便意と尿意の感じる場所

大便を排便する際に、直腸内にウンコがあっても便意は感じません。なぜにそう思うかというと、前立腺ガンの確認するために直腸の触診をすると、大便の塊が指先に触れる患者さんがかなりおられるのです。つまり私の人差し指の長さ程度の位置に大便が存在しても便意を感じていないのです(笑)。また逆に、オナラのつもりでプッーとすると、たまたま下痢で便失禁する人がいます(笑)。オナラの圧力と液体の下痢便の圧力はほぼ同じなので、勘違いしてしまうのです。つまり、本当に肛門直前の圧力でなければ、便意を感じないのです。しかし、固い便が肛門手前に残っていると常に便意を感じます。そういう患者さんは、指を使って摘便しなければ便意感覚が無くなりません。要するに直腸全体で便意を感じるのではなく、直腸出口=肛門直前付近で便意を感じるのです。

発生学的に直腸と膀胱は一卵性双生児なのです。当然、便意を感じる直腸と同じで、膀胱の尿意を感じるのは、発生学的解剖学的構造学的に考えて、膀胱出口付近なのです。しかし、今の医学、特に泌尿器科では、膀胱全体で尿意を感じると間違って思い込んでいるのです。その誤解が、頻尿で有名な過活動膀胱や間質性膀胱炎の治療が的確に出来なくなり、患者さんを悩ませるのです。

以前にも、膀胱と直腸の発生学的構造について解説しました。

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まずは、胎児の4週の時点で、膀胱の基礎が出来上がります。それが、「総排泄腔」です。その形はとてもシンプルです。総排泄腔の前に「へその緒」が繋がっています。

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総排泄腔の前後の真ん中辺りにクビレが生じます。これを「尿直腸中隔」と呼びます。イラストでは「中隔」と示しています。

胎児の6週に成ると中隔というクビレがドンドン深くなっていきます。深くなるに連れ、総排泄腔の前は膀胱に、背後は直腸になろうと変形します。つまり、膀胱と直腸は、発生の途中では同じ臓器だったのです。ですから、出産後に成長して成人になれば、別の臓器と思われますが、神経的には脊髄神経で繋がっている方もおられます。その証拠に、膀胱炎になると便意を催すヒトもいれば、下痢すると頻尿になるヒトも存在します。

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胎児の7週に成ると、尿直腸中隔は完成して膀胱と直腸は完全に分離独立します。膀胱の末端は、体壁皮膚の外側まで通過して「尿道」になります。胎児の11週には男性の場合は、この尿道から芽が出て、それが「前立腺」になります。背後の直腸は、大腸(S字結腸)の末端と接続して、大腸は直腸まで連続します。

ですから、直腸も膀胱も構造的には同じなのです。直腸の便意が肛門直前だとすれば、当然として、膀胱の尿意も膀胱出口だと推察できます。その証拠に、排尿困難の患者さんに、膀胱留置バルーンカテーテルを入れると、尿が空っぽになるのに、尿意を強く感じる患者さんがたくさんおられます。その理由は風船(バルーン)が膀胱出口に接触するからです。

つまり、頻尿や尿意切迫感などを主訴とする過活動膀胱や間質性膀胱炎や慢性膀胱炎などは、すべてが膀胱出口の過剰な興奮が原因なのです。そのベースが排尿障害なのです。

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過活動膀胱の治療

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テレビCMで過活動膀胱について放映されていますね。頻尿・尿意切迫感・切迫性尿失禁の症状で有名な病気が過活動膀胱です。治療薬は、β3作動薬のベオーバ・ベタニスと、抗コリン剤のベシケア・トビエースなどが単独で使用されます。

とても効く人もいますが、なかなか効果と出ない人が3割ほどいるのです。そういう患者さんを医師からは「難治性過活動膀胱」と診断されるのです。

でも、そこには矛盾を感じるのです。なぜかと言えば、過活動膀胱自体が原因不明の病気なのにかかわらず、「難治性…」と診断すること自体が、非科学的、医学とは思えません。あまりにもいい加減な診断と治療ということが分かるのです。

2144376359c04b53ae87169c14e44c27 これは例えば、虫歯の対応と同じです。痛いから痛み止めを飲むだけで、痛みがおさまる人はいますが、虫歯の根本的治療をしない限り治る訳がありません。痛み止めだけでも治らない人がいるはずです。そのような患者さんに「難治性虫歯」と診断するでしょうか?

