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尖圭コンジローマの専門医?

私のことを尖圭コンジローマの専門医と誤解されて、来院される患者さんやメール相談される方が多数おられます。ここで改めて宣言しますが、私は尖圭コンジローマの専門医ではありません。私は純粋に泌尿器科専門医です。すなわち「切った張った」の外科系の医師です。この世に尖圭コンジローマの専門医は存在しません。
さて、尖圭コンジローマは明確には、皮膚科の範疇(はんちゅう)の病気です。たまたま生殖器や肛門にでき、伝播様式が性行為感染症・STDであるので、広い範囲の診療科、すなわち泌尿器科・婦人科・肛門科・性病科が診察・治療に当たっているのが現状です。そして本来、尖圭コンジローマは他の性行為感染症・STDに比較して非常に少ない病気ですから、それを専門に勉強・研究する医師が非常に少なく、また一般臨床医の診察・治療にも信頼度合いが低く、場当たり的ないい加減な治療が行われているのが現状です。

いかにいい加減な治療を行っているかを例に挙げてご説明しましょう。
ペニスに尖圭コンジローマができて、千葉県のある性病科クリニックで治療を続けている40歳代の男性患者さんが来院されました。お聞きすると、液体窒素による凍結治療を続けていたのですが、毎週1回で2年半治療を行い、その間何回も再発したため、何と!100回以上も同じ凍結治療を繰り返したそうです。ペニスを拝見すると、繰り返した凍結治療のために、表皮の凍傷で所々色素がなくなり、まだら模様の無残なペニスになっているではありませんか!それでも主治医は、「尖圭コンジローマは治りにくい性病だから」と言って治療を続けていたそうです。お陰でそのクリニックの待合室は、同じような患者さんでとても混雑していたそうです。

ある20歳代のご婦人は、尖圭コンジローマが再発するたびに、婦人科にて電気メスで性器にできたイボを削り取られ、少しずつ性器が変形してしまいました。そして手術後に5FU軟膏(抗がん剤)を処方され性器に塗っていたために、性器に潰瘍(かいよう)や糜爛(びらん)ができ、表皮・粘膜が真っ赤になり、カンジダというカビ(真菌)が生え、陰部全体が痛いやら痒いやらのにっちもさっちも行かない状態で来院されました。患者さんの美しい容姿と患部の悲惨な状態とのギャップが印象的でした。その主治医は「しょうがない」の一言だったそうです。

苦しむ患者さんを人とは思わないこれら医師の態度に無性に腹が立ちました。病気だけしか見ていないのです。しかも治療に対する努力を感じられない有様です...。この現状に発奮して、何とかならないものかと診察・治療を続けているうちに、症例数が増え、その治療の成果に信頼性が増したというだけです。そしてこのブログで公表したのです。私が行っている治療は当然私のオリジナルであり、一般的な治療ではありません。遠方の方からのメール相談で、地元の同じ治療を行っている医師を紹介して欲しいとのご要望があるのですが、残念ながらお答えできません。

【注意】
女性性器に関する病気は全て婦人科の診療範囲の病気です。ですから、女性性器の病気でお悩みの時には、始めに必ず婦人科を受診して下さい。婦人科を受診しても尖圭コンジローマのように治りが悪い場合には、高橋クリニックでもご相談を受けます。

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コメント

はじめまして
僕は某病院で尿道と陰部にコンジローマと診断され、治療をしています。担当医曰く、「初期段階だから大した事ない」とのことで、液体窒素治療を月に2回行っています。しかし、良くなるどころか、日増しにひどくなっているようです。
早く治したいので、そちらで診察を受けたいと考えています。状況次第で当日の手術は可能なのでしょうか?

【高橋クリニックからの回答】
手術は全て完全予約制です。
診察ー診断ー予約ー手術の順番です。
診察は午前中診療で、予約は無用です。

投稿: 水山 | 2006/11/10 00:23

質問させてください。
現在、妊娠中なのですが、先日産婦人科の検診でHPVに感染しているとの診断結果がでました。
2年ぐらいたたないと体内から排出されないと色々ネットで調べて分かったのですが、感染中は、夫婦でのsexは控えた方が宜しいのでしょうか?
私が感染していると言うことは夫も感染していると思われますがsexをしているかぎり治らないのでしょうか?
深刻に悩んでおります、ご回答頂けますと幸いです。
【回答】
子宮頚癌の原因ウィルスであるHPV(ハイリスク型)であればご主人には問題ありません。
尖圭コンジローマのHPV(ローリスク型)であれば、ご主人にも感染するかも知れません。

投稿: にんしんしゅふ | 2014/07/12 10:48

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