前立腺ガンの放置2年間

高橋先生、約2年ほど前にPSA高値(27)で診察していただいた者です。診察時に、先生よりがんが指摘されましたが、私の「抗がん剤はやりたくないです」との発言に対し、先生より「じゃぁ自然体でいなさい」と指摘されました。あれから自分なりに生活習慣・食事などに気を付けてきましたが、昨年から実家の関係で精神的ストレスが溜まったせいか、5月の自治体のがん検診でPSAが56となり、大学病院を紹介されました。

病院ではこれまでに触診、直腸エコー、生検、MRI、CT、骨シンチと一通りの検査をされ、生検では、10本中10本でがんが発見され、グリソンスコアは7と言われました。先生のブログや著書を読んでいたため、自分なりに質問内容を整理して担当医に質問し、得た答えは以下になります。

・「CT,骨シンチの画像で見る限り転移はなさそう。TNM分類はおそらくT3N0M0で、T3bかもしれない。精嚢まで浸潤しているかはMRIではわからないががんが浸潤して形が崩れているのかもしれない。あなたのがんはMRIでもはっきり
しないタイプなのかもしれない」

・「直腸エコーでがんが黒く映ることはあるが、あくまで参考。一般的にがんは黒く映るが、あなたのははっきりと映っていない」

・「前立腺の容量は約20ccくらいだが、がんの容積ははっきりわからない」

・「転移は今のところなさそうだが、PSAが高い(数値:50)。CT・骨シンチは感度が100%ではないので全身MRIで微小転移があるかを検査する。これで転移がなければ手術も可能かもしれない」

・「排尿障害でPSAが上がることは基本的にない」★

・「ホルモン療法の薬を処方するから全身MRIが終わった翌日から飲みなさい」

態度が高圧的で、がんしか見ていないような回答でした。正直、この医師との信頼関係は築けないと思いました。全身MRIは一応受ける予定ですが、その後の治療は遠慮することを考えています。何よりも★マークの排尿障害とPSA上昇は関係ないとの一言で、この医師には見てもらいたくないと思いました。

2年前に先生に診断された時点で、私が余計なことを言わずに素直に高橋先生の指示通りにしていればと、今は自分のしたことの愚かさを後悔しています。妻とも相談し、先生のブログを読んだ妻は「あなたは高橋先生に診察・治療してもらいたいという潜在意識なのでは?」と言われました。これまでの愚かな自分を猛省し、改めて高橋先生に診察していただき、適切な判断を仰ぎたいと思っております。

2年前にわがままなことを言ってしまい、高橋先生を不機嫌にさせてしまったことを深くお詫びいたします。近日中に妻とクリニックに伺います。なにとぞよろしく診察のほどお願い申し上げます。

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Pca363562pp  2018年4月に初診で来院された50歳代の患者さんです。当時PSA値が27と高く、前立腺ガンを疑われました。触診で前立腺の右側に前立腺肥大症に近い硬さを感じました。超音波エコー検査でも前立腺の右側に前立腺ガンと思われる陰影が確認されたので、ステージⅡの初期の前立腺ガンだと診断しました。

 でも患者さんは現代医療を拒否されたので、ご自分の自由にお任せしたのでした。

Pca36356pp

 それから二年以上経過した、2020年7月7日七夕の日に再診されたのです。お奥様と2人で謝らられました(笑)😀。今回はPSA値が56と更に高くなり、地元の病院で諸検査の末、前立腺針生検を受け、10本中10本に前立腺ガンが認められ、悪性度グリソンスコア7でした。

 触診では前回よりも硬さが強く、左右に広がっていました。超音波エコー検査では、写真のように前立腺の右側が直腸側に突出して、左右非対称さが強調されています。初診時の写真と比較して、前立腺ガン陰影(矢印部分)が拡散しています。明らかに病気は進んだことになります。

 前立腺針生検をされて前立腺ガンを刺激されてしまいましたから、病気はさらに進むことになります。医師としてはヤレヤレです。

 治療として、私の方式としてエストラサイト1錠ザルティア1錠を毎週1回処方することにしました。さてどうなるか?