過活動膀胱の原因は、一般的に知られていない排尿機能障害が原因なのです。ですから、排尿機能障害を治療して、同時に一般的な過活動膀胱の治療薬を飲めば、症状は的確に治るのです。

後日、改めて過活動膀胱の治療に関してお話しをしましょう。

 

 

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何年も頻尿を我慢した結果、…膀胱ガン

Bt37399m59 60歳代の男性患者さんが頻尿症状でお越しになりました。以前から頻尿があったのですが、そのまま放置していました。最近になり、頻尿が著しくひどくなったので、意を決して当院を受診したのです。前立腺肥大症か膀胱頚部硬化症による過活動膀胱かな?と思いましたが、早速、超音波エコー検査を行いました。

Bt37399m592 すると驚くことに膀胱ガンが発見されたのです。大きさは直径が5㎝で厚さが2㎝を越えています。初めの写真は膀胱を正面から観察したモノです。ドップラー検査で腫瘍の中に動脈の血流(赤い部分)が確認できます。2枚目の写真が膀胱を側面から観察したモノです。やはり所見は同じです。

そして腫瘍の存在する場所が、膀胱三角部から前立腺にかけての場所にあります。腫瘍と膀胱三角部との境目が不明瞭です。おそらくは、膀胱ガンが膀胱三角部まで浸潤しているのでしょう。膀胱三角部の平滑筋は、尿意センサーですから、膀胱ガンが浸潤して刺激すれば、強い尿意が発症するのは当然です。したがって、今後の治療は膀胱全摘出手術になります。

また、前立腺との境界線も不明なので、前立腺にも膀胱ガンが浸潤している可能性があります。この患者さんは依然に大腸ガンのため、順天堂大学病院で手術をされている既往があるので、今回も順天堂を希望されたので情報提供書を差し上げました。

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膀胱尿管逆流症の手術

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腎盂腎炎の原因として、膀胱尿管逆流症という病気があります。尿の排出口である尿管口から膀胱の溜まった尿が腎臓に逆流する病気です。膀胱の尿にたまたま雑菌が混じっていると、無菌でなければならない腎盂に雑菌が侵入するので、腎盂腎炎になってしまうのです。

私が研修医の頃に学んだ膀胱尿管逆流症の手術は、現在の患部の尿管を差しかえる開腹手術です。膀胱壁の中に尿管が通過しています。オシッコがたまり膀胱内圧が高まると、膀胱壁内の尿管が圧迫されて尿管内圧が高くなり、膀胱の尿が逆流させないのです。ある意味で、尿管口の逆流弁です。

ところが、逆流してしまうのは、膀胱の圧迫が有効に作用しないからとされています。そのため、尿管を差しかえて膀胱壁の通過部分を長くすれば良いと考えで手術するのです。 

Vurop_20191013132701 でも、膀胱尿管逆流症の患者さんの患部の尿管口は、肉眼的に正常とほぼ同じでした。では何故だろうと思いました。そこで思いつきました。膀胱三角部の左右の角に、左右の尿管口があるのです。実は膀胱三角部は、左右の尿管が延長し合体した組織なのです。オシッコが溜まり膀胱三角部が引っ張られ緊張すると、相対的に尿管口も引っ張らて閉じるのです。しかし、引っ張られ方のバランスが乱れると、尿管が筒状にスムーズになり、尿が逆流しやすくなるのです。では、これを解決するためにはどうしたら良いと思いますか?

