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ご婦人の膀胱括約筋

Katuyaku1  間質性膀胱炎・過活動膀胱・膀胱疼痛症などの患者さんは、いろいろな検査を受け、間質性膀胱炎を除いて全ては異常なしと診断されます。間質性膀胱炎と診断されても、専門の治療薬や膀胱水圧拡張術を行なっても、症状は軽快しません。

 エコー検査を行いますが、「異常なし、正常です」と診断されるのです。

 そのような患者さん達がたくさんおいでになります。私がエコー検査を行うと、必ず異常所見を確認できます。初めのイラストは、正常所見を表示しています。膀胱縦走筋は膀胱出口に向いています。膀胱括約筋がエコー側面像では確認できません。

Katuyaku2

 2枚目のイラストは、排尿障害の隠れている所見を表示しています。膀胱縦走筋が膀胱出口に向いていません。さらにエコー側面像で膀胱括約筋が確認できます。正面像では、左右の大きな膀胱括約筋が中央で融合しています。これは排尿障害があると、膀胱の下にある膀胱括約筋に物理的圧力が負荷となり、膀胱括約筋が肥大するのです。

 

Ic37355f662pp  実際の実例をご紹介しましょう。

「間質性膀胱炎」と診断され、膀胱水圧拡張術を2回受けたのですが、治らないどころか、悪化して当院に来院した660歳代のご婦人です。1日の排尿回数は30回、陰部・膀胱の痛みが取れない患者さんです。初めの写真は、膀胱エコー所見側面像です。

 膀胱括約筋の肥大が認められます。膀胱縦走筋が本来は膀胱出口に向いている筈ですが(点線矢印)が全く違う方向(白い矢印)に向いています。相対的に、膀胱三角部が肥厚していますから頻尿になるのは当然です。

 

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 2枚目の写真は、超音波エコー正面像です。左右の膀胱括約筋が中央で融合しています。これも膀胱括約筋の肥大所見です。

 排尿障害による膀胱刺激症状を原因不明の間質性膀胱炎と誤診された患者さんです。治療薬としてα1ブロッカーとβ3作動薬と脊髄神経回路ブロック鎮痛剤を処方しました。すると、1か月後には排尿回数が30回→15回に減少しました。また、痛みも100%→30%に減少したのです。このまま治療を続けるとだんだん楽になります。

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