前立腺ガン手術後に悩む患者さん

Pcaopside 初めまして。男性67歳です。
一か月半前に前立腺がん切除術を受けました。
尿漏れは覚悟していました。酷い状況で、現在まだ一向に良くなっていかずにむしろ安定的に
多い感じです。尿漏れパッドは一日五枚前後(150mL*2回吸収タイプ)で交換します。

退院後、薄い血尿がしばらくあったのですが、一か月で消えました。
時折、尿道が痛む程度です。
退院以来、勃起は一度もありません。

尿意は四六時中あるという感覚で、一日20回以上はトイレへ通います。
が、日中はなかなか膀胱に溜めることができず、パッドに垂れ流してしまうことになります。
しかし、たまに日中でも溜まった場合では、尿勢が極端に弱く、二筋、三筋に分かれ、散乱して
便器にすら入らず辺りを汚します。また、小水を出そうと陰茎をズボンから出そうと急いでも、
大抵は出す瞬間に尿がこぼれ出て、またズボンを汚すのも大変多い。
うっかりして、パンツ、ズボンを濡らすこともいまだにあるという体たらくに意気消沈しています。

これでは、外出がままならず、今後どうなってゆくのか不安です。

一方、これも不思議なことに退院後すぐから、夜間は尿漏れはなく、頻繁ではあるものの
3~4回程度のトイレ通いで済んでいます。(手術前は夜間一回程度でした。)
これにはたまたま一種救いを感じております。

一体、手術によって、私の尿道が異常変形してしまったのかなどと素人考えで、どうなって
しまったのかと悩みます。

今後回復するのかと不安で仕方なく、何か、良くなっていくためにご助言を下さいません
でしょうか。
【回答】
手術によって陰部神経を切除されたので、勃起しなくなったのです。よくあることです。
前立腺を摘出して、膀胱と尿道を縫合する時に、膀胱の過敏な膀胱三角部に縫合糸がかかるので、尿意が常にかかるのです。尿道の痛みも膀胱三角部の症状です。
対症療法として、過敏さを抑えるために膀胱括約筋の緊張を緩めるユリーフ・シロドシン、膀胱三角部を緩めるベオーバ・ベタニスを服用すべきです。
お大事に。

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前立腺の触診

Gsstage0PSA値が高いからと言って、すぐに前立腺針生検を迫る医師がたくさんいます。基本的には、先ずは前立腺の触診をしなければなりません。触診でガンを触れることがなければ、正常あるいは前立腺肥大症です。触診で正常であっても排尿機能障害である膀胱頚部硬化症でも前立腺肥大症でもPSA値は上がりやすいのです。

例え前立腺内にラテント癌が存在していてもPSA値は上がりません。PSA値が高いからと言って、前立腺針生検をすると、寝ているガン細胞(ラテント癌)を起こしてしまい、それが原因で悪性度の高い前立腺ガンに変身させて寿命に影響を与えてしまう可能性があるのです。

Gsstage1触診で判定できる前立腺ガンについて解説しましょう。イラストはステージ❷の前立腺ガンの触診所見です。触診で判断できる硬結には2つのタイプがあります。先ずは前立腺肥大症の硬さの前立腺ガンです。前立腺肥大症は通常であれば左右対象の筈です。部分的に前立腺肥大症の硬さを感じられる硬結の場合は、グリソンスコア6以下の良性に近い前立腺ガンです。2番目は石のように硬い硬結です。これはグリソンスコア6以上の悪性度が高めの前立腺ガンです。悪性度が高いガンの場合は、細胞の密度が高いので高くなるのです。

Gsstage2次に考えるのが悪性度の高い前立腺ガンの触診所見です。この前立腺ガンの硬結は、さらに本当の石のように硬く凸凹しています。したがって悪性度はグリソンスコア 7・8・9・10と考えられます。そしてステージも❸❹と高くなるのです。

触診だけで、ここまで判断できるのです。さらに、PSA値÷前立腺の大きさ=0.2以下であれば、悪性度は少ないはずです。また触診で硬結が確認されずに、エコー検査で前立腺ガンが確認出来なければ、正常あるいは、最悪でラテント癌のステージ❶でしかありません。