Vurop2 簡単です。膀胱三角部と尿管口の連結部分を横に切開して、引っ張る力を解除してあげればいいのです。すると、膀胱壁内の尿管がゆるんで凸凹に引っ込むので、逆流しなくなります。尿管は自主的に蠕動運動しますから、腎臓で作られた尿は膀胱に流れて行きます。この手術は日帰り手術ですから、入院はなしです。

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頻尿で見つかった膀胱腫瘍

60歳代のご婦人で、9月より排尿痛と頻尿で、地元の内科で「膀胱炎」と診断されました。尿検査で潜血反応と白血球がわずかに認められました。抗生剤をフロモックス、レポフロキサシン、ミノマイシンなどいくつも変えられましたが、効果が得られませんでした。

そこで泌尿器科の当院に来院されたのです。エコー検査で頻尿と血尿の原因が判明しました。膀胱の左壁に腫瘍陰影が確認できました。ドップラー検査で、腫瘍陰影内に動脈の流れが確認(赤い部分)できました。おそらく膀胱ガンです。

Bt16904f63 大きさは一番長い部分で5.0cmもあり、おおよそ33ccの大きさです。このくらいの大きさであれば、膀胱壁の粘膜→粘膜下層→筋層までガン細胞が浸潤している可能性が高いので、場合によっては、膀胱全摘出手術+人工膀胱の必要があります。当然、街中の小さなクリニックでは治療はできません。そこで、基幹病院や大学病院に紹介しなければなりません。(初めの写真は膀胱の側面像、2枚目が正面像)

Bt16904f633 ご主人と一緒にご夫婦で、病気について説明しました。ご希望の病院を指定して頂ければ紹介しますとお話ししました。地元では、東邦大学医療センター大森病院、昭和大学病院の主任教授とは、懇意にしていますし、私の出身の慈恵医大でもどこでもご紹介はご希望通りにします。

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水圧拡張治療を2回も受けたご婦人

京都から間質性膀胱炎が治らないで悩まれているご婦人が来院されました。

間質性膀胱炎で有名な京都の某病院で、定番の水圧拡張治療を2回も受けたのですが、再発再発でした。その間に、毎日IPDカプセルを服用し、定期的に膀胱粘膜の過敏さを鎮めるために、膀胱内にクスリ(ジメチルスルホキシドDMSO )を注入していますが、改善しません。現在の症状は、頻尿が毎日30回、陰部や膀胱の痛みがとても強いのです。

Ic37355f66pp エコーの検査では、写真のように膀胱排尿筋の向きが、本来の膀胱出口の方向ではないので、尿意センサーである膀胱三角部が相対的にとても厚く肥厚しています。膀胱括約筋の先端から膀胱粘膜までの距離は2mmが正常ですが、この患者さんは10mmの5倍厚く(赤い矢印↔)なっています。当然ですが、頻尿になります。

さらに頻尿の余ったエネルギー情報が、脊髄神経回路を介して痛み症状に置き換わるのです。その症状だけに振り回されて、『炎症だから』『原因不明……きっと膠原病かアレルギーだろう』と考えて、抗アレルギー剤であるIPDを飲まされ、粘膜の興奮を抑える薬剤を注入され、『頻尿=膀胱が小さくなっているから』と水圧で膀胱を無理やり拡張して、膀胱そのものを傷付け壊しているのです。

患者さんにαブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフなど)とβ3作動薬(ベオーバ・ベタニス)と鎮痛剤(トラムセット)を処方しました。1カ月経過してから、お電話で経過報告がありました。まずは頻尿は30回→15回に減少し、痛みは100%→30%に軽快しました。精神的にも患者さんは元気になり、明るい将来が見えたようです。

 今までの常識的な間質性膀胱炎の治療が如何に「いい加減」かが分かったと思います。間質性膀胱炎で有名な医師たちが、見当違いの治療をして、実は患者さんたちを苦しめているのです。ある意味で、これらの医師は犯罪者ですね?学会では非常識の独自の考えをたったひとりで診療している私ですが、孤独ですが、・・・本当に良かった!

