間質性膀胱炎を治療する医師へ

間質性膀胱炎を原因不明の病気と決め、学会では、薬を注入したり膀胱水圧拡張術を行いますが治りません。極端に症状のある人を大学病院で膀胱全摘手術と人工膀胱を作りますが、膀胱三角部の有無で、症状の残る人がいました。原因不明と学会で発表していましたが、聞いていた私は直ぐに理由が分かりました。これからの解説でご、理解してください。

医師は、ある意味で科学者ですから、原因不明のまま治療するなんて、……治る訳がありませんし医師としては情けありません!

この30年間に、当院は今までに日本全国から数千人の治らない間質性膀胱炎の患者さんが来院されました。その、8割はお薬だけで改善しました。治療薬は、

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❶医師の気が付かない排尿障害が原因ですから、膀胱括約筋を緩めるα1-ブロッカーであるシロドシン・タムスロシン・エブランチルです。

❷排尿障害による膀胱三角部の興奮を鎮める過活動膀胱の治療薬であるβ3作動薬であるべオーバ・ベタニスの併用です。

❸水分接種は毎日1リットル以下です。

 

9e3a89b714fb48699af37528a9de76e8 上記の治療で難治性の患者の80%が治るのです。
間質性膀胱炎の原因は、患者さんが自覚しない排尿障害と隠れた頻尿が原因なのです。医師の行う検査でも証明できないのです。医師の無視するわずかな排尿障害が何十年も継続すると、膀胱出口周辺に変形が生じて、それが症状を作るのです。写真は、その患者さんのエコー所見です。

Ice2 イラストで解説しています。膀胱三角部が突出して、膀胱排尿筋が変形して、見えない筈の膀胱括約筋が肥大して見え、膀胱三角部の粘膜が硬化しています。

これらの所見は全てが排尿障害による後遺症のです。しかし大学病院の医師は異常なしと判断するのです。……馬鹿野郎!素人か?

ですから、間質性膀胱炎と診断された患者さんに対しては積極的な排尿障害の治療と過活動膀胱の治療を行なってください。

私は高齢者で血液透析を行なっている身体障害者です。当然いつ突然死しても不思議ではありません。患者さんのために、この記事を参考にして患者さんを助けてください。お願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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間質性膀胱炎の手術方法

 

Icop1泌尿器科学会で原因不明とされている「間質性膀胱炎」の原因は、患者さんが無自覚の排尿障害と膀胱三角部の過敏さが原因です。

 積極的な排尿障害の治療薬のα1-ブロッカーであるユリーフ・シロドシン、ハルナール・タムスロシン、エブランチルと、膀胱三角部の興奮を鎮めるβ3作動薬であるベタニス、ベオーバの投与で患者さんの80%以上の人が軽快しました。

しかし、20%未満の患者さんは、まだ我慢できない症状で悩まれるのです。そこで私の考案した内視鏡手術で症状を軽快させます。方法は【初めのイラスト】の通りです。

❶まずは、膀胱出口を開きやすく切開します。6時と12時の切開が基本です。追加としては、1〜2時、4〜5時、7〜8時、10〜11時です。すべて行う必要はありません。

❷症状を作っているのは、排尿障害で刺激された膀胱三角部ですから、縦に切開したり、ボトックスを注射すると症状は軽快します。

Icop2 【2枚目のイラスト】膀胱の手術は、日帰り手術のために仙骨神経ブロックで行います。すると手術中にオシッコを出すことが可能です。術中にオシッコを出すようにいきんでもらうと、正常であれば膀胱出口が十分に開く筈なのに、慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の患者さんの場合には、膀胱出口が逆に閉じるのです。それも12時の方向から下に下がるのです。そして6時の部分が正常よりも上に位置しているのです。

その理由は膀胱括約筋が肥大して、膀胱出口の12時に位置しているため、排尿時に膀胱括約筋が収縮して12時の位置が下がるのです。6時の位置が相対的に上に上がるので、膀胱出口の6時の位置が膀胱側に飛び出るのです。

Icop3 【3枚目のイラスト】ですから内視鏡手術としては、膀胱出口の12時と6時の位置を十分に切開するのです。また6時の位置を膀胱三角部まで十分に切開すれば、症状も低下します。

