さらにa・b・cの三つのサブタイプがあり、11型はa・bの二つのサブタイプがあることが現在までに分かっています。要するに、DNA型が90種類以上もありますが、今後さらにサブタイプが多く発見されたら、HPVの種類は無数存在することになります。
サブタイプが多い6型は、DNAのポテンシャルが高い可能性があります。ですから癌化するのは6型だというのも理解できます。
ボーエン様丘疹は16型です。ボーエン病は癌ですから、ボーエン様丘疹を発見した場合には、発育が遅いからといって安心は出来ません。少なくても1年以内に処置しましょう。
子宮頸癌と陰茎癌は18型です。
足底疣贅は、足の裏のタコのことです。(ちなみに、押して痛いのが魚の目で、つまんで痛いのがタコです。)
尋常性疣贅とは、皮膚にできる一般的なイボのことです。

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膣前庭乳頭症と尖圭コンジローマの病理学的鑑別#3

ここ3回シリーズで解説している内容は、医師向けに分かりやすく解説している内容です。一般の方には難しいでしょうが、医師がこのようなことを考えながら診断していると、傍観者的にながめていて下さい。
下記の組織写真は、以前にご覧に入れた、尖圭コンジローマと膣前庭乳頭症の両者をお持ちの患者さんから採取した組織顕微鏡写真です。
前回は、明視野顕微鏡像のみの比較検討でしたが、一般の方がご覧になって判別するには分かりにくかったと思います。そこで、位相差顕微鏡像で比較すると、また違った印象になるので、ご覧に入れます。

Cond19960f314【尖圭コンジローマの明視野顕微鏡像】
空胞細胞コイロサイトーシスが密集している所見です。空胞細胞の核が様々な形をしていますが、何となく同じように見えます。
Cond19960f315【尖圭コンジローマの位相差顕微鏡像】
ところが、上記の組織を位相差顕微鏡で観察すると、まったく異なって見えることに驚きます。核の異型性が著しく強調されます。核が一つとして同じものがありません。ヒトパピローマウィルスHPVに感染した細胞の異常さが容易に理解できます。
空胞細胞の白く抜けている部分も、実はグチャグチャであることが観察できます。空胞細胞ではない左下の細胞群の細胞質もまだら模様でヒトパピローマウィルスHPVに感染した細胞が控えているという感じです。
おとぎ話の主人公が魔物が棲む薄暗いイバラの森に入ってしまったのか?と錯覚させられるような印象です。

Vpv199602f314【膣前庭乳頭症の明視野顕微鏡像】
組織の構成がとてもハッキリと分かれている印象の顕微鏡像です。
Vpv199602f315【膣前庭乳頭症の位相差顕微鏡像】
同じ部分を位相差顕微鏡で観察しても、組織構成の秩序は明視野顕微鏡像と同じく保たれています。
左上の大きな核の集団が、右下に移行するに従い、核は小さく縮小しています。そしてグリコーゲンを多く含んだ空胞部分が次第に大きくなっています。その変化には一定の秩序があり、正常な生理現象という印象です。

【補 足】
肉眼的にハッキリ分かるほど乳頭状に突出している部分の組織像が、全く異なる所見です。しかし、まったく疑問を持たずに、尖圭コンジローマと診断することに無理を感じませんか?空胞細胞の存在のみで診断するから、このような結果になるのです。「木を見て森が見えず」の如くです。

【注意】
女性性器に関する病気は全て婦人科の診療範囲の病気です。ですから、女性性器の病気でお悩みの時には、始めに必ず婦人科を受診して下さい。婦人科を受診しても尖圭コンジローマのように治りが悪い場合には、高橋クリニックでもご相談を受けます。

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膣前庭乳頭症と尖圭コンジローマの病理学的鑑別#2

先日、30歳代のご婦人が尖圭コンジローマで悩み来院されました。
地元の病院で、尖圭コンジローマと診断され治療しているのですが、納得できないのでセカンド・オピニオンで相談にいらしたのでした。
Koilocyte20099f37infor紹介状には、右記のような経過記載がありました。病理検査結果を根拠に尖圭コンジローマの診断です。