 

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間質性膀胱炎でわかる事

原因不明で難病にもされているのが、間質性膀胱炎です。間質性膀胱炎の症状は、❶頻尿、❷尿意切迫感、❸下腹部の痛み、❹陰部・尿道口の痛みです。具体的に解説しましょう。

❶頻尿:

オシッコの回数が非常に多くて、1日に20回〜30回(当院で多かったのは、40回、60回、83回でした)がザラです。過活動膀胱と診断される人は、一般的に1日に10回〜20回前後です。尿検査では、白血球や細菌感染はないので、やはり膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部の過敏さが頻尿を作っているのです。

❷尿意切迫感:

オシッコが終わっても、残尿感は普通ないのですが、5分以内に再び尿意を感じてオシッコをしたくなる=尿意切迫感が出てくるのです。このため、何度もトイレに行くようになるのです。膀胱出口の平滑筋が深部まで過敏だと想像できます。急性膀胱炎の場合は、排尿直後に膀胱壁が膀胱出口に接触するので残尿感を感じ、数分後に尿が溜まりだすと接触がなくなるので、残尿感が消えるのです。ところが、かなり深くまで平滑筋が過敏になると、尿が少しでも溜まると、すぐに尿意が出てしまうのでしょう。

❸下腹部の痛み:

間質性膀胱炎の患者さんは、尿が溜まると尿意の他に、下腹部の痛みを感じます。患者さんは痛み=尿意切迫感と考えてトイレに行くのです。生理学的に考えれば、膀胱という袋の臓器がパンパンに膨らめば、本来なれば痛みになってもおかしくはありません。でも、いちいちオシッコのたび毎に膀胱を痛がってはオシッコをしないように水を飲まなくなってしまうでしょう。そうはならないように、尿がパンパンに溜まったら、脊髄神経回路を介して脳中枢では、尿意→尿意切迫感に置き換えているのです。しかし、膀胱出口が非常に過敏になると、脊髄神経回路内の情報が多すぎて、尿意の神経ルートだけでは伝達出来なくなるのです。そこで、大雑把な下腹部の痛み神経ルートに尿意情報が漏れ出てしまうので、下腹部の痛みになるのです。

❹陰部・尿道の出口の痛み:

頻尿症状ではなく、痛み症状の患者さんも結構おられます。痛み=炎症と考えて尿検査をしますが、白血球や細菌感染は確認できないので、膀胱頚部の粘膜下の間質組織が、原因不明の炎症があるから痛いのだとされています。それ以上の原因を追究しないのです。科学者=医学者とは思えませんよね? 病理学の教科書の「炎症」の定義は、「生物学的、化学的、物理学的刺激による生体の反応を炎症という」とされているのです。ところが、一般の医師は炎症=生物学的刺激=細菌感染・ウィルス感染・免疫反応だと勘違いしているのです。例えば、排尿障害があると膀胱に負荷がかかる=物理的刺激になりますから、炎症が起きるのです。さらに、痛み=炎症とは限りません。なぜならば、症状の発言のためには、脊髄神経回路が関与しているからです。隠れた頻尿情報が脊髄神経回路を介して痛み症状に変換されていると考えられるのです。


3a69cc1daccd4a59b10a9f3fa7a51cb3 【備考】

★点状出血

間質性膀胱炎の内視鏡(膀胱鏡)所見では、膀胱粘膜の点状出血と潰瘍があります。膀胱を膨らませると点々と出血点が見え、さらに膨らませると、五月雨(さみだれ)状に膀胱粘膜から血液がポタポタ降り注ぐのです。急性膀胱炎の場合は、膀胱が収縮した最後に血液が絞られて滲み出るのですが、間質性膀胱炎の場合は、その逆で、膀胱が膨らむと血液が出て来るのです。これには出血の原因に違いがあるのです。

 急性膀胱炎では、毛細血管が拡張して血管内に多く残留している血液が、膀胱が収縮ると血液が絞られ出て来るのです。ところが、間質性膀胱炎では、検査で普段以上に膀胱を膨らませると、血管のハッキリ見えない所から血液が滲み出ているのです。この理由は、普段の膀胱容量が小さいので、普通よりも膀胱を大きくされたために、毛細血管が伸び切れなくなり、毛細血管が切れて出血したのです。つまりこの出血は原因不明の炎症ではなく、単なる物理的な血管損傷なのです。

