悪評価

Ikaru 昨日、血液透析中にメールが届きました。以下の内容です。

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今日電話した○○の○○です。6年前からデパスなどを処方していただいてました、しかし今日突然薬物中毒になると言われ断れました。意味が分かりません。手術も時間とお金の無駄でした、術後の診察も再硬化と言われ症状をうったえても、聞く耳もたず3分程度で帰ってくれと、とても医師の言葉とは思えない対応でした。貴方は本当に医者でしょうか?患者を何だと思っているのでしょうか。この病気で苦しんでいる人は沢山います、お金儲けか分かりませんが患者をからかうのはやめて下さい。

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下記が私が本日送ったメールです。

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医師としての悪評価のご意見をありがとうございます。血液透析をしながら生きている残り少ない人生の参考にさせて頂きます。地元で素晴らしい医師に出会うことをお祈り致します。」

明らかに何年も抗うつ剤に依存してるのであれば、抗うつ剤の中毒症になるのは当然です。以前から電話で注文しているだけです。私も忙しいので、会話ができていませんでした。残念です。

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ご主人からのご報告

61hinnyo 私が2005年に、間質性膀胱炎の内視鏡手術を行なったご婦人のご主人が、先日来られました。1月11日にクモ膜下出血でお亡くなりになったのです。

2003年から頻尿と痛みで、都立広尾病院、東京大学病院、女子医大病院の一流病院で「間質性膀胱炎」と診断され、複数回の膀胱水圧拡張手術を受けました。しかし治らずに、インターネットで探し、2005年の60歳の時に当院を受診しました。

1日の排尿回数が61回、夜間頻尿が10回で、毎日突然3回の陰部の激痛が起こるのでした。この患者さんを超有名な医師たちが間質性膀胱炎と診断したのです。しかし、間質性膀胱炎は原因不明の病気ですから、治療と言っても対症療法=膀胱水圧拡張術だけなのです。病気の原因は、隠れた排尿機能障害で、その治療をしなければ治る訳がありません。なかなか治らない理由を有名な先生に質問したところ罵倒され、泣きながら当院を受診したのです。

61hinnyo2 当時は、β3作動薬のベオーバもベタニスもなかった時代ですから、α1ブロッカーだけでは、十分な効果が得られませんでした。そのため、間質性膀胱炎の患者さんを内視鏡手術で治療していたのです。

手術後、あれ程ひどかった症状は順調に改善し、61回の頻尿回数が5回に、夜間頻尿は無くなり、さらに毎日3回の激痛も無くなったのです。この症例を2008年の第96回泌尿器科学会総会で発表もしました。その後、毎年1回は受診され、経過報告を元気にされていたのです。

36619e7c02b04a53a581b85d4ca93931 手術後の15年後の75歳でクモ膜下出血で突然死したのです。ご主人からは「妻はいつも元気で、高橋先生には本当に感謝していました。」と告げられました。・・・本当に悲しいです。

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いろいろな患者さん#26 男子不妊症

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慢性前立腺炎の30歳代の男性患者さんがお越しになりました。悩みの症状は頻尿と陰部の不快感です。原因は排尿機能障害である膀胱頚部硬化症が原因だったのです。そこで、排尿機能障害を改善するα1ブロッカーと症状を作っている膀胱三角部の治療薬であるβ3作動薬を処方しました。

すると、頻尿と陰部の不快感は次第に軽減してきました。ある日、別の相談がありました。それは不妊症治療についてだったのです。ご結婚なさって5年以上経つのですが、なかなかお子さんができないと言うのです。そして不妊治療の専門医で調べてもらったら、精子の運動率が悪いと言うのです。それが原因で妊娠しないのでしょうと診断されたのです。精子の運動率とは、患者さんの採取したばかりの精液を顕微鏡で観察し、動いている精子と動かない精子の比率を調べるのです。妊娠可能な運動率は、60%~80%以上です。しかし、40%以下であると妊娠の可能性は極端に低くなります。

……そこで私は、もう少し経過をみてて御覧なさいと説明しました。その理由を下記のように解説したのです。……さらに半年ほど経過したら喜びの報告がありました。何と妊娠したのです。……本当に良かった!