 

 

 

 

 

 

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エコー所見で分かる慢性前立腺炎の原因

 開業医となって31年間経ちました。患者さんの総数が3万7千800人にもなります。その中で多い病気か慢性前立腺炎で約7千人程になりました。

 その多くの患者さんの初診の時に、必ずエコー検査を行いました。それ程多くの患者さんをエコー検査を行うと、次第に見えて来る真実が分かりました。

 エコー検査所見の見方を解説しましょう。

Ecohnol 一般の医師は、エコー検査を見る時にエコー機械のオリジナルの画像しか確認しません。そして医師が確認するのは、前立腺の大きさだけです。つまり、前立腺肥大症が有るか無いかを確認しているだけです。そして前立腺に大きさが正常に近いと、前立腺肥大症ではないので、慢性前立腺炎と診断して、抗生剤・抗菌剤とセルニルトンを処方しているだけです。そして治らないと、気のせい治らないなんちせいの非細菌性慢性前立腺炎と診断するのです。右のイラストが正常の超音波エコー所見(側面像)です。

当然、治らないで苦しむ患者さんが、インターネットで当院を探し出し、何百何千人も来院されたのです。

Ecohcp ところがエコー検査所見を丁寧に観察すると、次第に見えて来るものがあるのです。前立腺結石、膀胱縦走筋の変形、見えない筈の膀胱括約筋の露出、膀胱出口のVの字変形、膀胱粘膜の硬化像、膀胱三角部の肥厚、静脈瘤、膀胱粘膜の肉柱形成などが認められたのです。これらの所見はどう考えても、長期間に渡る排尿機能障害が原因なのです。右のイラストは、慢性前立腺炎の患者さんの前立腺の特徴ある所見です。

 これに興味持ったのは、過去に慢性前立腺炎と診断さ7れたタクシー運転手さんが、地元の内科医から紹介されました。その患者さんは、当時、中目黒にあった有名な泌尿器科クリニックに通院していたのですが、症状が治らないので、悩んでいました。エコー検査で小さ目の前立腺肥大症だったのです。患者さんに「前立腺肥大症の手術をすれば、治るかもしれませんね」とお答えしました。すると、患者さんからご依頼を受けて、日帰りの内視鏡手術を行いました。術後、1週間ほどで、苦しんでいた会陰部の痛みが消えて、仕事のタクシー運転手さんに復帰出来たのです。

 これを機会に、『慢性前立腺炎の中には排尿機能障害が原因なんだ!』と思うようになったのです。その後、たくさんの慢性前立腺炎の患者さんが訪れることになり、排尿機能障害を中心とする治療で治る患者さんがたくさん出て来たので、自信を持ちました。

先ずは、エコー検査の方法です。エコー検査機械のスタンダードの画面では、特に異常がないと思えてしまいます。それを回避するためには、目的の画面を4倍〜16倍に拡大して観察すると、異常所見が見えて来るのです。

 実例を紹介しましょう。
Ecohcp37744pp 【症例❶】
 38歳の男性で、8回の軽度の頻尿、陰部の痛み、肛門の鈍痛で来院された患者さんです。地元の泌尿器科で慢性前立腺炎と診断され、セルニルトンとエヒプロスタツトの治療を受けましたが、まったく治りません。そこで、インターネットで検索して当院に来院しました。先ずは、エコー検査の標準画像です。どうですか?直ぐに見て異常の箇所が分かりますか?…特に気が付きませんよね。一般の医師は、この標準画像を見て、「前立腺大きくないし、別に問題はありません。慢性前立腺炎ですね。」と診断するのです。

Ecohcp377442pp  そこで、この標準画像を拡大します。この写真は標準画像の6倍です。そして、超音波の焦点位置とコントラストを調整して異常所見を明瞭にします。ご覧のように、膀胱縦走筋の変形、膀胱出口のVの字変形、膀胱括約筋の肥大が容易に認められます。