 PSA値が高いことで、触診もしないで針生検を行なってラテント癌を発見した場合、積極的なホルモン治療、放射線治療、手術治療になります。これは、患者さんの為ではなく、医師たちの増収の為としか思えません。

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前立腺ガンの本質を考えた治療

前立腺ガンは更年期を過ぎて男性ホルモンが低下したために生まれてくるのです。その根拠は、前立腺ガンのホルモン治療で前立腺ガンを抑え込むと、最終的に去勢抵抗生前立腺ガンが生まれるからです。去勢抵抗性前立腺ガンの細胞は、自らが男性ホルモンを作るのです。したがって、前立腺ガンの細胞は情報を得て、進化・変身する能力のある存在だと思って治療に対処すべきでしょう。

Cd039df41b1349eab5ec6c6fd67a44d0 ①エストラサイト(女性ホルモン+抗ガン剤)
男性ホルモンを抑える一般的な治療をすれば、前立腺ガンに男性ホルモンを作らせることを促すことになるのです。つまり悪性度の高い去勢抵抗性前立腺ガンに変身させてしまうのです。それを避けるために、男性ホルモンを抑えないでそのままにして、女性ホルモン+抗ガン剤で攻撃をかけるのです。男性の細胞である前立腺の細胞にも女性ホルモンの受容体があるので、前立腺ガン細胞はやられます。ただし正当な投与量ではなく、毎日4カプセルを毎週あるいは2週間にたった1カプセルしか処方しないのです。すると、ガン細胞が攻撃されていることを感知しないで治療を無意識に受け入れてしまうのです。そして少量なので、副作用もわずかになります。

77e6c5d1978a4be19f049fff1439b61a ②ザルティア
一酸化窒素NOの分解酵素を抑えるクスリです。一般的に尿道の平滑筋を一酸化窒素NOでリラックスさせて排尿をスムーズにさせるクスリです。これによってすべての細胞がリラックスします。ガン細胞を攻撃する時に、ガン細胞が緊張していると過敏になり、攻撃に対して反発や反撃をしようと努力するに決まっています。それを避ける意味で、すべての細胞をリラックスさせるザルティアを処方するのです。

③男性ホルモンの軟膏
前立腺ガンが生まれた原因が、更年期を過ぎて男性ホルモンが低下したからです。前立腺の細胞が自分たちで男性ホルモンを作ろうと考えた結果です。前立腺は内腺と外腺に分けられます。内腺からは主に前立腺肥大症になり、外腺からは前立腺ガンになるのです。発生学的に内腺よりも外腺の方が原始的な細胞です。ガン細胞は酸素呼吸しない極端な先祖返りの細胞ですから、原始的な外腺から生まれるのです。体の中の男性ホルモンが低下したと思わせないために、男性ホルモン軟膏を毎日少量塗ることで、体内の男性ホルモンが戻ったと嘘をつくのです。

④大豆イソフラボン

大豆には糖分と結合した分子量の大きいグリコン型イソフラボンがあるのですが、これは吸収が悪いのです。そこで分解してアグリコン型イソフラボンが有効なのです。その物質の中で効果があるのが、ダイゼインという成分です。この成分が女性ホルモン受容体を刺激して、平滑筋の興奮を鎮める作用があります。ですから、前立腺ガン細胞の女性ホルモン受容体を刺激するので、前立腺ガン細胞も落ち着くのです。

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比較して分かる前立腺ガンの正体

Cancar 【全国がんセンター協議会のデータより】
前立腺ガンを発見されて、私のブログを読まれてから大いに悩まれる患者さんが多くおられます。
そこで、見方を変えて、インターネットで容易に手に入るデータから下記の通り考えてみました。

✳︎✳︎各臓器の癌の10年生存率の比較(ステージⅢ)と、生存率から観た前立腺ガンの悪性度との比較

前立腺ガン 95.6%   1.0倍比較悪性度※
肺ガン………16.1%   5.9倍
胃ガン………38.9%   2.5倍
大腸ガン……74.8%   1.3倍
直腸ガン……63.0%   1.5倍
食道ガン……66.1%   1.4倍
肝臓ガン………9.8%   9.8倍
膵臓ガン………3.1%  30.2倍
腎臓ガン……51.8%    1.8倍
膀胱ガン……32.3%    3.0倍