実は、一般的に精子の運動率は、その人の精子の能力個性だと思われているのです。すなわち、睾丸の能力が悪いので、運動率の高い完成度の高い精子が作られないからだと思われているのです。

【備考】 
昔は、正常な夫婦生活を営んでいて3年間子宝に恵まれない場合を『不妊症」と呼びました。最近では、その期間を1年間とされつつあるそうです。

その不妊症の原因で、ご主人側に原因がある場合を、「男子不妊症」と呼びます。
男子不妊症の原因が三つあります。

①精子数が少ない。
②運動率が悪い。
③原因不明。

 

①精子数が少ない

原因として、睾丸の機能低下と、精子が通る精管が閉塞している場合があります。
睾丸の機能低下は、生検で睾丸組織の採取して確認します。造精能力(精子を作る能力)がなければ、ホルモン刺激を図ります。

精管の閉塞は、精管に造影剤を注入して確認します。精管閉塞は手術で再吻合します。

②精子の運動率が悪い
精子の構造を解剖学書(解剖学アトラス・文光堂)で調べると、イラストのごとくです。赤く着色した部分がミトコンドリアです。ミトコンドリアはATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー物質から生体エネルギーを抽出する生体装置です。ミトコンドリアが発生するエネルギーを利用して、精子は鞭毛(べんもう)を活発に動かします。運動率が悪いということは、この鞭毛の活動がないということです。つまりエネルギー不足ということです。精子のエネルギーであるATPはどこにあるとお思いですか?精子にあると思いますか?実は精液の中の前立腺液の成分に、ATPが大量に含まれています。つまり正常な前立腺液が分泌されなければ、精子は動かないことになります。

治療としては障害を受けている前立腺を治せばよいことになります。ほとんどの場合、膀胱頚部硬化症という排尿障害が隠れています。実際に膀胱頚部硬化症の治療して運動率が高くなり、妊娠できたご夫婦が何組も存在します。

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③原因不明患者さんによっては、精液が片栗粉のようなダマダマで排出される方もおられます。正常な前立腺液にはPSAという精液のダマダマをサラサラにする酵素が含まれています。前立腺に障害があると前立腺液は正常に分泌されなくなりますから、精液がダマダマになりやすくなります。すると、精子の動きも制限されますから、運動率も低下します。

これの治療も前立腺(膀胱頚部硬化症)の治療になります。治療すると精液がサラサラになり精子の動きが良くなります。

 

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いろいろな患者さん#25 ヘソのゴマ

Goma2568m63この直径1cmの漢方の丸薬(がんやく)みたいな物体はなんだとお思いですか?

実は、「へそのゴマ」です。

へそのゴマという言葉は聞いたことがあるでしょう。実際にご自分のおへそを掃除するときに、カスのような垢のような物体が出てきますが、ゴマのイメージはありませんね。

でもこれをご覧になれば、この小さいのがゴマだとイメージできるでしょう。

Goma2568m632この「へそのゴマ」は、患者さんが持参したものです。

膵臓腫瘍の手術後、ご自分のへそからポコッと飛び出してきたというのです。

膵臓腫瘍は良性でしたので安心ですが、「ひょうたんからコマ」ならぬ「へそからゴマ」で患者さんはビックリです。

大きな手術をした後なので、患者さんはとてもナーバスになっています。傷が開いて脂肪が溶け出てくるわ、へそから見たこともない物が出てくるわで、その都度、私のクリニックへ駆け込むのです。昔からヘソのゴマは取ってはいけないといわれていましたが、大昔の平均寿命が30歳〜40歳の頃は、大きくならないので、それほど問題にはなりませんが、平均寿命が80歳を超える現代では弊害が出ます。毎日ではなく、時々ヘソをキレイにしてくださいね。