Ecohcp377443pp  エコー検査の正面画像を見ると、さらに新たな所見が得られます。前立腺と膀胱の間に見える白い部分が、膀胱括約筋です。一般の人の場合には、この膀胱括約筋がこれほど中央にまで侵出しません。これが膀胱括約筋の肥大なのです。膀胱括約筋は、膀胱の出口を閉める作用が主な仕事です。ですから膀胱括約筋が肥大しているという事は、それだけ膀胱出口が開き難いと言うことになります。また、膀胱括約筋の中に黒い影が見えます。これは前立腺周囲の静脈が拡張=静脈瘤を意味します。排尿機能障害が長年あると、膀胱括約筋が発達・肥大して、静脈が圧迫され続き、遂には静脈瘤になるのです。これを一般の医師は、うっ血(鬱血)があると考え、「骨盤内うっ血症候群」と訳の分からない病名を診断するのです。そしてうっ血の漢方薬である桂枝茯苓丸を処方するのです。うっ血の原因を考えないで、うっ血だけの対策の漢方薬を処方するのは、あまりにも非科学的の行いです。

 そこで、この患者さんの非細菌性・慢性前立腺炎の症状の原因が排尿機能障害であることが分かります。そこで、今回は治療薬として、α1ブロッカーであるタムスロシン(ハルナールのジェネリック)と隠れた頻尿の治療薬であるβ3作動薬であるべオーバを処方しました。排尿機能障害で過敏になった膀胱三角部は何十回という頻尿を作るのですが、この患者さんは1日8回ほどしか頻尿がないので、隠れた頻尿症状のエネルギーが、脊髄神経回路で別の知覚神経の中枢ルートに流してしまうので、いろいろな痛み感覚になるのです。それを回避するために、頻尿の治療薬であるβ3作動薬を処方するのです。

 なかなか治らない慢性前立腺炎の患者さんで困っている泌尿器科の医師にアドバイス致します。超音波エコー検査の所見の読影の仕方を、このブログを参考に勉強なさってください。

 

 

 

 

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慢性前立腺炎の所見

 当院には慢性前立腺炎で何年も苦しみ悩まれている患者さんが、日本全国からたくさん来院されます。それらの患者さんはそれまでいろいろな検査を行い、特に異常がないと診断され、最後には「気のせい」「ストレスが原因」とまで言われてしまうのです。

Cpecoh2 そこで私が超音波エコー検査を行うと、異常所見だらけです。先ずは、正常の前立腺の超音波エコー検査所見をイラストで示します。p

 これは側面像のイラストです。膀胱縦走筋は細く、そして膀胱出口に向いおり、膀胱出口のすぐ近く5㎜に位置しています。これが正常の所見です。

Cpecoh1_20200612123901 今度は慢性前立腺炎の患者さんの超音波エコー検査所見をイラストで示します。どうです?正常所見とは全く違うでしょう?
❶膀胱出口がVの字に大きく開いています。通常は凹み程度。
❷前立腺内に前立腺結石が認められる。排尿障害が長期間だと、前立腺に石灰が沈着する。
❸膀胱三角部が厚くなっている。膀胱三角部は尿意を感じるセンサーだから、厚ければ厚いほど、頻尿や痛みが強くなる。
❹膀胱三角部の粘膜が硬化している。膀胱出口が十分に開かないで、排尿するので、出口が強く振動する。その結果、振動する膀胱三角部の粘膜が硬く肥厚する。
❺膀胱出口の粘膜が硬化している。膀胱三角部と同じ理由。
❻膀胱縦走筋が縮み変形している。排尿障害のため、骨格筋である尿道括約筋に強く引っ張られ、変形し方向が異常になる。
❻膀胱括約筋が顕著に認められる。膀胱括約筋は膀胱出口の左右に存在するが、排尿障害が長期間だと、膀胱括約筋が太り、側面像の中心にまで観察できる。

❼静脈瘤が認められる。排尿障害で膀胱内圧が高くなり、前立腺に圧力がかかるので、周囲の静脈が圧迫され拡張する。
以上が、慢性前立腺炎の患者さんのエコー所見です。一般の泌尿器科の医師は、こんなに大きく拡大して観察しないのです。このイラストの8分の1程度の大きさで、エコー所見を読むので、このような細かい異常所見があっても、正常範囲内と誤認するのです。

 一般の医師に強調したいのは、エコー所見を通常の大きさだけで観察するな!と言いたいです。D450d27d39cc4e089388a6a2625f57f0 この写真は実例です。ご覧のように、膀胱三角部が硬化像があります。縦走筋は出口に向いていませ ん。膀胱括約筋も肥大して正中に見えます。
Fb664f546e834980a1aa6b7f1b9be8f9