Koilocyte20099f37patho病理検査のレポートには、自信を持って尖圭コンジローマと診断しています。

Koilocyte20099f37【尖圭コンジローマと診断された組織像】
さて、組織標本を拝見すると、確かに空胞細胞コイロサイトーシスと思しき細胞が見られます。
Koilocyte20099f3712【空胞細胞コイロサイトーシスと診断された組織像】
この空胞細胞コイロサイトーシスの特徴は、細胞の核が濃染していて小さいことです。もしもヒトパピローマウィルスHPVに感染していれば、腫瘍化している訳ですから、細胞の核は大きくいびつで不ぞろいの筈です。右上側の正常細胞の核が左下に移行するに従い、少しずつ小さくなって来たという印象です。空胞細胞コイロサイトーシスとしては穏やかな顔つきの細胞ですね。

Koilocyte20099f372【尖圭コンジローマと診断された組織像】
これも空胞細胞コイロサイトーシスと思しき細胞が見られます。
Koilocyte20099f3722【空胞細胞コイロサイトーシスと診断された組織像】
初めの組織像の空胞細胞よりも、空砲がハッキリしています。右上側の正常細胞の核とほぼ同じ顔つきの核が、左下に移行するに従い、少しずつ小さくなっていく印象です。
これも空胞細胞コイロサイトーシスにしては、穏やかな顔つきの細胞ですね。
Koilocyte20099f373【色素性母斑と診断された組織像】
尖圭コンジローマとは診断されなかった組織像です。しかし、角質化を伴った層の下の重層扁平上皮層に空胞細胞と思しき細胞が散見できます。
Koilocyte20099f3732【上図の拡大図】
正常の細胞核でその辺縁が白く抜けています。これも空砲細胞コイロサイトーシスと診断されてもおかしくはありません。この病理医師は、なぜ空胞細胞コイロサイトーシスと診断しなかったのでしょう。

Histologycellbio582p【正常の膣上皮組織像 組織細胞生物学 南江堂 582ページ】
ここで、正常の膣粘膜の組織像を勉強しましょう。
以前にご紹介した組織学の専門書とは別の本を引用します。
ここにも正常の膣上皮組織像が示されています。
Histologycellbio582p2膣粘膜の拡大像です。重層扁平上皮細胞が明るく抜けているのが分かります。重層扁平上皮はグリコーゲンが豊富に含まれると、このように白く明るく抜けた像になるのです。粘膜固有層近くの重層扁平上皮は中途半端な細胞で、一見、空胞細胞コイロサイトーシスに見えませんか?

【結 論】
患者さんが持参した組織標本で、病理の医師に指摘されたと思われる空胞細胞コイロサイトーシスは、すべてグリコーゲンを多く含んだ重層扁平上皮の正常の細胞です。つまりは空胞細胞コイロサイトーシスもどき=偽空胞細胞です。この患者さんは、尖圭コンジローマではなく、膣前庭乳頭症です。

【注意】
女性性器に関する病気は全て婦人科の診療範囲の病気です。ですから、女性性器の病気でお悩みの時には、始めに必ず婦人科を受診して下さい。婦人科を受診しても尖圭コンジローマのように治りが悪い場合には、高橋クリニックでもご相談を受けます。


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膣前庭乳頭症と尖圭コンジローマの病理学的鑑別

最近、病理検査で尖圭コンジローマと決定され、臨床医から病理診断を根拠に何度も治療されて悩まれたご婦人が1ヶ月に4人来院されました。
持参された病理診断書には、確かに尖圭コンジローマと記載されています。その根拠がコイロサイトーシスの存在です。コイロサイトーシスとは、Koilocytosis(空胞細胞・細胞空洞症)のことを示し、尖圭コンジローマにの特徴とされています。
ドイツ語でkoiloは、英語のhallow:くぼみ・凹みを意味します。顕微鏡で観察すると、組織の中で核の周囲が凹みのように観察できる細胞を空胞細胞コイロサイトーシスと呼ぶようになったのでしょう。

先日、尖圭コンジローマのご婦人の手術中に、たまたま膣前庭乳頭症がハッキリしている方がおられました。
患者さんの許可を得て、尖圭コンジローマの一部と膣前庭乳頭症の一部を採取して病理学的検査を行いました。
その結果をここで分析したいと思います。

