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前立腺ガンの発生率が高い理由

02896912c3a240efba34b2d56cbba013 男性の80歳代の50%〜80%の高齢者に前立腺ガン(ラテント癌)が存在するとされています。発生学的に前立腺ガンは高い理由を私の考えで解説しましょう。
生涯の男性ホルモンの推移はグラフのようです。グラフのように大きな波があるのです。初めの①は、胎児が男性になるため、男性ホルモンが上昇します。次の②は出産前後に男性ホルモンが上昇します。③思春期から20歳までに男性ホルモンはMAXになります。


 前立腺には成長と共に、幾つかの男性ホルモンの負担がかかります。
Bphgai4❶胎児の初期に男性ホルモンが分泌されて、男子になれと命令されます。それが外腺(尾部前立腺)の初めての誕生なのです。前立腺は臨床的に考えると、内腺と外腺に分けることができます。発生学的に観察すると、最初に生まれるのが外腺(尾部前立腺)で次に生まれたのが内腺(移行領域)です。イラストで分かるように外腺(尾部前立腺)が大きいですね。先に発生したからです。

Bphgai5❷次に出産直前に、またもや男性ホルモンが上昇します。それが内腺(移行領域)の誕生です。胎児が出産前後に、内腺(移行領域)が次第に大きくなるのです。

Bphgai6❸誕生してから思春期を超えて二十歳まで、男性ホルモンはドンドン高くなります。そして思春期前後に、さらに大きくなるのです。最終的に内腺は尿道の全周に成長し、尾部前立腺は外側に追いやられるので、外腺と言う名称になるのです。このために前立腺が完成するのです。特に内腺(移行領域)が発達します。


Bphgai7❹40代までは、男性ホルモンはある程度維持できます。しかしながら、二十歳の頃よりは低下するので、内腺(移行領域)が前立腺液の生産の必要がなくなるので、線維化・筋肉化が始まり次第に大きくなり、前立腺肥大症になります。

❺更年期を過ぎると、男性ホルモンはさらに低下します。内腺がさらに大きくなり、前立腺肥大症になります。その結果、外腺は相当に物理的な圧迫をされるのです。当然ですが前立腺肥大症が完成します。

  以上の事から分かるように、前立腺の外腺は物理的にも刺激され続け、男性ホルモンの濃度の上下でも刺激され続けているのです。その結果、前立腺の外腺の細胞が変化して、遂に前立腺ガン細胞になるのです。他の臓器でこれほど負担のかかる臓器はありません。ですから、男性の80歳代50%〜80%にラテント癌が見つかるのも不思議ではありません。

 これまでの話しは、前立腺の外腺が誕生から成長し高齢者になるまで、ずっと刺激され続けていたということです。それほど長期間に渡って刺激され続けた正常組織が、何かに変化するかも知れませんね? それが前立腺ガンのキッカケかもしれません。

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