 次の写真も実例です。縦走筋が膀胱出口ではなく、縮んで塊になっています。膀胱三角部はが厚くなって中葉肥大と思われます。膀胱括約筋も確認できます。

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前立腺ガン手術後に悩む患者さん

Pcaopside 初めまして。男性67歳です。
一か月半前に前立腺がん切除術を受けました。
尿漏れは覚悟していました。酷い状況で、現在まだ一向に良くなっていかずにむしろ安定的に
多い感じです。尿漏れパッドは一日五枚前後(150mL*2回吸収タイプ)で交換します。

退院後、薄い血尿がしばらくあったのですが、一か月で消えました。
時折、尿道が痛む程度です。
退院以来、勃起は一度もありません。

尿意は四六時中あるという感覚で、一日20回以上はトイレへ通います。
が、日中はなかなか膀胱に溜めることができず、パッドに垂れ流してしまうことになります。
しかし、たまに日中でも溜まった場合では、尿勢が極端に弱く、二筋、三筋に分かれ、散乱して
便器にすら入らず辺りを汚します。また、小水を出そうと陰茎をズボンから出そうと急いでも、
大抵は出す瞬間に尿がこぼれ出て、またズボンを汚すのも大変多い。
うっかりして、パンツ、ズボンを濡らすこともいまだにあるという体たらくに意気消沈しています。

これでは、外出がままならず、今後どうなってゆくのか不安です。

一方、これも不思議なことに退院後すぐから、夜間は尿漏れはなく、頻繁ではあるものの
3~4回程度のトイレ通いで済んでいます。(手術前は夜間一回程度でした。)
これにはたまたま一種救いを感じております。

一体、手術によって、私の尿道が異常変形してしまったのかなどと素人考えで、どうなって
しまったのかと悩みます。

今後回復するのかと不安で仕方なく、何か、良くなっていくためにご助言を下さいません
でしょうか。
【回答】
手術によって陰部神経を切除されたので、勃起しなくなったのです。よくあることです。
前立腺を摘出して、膀胱と尿道を縫合する時に、膀胱の過敏な膀胱三角部に縫合糸がかかるので、尿意が常にかかるのです。尿道の痛みも膀胱三角部の症状です。
対症療法として、過敏さを抑えるために膀胱括約筋の緊張を緩めるユリーフ・シロドシン、膀胱三角部を緩めるベオーバ・ベタニスを服用すべきです。
お大事に。

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前立腺の触診

Gsstage0PSA値が高いからと言って、すぐに前立腺針生検を迫る医師がたくさんいます。基本的には、先ずは前立腺の触診をしなければなりません。触診でガンを触れることがなければ、正常あるいは前立腺肥大症です。触診で正常であっても排尿機能障害である膀胱頚部硬化症でも前立腺肥大症でもPSA値は上がりやすいのです。

例え前立腺内にラテント癌が存在していてもPSA値は上がりません。PSA値が高いからと言って、前立腺針生検をすると、寝ているガン細胞(ラテント癌)を起こしてしまい、それが原因で悪性度の高い前立腺ガンに変身させて寿命に影響を与えてしまう可能性があるのです。

Gsstage1触診で判定できる前立腺ガンについて解説しましょう。イラストはステージ❷の前立腺ガンの触診所見です。触診で判断できる硬結には2つのタイプがあります。先ずは前立腺肥大症の硬さの前立腺ガンです。前立腺肥大症は通常であれば左右対象の筈です。部分的に前立腺肥大症の硬さを感じられる硬結の場合は、グリソンスコア6以下の良性に近い前立腺ガンです。2番目は石のように硬い硬結です。これはグリソンスコア6以上の悪性度が高めの前立腺ガンです。悪性度が高いガンの場合は、細胞の密度が高いので高くなるのです。

Gsstage2次に考えるのが悪性度の高い前立腺ガンの触診所見です。この前立腺ガンの硬結は、さらに本当の石のように硬く凸凹しています。したがって悪性度はグリソンスコア 7・8・9・10と考えられます。そしてステージも❸❹と高くなるのです。

触診だけで、ここまで判断できるのです。さらに、PSA値÷前立腺の大きさ=0.2以下であれば、悪性度は少ないはずです。また触診で硬結が確認されずに、エコー検査で前立腺ガンが確認出来なければ、正常あるいは、最悪でラテント癌のステージ❶でしかありません。