この方法に気づき実行しているのは、日本(世界?)でも私ひとりだけです。当然、保険適応外です。「過活動膀胱の尿失禁」と言う病名でボトックス注射を行って、ついでに内視鏡手術をしたことにすれば、10万円以下の保険負担金でできます。この私のやり方を真似して実行して頂ければ、たくさんの患者さんに好かれますよ。 

以前に記載した慢性前立腺の内容とほぼ同じです。病気は同じだからです。

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内視鏡検査で分かる事


間質性膀胱炎の患者さんは、最終的に内視鏡検査だけで診断するのです。

おかしいと思いませんか?先日、間質性膀胱炎のエコー所見を解説したように、前立腺肥大症と同じ排尿障害が原因なのです。内視鏡検査での結果は、表面的な結果だけです。例えば、火傷やケガの患者さんを診察した時に、原因は何ですか?と質問もしないで治療する医師は存在しません。火傷の原因によっては深部の組織まで壊死を起こします。ケガの場合は骨折しているかも知れないのです。

間質性膀胱炎の内視鏡所見は次の通りです。
❶粘膜の異常ハンナ型潰瘍
❷点状出血
❸過剰の毛細血管
❹肉柱形成


これらの所見は、ハンナ型潰瘍を除いて、前立腺肥大症の患者さんにも、手術中にしばしば認められます。前立腺肥大症の場合には、エコー所見で大きさしか観察していないのです。一般の泌尿器科医は、その大きさを削り取るか、焼き取ることしか思っていないのです。間質性膀胱炎の逆です。(笑)

間質性膀胱炎を定義した医師たちは、前立腺肥大症の内視鏡手術をしていない、考えるだけの内科的な医師たちだったのです。上記のような経験をせずに、考えた治療方法は、意味のない誰でも出来る膀胱水圧拡張術しか思い付かないのです。内視鏡検査で、間質性膀胱炎と同じ所見があった場合、前立腺肥大症の患者さんに膀胱水圧拡張術を行い軽快すると思いますか?

Ice 大学病院の医師たちは、エコー検査を自分たちでは行わず、泌尿器科の病気を具体的に知らない、写真しか観察していないエコー検査医師に依頼しているだけののです。ですからエコー所見は単純に正常と診断するのです。

エコー所見を通常の小さい画面で観察して、「異常なし」と診断するのです。

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ところが画像を何倍にも拡大して観察すると、さまざまな所見が見えてくるのです。白さが目立ち、硬化像か筋肉だ!出口が硬いぞ!などいろいろです。そのような所見から、「.何故?どうして?」と原因を考えれば理由が分かるのです。

内視鏡検査では、このエコー所見を判断することは確認できません。粘膜下の膀胱排尿筋や膀胱括約筋の異常を確認できる訳がありません。泌尿器科医師は、エコー検査をもっと勉強しろ!!!

 

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膀胱三角部の症状

 

Sankakubu_20210408105201 膀胱にいろいろな病気があります。急性膀胱炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症などがあります。

それらの症状は、頻尿、残尿感、排尿痛、膀胱痛などの症状の組み合わせです。でもどうして、これらの症状が出るのか医師は理解していません。あくまでも膀胱全体の症状だと思っているのです。その証拠として、ボトックス治療として、膀胱全体に20カ所(過活動膀胱の処置)〜30カ所(神経因性膀胱の処置)も膀胱筋肉に注射するのです。

実は、膀胱の病気の症状を作るのは「膀胱三角部」だけなのです。膀胱三角部を除く膀胱全体は、膨らんだり縮んだりするためだけの臓器なのです。膀胱の知覚はないのです。

膀胱の症状を作っているのは、膀胱三角部だけなのです。その根拠は、イラストのように排尿障害が原因で膀胱三角部に負担がかかるからです。膀胱三角部は実は尿管の延長の変形なのです。膀胱三角部は伸びたり縮んだりしないのです。尿管の出口が膀胱内圧で極端に強く圧迫されると、尿管口から尿が出なくなり、腎臓に負担がかかるからです。ですから内圧の負担を尿意として感じるのです。

しかし。その負担が長期間繰り返されると、尿意だけでは不十分と考えて、脊髄神経回路が混乱して、尿意神経と異なる神経の痛み、痒み、痺れ、尿意切迫感、残尿感などに切り替えるのです。その結果、さまざまな症状になるのです。その症状の組み合わせで、いろいろま病名になるのです。 バカみたいでしょう(笑)。