【肉眼的所見】
Condvpv19960f31【尖圭コンジローマ】
尿道口の右横に(写真では左横)、3mm程度のトサカ乳頭状の厚みのある腫瘍が確認できます。この写真では起き上がっていますが、通常は寝ているのでしょう、腫瘍の左横に圧迫の跡が暗赤色に丸く確認できます。圧迫痕があるということは、この腫瘍に厚みと硬さがあるという証拠です。

Condvpv19960f312【膣前庭乳頭症①】
患者さんの左小陰唇を開いた状態の写真です。写真の左上斜め半分は、膣前庭部でとても滑らかですが、右下斜め半分は、小陰唇内側部で魚やイカの細かい卵が密集しているようです。卵の一粒一粒は滑らかで透明感があります。厚さはなく、横広がりの印象です。

Condvpv19960f3132【膣前庭乳頭症②】
患者さんの右小陰唇の膣近くの所見です。黒く焦げている箇所は尖圭コンジローマの電気焼灼の跡です。細長く垂れてポリープ状に見えるのが膣前庭乳頭症です。


Condvpv19960f31patho【病理検査レポート】
採取した組織を、別々の容器に入れ、「尖圭コンジローマの疑い」「膣前庭乳頭症の疑い」と指示書に明記し、さらに図示までして提出しました。
Condvpv19960f31patho2なのに、その結果は右記の如くです。私が「尖圭コンジローマの疑い」と明記した組織は、明らかに尖圭コンジローマでした。しかし、「膣前庭乳頭症の疑い」と明記したにもかかわらず、病理の医師は尖圭コンジローマの疑いを主張してきました。臨床医のこちらが膣前庭乳頭症を疑っている訳ですから、「これこれこういう理由で膣前庭乳頭症ではない、・・・」という文面ではありません。これでは、「尖圭コンジローマの疑い」だけで提出したら、すべての膣前庭乳頭症は尖圭コンジローマに誤診されてしまいます。


Cond19960f31061212【顕微鏡的所見】
【尖圭コンジローマ80倍】
尖圭コンジローマの部分の低倍率(80倍)の組織像です。いくつもの同心円が次々に重なったような組織像です。一見、桑の実状です。発育方向が四方八方であるため、断面はこのような複雑構造に見えるのです。また、上皮層と粘膜固有層の厚さがかなり異なります。上皮層のとても厚いのに比べて、粘膜固有層はほとんどありません。硬さからいえば、上皮層の方が粘膜固有層よりも硬いのですから、上皮層はほとんどを占めるこの組織は硬いはずです。
Cond19960f312061212【尖圭コンジローマ倍率400倍】
中拡大(400倍)の組織像です。空胞細胞コイロサイトーシスが目立ちます。
Cond19960f313061212【尖圭コンジローマ倍率1600倍】
強拡大(1600倍)の組織像です。空胞細胞の核は、正常細胞の核よりも大きくなり染色がまだらです。核の形も均一でなく不ぞろいです。また、空胞細胞の細胞質はまだらで、少しずつ空胞化しているのが分かります。この抜けている部分にヒトパピローマウィルスHPVがタップリ詰まっているのでしょう。

Vpv19960f31061212【膣前庭乳頭症①倍率80倍】
単純な二層構造です。すなわち上皮層と粘膜固有層に容易に区別できます。立体的な3次元的な発育ではなく、単一指向性の発育が組織像でもうかがい知れます。上皮層と粘膜固有層の深さ(厚さ)は、尖圭コンジローマの組織像とは異なり、粘膜固有層がほぼ2倍の厚さです。
Vpv19960f312061212【膣前庭乳頭症①倍率400倍】
空胞が大きくなると、核が小さく濃縮しているのが分かります。細胞が水分を多く含んだ細胞に分化し、役目を終えた核が小さくなったと想像できます。細胞の正常な変化・分化と感じられます。
Vpv19960f313061212【膣前庭乳頭症①倍率1600倍】
核が小さく濃縮し、空胞が明白な細胞の他に、核が大きく細胞の辺縁がわずかながら抜けている細胞が観察できます。しかし細胞内の核はそろっていて、ほとんど同じ形同じ大きさです。

