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膣前庭乳頭症と尖圭コンジローマの病理学的鑑別#3

ここ3回シリーズで解説している内容は、医師向けに分かりやすく解説している内容です。一般の方には難しいでしょうが、医師がこのようなことを考えながら診断していると、傍観者的にながめていて下さい。
下記の組織写真は、以前にご覧に入れた、尖圭コンジローマと膣前庭乳頭症の両者をお持ちの患者さんから採取した組織顕微鏡写真です。
前回は、明視野顕微鏡像のみの比較検討でしたが、一般の方がご覧になって判別するには分かりにくかったと思います。そこで、位相差顕微鏡像で比較すると、また違った印象になるので、ご覧に入れます。

Cond19960f314【尖圭コンジローマの明視野顕微鏡像】
空胞細胞コイロサイトーシスが密集している所見です。空胞細胞の核が様々な形をしていますが、何となく同じように見えます。
Cond19960f315【尖圭コンジローマの位相差顕微鏡像】
ところが、上記の組織を位相差顕微鏡で観察すると、まったく異なって見えることに驚きます。核の異型性が著しく強調されます。核が一つとして同じものがありません。ヒトパピローマウィルスHPVに感染した細胞の異常さが容易に理解できます。
空胞細胞の白く抜けている部分も、実はグチャグチャであることが観察できます。空胞細胞ではない左下の細胞群の細胞質もまだら模様でヒトパピローマウィルスHPVに感染した細胞が控えているという感じです。
おとぎ話の主人公が魔物が棲む薄暗いイバラの森に入ってしまったのか?と錯覚させられるような印象です。

Vpv199602f314【膣前庭乳頭症の明視野顕微鏡像】
組織の構成がとてもハッキリと分かれている印象の顕微鏡像です。
Vpv199602f315【膣前庭乳頭症の位相差顕微鏡像】
同じ部分を位相差顕微鏡で観察しても、組織構成の秩序は明視野顕微鏡像と同じく保たれています。
左上の大きな核の集団が、右下に移行するに従い、核は小さく縮小しています。そしてグリコーゲンを多く含んだ空胞部分が次第に大きくなっています。その変化には一定の秩序があり、正常な生理現象という印象です。

【補 足】
肉眼的にハッキリ分かるほど乳頭状に突出している部分の組織像が、全く異なる所見です。しかし、まったく疑問を持たずに、尖圭コンジローマと診断することに無理を感じませんか?空胞細胞の存在のみで診断するから、このような結果になるのです。「木を見て森が見えず」の如くです。

【注意】
女性性器に関する病気は全て婦人科の診療範囲の病気です。ですから、女性性器の病気でお悩みの時には、始めに必ず婦人科を受診して下さい。婦人科を受診しても尖圭コンジローマのように治りが悪い場合には、高橋クリニックでもご相談を受けます。

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コメント

女性の場合はコンジローマもボーエン様丘疹症も時間がたてばイボとして現れますか?

現れないで終わることもあるのですか?

【高橋クリニックからの回答】
現れないこともあります。

投稿: なおみ | 2008/02/12 20:00

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