 

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いろいろな患者さん#24 ケガの治し方

C04155da84ee43ffbb9bf66b6d76e0ae 82歳の高齢のご婦人が4月14日に転倒して左親指を怪我しました。
4月16日になって心配になり、懇意にしている内科の開業医を受診しました。かなりの傷であったので、開業医の先生から同じ医師会の高橋クリニックを紹介されました。
左親指の腹の部分にかなりの傷を負っています。皮膚がめくれ上がり、あるいは裂けた状態です。こういう場合は縫合したり消毒したりしてはダメです。私のオリジナルの軟膏で治療します。

C9267cbf3934462daf082873db0f3e34 私の治療で2週間過ぎた5月2日の患部です。
裂けていた部分に新しい皮膚が再生されています。まだ傷は生々しく見えますが、全体的に乾燥傾向で皮膚らしくなろうとしています。あともう少しです。

Ca558b64a38e42689acacb010cddbf33 怪我から6週間を過ぎた5月31日の患部の所見です。初診時の親指を想像できない位に良くなっています。私のオリジナルの軟膏の効き目はすごいでしょう?実はプロペトというワセリン軟膏です。もちろんその中に、チョッとした味付け(鉄分)はしていますが、ほとんどがワセリン成分です。私の軟膏の効き目もすごいですが、82歳のご婦人の治癒力もすごいですね。

ケガ(外傷)を消毒をすると、傷を再生するための皮膚の新しい細胞は死滅してしまいます。当然として傷になります。だから消毒してはいけません。水で洗って傷の汚れをまず落とします。また、傷を乾燥させても、水々しい新しい細胞は乾燥して死滅します。ですから、新しい細胞が乾燥しないように、ワセリンを塗って傷をコーティングするのです。さらに新しい細胞の周囲には、毛細血管が十分に完成されていません。ある意味で無酸素状態になります。それを補う意味で、ワセリンに鉄成分を混入させるのです。細胞は無酸素呼吸=鉄呼吸しますから、その手助けをするのです。

 

 

 

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いろいろな患者さん#23 老人性イボ

Hokuro 私は、代替医療の専門家ではありませんが、興味を持って臨床の現場で行っています。アロマセラピーという方法に頭を突っ込み、いろいろなアロマ水を持っています。アロマ=香りの成分に薬効があるのです。ここでご紹介の患者さんは、顔に出来たイボです。

60歳以上の高齢者になると、身体の至る所にイボができる人がいます。それを老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)と呼びます。多発する方もおられます。服で隠れる場所であれば、気になりませんが、顔や首、手などの人目につく場所であると、気になって仕方がないでしょう。

近所のご婦人が、以前からあったイボが次第に大きくなり、しかも色が濃くなったので来院されました。

拝見すると、写真のような老人性疣贅です。手術で簡単に消すことは出来ますが、以前からのアロマ治療の効果を確認したく、患者さんに承諾を得てはハトムギ=ヨクイニンのアロマエキスの服用と付けていただきました。これは皮膚の病気であれば何でも効くのです。患者さんは疑心暗鬼でした(笑)。

Hokuro2 1カ月半経過した頃、患者さんが嬉しそうに来院されました。
写真のように、薄くなっています。遠目で見てもほとんど分かりません。アロマエキスおそるべし!