ところが、この点状出血は前立腺肥大症の内視鏡手術(TUR-P)の際の膀胱粘膜によく認められる所見です。つまり、前立腺肥大症の患者さんのように、排尿障害のため頻尿で膀胱容量が小さくなっている患者さん多く認められる所見です。これから考えられることは、間質性膀胱炎のガイドラインを決定した有名な医師たちは、手術の経験が少ないペーパーだけに興味のある外科医ではない泌尿器科の医師ばかりでしょう。

詳しくは次のブログをお読みください。

間質性膀胱炎の「点状出血」

E0942831b9dd4e8ead2304f57aa96ae9 ★ハンナ型潰瘍

やはり膀胱鏡検査で、間質性膀胱炎の粘膜には、粘膜が欠如した粘膜潰瘍が認められます。これがハンナ型潰瘍と呼ばれます。ハンナ型潰瘍のある間質性膀胱炎は、難病指定の病気です。

しかし、胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合は、ピロリ菌などが関与して、粘膜が胃液の「塩酸」によって発症します。ところが、膀胱粘膜の周辺には、塩酸のような劇薬成分はありません。これは、前述の点状出血と同じ理由です。医師のアドバイスで「オシッコをガマンしなさい」と支持されます。当然、適切な膀胱容量が無理やり大きくなります。結果、膀胱粘膜が伸びますが、毛細血管は粘膜ほど伸びないので、血流が途絶えます。まるで梗塞状態になって、血流が届かない末梢の粘膜が壊死して潰瘍になるのです。

これらを、間質性膀胱炎の「特徴」と定義している学会のガイドラインは、想像力のない連中が作成しているとしか思えませんね。

★膀胱水圧拡張手術

間質性膀胱炎の治療が、水圧拡張手術です。膀胱が過敏になり、次第に膀胱が萎縮し、結果として頻尿になります。その膀胱を無理やり膨らませて、膀胱の容量を大きくする方法です。でも、よく考えてみてください。原因が不明のままダメになった膀胱を無理やり大きくするのです。無謀な治療だと思えませんか?この治療で症状が改善するのは、平均で7カ月です。そのため何回この治療をして苦しむ患者さんかたくさんいます。最後には完璧にダメになった膀胱を取り去る手術をするのです。これが標準治療というのは、???……人を助ける筈の医療行為だとは思えません!

 

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過活動膀胱でわかる事

Bladout 膀胱の病気で最近有名なのがD活動膀胱です。この病気は原因不明とされています。

過活動膀胱の症状は、❶頻尿❷尿意切迫感❸切迫性尿失禁の3つです。

❶頻尿:

過活動膀胱は、尿検査で白血球も細菌感染も認められません。また、性別では、ほとんどの患者さんがご婦人ですから、前立腺肥大症のような排尿障害は認められません。膀胱鏡検査を行なっても、膀胱の粘膜は正常ですから、原因不明とされてしまうのです。

Bladouttori ★私のブログで何回も解説していますが、尿意のセンサーは膀胱粘膜には無いのです。臨床現場では、膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部なのです。何故この事に気が付いたかと言えば、10年以上前に、夕方のニュースで胎児の顔が見えるという、3Dエコー検査に興味を持ちました。『膀胱出口はどのように見えるのだろう?』と思ったのです。高額(定価2250万円→750万円)だったのですが、思い切って購入したのです。泌尿器科の病気で悩まれている患者さんをすべて検査しました。

Bladouttokage すると、正常の人は(初めの写真)無機質に見える(一つ目小僧、丸い穴だけ)のですが、患者さんの膀胱出口は、エリマキトカゲ、小鳥の口ばし、ネコ、恐竜、イルカ、鬼、オバケのQ太郎などに見えたのです。二枚目の写真が36歳で過活動膀胱と診断されたご婦人です。膀胱出口が小鳥の口ばしのように見えますね。3枚目の写真が慢性膀胱炎と診断されたご婦人です。まるでえりまきトカゲのように見えますね。同時に通常のエコー検査と比較すると、膀胱括約筋と膀胱三角部が厚く肥厚しており、膀胱出口周囲の静脈が拡張していて、オバケのや動物の眼のように見えたのです。結果、症状を作っているのは、頻尿・痛み・シビレなどあらゆる症状が、膀胱出口だと理解したのです。つまり、膀胱出口が過敏だと膀胱内圧を受けて尿意を頻繁に感じるので、頻尿になるのです。

