重症化の工程
❶心房粗動の治療で、鎖骨下静脈と大腿動脈にカテーテルを穿刺挿入しました。その際に鎖骨下静脈にすんなり入らず、何回か刺されたのです。心房粗動のために血栓が飛んで脳梗塞・心筋梗塞を防ぐために、血液が固まらない薬ワーファリンを内服していたのです。
❷鎖骨下静脈が刺されて傷ができても、血栓ができて穴を閉じてくれます。ところが私は血栓ができない血液サラサラの薬を飲んでいましたから出血が止まらずに、大量の出血をしたのです。
❸当然ですが貧血になります。生体反応として、血管内の血液から水分を吸収して血液が濃くなるのです。吸収した水分を一時的にしまうのです。それが心臓浮腫・肺浮腫になるのです。
❹次に出血した血液を処理するために、高熱を出します。すると白血球とマクロファージが急激に増えて、血管外の赤血球を食べてくれます。それが発熱と炎症反応なのです。
❺そして最後に、止血したと人体が思って、水腫のの水分を血管内に戻すのです。その結果、心臓浮腫・肺浮腫がおさまり、逆に血液が薄くなり出血直後よりも貧血になるのです。
❻私は慢性腎不全ですから、血液を作る酵素が出ないので、このままでは更に貧血が高まるのです。造血剤のエリスロポイエチンを注射してもらいます。
❼出血量は、63kg体重から正常の血液量が5ℓで、ヘモグラビンの変化11→8から計算すると、出血量は1.2ℓでした。400ml輸血したらヘモグラビンが9.3に上昇しました。後、800ml輸血すればヘモグラビンが11になるでしょう。やはり出血量は1.2ℓだったのでしょう。
❽炎症反応の検索データがCRPです。正常値が1.0以下です。それが術後に17.85もありました。現在は15.0→8.0 、輸血後6.0になっています。これは出血した血液を吸収するための反応なのですが、一般の医師は、熱も出ていないのに細菌感染の状況と誤解するのです。
早く退院して、家族やスタッフや患者さんに会いたい(笑)。
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コメント
先生のドクター魂で自分自身を冷静に診断できるのにはビックリ!無事終了から一転重症になり、それでもブログ更新するドクター魂には本当に日本中探しても高橋先生だけでしょう!頑張って下さい、皆待ってます!(^^)
回答】
ありがとうございます。
医学の本質を見極める事が、私の本命です。
死ぬまで患者さんでなくても自分自身であっても、冷静に病気の本質を診断したいのです。
よくぞ適格にご指摘くださり、ありがとうございます。
投稿: けんじ | 2021/04/20 18:34