 PSA値が高いことで、触診もしないで針生検を行なってラテント癌を発見した場合、積極的なホルモン治療、放射線治療、手術治療になります。これは、患者さんの為ではなく、医師たちの増収の為としか思えません。

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前立腺ガンの本質を考えた治療

前立腺ガンは更年期を過ぎて男性ホルモンが低下したために生まれてくるのです。その根拠は、前立腺ガンのホルモン治療で前立腺ガンを抑え込むと、最終的に去勢抵抗生前立腺ガンが生まれるからです。去勢抵抗性前立腺ガンの細胞は、自らが男性ホルモンを作るのです。したがって、前立腺ガンの細胞は情報を得て、進化・変身する能力のある存在だと思って治療に対処すべきでしょう。

Cd039df41b1349eab5ec6c6fd67a44d0 ①エストラサイト(女性ホルモン+抗ガン剤)
男性ホルモンを抑える一般的な治療をすれば、前立腺ガンに男性ホルモンを作らせることを促すことになるのです。つまり悪性度の高い去勢抵抗性前立腺ガンに変身させてしまうのです。それを避けるために、男性ホルモンを抑えないでそのままにして、女性ホルモン+抗ガン剤で攻撃をかけるのです。男性の細胞である前立腺の細胞にも女性ホルモンの受容体があるので、前立腺ガン細胞はやられます。ただし正当な投与量ではなく、毎日4カプセルを毎週あるいは2週間にたった1カプセルしか処方しないのです。すると、ガン細胞が攻撃されていることを感知しないで治療を無意識に受け入れてしまうのです。そして少量なので、副作用もわずかになります。

77e6c5d1978a4be19f049fff1439b61a ②ザルティア
一酸化窒素NOの分解酵素を抑えるクスリです。一般的に尿道の平滑筋を一酸化窒素NOでリラックスさせて排尿をスムーズにさせるクスリです。これによってすべての細胞がリラックスします。ガン細胞を攻撃する時に、ガン細胞が緊張していると過敏になり、攻撃に対して反発や反撃をしようと努力するに決まっています。それを避ける意味で、すべての細胞をリラックスさせるザルティアを処方するのです。

③男性ホルモンの軟膏
前立腺ガンが生まれた原因が、更年期を過ぎて男性ホルモンが低下したからです。前立腺の細胞が自分たちで男性ホルモンを作ろうと考えた結果です。前立腺は内腺と外腺に分けられます。内腺からは主に前立腺肥大症になり、外腺からは前立腺ガンになるのです。発生学的に内腺よりも外腺の方が原始的な細胞です。ガン細胞は酸素呼吸しない極端な先祖返りの細胞ですから、原始的な外腺から生まれるのです。体の中の男性ホルモンが低下したと思わせないために、男性ホルモン軟膏を毎日少量塗ることで、体内の男性ホルモンが戻ったと嘘をつくのです。

④大豆イソフラボン

大豆には糖分と結合した分子量の大きいグリコン型イソフラボンがあるのですが、これは吸収が悪いのです。そこで分解してアグリコン型イソフラボンが有効なのです。その物質の中で効果があるのが、ダイゼインという成分です。この成分が女性ホルモン受容体を刺激して、平滑筋の興奮を鎮める作用があります。ですから、前立腺ガン細胞の女性ホルモン受容体を刺激するので、前立腺ガン細胞も落ち着くのです。

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比較して分かる前立腺ガンの正体

Cancar 【全国がんセンター協議会のデータより】
前立腺ガンを発見されて、私のブログを読まれてから大いに悩まれる患者さんが多くおられます。
そこで、見方を変えて、インターネットで容易に手に入るデータから下記の通り考えてみました。

✳︎✳︎各臓器の癌の10年生存率の比較(ステージⅢ)と、生存率から観た前立腺ガンの悪性度との比較

前立腺ガン 95.6%   1.0倍比較悪性度※
肺ガン………16.1%   5.9倍
胃ガン………38.9%   2.5倍
大腸ガン……74.8%   1.3倍
直腸ガン……63.0%   1.5倍
食道ガン……66.1%   1.4倍
肝臓ガン………9.8%   9.8倍
膵臓ガン………3.1%  30.2倍
腎臓ガン……51.8%    1.8倍
膀胱ガン……32.3%    3.0倍

