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オシッコを出す微妙さ

Dysuria13_20201215175901  オシッコを出すのは簡単だと思っていますよね? 実は微妙なバランスでオシッコを出しているのです。

それをイラストで示しています。
❶尿意が強くなったのでトイレに行き、出そうとすると自分の意思で動く随意筋である尿道括約筋が膀胱出口を下に引っ張ります。
❷その影響で、膀胱出口を常に閉じている自分の意思で動かせない不随意筋の膀胱括約筋が少しゆるみます。あるいは尿道括約筋に負けるのです。
❸やはり不随意筋の膀胱縦走筋が収縮して膀胱を収縮させます。すると、膀胱出口が漏斗状になります。
❹さらに腹圧をかけるので膀胱出口は開くのです。

たかだか膀胱出口が開くために、これだけの工程が必要なのです。当然、このバランスとタイミングが微妙に合わなくなると、膀胱出口は開きにくくなり、排尿障害になるのです。この状況が年を取れば取るほど、長期間繰り返されれば繰り返すほど、排尿障害が強くなるのです。ですから、高齢者が泌尿器科にたくさん来られるのです。

治療としては、膀胱出口を常に閉じている膀胱括約筋を緩めば良いのです。
❶その治療薬が、α1-ブロッカーのユリーフ・ハルナール・フリバスです。
❷さらに最近では、「ボトックス」と言うボツリヌス菌毒素の注射薬を膀胱括約筋に注入すれば、膀胱括約筋は緩むので排尿は出やすくなります。しかしボトックスは尿失禁の治療にしか保険適応がありませんから、困ったものです。

 単に排尿障害と言われても、素因はいくつもあるのです。前立腺肥大症の患者さんの多くは、若い頃から排尿障害があったのです。その排尿障害のために前立腺に物理的負担がかかり、次第に前立腺が大きくなったのです。前立腺肥大症だから排尿障害になると言うのは、実は逆だったのです。

病気は単純に考えてはいけません。そうすると、神様は『バカだな』と笑っているでしょう。

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コメント

お世話になっております。なんとか体調が軽快する日も多いのですが、試行錯誤しています。トイレ回数は日に5-7回と通常の範囲内だと感じます。

質問が2つあります。ザルティアは尿道括約筋を緩める効果はありえますでしょうか?
回答
あらゆる細胞を少し緩めるのです。」

また、骨盤体操やウォーキング、腹筋などにより、膀胱括約筋への負担を減らすことはできますでしょうか? とにかくいろいろ試してみるしかなく、先生のお知恵をお借りしたく思います。
回答
ありません。
今言われたのは、骨格筋のトレーニングです。
膀胱括約筋は平滑筋ですから、鍛えられません。」


自分のケースでは前かがみに座るときわめて会陰部に負荷がかかり、リクライニングの椅子だと負荷が少ないことを発見しました。

投稿: イノマタ | 2020/12/27 18:41

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