 

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いろいろな患者さん#22 術後出血

間質性膀胱炎で手術したご婦人の術後にエピソードです。間質性膀胱炎の原因は、膀胱頸部硬化症の排尿機能障害が原因ですから、膀胱出口を切開手術をするのです。

手術後1週間ほどしてから、夕方近くになって、術後出血で患者さんが来院されました。午前中から出血が止まらないと言うのです。

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早速、エコー検査を行うと膀胱内に出血のかたまりが出来ているのです。膀胱にカテーテルを入れて膀胱を洗浄しても出血の塊は吸引できません。それどころか、洗浄液が真っ赤です。……動脈性の出血なのです。手術中に止血した動脈が、排尿でカサブタが剥がれ出血しているのでしょう。早速、緊急止血手術を決定しました。

ご主人とお子さんが待合室で待っていたので、終了するまで2時間以上かかるので、近くのファミレスで時間をつぶしてくださいとお願いしました。

仙骨神経ブロックで麻酔をかけて、緊急止血手術を開始しました。出血の塊を吸引洗浄器で吸い出し、出血部位を確認して止血していた、ちょうどその時です。患者さんが気持ち悪いと言い出し、手術を休止して、患者さんを確認したら、呼吸停止、意識消失、脈も触れません。

午前中から出血して、かなりの出血量で、さらに麻酔をかけて血圧が一気に下がったのです。マスクを当て人工呼吸をしても全く反応がありません。このままでは、出血死になります。ファミレスでお待ちのご主人とお子さんが1時間後に来た時に、どんなに辛い思いをするでしょうか!でも影は薄くありません。絶対に助かる!と

18e8026c49504db686cde2cebfc778e3 マスクして人工呼吸をしましたが、反応がありません。マスクを外して、マウスツーマウスで患者さんの口に直接私の口を当て、鼻をつまみ人工呼吸をしました。……人の呼気に『命のエネルギー』があるので、助かると以前から考えていましたから実行したのです。予想通り、数回の人工呼吸で意識と呼吸が回復しました!早速、止血手術を済ませました。意識は問題ないのですが、大量出血のために血圧が100以下なのです。輸血の必要があります。ご主人とお子さんが戻って来ましたので、経過をお話しし、輸血の必要があることを伝えました。地元の大学病院に連絡して輸血をお願いしました。

Ame4 救急車を呼び、夜11時に大学病院へ一緒に搬送しました。無事に大学病院に入院し、輸血をお願いしたのですが、検査結果で貧血が大したことがないので、様子を見ますと言われてしまいました_| ̄|◯。急な大量出血の場合、血液は濃縮され、見かけ上、正常な血液になるのです。……患者さんには「明日必ず輸血するからね。」とお話しをして、病院を出ました。真夜中の病院前で、雨に降られて傘も持たずに、ず〜っとタクシーが来るのを待っていました。

翌日の昼に見舞いに行くと、予想通り検査結果で貧血がひどく、至急輸血が5本されることになったのです。それから10日ほどしてから退院され、ご挨拶に来院されました。ホッとです。その後、ご自分の祖母も同じ間質性膀胱炎症状で、私を紹介し手術をさせたのです。嘘みたいでしょう?その後、お二人とも元気になられました。……やれやれ……。

 

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いろいろな患者さん#21 偽の五十肩

40kata 私が開業して10年くらいは、整形外科に関連した病気の患者さんが多数来られていました、

ある日、40代のご婦人が、左肩の四十肩で来院されました。当日になって、とても痛がっているのです。しかし、一目見て!影が薄いのです。顔面蒼白です。命にかかわる左肩の関連痛は、……心筋梗塞です。

Ekgmi そこで、早速、心電図の検査をさせてもらいました。すると、予想通り心電図波形のST異常が確認できました。心筋梗塞の典型的な所見です。患者さんに心筋梗塞ですと説明すると、精神的ショックで逆に心筋梗塞の病状が悪化させるかもしれません。そこでご自宅に電話して、ご主人に来てもらいました。

ご主人に「心筋梗塞ですから、地元の赤十字病院にすぐに搬送したください!」とお願いして、紹介状を渡しました。奥さまには、「心電図に異常があるので、すぐに赤十字病院に行きましょう!」

無事にタクシーで日赤に向かい、ICU入院して助かったのです。それから20年以上も経過していますが、私が健康のために散歩していると、時々スレ違います。今でも元気に挨拶されています。

 