ステージⅢとは、臓器の外に超えてしまったガン=浸潤ガンです。臓器周囲のリンパ節に浸潤している可能性があります。また、ステージⅢのガンは発育速度が高いと考えられるので、おそらく悪性度は中等度以上でしょう。 ガンは癌でも臓器別にして10年生存率を比較してみると、こんなにも違います。みんな同じではないのです。特に、前立腺ガンは膵臓ガンと比較すると、30倍以上も10年生存率が高いのです。膵臓ガンは、本当に正真正銘の悪性度の高い癌ですが、前立腺ガンは「本当に癌なの?」と思えてなりません。
ですから、針生検で前立腺ガンが発見されたとしても、心に余裕を持ってください。
また、良性に近い前立腺ガンが、他の臓器のガン発生を一時的にでも牽制してくれているのかも知れません。

さらに心臓の病気との比較では、
心筋梗塞…………… …………51%   1.9倍
肥大型心筋症…………………82%   1.2倍
拡張型心筋症…………………22%   4.3倍
大動脈弁狭窄症 手術例………70% 1.4倍
大動脈弁狭窄症 内科治療例… 20% 4.8倍

Kanngaepp_20191105112001 前立腺ガンの患者さんは、心臓の病気の患者さんよりも長生きができるのです。それから考えれば、前立腺ガンは単なる一般の病気です。

 

 

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前立腺ガンの手術後の腹痛

平成27年頃から右の下腹部の痛みがあり、大学病院で検査を受けたら、PSA値が高く針生検をしたら前立腺ガンが見つかりました。その結果、平成28年に前立腺の全摘手術を行ったのです。

しかし、その後も右の下腹部の痛みは無くならずに困っていました。たまたま私の新書を読み、当院に横浜からお越しになりました。年齢は70歳です。

Pcaop37383m70pp 早速、エコー検査を行いました。前立腺は当然ありませんから、所見は普通ではありません。しかし、この所見から推察できることがあります。この写真は膀胱出口の側面像です。膀胱排尿筋が膀胱出口ではない間違った方向に向いています。そのために膀胱三角部が全体的に厚いです。この所見から、手術前より、この患者さんには強い排尿機能障害があったのだろうと推察できます。

Pcaop37383m702pp 次に膀胱の正面像です。膀胱三角部が台地のように盛り上がっています。そして膀胱三角部の粘膜の硬化像も確認できます。粘膜の硬化像は、膀胱出口が十分に開かないで排尿するために、膀胱出口周辺が振動するから硬くなるのです。さらに画面の左端に凸凹が確認できますね。これは肉柱形成です。長期間に渡って排尿機能障害があると、膀胱に負担がかかり、膀胱壁の筋肉のあるところとないところが著しく目立つために起きる所見です。

以上のことから、推理できるのは、次の通りです。以前から排尿障害があつたのです。通常であれば頻尿症状になるはずです。しかしながら、この患者さんは1日の排尿回数は7回〜8回くらいしかありませんでした。体は、この状態を警告するために関連痛=右の下腹部の痛みになったのです。この患者さんの経過は、過剰診断で過剰診療だった可能性が大です。

排尿障害があると、排尿時の膀胱からの圧力が前立腺にかかるのです。そのために前立腺からPSAが滲み出て、PSA値が高くなり、前立腺ガンを疑われてしまったのです。針生検でたまたまラテント癌が見つかり、そして前立腺の全摘手術をされたのです。

前立腺の全摘手術は、前立腺を全部取り除き、膀胱と尿道を吻合するのです。しかし、その際に過敏だった膀胱三角部を残したのです。さらに膀胱と尿道を吻合縫合する時に、膀胱三角部に縫合糸が刺さって傷になります。その傷が膀胱三角部を刺激しますから、当然、再び関連痛=右の下腹部の関連痛がです。