ここまでのお話しで理解できるように、先ず第一に排尿障害の治療すれば良いのです。ユリーフ・シロドシン。ハルナール・タムスロシン、エブランチルを処方します。次に様々な症状があっても頻尿治療薬であるβ3作動薬であるべオーバ、ベタニスで治療すれば良いのです。

61hinnyo32007年に初診された60歳の患者さんのお話しです。一日何と61回の頻尿と夜間10回の頻尿と、一日3回の陰部の激痛で、2件の大学病院を受診しました。「間質性膀胱炎」と診断されて、2回の膀胱水圧拡張手術を受けました。……ところが、ちっとも治らなかったので、女性の有名教授に相談しました。すると、大声で怒鳴られました。患者さんは、泣きながら埼玉から高橋クリニックに受診されたのです。検査をしてみると排尿障害が確認されました。患者さんの強い希望があり手術を実施しました。当時は現在の薬剤師がなかったので、止む無く手術を行いました。膀胱出口と膀胱三角部の切開だけです。

手術後1ヶ月では、1日の頻尿60回→30回、夜間頻尿10回→5回に減り、毎日3回の激痛が無くなったのです。その後、頻尿は一日5回、夜間頻尿は0回でした。患者さんには、とても感謝され、ご夫婦で毎年2回再診されて状態を報告されました。写真は学会報告に出した患者さんの喜びのお顔です、ら

術後12年経ったある日のこと、ご主人から電話がありました。ご夫婦で食事中に奥様が脳出血で突然死されたのです。後日、ご主人が来院され「妻は本当に先生に感謝していました。手術後12年間、体調が良く、とても幸せでした。本当にありがとうございます。」………医師として悲しくもあり、感謝されて嬉しくもありました。私があの世に行った時には、歓迎してくれるでしょうね。

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間質性膀胱炎の対処法

遠方で当院に来院できない方への助言です。

以前から間質性膀胱炎の原因について、私のブログで詳細に解説しています。その原因が次の通りです。
❶排尿の膀胱出口にある膀胱括約筋と、尿道括約筋のバランスが乱れる。
❷膀胱括約筋が十分に開かないで排尿するので、腹圧の物理的負荷が膀胱括約筋にかかる。
❸何十年と毎日繰り返されると、当然の生体反応として、膀胱括約筋が肥大する。
❹膀胱括約筋が肥大すれば、膀胱出口は尚一層と開き難くなる。
❺排尿時に膀胱内圧が上昇する。
❻膀胱内圧の上昇=尿がパンパンに溜まった=尿意切迫感→頻尿=過活動膀胱になる。
❼膀胱内圧の上昇→膀胱三角部に負荷→尿意+痛み→間質性膀胱炎になる。

以上の事から分かるように、排尿障害が間質性膀胱炎の根本原因なのです。しかしながら、一般の泌尿器科医は原因不明の炎症と思っているので、排尿障害の治療薬を処方してくれません。そこで、地元の医師に次のようなウソを言ってください。
「オシッコが出にくいのです。」「過去に神経因性膀胱と診断されました。」

このように告げれば、排尿障害の治療薬であるα1-ブロッカーであるエブランチルと、β3作動薬であるベタニス・べオーバを処方してもらえるでしょう。

 

 

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過活動膀胱の治療薬

 過活動膀胱の治療薬である頻尿治療薬である、抗コリン剤(トビエース・ベシケア)とβ3作動薬(べオーバ・ベタニス)があります。一般の医師は、単なる頻尿治療薬としか思わないで、処方しているだけです。

 抗コリン剤の作用するムスカリン受容体と、β3作動薬の作用するβ3受容体は、膀胱に均一に分布している訳ではなく、また人によって同じではありません。ですから、この事を常に想像して患者さんに工夫して処方をするべきです。

 しかしながら、それぞれの受容体(ムスカリン受容体・β3受容体)の分布が人によって違うという事は、実証はされてはいません。ムスカリン受容体もβ3受容体も膀胱全体にあると思われていますが、臨床経験上、そうではないと私は考えています。ムスクあリン受容体おはほぼ全域に存在し、β3受容体は膀胱三角部を中心に存在すると考えています。そこで、私が40年以上も患者さんと接すると、思い付いてだんだんと予想できることがあるのです。