【正常の膣上皮組織像 カラーアトラス機能組織学 南江堂 337ページ】At
正常の膣上皮(粘膜)組織像と比較すると、理解が容易になるので、ここで組織学の専門書から引用した写真を供覧します。
本来の正常膣上皮も、写真のように単純な二層構造です。濃く染まっている部分が、角質のない重層扁平上皮です。薄く染まっている部分が粘膜固有層と呼ばれる部分です。
At_1【上図の拡大像】
膣前庭乳頭症の組織像も、正常の膣上皮と基本的には同じ構造で同じ印象です。膣上皮の重層扁平上皮は、明るく抜けたように観察できますが、これはグリコーゲンを多く含んでいるためです。決して空胞細胞コイロサイトーシスではありません。
さらに、膣上皮の深部の組織像を観察すると、細胞内の核が少し大きくなり、その細胞質の辺縁からグリコーゲンが溜まるのか?白く抜けている細胞が散見されます。そして細胞全体が白く抜けると、核が小さく濃縮したように見えます。この核が少し大きくなり、細胞質が白くなりかけている状態の細胞を病理の医師が空胞細胞コイロサイトーシスと誤診しているのではないでしょうか?

Vpv199602f31061212【膣前庭乳頭症②倍率80倍】
これも単純な二層構造です。すなわち上皮層と粘膜固有層に容易に区別できます。正常な膣上皮の構造を保っています。正常な構造を維持しているということは、生理的な構造と判断できます。
Vpv199602f312061212【膣前庭乳頭症②倍率400倍】
グリコーゲンのタップリ詰まった扁平上皮細胞と、扁平上皮細胞になる前の細胞集団と二層に判別できます。
Vpv199602f313061212【膣前庭乳頭症②倍率1600倍】
その二層の移行部に、中途半端な空胞細胞が確認できます。しかし、核がすでに小さくコイロサイトーシスとは呼べません。

【誤診の理由】
Vpvcamodel以上の証拠から、私は図示の如く仮説を立てました。病理の先生にお叱りを受けるかも知れませんが、苦しむ患者さんのための、あくまでも私の推理と想像ですので、ご容赦下さい。
さて、本題に入りましょう。

尖圭コンジローマの空胞細胞コイロサイトーシスができる過程
陰部皮膚・陰部粘膜の重層扁平細胞の基になる胚芽細胞に、ヒトパピローマウィルスHPVが感染すると、細胞の核にHPVが侵入します。浸入したHPVのDNAは、核に自分のコピーを産生させるために核の機能をフル稼働させます。そのために細胞内の核は大きくなります。本来の正式な手順を踏まない突然のフル稼働なので、核はいびつで形が不ぞろいになります。
順調にコピーが作られると、細胞質に蓄積されます。それが細胞内の空胞として顕微鏡で観察されます。細胞質内にコピー製品が充満しても、核のコピー生産は止まりません。ですから、顕微鏡で観察される空胞細胞コイロサイトーシスの核は大きいままなのです。
空胞細胞は自然に破裂するか、セックスによる機械的物理的刺激で破裂して、細胞内のHPV(コピー製品)をばらまくのです。そのためには、空胞細胞は扁平上皮内の表層に近い部分にたくさん存在する必要があります。

膣前庭乳頭症の偽空胞細胞ができる過程
女性ホルモンの刺激を受けた重層扁平上皮の胚芽細胞は、グリコーゲンと水分を多く含んだ重層扁平細胞に成熟変化するために細胞内の核がフル稼働になります。そのため細胞内の核は大きくなります。正常の生理的な手順を踏んでいるので、核は相似的に均一に大きくなります。順調にグリコーゲンが産生されると、細胞質内に隙間空胞として観察されます。この時期に観察される細胞内の大きな核と空胞が、尖圭コンジローマの空胞細胞コイロサイトーシスと近似しているので、尖圭コンジローマと誤診されるのです。
成熟が終了すると、核は役目を終えますから、小さな濃縮した核になり、細胞の辺縁に付着します。

