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膀胱出口の欠点#3

膀胱出口の欠点の続きです。

Blinc ご婦人の場合には前立腺がありませんから、排尿障害がないと医師は誤解するのです。女性には前立腺がありませんから、膀胱括約筋と尿道括約筋との距離は、女性の方が短いのです。しかし、距離が短くても、肛門と同じように平面状ではないので、尿道括約筋が開いても膀胱括約筋は容易には開いてくれません。そのような状況で何十年も排尿すると、何が起きると思いますか?実は尿失禁が起きるのです。いわゆる腹圧性尿失禁です。咳やクシャミをするとオシッコが漏れてしまう状態です。

Stresuinc 尿道括約筋が開いても、膀胱括約筋がやはり容易に開いてくれないので、無意識に腹圧で膀胱を圧迫してしまうのです。それが何十年も続けば、膀胱周囲の固定靭帯がゆるんでしまい、膀胱の位置が下がってしまいます。すると、膀胱の下半分が狭くなり、腹圧をかけた時に、圧力が膀胱出口を開きやすくするのです。さらに連続した尿道括約筋も位置が下がってしまい、開きやすくなるので、咳やクシャミでオシッコが漏れる、腹圧性尿失禁になるのです。

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 対策として、骨盤底筋のトレーニングが、尿もれを防いでくれます。骨盤底筋の中心が尿道括約筋なのです。骨盤底筋を鍛えることで、尿道括約筋の位置が内臓側に移動します。


 イラストのように肛門や膣をギュッと絞めるようにトレーニングするのです。しかし、膀胱そのものの位置は、靭帯がゆるんでしまったので、簡単には上に移動しません。それが実は排尿には好都合です。膀胱が骨盤の下に移動したことで、腹圧で膀胱出口が開きやすくなったからです。また、次のようにお尻を上にあげれば、骨盤底筋が収縮します。

骨盤底筋を鍛えれば、腹圧性尿失禁の軽快する理由を一般の医師は正確に解説していません。ただただ骨盤底筋を鍛えればいいと言って、その理由を説明しない人間を医師とは思えませんよね。

Cec2433616cb4715872bc6ac88bb275a  膀胱出口の常に収縮している膀胱括約筋をゆるめるために、α1ブロッカーのエブランチルを使用します。しかし残念ながら、エブランチルはもともと血圧の薬として開発されたものです。前立腺肥大症の排尿障害の治療薬として開発されたハルナールがα1ブロッカーだったので、エブランチルが神経因性膀胱の治療薬として承認されたのです。本質的には排尿障害の治療薬であるハルナール・タムスロシンやユリーフ・シロドシンの方が効果が強いのですが、保険では前立腺肥大症治療薬なので、女性には処方できないのです。

 患者さんのご主人やお父上に、許可を得て処方したα1ブロッカーを飲んでもらっている患者さんが…。(笑)

 

 

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