Juyotaim_20200903102201 ❶イラストのように、🅰️ムスカリン受容体は膀胱のほぼ全体に分布する人と、🅱️膀胱の体部だけに分布する人に分かれます。
🅰️の患者さんに抗コリン剤を服用すると、膀胱全体と出口の平滑筋の緊張が緩むので、腹圧をかけると、尿がスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんが抗コリン剤を服用すると、膀胱大部だけが緩むのですが、膀胱出口は緩まないので、腹圧をかけると、相対的に膀胱出口が収縮してしまうので、オシッコが出にくくなったり、尿閉になる人が出て来ます。

Juyotaib_20200903102201 ❷β3受容体が🅰️膀胱三角部周囲から出口まで分布する人と、🅱️膀胱出口には分布しない人がいます。
🅰️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱出口周辺が緩むので、腹圧がかかるとオシッコはスムーズに出ます。
しかし、🅱️の患者さんがβ3作動薬を服用すると、膀胱三角部だけが緩んで膀胱出口が緩まないので腹圧をかけると膀胱出口が閉じてしまい、尿が出にくかったり、尿閉になることがあります。

以上のパターンの組み合わせ、❶🅰️🅱️と❷🅰️🅱️との組み合わせで、2✖️2=4タイプの人が存在します。最近では、抗コリン剤とβ3作動薬の併用で、頻尿を抑える効果が期待されていますが、必ずしも上手くいくとは限りません。特に【❶🅱️+❷🅱️】タイプの人は頻尿が減るかも知れませんが、オシッコの出が悪くなる可能性が高くなるのです。

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間質性膀胱炎の北海道のご婦人#2

983e4085d6524619a3bc3c21c76cd4e6 去年の12月に、治らないで苦しみ続けた間質性膀胱炎の30歳代のご婦人を内視鏡手術を行いました。オシッコの回数が、毎日40回で夜も眠れずに、精神的にも「うつ状態」に陥っていました。自殺をいつも思っていました。北海道でいくつもの病院で膀胱水圧拡張術を行いましたが改善しません。

387ece3bcac2486bb23b6a7e87db7360 優しいご主人がインターネットで当院を探し出し、来院されました。検査で排尿障害による間質性膀胱炎症状と判断しましたが、膀胱水圧拡張術を4回も受けていたために、膀胱の障害が強く、症状がなかなか改善しません。それまで排尿ができないので、膀胱カテーテルの留置したり、自己導尿で日常生活を暮していました。しかしカテーテルの留置や自己導尿しても、残尿感が取れないので精神的にも負担がかかりました。

内服治療でも症状が改善しないので、クリスマスイブに内視鏡手術をすることになりました。麻酔が十分に効かなくて、完全な手術は出来ませんでしたが、術後には排尿回数が1日40回→→→20回に半減したのです。しかも夜間頻尿が5回→→→0回になり、奥さんがイビキをかいて寝ていると、ご主人み喜んでいただきました。

北海道に帰宅してから、時々電話で連絡を頂いています。排尿回数は15回〜20回の状態です。しかしながら夜間頻尿は再び5回に戻ってしまいました。残念😞 カテーテルを挿入しなくても、オシッコが出るようになりました。😀

06541ce0a6e8485d8475eac4e3f771e6 しかし、うつ状態は軽減して明るいお声で話を私にしてくれます。先日は、なんと!妊娠してお子さんを産んでも良いですか?と質問されました。勿論OKですと答えました。\(^o^)/

【参考】

http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cc/2019/12/post-4a98e8.html

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間質性膀胱炎の粘膜の所見

1bdb1e8606cd4e2ab0f4fc0ab3666958  私の考えでは、間質性膀胱炎の原因が排尿機能障害が原因だと考えています。では、間質性膀胱炎の特徴的所見である、膀胱粘膜に毛細血管の蛇行と点状出血とハンナ型粘膜潰瘍が出来るのでしょうか?

 排尿障害があると、膀胱は少ない尿量でオシッコを出そうとします。なぜなら尿量が多いと、対応して大きく開く筈の膀胱出口が十分に開かなで、圧力をかけると膀胱内圧が高くなるのです。膀胱は尿が溜まらないように頻尿になるのです。それが長期間継続すると、膀胱は次第に小さく萎縮するのです。つまり膀胱壁の縦走筋と輪状筋も伸び縮みが低下します。萎縮によって粘膜の収縮と伸展の許容範囲も狭くなります。当然、膀胱粘膜に血液を供給する毛細血管も次第に短くなるのです。(写真は間質性膀胱炎ガイドラインのハンナ型潰瘍)