以上の証拠から、膀胱三角部の興奮を鎮めるためにαブロッカー(ユリーフ・シロドシン)とβ作動薬(ベオーバ・ベタニス)を処方しました。すると、1ヶ月後には、それまで悩んでいた右の下腹部の痛みが、面積が小さくなり、痛みの程度も下がったのです。さらに排尿回数も8回から6回に減りました。患者さんは不思議がっています。そして、頻尿でもないのに、何故、過活動膀胱のクスリを飲まなければいけないのですか?と質問されました。…前回お話ししたのに、理解してくれていないのです。…(ー ー;)改めて説明しました。排尿機能障害→膀胱三角部の興奮→頻尿情報→脊髄神経回路→痛み症状に差し替えられた。要するに、患者さんの個性で頻尿ではなく、痛み症状にすり替えられているのです。ですから、過活動膀胱のクスリを止めると、また痛み症状が戻りますよ。真剣に説明しているのに、一般の医師と同じに、治らない常識的な知識しか理解してくれないのです。…ガッカリ。

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PSA検査の過剰診断でラテント癌が見つかってしまった人

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前立腺ガンと診断された60歳代の患者さんが訪れました。

PSA検査で5.0以上で前立腺ガンを疑われ、MRI検査で大きさ1.2㎝の大きさの陰影が発見されました。2015年PSA4.9  2016年PSA5.01  2017年PSA7.2 と年々高くなったので、2018年3月についに前立腺の針生検を行いました。すると、10本中1本だけにグリソンスコア6という良性に近いガンが見つかったのです。前立腺の全摘手術をススメられたのですが、患者さんは拒否して、代替医療の医師に転医して、現在治療を受けているのです。

ここで疑問があります。直径が1.2㎝もの大きさの前立腺ガンかあるのに、たつた10本中1本しか見つからない訳がありません。MRI検査結果は、おそらくは誤診だったのでしょう。

その後は現在までは、代替医療を行っているのですが、2019年10月にはPSA値が6.519と高いままだったのです。本人も代替医療の医師も現状を知りたくて、医師から私が紹介されて来院されました。

早速、エコー検査を行いました。すると私の予想通りに、排尿障害のある前立腺の形状をしていました。膀胱排尿筋が間違った方向に向いており、相対的に膀胱三角部が厚くなり、頻尿症状が推察できました。確かに患者さんは毎日10回の頻尿なのです。また前立腺結石と、膀胱三角部粘膜も硬化像が認められます。これらの所見は、すべて排尿機能障害の後遺症です。結局として、現在のPSA値が高くなるのも、排尿機能障害の後遺症だったのです。

触診所見でも前立腺ガンは触れません。一般的にMRI検査で見つかる前立腺ガンは、触診で必ず見つかります。

Pcastagesuravival グリソンスコア6程度の悪性度の前立腺ガンが、PSA値を高くできるとは思えません。この患者さんの経過は、排尿機能障害によるPSA値の高値を理由に針生検されてしまったために、見つける必要のない悪性度の低いラテント癌が発見されたのです。これで、患者さんは最悪として今後の人生においてガンの事ばかり考えてしまうネガティブな人間に変身するでしょう。

この表は前立腺ガンのステージと5年生存率と同年齢の健常者の5年生存率の比較です。触診で確認できないステージⅠのラテント癌の場合、悪性度に関係なく5年生存率は90%以上であり、これは同年齢の健常者と全く同じなのです。そんなステージⅠの患者さんに前立腺針生検をして、逆に寝ていたガン細胞を傷つけて起こしてしまえば、良い結果が出ると思えますか?また傷つけたことが、ガン細胞だけでなく、患者さんの心も傷つけてしまうのです。

Gs6 これは、医師の行為による被害者とも考えられます。この患者さんのように、前立腺ガンのことしか興味のない医師によって、他の隠れた病気を見逃された患者さんはたくさんいます。医師の使命は、病気を見つけることは勿論ですが、患者さんの命ばかりでなく、患者さん人生のクオリティを高めるのも使命です。

現在の日本人男性の50歳以上では、40%以上の人にラテント癌が隠れています。80歳台では60%にもなります。これは前立腺ガン以外で亡くなられた方の病理解剖結果です。そのようなガンを見つける必要があると思えますか?