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いろいろな患者さん#20 巨大な子宮筋腫

ある日、子宮筋腫で悩まれた患者さんがお越しになったのです。当院は婦人科ではないので、何故いらしたのですか?と質問しました。すると、代替医療のプラズマ治療を希望されたのです。

Eb317ff4216b4dafb58e7d471b510410 では、エコー検査で子宮筋腫を確認しました。お腹を出していただいたら、驚きました!まるで出産予定日の妊婦さんのようです。写真のように下腹部にバスケットボールのような膨らみがあるのです。硬さも、まるで硬〜いバスケットボールです。

患者さんにお話しを聞くと、妊娠中に子宮筋腫が発見されたのです。帝王切開で出産したのですが、後日、子宮筋腫が巨大なので、大学病院で子宮を全摘するしかないと主治医に言われたのです。しかし、まだ子どもが欲しいので、手術は拒否されました。そこでインターネットで他の治療方法を探していたら、当院を見つけたのです。

1b1b5394d1434adc8262a4bcbcba7efd 治療を始め直ぐから、患者さんの体調が良くなりました。そして1か月も経たないうちから、出っ張った子宮が柔らかくなり、張り詰めてバスケットボールの様であったのが、可動性が出て来ました。毎週1回の治療で徐々に小さくなり、6か月治療を続けました。しかし、産まれたばかりのお子さんの育児が次第に大変になり、その年の12月から来られなくなりました。治療始めて15ヶ月後に来院して頂き、初回と比較したら、明らかに小さくなっています。

F9425363e7d74bf1b42bc412d6b58960見た目の外見だけでは、非科学的で客観性に欠けるので、エコー検査も同時に記録しています。初回のエコー検査の所見では、巨大な子宮筋腫しか写っていません。本来の子宮の影が全く見えないのです。大雑把な塊としてしか見えませんでした。

5be18b9010844203a2db0780266698f5 初回の治療から、1年5か月経過したエコー検査所見がこれです。全体的に塊が縮小し、組織内に白く見える部分と、嚢胞変性が認められます。白く見える部分は、子宮筋腫の部分が壊死して線維化器質化したものです。子宮筋腫の厚みを比較すると、初回の77%位の長さに縮んでいます。3辺がそれぞれ77%と仮定すると、体積は77%×77%×77%45%になります。つまり、子宮筋腫の大きさが半分以下になったのです。その間に患者さんは、他の治療は全く受けていませんから、代替医療も捨てたものではありません(笑)。

【備考】代替医療のプラズマ治療は、体に大量のマイナス電子を供給するのです。子宮筋腫の異常平滑筋は、鉄呼吸して血液の鉄分を消費するので、子宮筋腫の患者さんは出血していないのに、極端な貧血になるのです。大量のマイナス電子が鉄を酸化させて鉄呼吸が出来なくなるのです。また大量のマイナス電子は、細胞内の一酸化窒素NOを増やします。正常の細胞はリラックス出来ますが、異常細胞は逆にアポトーシス(細胞死滅)させるのです。

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いろいろな患者さん#19 難治性の間質性膀胱炎

2007年の今から12年前の間質性膀胱炎・陰部疼痛症の女性患者のKさんお話しです。間質性膀胱炎・陰部疼痛症は排尿機能障害と膀胱三角部の過敏さが作る病気です。

Kさんは、間質性膀胱炎の診断を受けるまで大学病院を含め4箇所以上の医療機関で治療を受けましたが治らずに、高橋クリニックへ来院した患者さんです。尿が少したまるだけで下半身の強烈な痛みと1回の尿量が100ml、1時間に1回の頻尿、夜間3回の頻尿状態でした。

頻尿症状は子宮筋腫が原因と診断した、ある病院の婦人科で子宮摘出手術までされました。まだお子さんがいなかったのに関わらず、苦渋の選択でした。しかし婦人科の手術後、頻尿の他に痛みがさらに強く出現するようになり、婦人科執刀医に相談したのですが、「あっそうですか。」としか言われなかったのです。……無責任な医師ですね!

