感染症の敗血症
細菌・ウィルス感染の重症化すると敗血症で死に至ることがあります。敗血症になると、その死亡率は15%〜25%で、敗血症ショックは30%〜50%にまでなります。どうして治療しているのに、何故こんなに危険なのかを解説しましょう。
細菌やウィルスに感染すると、T細胞がサイトカインをB細胞が免疫抗体を大量に放出されます。その指示により白血球やマクロファージが大量に集合するのです。
1892年に発見されたマクロファージが細胞内に「一酸化窒素NO」を産生して、マクロファージが食べ(貪食)、バイ菌やウィルスを殺害するのです。とても有益な免疫細胞なのです。
ところが、バイ菌・ウィルスが増殖して感染がとてもひどくなると、マクロファージが食べ過ぎてパンパンになり、自爆してしまうのです。マクロファージは寿命は1ヶ月前後ですから、仕事をまっとう出来たのですから、恐らく後悔はないでしょう。自爆することにも免疫には意味があるのです。自爆することで、マクロファージのいろいろな攻撃成分が血液中に拡散されます。その現象で、全身の白血球・マクロファージに状況の情報が伝達されて、白血球・マクロファージが大量に集結します。
医師が適格な治療に及ばないと、この現象が繰り返されます。すると、大量の「一酸化窒素NO」が全身に廻ります。「一酸化窒素NO」にはバイ菌・ウィルスを殺害する以外に、もう一つの作用があります。それが血管の拡張作用です。血流が速くなると血管の内皮細胞が一酸化窒素NOを産生して血管を拡張させるのです。心筋梗塞や狭心症の患者さんに一酸化窒素NOを投与すると、血管が拡張し心筋梗塞・狭心症の患者さんが救命されるのです。
ところが………ところが大量のバイ菌感染・ウィルス感染で、マクロファージが大量の一酸化窒素NOを拡散すると、全身の血管が拡張して血圧が一気に低下して患者さんがショック状態になり死んでしまうのです。これが「敗血症」の原因です。
その他にも喘息や肺炎などの患者さんの呼気には大量の一酸化窒素NOが含まれます。当然として敗血症で大量の一酸化窒素NOが全身に巡ると、当然として呼吸障害や肺炎に至るのです。
以上のことから、コロナウィルス感染で重症化する患者さんの症状は、この敗血症が原因でしょう。では対策としてはどうすれば良いでしょうか?この現象は、ある意味で免疫の過剰反応とも言えます。つまり人体を守るための免疫によって、殺されてしまうとも考えられるでしょう。ですから、敗血症になる可能性の高い感染症に対しては、免疫を少し抑えてあげればいいのです。………答えが分かるでしょう?免疫を抑える簡単な治療薬であるステロイドの注射や吸入をすれば良いのです。
| 固定リンク
コメント