バカみたいに「PSA・針生検!PSA・針生検!PSA・針生検!」としか言わない医師は、注意した方がいいでしょう。

 

 

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bar in the sky

Barinthesky 自分が過去に書いた記事を読み返すと、薄ぼんやりしていた概念が明確になります。ですから、以前の記事を時々記載することにしました。

bar in the skyとは、何の事だかお分かりですか? 直訳で、空にかかる横棒?オリンピックで注目の棒高跳びのことを指しているのではありません。

これは、膀胱頚部硬化症の内視鏡検査で認められる特徴的な所見です。ところが、非細菌性慢性前立腺炎と他の病院で診断された、なかなか治らないの患者さんの内視鏡で必ずと言っていいくらい見つかる所見です。尿道から順々に膀胱に向かって丁寧に観察を進めると、尿道と膀胱の移行部、つまり膀胱頚部あるいは膀胱出口が狭くなっていて、絶壁の崖の下から空を見上げるように膀胱出口がはるか上に見て取れる様子を、bar in the sky、医学用語で膀胱頚部硬化症の「柵形成・さくけいせい」と呼びます。

Barinthesky2_20191024175001 【イラスト】 bar in the sky のイメージ

前立腺部の尿道から膀胱出口を観察した時に、絶壁の崖を見上げたように見えるのが、「bar in the sky」 です。(私の描いたイラストです)

Barinthesky3 【イラスト】 膀胱頚部周囲の正常解剖イラスト

膀胱出口は十分に開いた状態が、正常の所見です。膀胱出口(膀胱頚部)が大きく開いていて尿の出がよい状態です。観察をすると、膀胱出口は容易に開いているのです。

Barinthesky4 【イラスト】 膀胱頚部硬化症の解剖イラスト

膀胱出口(膀胱頚部)が、窄(すぼ)まっていて尿の出が悪い状態です。bar in the sky の所見が確認できます。排尿機能障害の患者さんは、排尿時に膀胱出口が開こうとしないのです。すると膀胱出口に物理的な負担がかかるので、次第に盛り上がって柵形成になるのです。

Barinthesky5 【実例】 24歳男性 カルテ番号15729

1年前から会陰部の痛みがあり、地元病院、国立N大学病院、S大学病院を受診して、「慢性前立腺炎」や「気のせい」の診断を受けた患者さんです。慢性前立腺炎患者さんのよくある病歴パターンです。最近では陰嚢に痒みが出てきてGoogle検索で高橋クリニックを探し来院しました。典型的なbar in the skyの所見です。機能性膀胱頚部硬化症です。

Barinthesky6 【実例】 50歳男性 カルテ番号15204

1年前から排尿障害が出現し、排尿するたびに残尿感が強く出ます。夜間は排尿で4回も目が覚めトイレに行きます。尿流量測定ウロフロメトリー検査をすると排尿障害が強かったのですが、前立腺肥大症はなく内視鏡検査する前から膀胱頚部硬化症を疑いました。内視鏡検査では、同じくbar in the skyの所見を認めました。機能性膀胱頚部硬化症です。

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【正常所見】正常所見を知らないと異常が判断できないと思いますから、ここに提示します。ただし、正常の人は膀胱鏡検査まで行かないので写真が少ないのが現状です。

Barinyheskybns 【実例】 57歳男性 カルテ番号15265

以前に高橋クリニックで前立腺肥大症の日帰り手術を行った患者さんです。手術後、しばらくしてから排尿障害が再び起きたので内視鏡検査を行うと、手術後膀胱頚部硬化症の所見が認められました。真ん中の暗い部分は膀胱頚部で直径が約3mmで硬くこれ以上開きません。前立腺部尿道が二段になっています。前立腺肥大症手術後の後遺症です。再度手術の必要があります。この方にはbar in the skyの所見は認められません。器質性膀胱頚部硬化症です。

Barintheskybph 【実例】 62歳男性 カルテ番号15525

4年前から排尿障害が出現し前立腺肥大症と診断され、他の病院で手術を薦められましたが気が進まず放置していました。排尿障害が次第に強くなり日帰り手術の高橋クリニックを知り当院を受診した患者さんです。前立腺肥大症の中葉肥大所見がありましたが、写真のように極端なbar in the skyの所見を認めます。患者さんから病歴を詳細にお聞きすると、30歳の頃から頻尿で苦しんでいたとのこと。その際に受診した医師は「気のせい」と診断したのでそのまま我慢していました。この患者さんの場合、膀胱頚部硬化症が若い時からあり、加齢と共に前立腺肥大症が加わったものと考えられます。機能性膀胱頚部硬化症+前立腺肥大症(中葉肥大型)です。