 

❷尿意切迫感(オシッコが我慢できない尿意):

尿意を感じて、ある程度の時間ガマンすることができます。しかし、尿意が頻繁に感じると、脳中枢はガマン出来なくなります。それが尿意切迫感です。膀胱出口が排尿障害で極端に過敏になると、尿意情報を短時間でたくさん脳中枢に連絡します。脳中枢は尿意情報を蓄積して、一定の数を超えると切迫感になります。膀胱出口が過敏で、たくさん情報が短時間に流入すると、あっとう間に尿意切迫感の閾値に達してしまうので、我慢のできない尿意切迫感になるのです。脳中枢の尿意システムでは、尿意情報の数は決まっていますから、膀胱の尿量に関係なく、いっぱい溜まったと錯覚してしまうのです。

Oabmec2 ❸切迫性尿失禁:

膀胱括約筋が過敏のため、正常な人よりも、単位時間当たりたくさんの尿意情報が脳中枢に伝達されます。イメージをイラストで表示しました。

正常な人は、一定の間隔で尿意情報が脳中枢に「ポタポタ」と伝達されます。脳中枢に一定の情報がたまると、「尿意」を感じ、さらに増えると「尿意切迫感」を感じて排尿するのです。

過活動膀胱の患者さんの場合は、単位時間当たり何倍ものたくさんの尿意情報が脳中枢に「ザーッ」と伝達され、脳中枢に一定量がたまる時間も速くなるので「頻尿」なります。そして尿意から尿意切迫感までの時間が無くなり、「切迫性尿失禁」になるのです。

これから分かることは、過敏になっている膀胱括約筋と膀胱三角部の平滑筋の興奮を鎮めてあげればいいのです。そのための治療薬が、β3作動薬のべオーバとベタニス、抗コリン剤のベシケアとトビエース、α1ブロッカーのユリーフとハルナールとエブランチルです。

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急性膀胱炎から分かること

前回解説してように、急性膀胱炎には典型的な5つの症状があります。

❶血尿❷混濁尿❸排尿痛❹頻尿❺残尿感です。これらを各々具体的に説明しましょう。

❶血尿:

膀胱粘膜に炎症が起きていますから、一過性に血管が増えます。いわゆる充血です。炎症の基本は、白血球の作用によるものです。膀胱内に侵入した大量のバイ菌に対して、白血球が食べる(貪食どんしょく)のです。1個の白血球で数十個のバイ菌を食べます。無限に食べれるわけもなく、限界に達すると、白血球は破裂します。バイ菌を殺菌するための劇薬物質が周囲に飛び散るのです。中に一酸化窒素NOなどの物質が膀胱の粘膜に付着すると、たくさんの毛細血管が刺激を受けて拡張し、結果、充血するのです。ですから内視鏡で膀胱粘膜を観察すると、たくさんの血管が増えたように見えるのです。オシッコが終わる際に、膨らんで伸ばされた膀胱粘膜が縮んで、充血した血管内の血液がしぼり出されます。毛細血管は一般的の血管に比較して、血液成分が漏れやすいので、それが、急性膀胱炎の症状であるオシッコの、「終わりかけの血尿」になるのです。

C9bbe19612254216afcf97017f29c7ae ❷混濁尿(白いにごった尿):

バイ菌を食べる白血球が次々に増えるので、破裂する白血球もさらに増えます。白血球の破裂物質が、膀胱の粘膜を通じて、全身に流れます。それが炎症情報として流れ、体内で警戒している全ての白血球が気づき、膀胱に集まるのです。ある意味で連鎖反応ですから、膀胱内に大量の白血球が集合します。皮膚の傷が膿んだ時の膿みは、白血球の塊スープですから、それが尿で薄まれば白濁の混濁尿になるのです。そのため、尿に大量の白血球が含まれるので、白く混濁した尿になるのです。対策として、水分を多く取って尿量を増やして何回もオシッコをするのです。何回もオシッコをすることで、バイ菌の数を減らして、破裂し散布された白血球の毒物を薄め、白血球の興奮を抑えるのです。

