市販薬のテレビCM
テレビCMで紹介されている市販薬に頻尿の人向けのものがあります。
宣伝文句は、『頻尿で苦しんでいる人は膀胱が硬くなっている!』
『そんな人には◯◯◯◯◯がオススメです。硬くなった膀胱を柔らかくして症状を改善します!』
このフレーズは聞いたことがあるでしょう。
しかし、ここには、病気の原因追求は全く論じられていません。膀胱が硬くなるためには、何か原因がある筈です。その原因を無視して、膀胱の硬さだけに注目していることに疑問を感じます。これでは、原因不明の過活動膀胱や心因性頻尿や間質性膀胱炎の治療法とさほど変わりありません。
このCMの薬は生薬、漢方薬ですから、漢方の考え方は、ご覧のように対症療法なのです。瘀血があれば、血のめぐりを良くする薬、気虚であれば、気を充実させる薬です。どうして瘀血になったのか?どうして気虚になったのか?を調べないで、治療するのです。
美女と野獣
奥さんの許しを得て、久々に品川プリンスシネマに一人で映画を見に行きました。
今一番の「美女と野獣」を観ました。
主役のベルが以前に見たことのある女優さんと思って、プログラムを見たら、ハリーポッターに出演していた女の子でした。
心無い王子を懲らしめるために、魔女が王子とその使用人すべてに魔法をかけ、王子は醜い野獣に、使用人は家具調度品に変身させられたというお話です。その醜い野獣を心から愛する女性が出現しないと魔法は解けないのです。
これを観ていた私は、自分にかかった魔法は、死ぬまで消えないと思えてしまいました。週3回透析ベッドに4時間縛られ、食事制限と水分制限を受け、行動範囲も狭められ、物は歪んで見え、平衡感覚が不安定のためステッキを離せないという数々の不自由な生活を強いられている、この環境を悪意に満ちた魔法と考えても不思議ではありません。
これまでに、中学生の頃見た古いフランス映画、その後のディズニーのアニメ、劇団四季、ニューヨークのブロードウェイ、最近ではBSで新しいフランス映画と、今回で6回目の鑑賞になります。内容も充分に承知していましたが、今回ほど「こころ」を動かされたことはありませんでした。鑑賞する者の環境や置かれた立場によって、変わるものですね。
イケメンの王子が醜い野獣になったという状況と、泌尿器科医の私が腎臓を病んで腎不全なったことを考えると、野獣と自分が重なり、私は何を頑張れば、この物語のように魔法が解けるのだろうか?と思いました。野獣がベルを好きになり、ベルが野獣のことを愛してもらえる可能性はほとんどないと自虐的なり、自暴自棄の心情に野獣はなるのです。この時の野獣の気持ちと、私の気持ちはシンクロし、目がウルウルしていました。
魔法を解くために野獣や周りの家具調度品たちが努力したように、私も自分に課せられた仕事を頑張るだけです。
アンパンマンの気持ち
やなせたかし さんが作詞した「アンパンマンのテーマ」曲が、東日本大震災の後にラジオで流れました。その曲をたまたま聴いた被災者は、とても感激、感銘したそうです。
やなせたかし さんは、戦争で自分よりもはるかに優秀な弟を特攻隊で亡くし、自分は中国大陸で苦労し、飢餓で苦しみました。こんな自分が何故生きているのだと、思い悩むことがあり、アンパンマンを創造しました。
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そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえ胸の傷が痛んでも
何の為に生まれて 何をして生きるのか
答えられないなんて そんなのは嫌だ!
今を生きることで 熱いこころ燃える
だから君は行くんだ微笑んで。
そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえ胸の傷が痛んでも。
嗚呼アンパンマン優しい君は
行け!皆の夢守る為
何が君の幸せ 何をして喜ぶ
解らないまま終わる そんなのは嫌だ!
忘れないで夢を 零さないで涙
だから君は飛ぶんだ何処までも
そうだ!恐れないでみんなの為に
愛と勇気だけが友達さ
嗚呼アンパンマン優しい君は
行け!皆の夢守る為
時は早く過ぎる 光る星は消える
だから君は行くんだ微笑んで
そうだ!嬉しいんだ生きる喜び
たとえどんな敵が相手でも
嗚呼アンパンマン優しい君は
行け!皆の夢守る為
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誰もが常識的に優秀だと思える人間が、日本に何も残さず亡くなられ、自分のことを無能だと思っていた、やなせたかしさんが、日本に多大な影響を残し亡くなられました。我々が常識的に優秀だと判断できる価値は、その当時の相対的な評価であって、本当の絶対的な価値ではないことが分かりました。
自分の身を削って弱ってでも、必死になって人を助けるアンパンマンの姿に、私も頑張ろうと勇気づけられます。
主治医が見つかる診療所
1月30日(土)にテレビ東京番組制作会社から、「主治医が見つかる診療所」の出演オファーがありました。
番組制作ディレクターが、過去に私が書いた書籍を見つけ、その内容が面白かったので企画し連絡してきたのでした。
自分の書いたものを高く評価され、とても嬉しかったこともあり、OKしました。
以前にも「タモリ倶楽部」番組制作会社からオファーがありましたが、その時には内容が男性性器に関することだったのでお断りしました。今回は、「おしっこ」に関する全般的な内容だったので、OKしたのでした。
ところが、私の奥さんにこのことを話すると、難色を示しました。
人気番組に出演すると、病気で悩む人以外の一般の人も視聴し、知人や友人からあることないこと話題にされてしまうという理由からです。
慢性腎不全になって肉体的にも精神的にも奥さんに負担を強いている私としては、これ以上妻を悩ませることはできません。仕方なく出演オファーを辞退しました。
代わりに、私が懇意にしている著名な泌尿器科医を四人紹介しました。制作会社は私の辞退を了承してくれました。