ステージⅢとは、臓器の外に超えてしまったガン=浸潤ガンです。臓器周囲のリンパ節に浸潤している可能性があります。また、ステージⅢのガンは発育速度が高いと考えられるので、おそらく悪性度は中等度以上でしょう。 ガンは癌でも臓器別にして10年生存率を比較してみると、こんなにも違います。みんな同じではないのです。特に、前立腺ガンは膵臓ガンと比較すると、30倍以上も10年生存率が高いのです。膵臓ガンは、本当に正真正銘の悪性度の高い癌ですが、前立腺ガンは「本当に癌なの?」と思えてなりません。
ですから、針生検で前立腺ガンが発見されたとしても、心に余裕を持ってください。
また、良性に近い前立腺ガンが、他の臓器のガン発生を一時的にでも牽制してくれているのかも知れません。

さらに心臓の病気との比較では、
心筋梗塞…………… …………51%   1.9倍
肥大型心筋症…………………82%   1.2倍
拡張型心筋症…………………22%   4.3倍
大動脈弁狭窄症 手術例………70% 1.4倍
大動脈弁狭窄症 内科治療例… 20% 4.8倍

Kanngaepp_20191105112001 前立腺ガンの患者さんは、心臓の病気の患者さんよりも長生きができるのです。それから考えれば、前立腺ガンは単なる一般の病気です。

 

 

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前立腺ガンの手術後の腹痛

平成27年頃から右の下腹部の痛みがあり、大学病院で検査を受けたら、PSA値が高く針生検をしたら前立腺ガンが見つかりました。その結果、平成28年に前立腺の全摘手術を行ったのです。

しかし、その後も右の下腹部の痛みは無くならずに困っていました。たまたま私の新書を読み、当院に横浜からお越しになりました。年齢は70歳です。

Pcaop37383m70pp 早速、エコー検査を行いました。前立腺は当然ありませんから、所見は普通ではありません。しかし、この所見から推察できることがあります。この写真は膀胱出口の側面像です。膀胱排尿筋が膀胱出口ではない間違った方向に向いています。そのために膀胱三角部が全体的に厚いです。この所見から、手術前より、この患者さんには強い排尿機能障害があったのだろうと推察できます。

Pcaop37383m702pp 次に膀胱の正面像です。膀胱三角部が台地のように盛り上がっています。そして膀胱三角部の粘膜の硬化像も確認できます。粘膜の硬化像は、膀胱出口が十分に開かないで排尿するために、膀胱出口周辺が振動するから硬くなるのです。さらに画面の左端に凸凹が確認できますね。これは肉柱形成です。長期間に渡って排尿機能障害があると、膀胱に負担がかかり、膀胱壁の筋肉のあるところとないところが著しく目立つために起きる所見です。

以上のことから、推理できるのは、次の通りです。以前から排尿障害があつたのです。通常であれば頻尿症状になるはずです。しかしながら、この患者さんは1日の排尿回数は7回〜8回くらいしかありませんでした。体は、この状態を警告するために関連痛=右の下腹部の痛みになったのです。この患者さんの経過は、過剰診断で過剰診療だった可能性が大です。

排尿障害があると、排尿時の膀胱からの圧力が前立腺にかかるのです。そのために前立腺からPSAが滲み出て、PSA値が高くなり、前立腺ガンを疑われてしまったのです。針生検でたまたまラテント癌が見つかり、そして前立腺の全摘手術をされたのです。

前立腺の全摘手術は、前立腺を全部取り除き、膀胱と尿道を吻合するのです。しかし、その際に過敏だった膀胱三角部を残したのです。さらに膀胱と尿道を吻合縫合する時に、膀胱三角部に縫合糸が刺さって傷になります。その傷が膀胱三角部を刺激しますから、当然、再び関連痛=右の下腹部の関連痛がです。