Boukou3 ❸排尿痛(オシッコの最後の痛み):

炎症のために、膀胱粘膜は過敏になります。少しでも尿がたまり、粘膜が引き延ばされると「尿意」になります。そしてオシッコをすると、膀胱粘膜が縮みますから、過敏になった粘膜同士が重なりぶつかるので、刺激を受け「痛み」として感じるのです。ですから、急性膀胱炎の排尿痛は、オシッコの最後に痛くなるのです。

★この考え方は、一般的に思われている事ですが、実は、あとの残尿感で解説してるように、オシッコで膀胱が縮むと、膀胱の壁が膀胱出口(イラストの緑部分)に衝突するのです。膀胱炎で過敏になった膀胱出口が衝突で刺激されるので、オシッコの最後に感じる排尿痛になるのです。

Bbe358d1f401401ba18676d9334afe9e ❹頻尿(1日のオシッコの回数8回以上):

炎症により膀胱の粘膜が過敏になるので、オシッコが100〜200㎖程度で尿意を強く感じて何回もトイレに行くので、頻尿になるのです。ところが、急性膀胱炎の患者さんは、寝てからはオシツコで起きないのです。日中の頻尿はあるのですが、夜間の頻尿はないのです。

★ここで一つ疑問に思われませんか?夜間に寝ている時の方が、尿はタップリと溜まるはずですよね?膀胱の粘膜は引き延ばされて、夜間でも尿意を強く感じるはずです。では何故でしょう。実は尿意のセンサーは、膀胱の出口近くの膀胱三角部と膀胱括約筋にあるのです(イラストの赤い部分)。日中は立ったり座ったりしていますから、内臓で一番下の臓器である膀胱は、すべての内臓の重さが負担としてかかるので、膀胱内圧が高くなり、膀胱三角部と膀胱括約筋に負担がかかるのです。しかし、夜間寝るとすべての内臓が平らになるので、膀胱に圧力がかかりません。したがって、400㎖溜まって膀胱粘膜の引き延ばされても尿意を感じないのです。

Boukou5 ❺残尿感(オシッコが終わったのに尿が残っている感じ):

 オシッコの最後に残尿感を感じる理由があります。オシッコの最後に膀胱が収縮して、お互いにぶつかります。膀胱出口=膀胱括約筋+膀胱三角部(イラストの緑部分)に膀胱全体が当たる(赤いライン)のです。炎症で過敏な尿意センサーである膀胱出口に他の部分の膀胱壁が当たると同時に尿意を感じる、すなわち残尿感になるのです。

★そして、排尿後に、次第に尿が溜まり始めると、膀胱壁と膀胱出口との接触が次第に離れるので、残尿感が無くなるのです。尿が溜まると残尿感が無くなるという現象は、不思議で面白いでしょう?

このように急性膀胱炎の症状を詳しく調べることで、症状の発生原理が明確に理解できたでしょう?ところが、一般的な泌尿器科医は、『膀胱が細菌感染で、血尿・混濁尿・排尿痛・頻尿・残尿感が起きるんだ!』と知っているだけで、具体的な理由は無視して『炎症が原因だから仕方がないのだ…』と漠然としたイメージだけで終わらせてしまうのです。ある意味で、適当・いい加減です。当然として、他の病気のことも正確に考えませんから、原因不明の過活動膀胱も間質性膀胱炎も膀胱疼痛も慢性前立腺炎など、症状の組み合わせの偽造病名がいくつも創作されるのです。世間的には有名で頭がいいとされる教授たちが集まって、泌尿器科学会でガイドラインを決めます。当然として、対症療法だけにとどまるのです。

 

 

