包茎手術を利用した悪徳商法

男性雑誌・エロ雑誌に大々的に広告している大手？美容外科や包茎手術専門クリニックでは、包茎であることがまるで罪があるかのごとく記載されています。そして一見患者さん寄りの親切さで最高の技術提供することを売り物にしています。
私も含めて、泌尿器科研修医の時に最初に覚える基本手術が包茎手術とパイプカット手術です。その手術に最高の技術でと謳っているところに、うさんくささを感じます。あくまでも基本手術なんですから。
さらに、有名なところほど、半強制的なオプションなる手術が包茎手術に加算されています。
例えば、
●包茎手術を行っても陰茎が小さいからまた仮性包茎になるので、亀頭をコラーゲン注射で大きくして戻らないようにしましょう。
●真性包茎で亀頭が炎症を起こして皮膚が弱くなっているから、皮下組織の構成成分であるコラーゲン注射をしましょう。
●包茎手術を行っても陰茎が貧弱だから、この際コラーゲン注射で大きくしましょう。
●包茎手術は手術後痛みが強く出ます。コラーゲン注射を行うと手術後の痛みは出ません。
●手術中に、「これは！予想した以上に炎症がひどい！」「手術後痛みがひどくて大変だよ！」「コラーゲン注射をすれば大丈夫」
どうです？だんだんやり口が見えてきたでしょう。何が何でも1本いくらいくらのコラーゲン注射に持って行こうとしているのです。詐欺的商法です。
コラーゲン注射は原価で安いもので1本1万円位なものです。それを技術料込みで1本6万円～8万円で注射をしていますから、包茎手術を終えてみれば10本注射したから包茎手術＋注射代で、なんと合計75万円也！という風に請求が来てしまうのです。そして医療ローンなる聞いたこともないローンを組まされてしまいます。「これで君も立派な男になれたね！」などと激励されて、妖しげなクリニックを後にするのです。
包茎手術の際には、くれぐれもこの手には乗らないで下さい。そして絶対にオプションを付けないようにしましょう。

ドラマ仕立てで、その手口を書きました。参考にして下さい。
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以前より真性包茎で悩んでいた益男さんは、男性週刊誌に掲載されていた広告に目がとまりました。ある包茎手術専門クリニックの広告です。男性スタッフだけのクリニックで包茎手術の手術件数が多くて最高の技術を売り物にしています。患者さん本位の立場になって相談を受けてくれると書かれています。
『ここなら、大丈夫だろう』と思い、早速、相談電話をかけました。実際に包茎の状態を診察しないと正確には診断できないとのことで、診察の予約をすることにしました。週刊誌の広告では、誰にも会わずに密かに診察できると謳っていましたから、恥ずかしくなく安心です。
指定された時間にクリニックに入ると、すでに一人待合室で待っていました。『誰にも会わないで済むと思ったのに　』と思いながらも仕方なく受付に名前を告げました。「少し待合室でお待ち下さい」と若い男性スタッフが言いました。
しばらくすると、受付が待合室で待っているもう一人の若い男性に声をかけました。「医療ローンの書類にサインをお願いします」　するとその若い男性は、すくっと立って迷いもなく受付カウンターに向かいました。そして差し出されたペンを取って書類にサインをしています。
「いやぁ、お陰で男になれました！120万円かかったけれど医療ローンが使えたので助かりました。でもこれで一生悩まないので、それを思えば安いものですね！」
『この人も包茎手術を受けたんだ。結構費用がかかる人がいるんだ。でも喜んでいるから、ここは信用できるな。　』今度は益男さんが受付から呼ばれました。診察室に案内されると、そこには青色に半そでの診察着を着用した若い男性スタッフが待っていました。自分が真性包茎であることを告げると、「診察しましょう」と診察ベッドに促されました。
診察ベッドに仰向けになり、下半身を露出しました。
「私の真性包茎はひどい方でしょうか？」という益男さんの質問に対して、
「これはひどい真性包茎ですね。こんなひどい真性包茎は最近見たことがありません。絶対に手術をしなければなりませんね。そのままにしていたら、いろいろな病気になるし、第一女性にバカにされますよ。男として一生の問題ですね」
「仮性包茎は手術料が15万円ですが、これほどの真性包茎は難しいので手術料が25万円になります。」
『やはり、思っていた通りだ　』と思った益男さんは、すぐに手術を承諾しました。3日後に包茎手術を予約して、その日は帰宅しました。