そのKさんの強い希望で、平成17年11月に内視鏡手術を行ないました。手術後、頻尿が2時間に1回、夜間が2回にまで減少しましたが、……症状は不安定でした。次第に痛みが再発し増強したため、2度目の内視鏡手術を平成18年1月に行なったのです。

956554bed0214df09a3102d0d38aa9d9 その後、半年間は来院されなかったので心配していました。翌年の7月ある日、突然来院されました「心配していましたよ。どうしてたの?」と質問すると、とっても具合が良かったとのこと。あの毎日の強い下半身の痛みがほとんどなくなり、好きなテニスをガンガンとこなし、たくさんの試合に参加して上位入賞を果たしていたのでした。2週間に1日か2日の頻度で痛みの出ることはありましたが、ほどなく治まるので様子をみていたとのことでした。ところが、平成18年の7月になり痛みが出現、この3日間治まらず、遂に観念して高橋クリニックを再び訪れたのでした。

さて、こうなると痛みのコントロールが難しくなるのです。過去に内視鏡手術を行なって、過敏な膀胱三角部を治療(センサーの破壊)しても、長年の病気で形成された脊髄神経回路の痛みのソフトウェアは絶対に消えないのです。落着いていた時に、膀胱三角部の信号が、その脊髄内のソフトウエアーを起動しないように心掛けていないといけません。ソフトウェアーは起動したくてしたくて仕方がありません。どんなささいな信号でもソフトの起動に結び付けようとします。一度結び付けられると、それを外すのが難しいのです。

手がない訳ではありません。デパスなどの自律神経調節剤の服用や神経ブロックを小まめに行なうことで、外すことが可能と考えています。今だとトラムセットで治療できますが、当時はまだ販売されていませんでした。

そこで7月13日(金)に仙骨神経ブロックを行ないました。翌日に来院されないので落着いているなと喜んでいたら、その日の夜に再び痛み出し、夜の午後10時にご主人の車で来院されました。仙骨神経ブロックを行なうと、激しい激痛が10分ほどで治まり、笑顔で帰宅できるようになります。さぁこうなると、Kさんの脊髄内ソフトとの持久戦です。どちらかが音を上げるまでの勝負です。Kさんは、昨日に引き続き、翌日の22時にも来院され、仙骨神経ブロックを受け、直ぐにお帰りになりました。やはりご主人が自家用車で送迎です。愛されていますネ。この仕事は、根気と忍耐と、たゆまぬ努力です。このような仕事を天命として私に授けていただき、神様に感謝します。

結局、Kさんの痛みはますます強くなり、毎日の仙骨神経ブロックでも12時間ほど位しか痛みを管理できなくなりました。横浜の地元のペインクリニックに依頼したのですが、私ほど上手くはいかなかったのです。本人の希望もあり、7月19日の朝9時に3回目の緊急手術になりました。手術のための麻酔がどういう訳か十分に効かずに、膀胱の刺激で陰部痛のどこが痛がっているのかが判明しました。ある意味ラッキーです。患者さんのご協力で、その痛い個所を電気メスで入念に切開・凝固を行ないました。まるで私は「サド侯爵」です。

手術は無事に終わり、午前11時には帰宅です。Kさんのテニス仲間が4人もお見舞いに来院し、狭い待合室は大騒ぎです。聞こえてくる会話からは、これから昼食でも一緒にという雰囲気です。『緊急手術の後なのになぁ・・・_| ̄|○。』

さてさて、手術の結果、痛みは嘘のように軽減しました。7月21日、Kさん曰く、100%の痛みが1~2%前後になったそうです。毎日行なっていた仙骨神経ブロックは手術後一回も行なっていません。肩の荷が下り、ヤレヤレです。

その後12年以上経過していますが、半年〜1年に1回来院されて、現状を報告されています。落ち着いていて、私としてもとても安心です。

 

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