大学病院の勤務医で思った事
大学病院では、重症者の入院が多いのです。当然として病死・末期ガン死される方も一定の割合でありました。
入院中にご家族が、お見舞いや介護に毎日お越しになります。しかし1ヶ月〜2ヶ月の間に医師たちは一生懸命に治療致しますが、残念ながらお亡くなりになります。担当の医師は申し訳ないのですが、医学知識の正確さをはかるために大学の方針で病死された方の病理解剖をご家族にお願いします。毎日介護にお越しになるご家族は、私たち医師の努力に感謝され、病理解剖を承諾して頂けるのです。
………ところが、入院中に一度も来院したことのない、私たち医師も見たこともない親戚やご家族の一人や二人だけが、「解剖されるのはかわいそうだ!」と言うのです。毎日来院されるご家族は、「主治医たちが一生懸命に治療してくれたのだから、承諾しましょうよ。」と説得するのですが、通常はダメです。このような症例はたくさん経験しました。
一度も来なかった人たちは、今後の自分たちの今後の権利を誇示したいがために、このように拒否するのでしょう。亡くなられた人のために正しい事を思っているのならば、毎日でも見舞いや介護に来ている筈です。恐らく、今後の遺産相続や家族・親戚の中で、自分の立場を有意義にするために、亡くなられた人のための虚飾に満ちた発言をするのでしよう。
| 固定リンク
コメント