手術台の上に横になった益男さんがいます。手術用の滅菌布がかぶされ、照明の中、真性包茎の陰茎が反射して光っています。局所麻酔が何本も陰茎に注射されました。結構痛いですが、『我慢のしどころだ！』と自分に言い聞かせています。
手術を始めた執刀医の先生が突然、「アッ！これは炎症が思った以上にひどい。これでは手術した後も炎症はなかなか治らないし、何よりも痛みがなかなか取れるませんね。」
驚いた益男さんは、「どうしたらいいんですか？助けてください！」
「真性包茎で皮膚が薄く弱くなっているから、なかなか治らないのです。しかし、皮膚を補強してあげれば皮膚は厚く強くなります。その方法がない訳ではないのですが．．．」
「教えてください！治してください！先生！」
「そうですね．．．コラーゲンという物質を聞いたことがあるでしょう？コラーゲンは皮膚組織の成分ですから、コラーゲンを注射すると、皮膚が炎症に負けないくらいに強くなるのです。ただ、コラーゲン注射1本が6万円と高いんです。」
『１本６万円は痛いなぁ　』と益男さんが心の中で悩んでいると、「ローンを簡単に組めますから、毎月少しづつ支払ったらいかがですか？」と助手の男性スタッフが声をかけました。「一生に一度の手術ですし、ペニスも大きくなり一石二鳥ですよ。」
「先生！お願いします！」と益男さんは決断しました。

しばらくして、手術が終わりました。
「手術は終わりました。コラーゲン注射は全部で16本使用しました。1本6万円ですからコラーゲン注射だけで96万円です。それに手術料が加算されますから、総額で121万円です。」
受付で医療ローンにサインしている益男さんの後姿には、3日前の若い男性のような喜びはなかった。

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さて、いかがでしたか？面白かったですか？悪徳商法を行っている医療機関は多かれ少なかれこのようなことを行っています。
お察しのように、待合室にいた若い男性は、このクリニックの「桜」でスタッフでしょう。だいたい120万円も支払って喜ぶ人はいないでしょう。
また、最初に診察した青色の診察着のスタッフは医師ではありません。オプションも含めて治療を薦めるのは、診察時でも手術中でも医師ではなく、スタッフです。なぜでしょう？それは、何か問題が生じた時に、「仕事熱心のあまり強制的勧誘で問題が多かったので止めさせました」と理由を言って、他の関連クリニックに転勤させることが出来るからです。
包茎手術で真性包茎も仮性包茎も手術の難しさにおいては、それ程の差はありません。最高の技術でと謳っているのであれば、難しい手術もやさしい手術も同じ値段にすべきでしょう。

ここで、包茎手術で信用できるクリニックは「私の所です！」と説明したら、今までのお話が全て茶番になってしまうので、そんな馬鹿なことは言いません。私の知る限りでは、美容整形外科ではない泌尿器科クリニック、出来れば包茎手術専門ではない比較的規模の小さなクリニックや診療所を選ぶのが賢明でしょう。なぜなら、泌尿器科一般を看板に掲げているクリニックは、いろいろな泌尿器科の治療を行っているので、包茎手術による収益依存度が低いため、そのようなオプションを付けてまで治療しようとはしないからです。
★具体的に名前をあげれば、都内で包茎手術でお薦めのクリニックは、
●渋谷区代々木上原にあるムラキクリニックの村木先生
●千代田区有楽町にあるスバル医院の中村先生
●杉並区阿佐ヶ谷にあるミタニひ尿器科の三谷先生
●文京区根津にある細部医院の細部先生
です。ホームページで調べてみて下さい。

さて、コラーゲン注射のオプションを断る理由を列挙しましょう。
●包茎手術後に亀頭部は大きくなります。特に真性包茎の人ほど、それまでの包茎による圧迫が除去されたのですから。しかし、それでも手術後仮性包茎になってしまうのであれば、その時点でコラーゲン注射を考慮しても遅くはない。
●コラーゲンは確かに皮下組織の構成成分だが、炎症のために弱った皮膚を強くする医学的根拠はない。
●コラーゲン注射には手術後の鎮痛効果はない。
●コラーゲン注射の適応は、皮膚のしわや凹みを充填させる目的にしか許可されていない。
●コラーゲン注射の原価は1本1万円～2万円程度なのに、注射1本につき技術料5万円～7万円は法外な値段だ。
上記のことを反論する医療機関があるのならば、高橋クリニック高橋知宏まで遠慮なく抗議して下さいと、お伝え下さい。

情報uptodate
●Wクリニックでは、バックカット方式包茎手術をすすめられ、治療費30万円なり。院内ローンを頼んだら、近くのアコムを紹介された。話はついているとのこと。包茎を内緒で密かに受診しているのに、アコムの受付嬢にクリニックから紹介されて来ましたと言わなければならない恥ずかしさを分かるのか！Wクリニック！

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