以上の証拠から、膀胱三角部の興奮を鎮めるためにαブロッカー(ユリーフ・シロドシン)とβ作動薬(ベオーバ・ベタニス)を処方しました。すると、1ヶ月後には、それまで悩んでいた右の下腹部の痛みが、面積が小さくなり、痛みの程度も下がったのです。さらに排尿回数も8回から6回に減りました。患者さんは不思議がっています。そして、頻尿でもないのに、何故、過活動膀胱のクスリを飲まなければいけないのですか?と質問されました。…前回お話ししたのに、理解してくれていないのです。…(ー ー;)改めて説明しました。排尿機能障害→膀胱三角部の興奮→頻尿情報→脊髄神経回路→痛み症状に差し替えられた。要するに、患者さんの個性で頻尿ではなく、痛み症状にすり替えられているのです。ですから、過活動膀胱のクスリを止めると、また痛み症状が戻りますよ。真剣に説明しているのに、一般の医師と同じに、治らない常識的な知識しか理解してくれないのです。…ガッカリ。

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PSA検査の過剰診断でラテント癌が見つかってしまった人

Pca37422m61pp

前立腺ガンと診断された60歳代の患者さんが訪れました。

PSA検査で5.0以上で前立腺ガンを疑われ、MRI検査で大きさ1.2㎝の大きさの陰影が発見されました。2015年PSA4.9  2016年PSA5.01  2017年PSA7.2 と年々高くなったので、2018年3月についに前立腺の針生検を行いました。すると、10本中1本だけにグリソンスコア6という良性に近いガンが見つかったのです。前立腺の全摘手術をススメられたのですが、患者さんは拒否して、代替医療の医師に転医して、現在治療を受けているのです。

ここで疑問があります。直径が1.2㎝もの大きさの前立腺ガンかあるのに、たつた10本中1本しか見つからない訳がありません。MRI検査結果は、おそらくは誤診だったのでしょう。

その後は現在までは、代替医療を行っているのですが、2019年10月にはPSA値が6.519と高いままだったのです。本人も代替医療の医師も現状を知りたくて、医師から私が紹介されて来院されました。

早速、エコー検査を行いました。すると私の予想通りに、排尿障害のある前立腺の形状をしていました。膀胱排尿筋が間違った方向に向いており、相対的に膀胱三角部が厚くなり、頻尿症状が推察できました。確かに患者さんは毎日10回の頻尿なのです。また前立腺結石と、膀胱三角部粘膜も硬化像が認められます。これらの所見は、すべて排尿機能障害の後遺症です。結局として、現在のPSA値が高くなるのも、排尿機能障害の後遺症だったのです。

触診所見でも前立腺ガンは触れません。一般的にMRI検査で見つかる前立腺ガンは、触診で必ず見つかります。

Pcastagesuravival グリソンスコア6程度の悪性度の前立腺ガンが、PSA値を高くできるとは思えません。この患者さんの経過は、排尿機能障害によるPSA値の高値を理由に針生検されてしまったために、見つける必要のない悪性度の低いラテント癌が発見されたのです。これで、患者さんは最悪として今後の人生においてガンの事ばかり考えてしまうネガティブな人間に変身するでしょう。

この表は前立腺ガンのステージと5年生存率と同年齢の健常者の5年生存率の比較です。触診で確認できないステージⅠのラテント癌の場合、悪性度に関係なく5年生存率は90%以上であり、これは同年齢の健常者と全く同じなのです。そんなステージⅠの患者さんに前立腺針生検をして、逆に寝ていたガン細胞を傷つけて起こしてしまえば、良い結果が出ると思えますか?また傷つけたことが、ガン細胞だけでなく、患者さんの心も傷つけてしまうのです。

Gs6 これは、医師の行為による被害者とも考えられます。この患者さんのように、前立腺ガンのことしか興味のない医師によって、他の隠れた病気を見逃された患者さんはたくさんいます。医師の使命は、病気を見つけることは勿論ですが、患者さんの命ばかりでなく、患者さん人生のクオリティを高めるのも使命です。

現在の日本人男性の50歳以上では、40%以上の人にラテント癌が隠れています。80歳台では60%にもなります。これは前立腺ガン以外で亡くなられた方の病理解剖結果です。そのようなガンを見つける必要があると思えますか?

