病気に対しては、あらゆる知識が必要
医学には、基礎的知識として生理学、生化学、細胞学、解剖学、病理学、薬理学、細菌・ウィルス学を基盤にして、臨床医学を追求しなければなりません。しかし、基礎医学は学生時代の初期の1年生〜3年生で学ぶだけで、その後は臨床医学だけに注目してしまうのです。
しかし、臨床医学だけに専念すると、基礎医学を無視して奇想天外な発想になるのです。例えば、病理学では、「生物学的刺激・化学的刺激・物理学的刺激によって生体が反応することを炎症と言う。」とされていますが、泌尿器科の一般の医師は、尿に白血球が発見されると「細菌感染・尿路感染だ!」と診断するのです。
❶原因不明・難病指定の間質性膀胱炎の病理学的な診断では、膀胱粘膜下層の細胞間組織に白血球やリンパ球がたたくさん確認できるので、間質性の炎症を起こした膀胱=間質性膀胱炎と診断するのです。その原因が細菌感染症でもない、原因不明の免疫アレルギー疾患と考え免疫治療薬であるPDFを投与するのですが、治りません。炎症の原因な一つである物理学的な刺激=排尿障害で炎症を起こしているのです。
❷気圧が下がると自律神経の症状が悪化される人がいます。その理由は、気圧低下で酸素濃度が低下します。すると、交感神経が低下して副交感神経が強化されるのです。その理由は、酸素濃度が低下したので、活発に活動しないように、交感神経が抑えられ、副交感神経が強化されて、安静に静かにするように自律神経が反応したのです。気象学を理解できれば、自律神経失調症が理解できるのです。対策として交感神経を興奮させる喘息の治療薬であるスピロペントを服用するか、携帯酸素スプレーを吸入すれば、自律神経失調症は改善します。
❸3この写真は膀胱出口に発生した炎症性ポリープと呼ばれるものです。
慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、過活動膀胱の内視鏡検査で膀胱出口から尿道にかけて、たくさんのポリープが確認できます。
通常、「炎症性ポリープ」と診断されるのですが、明確な炎症もないのに「炎症性?」その後、いろいろ考えました。
正常の人の膀胱出口は、、排尿時に十分にひらきますから、尿の流れは一定で、全て並行して同じ速度です。
ところが、膀胱出口が十分に開かないで排尿する患者の場合には、狭い出口を流れる尿流は、流体力学の法則であるベルヌーイの法則で、ジェット流になります。するとジェット流の周囲は、圧力が低下して陰圧になるのです。
尿道の粘膜に陰圧がかかります。排尿の都度、毎回毎回陰圧がかかると、次第に粘膜が少しずつ盛り上がり、最終的に、それがポリープになるのです。「炎症性ポリープ」と言う病名が如何にいい加減か分かるでしょう?つまり、医学だけでは理解できない、物理学の流体力学でないと説明出来ないのです。
❹クラビットと言う抗菌剤が、今までの他の抗菌剤よりも殺菌作用が、強かったのです。その理由はL体物質だったからです。人間が作った化学物質は、L体とD体(ある意味で左手と右手)の2つの光学異性体が産生されます。しかし生命体にはL体(左手)しか反応できないのです。同じ化学物質で左手と右手の両方が産生されますが、左手しか効果が出ないのです。薬剤で1錠100mgとすれば、効果のあるのは半分の50mgだけです。ですから、効果を十分に得られるためには、右手は除去して左手だけを抽出すればいいのですが、構造式は同じなので分けることが難しいのです。クラビットはL体だけを抽出したので、効果が得られるのです。イラストはアミノ酸の光学異性体を示しています。
臨床医学の知識だけでは、病気を正確に理解できません。基礎医学を始め、生物学、化学、物理学、気象学、構造学など、あらゆる知識を利用しなければ説明出来ないのです。
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