【膣前庭乳頭症と尖圭コンジローマの病理学的鑑別点】
・膣前庭乳頭症の偽空胞細胞
核は正常核の大きさよりも大きいが、すべて相似形で均一である。空胞部分はシャープに抜けている。周囲に成熟した明るい重層扁平上皮細胞が多い。偽空胞細胞の数は、わずかに点在してるのみである。重層扁平上皮の角質化は少ない。
重層扁平上皮の厚さに比べて粘膜固有層が厚くてしっかりしている。発育が正常なので、土台である粘膜固有層が厚く、重層扁平上皮が若干薄いのである。
・尖圭コンジローマの空胞細胞コイロサイトーシス
核は大きく形はいびつで不ぞろい。空胞部分はまだらに抜けている。周囲には成熟した重曹扁平上皮はわずかで、空胞細胞が密集している。重層扁平上皮の角質化変性が多く見られる。
重層扁平上皮はとても厚く、それに比較して粘膜固有層が不完全で貧弱である。重層扁平上皮内のヒトパピローマウィルスHPV感染細胞=空胞細胞コイロサイトーシスの増殖が著しいので、重層扁平上皮は非常に分厚くなり、粘膜固有層の発育速度が間に合わずに、粘膜固有層が不完全で貧弱になる。

【婦人科の先生へお願い】
病理の先生の診断を鵜呑みにせず、標本を取り寄せご自分で必ず確認してください。空胞細胞コイロサイトーシスもどきの細胞に振り回されるのは、患者さんです。

【注意】
女性性器に関する病気は全て婦人科の診療範囲の病気です。ですから、女性性器の病気でお悩みの時には、始めに必ず婦人科を受診して下さい。婦人科を受診しても尖圭コンジローマのように治りが悪い場合には、高橋クリニックでもご相談を受けます。

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HPV(ヒトパピローマウィルス)の予防ワクチン

産経新聞の平成18年7月26日の健康欄で、子宮頸癌の予防ワクチンについて記事が掲載されていたので、ここに紹介します。画面をクリックすれば、記事を読める大きさになります。
News200607sankeihpv2News200607sankeihpv3
【要旨】
1.子宮頸癌の若年化(最近では20歳~30歳代前半での発症が増加している)が問題。
2.子宮頸癌の99.9%にヒトパピローマウィルスHPV感染が確認できる。
3.HPV感染者を5年~10年にわたって長期観察すると、高率(10%~15%)に子宮頸癌を発症することが分かった。
4.成人女性の50%がHPVに感染するが、ほとんどの人は2~3週間で自然治癒している。
5.自然治癒しないで持続感染するHPVが、100種類中13種類存在し、この13種類のHPVが高危険群とされる。
News200607sankeihpv6.HPV感染率は、10代と20代が顕著に高く、30代を過ぎてから感染率は低下する。しかし、子宮頸癌の発症率は、感染率と反比例するように30代以降に急増する。
7.HPV感染から癌発症まで10年の猶予があるので、その間に定期的検診(細胞診)の必要性がある。
8.自治体ではHPV検査費用を一部公費負担にしようとする動きがある。
9.今年の6月にアメリカFDAで子宮頸癌の予防ワクチン(抗HPVワクチン)が承認された。
10.高危険群HPVの代表である16型と18型に効果があるとされる。
11.16型と18型以外にも効果がある可能性がある。
12.日本でも今年から予防ワクチンの臨床試験が開始された。

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尖圭コンジローマの顕微鏡像 koilocytosis

28歳男性患者さんの陰茎根部に生じた尖圭コンジローマと思われるイボの組織像です。尖圭コンジローマの特徴とされるkoilocytosisと過角化を認めました。
Condymicro【80倍組織像】
弱拡大の尖圭コンジローマの組織像です。ケラチノサイト(keratinocyte:角質化細胞)=角質に移行する細胞の所々に白っぽく抜けている部分があります。
組織は、全体的に二層に分けられます。外側を表皮粘膜層(重層扁平細胞層)、内側を粘膜固有層といいます。正常な粘膜は、粘膜固有層が厚く、表皮粘膜層が薄いのですが、この組織はその逆で、表皮粘膜層が厚くできています。これを見るだけでも、異常な組織と判断できます。

Condymicro2【800倍組織像】
強拡大して観察すると、ケラチノサイトの細胞内が抜けている細胞が判別できます。これをkoilocytosis(コイロサイトーシス:空胞細胞症)と呼ばれるヒトパピローマウィルスHPV感染に特徴的所見とされている組織像です。ヒトパピローマウィルスHPV感染で特徴的な細胞なので、子宮頸癌・一般的なイボ=尋常性疣贅にも見ることができます。