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急性膀胱炎の2つのタイプ

Acmecha 「急性膀胱炎」には大きく分けて二つのタイプがあります。

若いご婦人の急性膀胱炎と、中高年のご婦人の急性膀胱炎です。一見すると、同じ膀胱炎ですが、実は原因がまったく違うのです。若いご婦人の急性膀胱炎は、時々で年に数回しかありません。ところが中高年のご婦人の急性膀胱炎は、年に5回以上、場合によっては毎月起きることがあるのです。

若いご婦人の急性膀胱炎は、性行為・セックスが原因で、陰部に存在する雑菌が膀胱内に押し込まれてしまうので、発症します。膀胱内に入った大量の雑菌に対して、膀胱粘膜の白血球が雑菌に攻撃をかけて、結果、急性膀胱炎になるのです。

ところが、中高年のご婦人の場合は、そんなに頻繁にセックスをしませんよね?なのに、何故、頻繁に急性膀胱炎になるのだと思いませんか?例えば、80歳の高齢者の方が、急性膀胱炎を繰り返した時に、毎回セックスをしたとお思いですか?

膀胱粘膜に存在する白血球が、常在菌と偶然に出会うと、常在菌に攻撃をかけるのです。実は高齢者の方の場合には、患者さんが自覚していない排尿障害がもともと隠れているのです。その排尿障害が原因で、膀胱には常に負担がかかります。それが原因で、膀胱の粘膜の白血球が常にイライラと興奮いているのです。その興奮した白血球が常在菌と偶然に出会うと、立ち所に攻撃するのです。攻撃された常在菌は、他の雑菌と同じように対抗手段として、細胞分裂を行い、数を増やします。過敏な白血球は当然のように、数の増えた常在菌に攻撃をします。常在菌をたくさん食べた白血球は破裂します。破裂すると白血球内の毒物が放出し散らばり、周囲の膀胱粘膜に炎症を作るので、結果として急性膀胱炎になるのです。

高齢者の急性膀胱炎の患者さんに対して、「入浴の際に陰部をキレイに洗ってくださいね!」とか、「オシッコの後は、トイレットペーパーで前から後ろに拭いてくださいね!」「排便の後も、前から後ろに拭いてくださいね!」とアドバイスしますが、急性膀胱炎は繰り返します。病気の本質を考えもしないで、素人的発想をするのが情けないですね。この世界で毎日入浴するのは日本人だけです。そんな日本人が不潔にする訳がないでしょう!そんなアドバイスをする医師の無知にガッカリです。

Lutstotal_20190914100201「嘘」の急性膀胱炎があります。急性膀胱炎の典型的な症状は、①頻尿(日中だけ)と②排尿痛(オシッコの最後だけの痛み)、③血尿(オシッコの最後だけの血尿)、⓸残尿感の4つが典型的な症状です。ところが、夜間頻尿や常時膀胱が痛い、出始めの血尿、残尿感がないのに、急性膀胱炎と診断されたら、本当の急性膀胱炎ではありません。典型的な症状が無いのであれば、排尿障害が原因の過活動膀胱、間質性膀胱炎、慢性膀胱炎、心因性頻尿、膀胱疼痛なのです。そして抗生剤や抗菌剤で症状が落ち着くから、細菌性の急性膀胱炎と確信してしまう患者さんも医師も多くおられます。そこに誤解があるのです。抗菌剤や抗菌剤は殺菌するばかりでなく、人間を含めた生命の活性を低下させる作用も持っているのです。病気の症状は生命活性の表現のひとつですから、症状が軽快したからっと言って、雑菌が原因の急性膀胱炎とは限らないのです。単なる抗生剤や抗菌剤の副作用効果なのです。

【予防・対策】

若いご婦人が急性膀胱炎の場合は、セックスの直後にオシッコをしてください。膀胱内に侵入した大量の雑菌が排出できるからです。したがってセックスの前には、オシッコをからっぽにしないで下さい。

❷❸排尿障害が原因の中高年のご婦人の場合には、排尿障害の治療を行いましょう。α1ブロッカーのエブランチルと、β3作動薬であるベタニス・べオーバを処方してもらって下さい。

以上の解説は医学書には記載されていません。私だけのユニークな発想です。信じるか信じないかは、貴方次第です。

 

 

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