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前立腺ガンのステージⅡの見つけ方

Pcastage2 触診で、前立腺が左右対称でない所見を注意深く観察しなければなりません。出っ張りを硬結と呼びますが、その硬結が必ずしも硬くはないのです。❶石のようにゴツゴツしていて硬い場合もあれば、❷なめらかな硬さで碁石のような場合、❸前立腺肥大症のように弾力の場合もあります。❹一番難しいのが、前立腺全体が満遍なく前立腺肥大症の硬さの場合です。

表で分かるように、❷と❸でステージⅡが診断できます。PSA値が高い場合は、必ず触診所見を確認しなければなりません。ところが、最近の若い泌尿器科の医師は、ステージⅠの触診所見では確認できない患者さんは、針生検でなければ確認出来ないので、『だったら、PSA値の高い患者さんは、全員針生検をすればいいんだ!』と思い、全ての患者さんに針生検をするのです。

ところが、針生検で突っついてガン細胞を刺激する行為が、本当に安全なのでしょうか? ガン細胞も生命体です。生き残るために積極的な生命活性を起こす事に決まっています。逆に今までなかったガン細胞の能力が発現します。ガン細胞は単細胞ですから、自分を守る武器を持っていません。出来ることは、ただひたすらに細胞分裂をするだけです。

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細胞分裂の利益は、仲間をたくさん増やすことで、人体の免疫行動攻撃から、少しでも仲間を残そうとするのです。さらに問題が起こるのです。ガン細胞は正常細胞と違って、まったく同じコピー細胞が出来ないのです。染色体の数がバラバラだったりするのです。それが原因で突然変異で、ガン細胞がバージョンアップしてしまうのです。それが去勢抵抗性前立腺ガンCRPC(Castration-Resistant Prostatic Cancer)です。つまりホルモン分泌細胞ではなかった前立腺ガンが、細胞内に男性ホルモンを作れるようになるのです。

これは針生検の刺激ばかりでなく、治療でも同じ現象が起きます。その理由はホルモン薬剤や抗がん剤で、規定の投与量でガン細胞を叩きつぶせば、同じ現象が起きるのに決まっています。でも治療しない訳には行きません。

毎日4カプセル規定量のエストラサイトを1週間に1カプセル〜2週間に1カプセル、すなわち28分の1〜56分の1のごく少量で治療するのです。この位の少量であると、ガン細胞全体が気がつかずに、少しずつ死滅するので、一気に細胞分裂をしなくなるのです。そうすれば、突然変異のリスクが28分の1から56分の1になっても、不思議ではないでしょう。すると、去勢抵抗性前立腺ガンの発現するのは、一般的に5年くらいですが、上手くすれば、単純計算で5年✖️28年=100年以上かかるかもしれません。……これはチョッと大げさですが、少なくても10年以上は去勢抵抗性…の発現を抑えることが可能なのです。高齢者だったら、平均寿命を超えることができるでしょう。

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隠れた尿閉で前立腺ガンを疑われた患者さん

Nyohei37356m59 PSAが高くて前立腺ガンを疑われた患者さんが、京都からお越しになりました。オシッコが近く(1日20回)、オシッコの出も悪いので、泌尿器科医に治療を希望しても、針生検をして前立腺ガンの確認をしてからでないと治療出来ないと断られたそうです。3年前から排尿障害があり、慢性前立腺炎という診断でした。その頃からPSA値高く40でしたが、前立腺針生検を拒否していました。最近になりPSA値が170ととんでもない結果になったのです。また、クレアチニンが1.3以上も高くなり、腎臓の機能低下も疑われているのです。体重も最近では、4キロほど重くなったとのことです。

Nyohei37356m592 私のブログをご覧になって当院にお越しになりました。先ずは、エコーの検査をしたら!!!ビックリです。膀胱に尿がパンパンに溜まっているではないですか!検査のためにオシッコを溜めていらしたのですが、一度排尿していただきました。それでもパンパンに尿が溜まっていました。どう見ても尿閉です。カテーテルを入れ尿を抜きました。何と!1600㎖でした!