129ac98404e7409593dc70e1a9e1b2ff  このような状態が継続すると、粘膜と毛細血管とのバランスが崩れて来ます。結果、粘膜の一部が粗血状態になり、粘膜が壊死を起こします。それが「ハンナ型潰瘍」なのです。また、膀胱水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませると、伸び縮みの少ない毛細血管が切れてしまい、「点状出血」になるのです。(2枚目の写真は点状出血)

B85dbfec4b1b410181a43d22a28eef29  膀胱水圧拡張術により膀胱を無理やり膨らませるので、縮んでいた膀胱壁の筋肉(縦走筋・輪状筋)も切れて損傷します。損傷部分は生体反応で線維化が起こり、さらに伸び縮みが悪化します。ですから、膀胱水圧拡張術を行えば行うほど、膀胱は萎縮して小さくなります。(3枚目の写真は、前立腺肥大症の手術の際に認められた点状出血です。間質性膀胱炎の症状はありません。)

Ich_20200806094801  ではなぜ点状出血やハンナー型潰瘍が出来るのかイラスト描いて考えてみましょう。

膀胱の粘膜は移行上皮と言う細胞で作られています。、膀胱が収縮している場合は、3層の厚い層になっているのです。しかも細胞が縦に並んでいるのです。しかし、膀胱に尿が溜まると膀胱は拡張します。もしも収縮してる時も1層だけであれば、膀胱粘膜は当然裂けてしまいます。そこで拡張した際には、いくつもの層が、それぞれが横に伸びて次第に薄くなるのです。ですから膀胱粘膜が避けることはないのです。

 

Ich2_20200806094801  ところが、排尿機能障害があり、膀胱三角部が過敏になると、尿が溜まることが少なくなり、膀胱が拡張しなくなるのです。寝たきりのご老人の足の筋肉が萎縮して歩けなくなるのと同じです。ひどい人だと、100㎖も溜められなくしまいます。すると、膀胱の筋肉である縦走筋・輪状筋が萎縮して、筋肉が十分に伸びたり縮んだりできなくなります。当然、筋肉が伸びなくなると、膀胱粘膜にも萎縮が起こり、線維化する膀胱粘膜細胞が生まれます。

 繊維化した細胞の周囲の細胞に癒着してしまいます。その際に、膀胱水圧拡張術で膀胱を無理やり膨らませると、それぞれの細胞に血液を供給していた毛細血管が切れてしまいます。それが点状出血になるのです。医師が尿を我慢しなさいと命令すればするほど、点状出血は増えていきます。さらに血管が切れて血液供給されない粘膜細胞は壊死を起こします。それが増えて、ハンナー型潰瘍と診断されるのです。

 私程度の街中の無名の一開業医ですら、こうやっていろいろ考えるのですから、有名な先生たちも、もっと考えて、原因不明の病気とするな!

 

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難病指定の患者さん

Ic37779pp 「ハンナ型間質性膀胱炎」の難病指定されたご婦人が、栃木県からはるばるお越しになりました。
6年前に間質性膀胱炎と診断され、これまでに5回も「膀胱水圧拡張術」を受けたのです。当然として治らないので、インターネットで当院を見つけて来院されたのです。

症状は、毎日10回の頻尿と夜3回の夜間頻尿です。そして陰部の痛み、特に尿道口が痛いのです。

 初診時にエコー検査わや行いました。膀胱三角部は盛り上がっています。膀胱出口付近の粘膜は硬化があり、膀胱縦走筋の先端が2つに大きく裂けています。膀胱括約筋も目立ちます。

これらの所見は全て排尿機能障害の後遺症の所見です。にも関わらず、膀胱水圧拡張手術で膀胱を5回も無理やり膨らませただけですから、治る訳がありません。

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  2枚目の写真は、慢性前立腺炎の患者さんのエコー所見です。男性の場合は、前立腺が存在しているので、膀胱出口が膀胱側に盛り上がっています。

 でも、このご婦人患者さんのエコー所見は、まるでこの男性の所見と同じにように前立腺が存在するが如く見えますよね?つまり、排尿障害障害があると、膀胱縦走筋と膀胱粘膜の距離が次第に開き、さらに膀胱括約筋が肥大し、遂には膀胱三角部が肥大して厚くなるのです。ですから、慢性前立腺炎の男性患者さんのエコー所見と、間質性膀胱炎の女性患者さんとのエコー所見が似てしまうのです。

 膀胱出口がこんな状態の膀胱に、水圧拡張手術で病気が治ると思えますか?つまり、間質性膀胱炎は原因不明の膀胱自体の病気ではなく、排尿機能障害による膀胱の過敏さ=頻尿+痛みなのです。

 それなのに、疲れて過敏になった膀胱を物理的に無理やり膨らませる治療に、どう考えても効果が出る訳がありません。その膀胱水圧拡張手術を日本全国の大学病院や有名病院で実施しているのです。医師としては、本当に情けない!