バカみたいに「PSA・針生検!PSA・針生検!PSA・針生検!」としか言わない医師は、注意した方がいいでしょう。

 

 

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bar in the sky

Barinthesky 自分が過去に書いた記事を読み返すと、薄ぼんやりしていた概念が明確になります。ですから、以前の記事を時々記載することにしました。

bar in the skyとは、何の事だかお分かりですか? 直訳で、空にかかる横棒?オリンピックで注目の棒高跳びのことを指しているのではありません。

これは、膀胱頚部硬化症の内視鏡検査で認められる特徴的な所見です。ところが、非細菌性慢性前立腺炎と他の病院で診断された、なかなか治らないの患者さんの内視鏡で必ずと言っていいくらい見つかる所見です。尿道から順々に膀胱に向かって丁寧に観察を進めると、尿道と膀胱の移行部、つまり膀胱頚部あるいは膀胱出口が狭くなっていて、絶壁の崖の下から空を見上げるように膀胱出口がはるか上に見て取れる様子を、bar in the sky、医学用語で膀胱頚部硬化症の「柵形成・さくけいせい」と呼びます。

Barinthesky2_20191024175001 【イラスト】 bar in the sky のイメージ

前立腺部の尿道から膀胱出口を観察した時に、絶壁の崖を見上げたように見えるのが、「bar in the sky」 です。(私の描いたイラストです)

Barinthesky3 【イラスト】 膀胱頚部周囲の正常解剖イラスト

膀胱出口は十分に開いた状態が、正常の所見です。膀胱出口(膀胱頚部)が大きく開いていて尿の出がよい状態です。観察をすると、膀胱出口は容易に開いているのです。

Barinthesky4 【イラスト】 膀胱頚部硬化症の解剖イラスト

膀胱出口(膀胱頚部)が、窄(すぼ)まっていて尿の出が悪い状態です。bar in the sky の所見が確認できます。排尿機能障害の患者さんは、排尿時に膀胱出口が開こうとしないのです。すると膀胱出口に物理的な負担がかかるので、次第に盛り上がって柵形成になるのです。

Barinthesky5 【実例】 24歳男性 カルテ番号15729

1年前から会陰部の痛みがあり、地元病院、国立N大学病院、S大学病院を受診して、「慢性前立腺炎」や「気のせい」の診断を受けた患者さんです。慢性前立腺炎患者さんのよくある病歴パターンです。最近では陰嚢に痒みが出てきてGoogle検索で高橋クリニックを探し来院しました。典型的なbar in the skyの所見です。機能性膀胱頚部硬化症です。

Barinthesky6 【実例】 50歳男性 カルテ番号15204

1年前から排尿障害が出現し、排尿するたびに残尿感が強く出ます。夜間は排尿で4回も目が覚めトイレに行きます。尿流量測定ウロフロメトリー検査をすると排尿障害が強かったのですが、前立腺肥大症はなく内視鏡検査する前から膀胱頚部硬化症を疑いました。内視鏡検査では、同じくbar in the skyの所見を認めました。機能性膀胱頚部硬化症です。

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【正常所見】正常所見を知らないと異常が判断できないと思いますから、ここに提示します。ただし、正常の人は膀胱鏡検査まで行かないので写真が少ないのが現状です。

Barinyheskybns 【実例】 57歳男性 カルテ番号15265

以前に高橋クリニックで前立腺肥大症の日帰り手術を行った患者さんです。手術後、しばらくしてから排尿障害が再び起きたので内視鏡検査を行うと、手術後膀胱頚部硬化症の所見が認められました。真ん中の暗い部分は膀胱頚部で直径が約3mmで硬くこれ以上開きません。前立腺部尿道が二段になっています。前立腺肥大症手術後の後遺症です。再度手術の必要があります。この方にはbar in the skyの所見は認められません。器質性膀胱頚部硬化症です。

Barintheskybph 【実例】 62歳男性 カルテ番号15525

4年前から排尿障害が出現し前立腺肥大症と診断され、他の病院で手術を薦められましたが気が進まず放置していました。排尿障害が次第に強くなり日帰り手術の高橋クリニックを知り当院を受診した患者さんです。前立腺肥大症の中葉肥大所見がありましたが、写真のように極端なbar in the skyの所見を認めます。患者さんから病歴を詳細にお聞きすると、30歳の頃から頻尿で苦しんでいたとのこと。その際に受診した医師は「気のせい」と診断したのでそのまま我慢していました。この患者さんの場合、膀胱頚部硬化症が若い時からあり、加齢と共に前立腺肥大症が加わったものと考えられます。機能性膀胱頚部硬化症+前立腺肥大症(中葉肥大型)です。

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