Nyohei37356m593 改めて前立腺をエコーの検査で拝見すると、前立腺の大きさは80cc(正常20cc)で、左右非対称で、これではオシッコは出ないでしょう。エコーの検査では前立腺ガンの陰影は見えずに、触診でも前立腺ガンは触れませんでした。

腎臓の機能低下も、尿閉による閉塞生腎臓機能低下だったのです。体重増加も尿閉の1.6キロと浮腫み(むくみ)のためだつたのです。京都在住の方なので、東京へ通院は頻繁にはできません。そこで自己導尿セットをお渡しして、自宅で定期的に自己導尿を指導しました。

Nyohei37356m594

排尿障害と頻尿の治療薬と、前立腺を小さくするための治療薬を処方しました。前立腺が小さくなれば、自己導尿しなくても生活できるでしょう。あ1ヶ月後のPSAがガクッと下がったならば、前立腺ガンの疑いは、さらに晴れます。

PSAの値だけに固執して、苦しんでいる患者さんの本当の姿を見ようとしない医師の多いこと多い事!医師として、本当に情けない。患者さんを助けることが使命なのに…医師の代表として私も陳謝致します。m(._.)m🙏

 

 

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前立腺ガンの性格


926325e66a47463789354919242fee71 前立腺ガンは、ご存知のように多くが前立腺の外腺から発生します。外腺はそれまで散々内腺と硬〜い前立腺被膜によって挟まれ圧迫され続けたのです。そんな時に更年期になり頑張っていたエネルギーの男性ホルモンが一気に低下したために、男性ホルモンに依存していた外腺の細胞が、体質的にさらに苦しくなり、才能のある前立腺細胞が、遂に男性ホルモンを究極作ることのできるガン細胞に変身したのです。つまり、前立腺外腺の細胞は物理的にもホルモン的にも、常に緊張状態が続いた結果です。前立腺外腺は生まれてから更年期に至るまで、一生緊張状態にあったとも言えます。

Sitenno

さらに検査のための針生検で刺激(攻撃)され、ホルモン治療で刺激(攻撃)される訳ですから、ず〜っと緊張しっぱなしです。刺激されれば刺激されるほど、攻撃されれば攻撃されるほど、才能のある前立腺ガンは抵抗力を増して前立腺ガンの悪性度を高める=男性ホルモンを作ることのできる=去勢抵抗性前立腺ガンの原因になるかも知れません。でしたら、ガン細胞が緊張しないように『リラックス』させてあげれば良いことになります。

ガン細胞の緊張を解くリラックスさせる方法を考えてみました。

❶排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーのフリバスが、前立腺ガンの再発を抑えてくれるという文献データがありました。α1ブロッカーは平滑筋だけでなく、その他の細胞の緊張をも解いてくれるのでしよう。それを元に、当院で前立腺ガンの患者さんにはフリバスを処方しています。でも、効いているとは思えない患者さんもおられます。これは、フリバスの作用するα1受容体が主にα1‐d受容体で、前立腺ガンによってはα1‐d受容体が存在しないので、フリバスを処方してもガン細胞の緊張が取れないのでしょう。

Furo

❷やはり排尿機能障害の治療薬であるザルティア=タダラフィルは、細胞膜表面の受容体を介さないで全ての細胞の緊張を抑えてリラックスさせてくれます。細胞が裸でゆっくりとお風呂に入っているイメージです。当然、前立腺ガン細胞も同じで、リラックスして緊張も取れるでしょう。緊張が取れれば、裸ですから防御能力は低下して、医師の行う様々な治療攻撃に負けてしまうのです。

ですから、今後の前立腺ガンの患者さんには、前立腺ガン細胞をリラックスさせる排尿機能障害の治療薬であるフリバスと、さらにザルティアを処方するつもりです。もちろん、この考えは私の思い付きですから、正しいかどうかは、今後を観ていかなければ分かりません。

 

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