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 さらに膀胱三角部を拡大して90度に回転させて見ると、何に見えますか?宇宙人あるいはゾンビに見えませんか?

 

Oni3  長期間かけて排尿機能障害で膀胱三角部が、こんなに4も変形しているのです。このような変形の原因である排尿機能障害を治さなければ治る訳がありません。私独自の考え方ですが、いろいろな検査で獣やお化けや怪獣が見えたら、彼らが自己主張してるために症状がドンドン悪化するのだと、私は思っています。

 

 

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便意と尿意の感じる場所

大便を排便する際に、直腸内にウンコがあっても便意は感じません。なぜにそう思うかというと、前立腺ガンの確認するために直腸の触診をすると、大便の塊が指先に触れる患者さんがかなりおられるのです。つまり私の人差し指の長さ程度の位置に大便が存在しても便意を感じていないのです(笑)。また逆に、オナラのつもりでプッーとすると、たまたま下痢で便失禁する人がいます(笑)。オナラの圧力と液体の下痢便の圧力はほぼ同じなので、勘違いしてしまうのです。つまり、本当に肛門直前の圧力でなければ、便意を感じないのです。しかし、固い便が肛門手前に残っていると常に便意を感じます。そういう患者さんは、指を使って摘便しなければ便意感覚が無くなりません。要するに直腸全体で便意を感じるのではなく、直腸出口=肛門直前付近で便意を感じるのです。

発生学的に直腸と膀胱は一卵性双生児なのです。当然、便意を感じる直腸と同じで、膀胱の尿意を感じるのは、発生学的解剖学的構造学的に考えて、膀胱出口付近なのです。しかし、今の医学、特に泌尿器科では、膀胱全体で尿意を感じると間違って思い込んでいるのです。その誤解が、頻尿で有名な過活動膀胱や間質性膀胱炎の治療が的確に出来なくなり、患者さんを悩ませるのです。

以前にも、膀胱と直腸の発生学的構造について解説しました。

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まずは、胎児の4週の時点で、膀胱の基礎が出来上がります。それが、「総排泄腔」です。その形はとてもシンプルです。総排泄腔の前に「へその緒」が繋がっています。

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総排泄腔の前後の真ん中辺りにクビレが生じます。これを「尿直腸中隔」と呼びます。イラストでは「中隔」と示しています。

胎児の6週に成ると中隔というクビレがドンドン深くなっていきます。深くなるに連れ、総排泄腔の前は膀胱に、背後は直腸になろうと変形します。つまり、膀胱と直腸は、発生の途中では同じ臓器だったのです。ですから、出産後に成長して成人になれば、別の臓器と思われますが、神経的には脊髄神経で繋がっている方もおられます。その証拠に、膀胱炎になると便意を催すヒトもいれば、下痢すると頻尿になるヒトも存在します。

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胎児の7週に成ると、尿直腸中隔は完成して膀胱と直腸は完全に分離独立します。膀胱の末端は、体壁皮膚の外側まで通過して「尿道」になります。胎児の11週には男性の場合は、この尿道から芽が出て、それが「前立腺」になります。背後の直腸は、大腸(S字結腸)の末端と接続して、大腸は直腸まで連続します。

ですから、直腸も膀胱も構造的には同じなのです。直腸の便意が肛門直前だとすれば、当然として、膀胱の尿意も膀胱出口だと推察できます。その証拠に、排尿困難の患者さんに、膀胱留置バルーンカテーテルを入れると、尿が空っぽになるのに、尿意を強く感じる患者さんがたくさんおられます。その理由は風船(バルーン)が膀胱出口に接触するからです。

つまり、頻尿や尿意切迫感などを主訴とする過活動膀胱や間質性膀胱炎や慢性膀胱炎などは、すべてが膀胱出口の過剰な興奮が原因なのです。そのベースが排尿障害なのです。

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