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耳鳴りの理由

Miminari  来院される患者さんの中に、耳鳴りで悩まれておられる方が何人かいます。耳鼻科で精密検査をしても、原因不明の方がほとんどです。私は専門外ですが、チョッと考えてみました。

 全年齢の2割が耳鳴りを経験しています。50歳代では3割、65歳以上では7割近くの人が耳鳴りを経験しているのです。原因不明の事が多いのです。外から聞こえる音以外に、ジージーと鳴り続けるのです。

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 例えば、ラジオ放送を聞いているとします。電波が流れたラジオのアンテナが受け取りスピーカーで音楽が流れます。

 ラジオ番組が終わり、電波が流れなくなると、どうなると思いますか?ラジオを切れば問題ありませんが、スイッチを切らなければ、雑音が流れます。


1d0262baa83344778670d9ad58e8ce0e では、この雑音は何なのでしょう。実は自然界の空間中に、意味にない電波が流れているのです。それと同じで、何かの原因で鼓膜、三半規管、聴覚神経に異常電気として流れて脳中枢に耳鳴りが聴覚に伝わるのです。

  • 耳鳴りがあるときにはどんなを使う?
  • アデノシン三リン酸二ナトリウム(ATP)(商品名:アデホス、トリノシン®など)
  • ビタミンB12製剤(商品名:メチコバール®など)
  • イソソルビド製剤(商品名:イソバイド®など)
  • 抗めまい
  • ステロイド(商品名:プレドニン®、プレドニゾロンなど)

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しかし、これらの治療薬を投与しても治らない患者さんはたくさんおいでです。そこで原因を見つけるために、基本に戻って考えてみましょう。

❶解剖図から、まず考察できることは、音の振動を鼓膜が協調振動します。その振動を3個の耳小骨が同様に協調し振動して、振動センサーである蝸牛に伝達します。この耳小骨を固定しているのは、恐らく平滑筋でしょう。もしもこの平滑筋が痙攣しているとすれば、蝸牛に音以外の振動が伝達してしまい、それが耳鳴りの原因になっているかもしれません。

Mimimari ❷蝸牛神経は、音の情報を電気信号に置き換えて神経に伝達させる装置です。電波塔から流れる電波を受けるラジオと同じで、電波の周波数によって音楽や会話が聞こえるのです。
しかし、番組が終了して電波が流れなくても、ラジオがオンになっていれば、ガーガー、ジージーと雑音が出ます。ラジオの電波が流れていないのに、おかしいですよね。これは空間中に様々な電波が流れているからです。蝸牛からも一定の電気信号が流れていたのかもしれません。通常は、この信号を抑えていたのです。歳を取ると、この信号を抑えられずに耳鳴りになったのかもしれません。

Miminari2_20201210103801 ❸内耳をさらに詳細に観察するとイラストのように、聴覚神経(蝸牛神経)と平衡感覚神経(前庭神経)が直ぐそばに平行に位置しています。そして、それぞれの電気信号が混線しないように、神経は外膜で覆われています。ところが、発生初期に完璧に離れて独立していない人がいるかもしれません。神経に外膜が覆っても、一部で開いているかもしれません。すると、前庭神経の一部が蝸牛神経のスペースに侵入するのです。そして平衡感覚の神経が聴覚神経の一部にシナプス結合しても不思議ではないでしょう。その結果、平衡感覚の情報が聴覚神経に伝達すると、それが耳鳴りのになるかもしれないのです。あるいは脳中枢の範囲で、前庭神経と蝸牛神経がシナプス結合してしまい、前庭神経→蝸牛神経→「耳鳴り」になり、蝸牛神経→前庭神経→「めまい」になるのかもしれないのです。これは排尿障害が原因の慢性前立腺炎や間質性膀胱炎の関連痛と同じです。

 

どれが正しいのか分かりませんが、これに関連した治療薬を試してみたいですね。

❶の耳小骨が原因だとすれば、平滑筋の痙攣を抑える薬が考えられます。その一つが肩こりの治療薬である筋弛緩剤のミオナール、リンラキサー、芍薬甘草湯(ツムラ68番)と、場合によってはα1ブロッカーであるハルナール・ユリーフ・フリバスなどです。

❷のバックグランドのベース音が原因だとすれば、基礎ベースの神経情報を抑えなければなりません。神経情報を抑える薬剤は存在しません。仕方なく、神経を何となく抑える抗うつ剤である「デパス」が候補に上がります。あるいは、音のメインの神経を増強させることで、相対的に耳鳴りの神経を低下させれば、耳鳴りの音が低下するでしょう。そのために、神経の電気エネルギーを作る「ミトコンドリア」のサプリメントである葉酸や代替医療であるプラズマ療法がいいでしょう。また、50歳以上の更年期がキッカケだとすれば、大豆イソフラボンの補強と微量なミネラル不足だと考えて、ミネラルパウダーがいいでしょうね。

❸の神経の予想外のシナプス結合が原因だとすれば、聴覚神経に侵入した平衡感覚神経シナプス結合をブロックするための薬剤がいいでしょう。情報伝達物質がアセチルコリンなので、抗コリン剤であるベシケア・トビエースが良いでしょう。また、関連痛に処方するトラムセット・トアラセット・リリカ・タリージェなどです。l

以上のお話しは、私個人の仮説ですから、そのおつもりでご理解下さい。

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