包茎手術の後遺症 「新撰組カラー」
「新撰組カラー」聞きなれない言葉でしょう?
それもその筈、私の造語です。包茎手術の環状切除術の「ツートンカラー」を少しでも目立たなくするために、包皮内板と外板の縫合部をギザギザに縫合することがあります。
人間の目には直線は目立ち、ギザギザは目立たないと思われているからで、形成外科の医師がこの方法で包茎手術をすることがあります。でも実際はご覧のようにツートンカラーが不明瞭になるようなグラディエーションができる訳でもなく、結構目立ちます。
この患者さんは、数年前に高田馬場にあった某美容外科(今はすでに閉鎖)で手術を受けました。しかし、このギザギザが気になりましたが、手術したクリニックが閉鎖、相談できる場所が無く当院を受診しました。
幕末京都の新撰組は武士の火事場装束を着けていました。その袖の部分が「ギザギザ模様」でしたから「新撰組カラー」と命名しました。
【イラスト:るろうに剣心から】
ギザギザの最低点と最高点の全幅を電気焼灼すれば、傷が幅広くなります。そこでギザギザ波の基線中心に電気焼灼すれば、ご覧のようにギザギザは目立たなくなります。
手術後3週間の状態です。
処置した部分は薄いピンク色に見えます。「新撰組カラー」のギザギザはほとんど目立ちません。
術後10ヵ月の状態です。上の3枚の写真がデジタルカメラで撮影したもので、右の写真はポラロイドカメラで撮影した写真です。カメラの種類によって同じ被写体でも雰囲気がかわりますが、同じ人物です。
術後3週間の写真と比較して処置した部分の幅が広がり、色も本来に肌色に近づきました。目を凝らし観察すると内板・処置部分・外板の三色カラーになっています。今までの明確な二色のツートンカラーに比較して、内板と外板の境界が目の錯覚で不明瞭になります。
また、時間の経過と共に内板の色調が外板の色調に近づいているようです。
「新撰組カラー」は無事に完全消失しました。
【補足】 修正手術は絶対に実施しなければならない客観的な理由はありません。あくまでも個人の主観的な理由による相対的手術適応があるだけです。
包茎手術が体の一部に傷を付ける手術である以上、術後に傷が残る可能性はゼロにはなりません。もしも「当院で手術すれば、傷跡は残りません!」と豪語する医療機関があるとすれば、その医療機関はうさん臭いと思ってよいでしょう。術後に残った傷跡が、手術を受けた人にとって許容できる範囲か否かだけの問題です。傷跡の絶対的な程度ではありません。
どんなに軽い傷跡でも、その方が精神的に耐えられないものであるならば、手術の適応となります。
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