Condymicro3【1600倍組織像】
更に強拡大にすると、細胞内の空砲がハッキリします。核が細胞内で隅に押しやられているようにも見えます。組織学的には細胞内の核で濃く染まるのは仁(じん)と呼ばれる構造だけです。ところが、この空胞細胞の核は複数染色されている部分があります。これをウィルス封入体と呼びます。このウィルスこそヒトパピローマウィルスHPVなのです。
核そのものの形態も均一ではなく、大きさ形の異常さが目立ちます。

【補足】
病理学の教科書には、コイロサイトーシス空胞細胞がヒトパピローマウィルスHPVの特徴として論じていますが、必ずしもそうでない場合があります。もしかするとイボ状形成の組織に出現する構造上特徴なのかも知れません。膣前庭乳頭症の患者さんが、病理検査でコイロサイトーシスが発見されたから尖圭コンジローマと病理診断された事例をセカンド・オピニオンで何度か経験しています。
コイロサイトーシス≒ヒトパピローマウィルスHPV感染であって、決してコイロサイトーシス=ヒトパピローマウィルスHPV感染ではありません

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凍結治療60回以上の結果

尖圭コンジローマの治療には、5FU(抗癌剤)軟膏治療、ポドフィリン(毒性の樹液)治療、液体窒素などの凍結治療、電気メスによる切除手術、レーザー光線照射治療、電気焼灼治療などいろいろあります。
私は電気焼灼治療を主に行なっていますが、医師により治療法は様々です。
2年半も千葉県のあるクリニックで凍結治療を行なっていた患者さんが、治りの悪さに思い余って平成16年12月に高橋クリニックを受診しました。凍結治療60回以上受けたそうです。拝見すると陰茎の色素がなくなり俗に云う「しろなまず」状態です。その時に尖圭コンジローマはイボとして認められなかったので、様子をみましょうということで診察は終わりました。
平成17年の6月になり白斑の部分に怪しい所があるということで、軟膏治療を試みましたが改善なく、今回手術になりました。

16329m37scar皮膚が白く抜けている部分に、平らにイボが確認できます。(矢印)

16329m37scar4電気焼灼治療直後の写真です。

医師が一つの治療に固執すると、治らないばかりだけではなく、患者さんに後遺症を作ることがあります。今回の患者さんのエピソードがその例です。凍結治療に固執するあまり、陰茎皮膚の脱色がみられるにもかかわらずひたすら同じ治療し続ける医師の異様な姿が想像できます。私も気をつけなければ・・・。

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メール相談 尖圭コンジローマ編#2

高橋 知宏 様

初めまして○○○○と申します。
gooの「教えて!」というサイトで健康の質問をしたところ高橋知宏先生のブログを教えていただき図々しいかとは思いましたがメールさせていただきました。お忙しい中本当に申しわけございません。

半年位前になるのですが、ペニスのさおの付け根内側付近に5mm大ほどのやけどの跡の様な物があることに気付きました。痛くも痒くもないので気にしてはいなかったのですが先日何気なく付近を触っていたらそのホクロの様なものが膨れ上がっておりました。

bowen-mail血豆のような物にそっくりだったので血か体液かなにか溜まっているのかな?と思い針で数回刺して中の液体を出そうとしたのですが何も出てきませんでした。
針で刺しても全く痛みなど無いのですがひょっとしたら性病かと思い色々なサイトで調べたのですが病状がコンジロームに似ているので、更にコンジロームについて調べ色々な写真を見たのですが、同じ様な形状のコンジロームの病状が見当たらないので別の病気では?と心配になっている次第です。

今現在○○で仕事をしておりますが今すぐ帰国できるよな状態ではなく○○の病院にいこうかどうか非常迷っております。コミュニケーションの問題もありますが以前歯医者で歯の治療した時、大変な目にあい、日本で再治療せざる得なくなった経験もあり病院に行くのがとても不安というのが正直なところです。

高橋知宏先生も大変お忙しいとは思いますが可能でしたらブログの方で写真掲載してご意見、アドバイスなどをいただけたらとても助かります。宜しくお願いいたします。それでは失礼いたします。  ○○○○

【高橋クリニックからの回答】
いただいた写真を拝見しました。恐らくは、ボーエン様丘疹症か単なるイボ(ホクロも含めて)でしょう。どちらもヒトパピローマウィルスHPVによる感染症ですが、感染率が低く、また、発育も緩慢なのでご心配いらないでしょう。日本に帰国した時点で皮膚科か泌尿器科を受診して下さい。
お大事に。


