膀胱出口の欠点#2
膀胱出口の欠点の続きです。
膀胱出口の欠点は自然現象ですから治りません。この状態が何十年も続けば、骨格筋の尿道括約筋に負けないように、平滑筋である膀胱括約筋が次第に肥大して行くのは、自然で当然です。そのため、排尿障害がますます強くなり、排尿障害が原因のさまざまな病気が発症するのです。
例えば、前立腺肥大症で排尿障害がどうして強くなるかを説明しましょう。正常の大きさの前立腺の場合がイラストの左の絵です。膀胱出口の膀胱括約筋(内括約筋)と尿道括約筋(外括約筋)の距離が3cmほど前後あります。常に閉じている膀胱括約筋を 尿道括約筋が間接的に牽引することで、膀胱出口を無理やり開いているのです。
ところが、高齢者になると、長期間繰り返し膀胱からの物理的圧力が前立腺にかかるので、生体反応として前立腺がだんだん大きく硬くなるのです。それが前立腺肥大症です。現在の日本では、男性の80歳代の8割が前立腺肥大症になります。
膀胱出口が前立腺肥大症の場合、膀胱括約筋と尿道括約筋との距離がさらに長くなる、【2cm〜3cm】→→→【4cm〜5cm】になります。そうなると、尿道括約筋が力強く引っ張っても、膀胱括約筋はなかなか開いてくれません。逆に前立腺が硬くなったために、尿道括約筋が開くと、前立腺の硬い中央を支点として「テコの原理」で膀胱出口が閉じてしまうのです。
対策の治療として、アボルブやプロスタールを服用して、前立腺を短く柔らかくすることで、テコの原理が消滅するので、尿道括約筋が開くと膀胱括約筋が開きやすくなるのです。
また膀胱出口の膀胱括約筋を利用して、α1ブロッカーであるユリーフ・シロドシンやハルナール・タムスロシンで収縮を緩めるのです。
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