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オリジナル軟膏の秘密

私が尖圭コンジローマの患者さんに使用しているオリジナル軟膏の成分を質問されることがとても多いのです。成分を正確にお教えすることは出来ませんが、現在までに利用した成分の全てをここでご披露しましょう。ただし、現在この全ての成分を入れている訳ではなく、この中からいくつかを組み合わせて軟膏を作っています。

バルトレックス(ヘルペスウィルス治療薬)
シンメトレル(A型インフルエンザ治療薬)
デノシン(サイトメガロウィルス治療薬)
ゾビラックス(ヘルペスウィルス治療薬)
親水単軟膏
レスタミン軟膏(抗ヒスタミン剤)
ヒルドイド軟膏(保湿剤)
フラジール(トリコモナス治療薬)
ラミシール軟膏(抗真菌剤)
AHCC(キノコ由来免疫賦活剤)
アラビノ・フコイダン(キノコ由来免疫賦活剤)
アンサー20(結核菌由来免疫賦活剤)
βシャーク(サメ軟骨由来血管新生阻害剤)
クレスチン(キノコ由来免疫賦活剤)
Dフラクション(キノコ由来免疫賦活剤)
コルヒチン(痛風治療薬)
クエン酸(アルカリ食品)
アスコルビン酸(VC)
オキサロール軟膏(活性型VD3)
亜鉛
ヨクイニン(ハトムギ成分)
インスリン(血糖降下ホルモン)

DMSO
ピレチア(抗ヒスタミン剤)


軟膏成分を知りたくて知りたくて仕方がなかった方々、少しは満足しましたか?現在の軟膏は、成分を少しずつ変えながら20代目になります。

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他の医師の無計画治療の後始末

20歳のご婦人が、8月に尖圭コンジローマを訴え、来院しました。
17651f20con121月に尖圭コンジローマを発見して以来、婦人科で治療を続けていますが再発を繰り返しています。
8月の初診時には写真のように、左小陰唇外側と膣口の下に尖圭コンジローマのイボを確認出来ます。
手術が立て込んでいるので、18日後に予定しました。
数日後、患者さんから電話があり、イボが大きくなり増えたので、不安でジッとしていられないので近くの婦人科病院で手術をしますと連絡がありました。早く治療を行いたいと思うのはこの方ばかりではないでしょう。

17651f20con22ところが、2ヵ月後の10月になって、「手術を行った婦人科で通院治療しているが治らない!」と、再度来院しました。
拝見すると、驚くなかれ!写真のように左小陰唇は途中から切除され上下生き別れ状態です。また膣口も同じく切除され痛々しい状況です。白い軟膏がビッタリと付着している場所が切除された傷口です。陰部全体も真っ赤で糜爛(びらん)と呼ばれるただれた炎症状態です。
さらに、右小陰唇の外側に沿って新たな尖圭コンジローマが再発していたのです。
現在の治療をお聞きすると、傷口の軟膏と、ヘルペスの軟膏と5FU軟膏を同時に塗り続けているとのこと。
新たな尖圭コンジローマについては、「貴方が気になるのなら手術してもいいですよ。」と無責任な返答だったというのです。明らかに治療拒否のお手上げ状態です。

17651f20con32前主治医の態度に『馬鹿やろう!』と思いながらも、この患者さんを治そうと久しぶりに燃えました。まず、3種類の軟膏を塗って治る訳がありません。「二兎(三兎?)追うもの一兎も得ず」です。まずは、皮膚と粘膜を健康な状態にしてから尖圭コンジローマの治療を行いましょうと提案しました。私の調合した軟膏だけを塗っていただくことしました。2週間後の所見では、次第に傷口が小さくなり、粘膜の炎症もおさまってきました。

17651f20con423週間後の所見では、粘膜の状態はほぼ正常になりました。上下に分断されていた左小陰唇は連続性のある自然な小陰唇になってきました。
この後に、右小陰唇に再発していた尖圭コンジローマの電気焼灼手術を行いました。前の医師は脊椎麻酔の入院手術でしたが、私は仙骨神経ブロックで外来手術です。