糖尿病の後遺症
糖尿病で気がつく事があります。私の父親が糖尿病が原因で脳梗塞発作を起こし64歳で他界しました。当然、息子としては医師ですから、積極的な糖尿病の治療をしました。その私が糖尿病の後遺症である慢性腎不全になり、腎機能は低下して腎臓も小さく委縮してしまいました。私はインスリン注射を20年以上もマメに行っていました。血糖も正常範囲内にコントロールしていたのに、なぜ?なぜ?腎機能が低下したかは不明でした。
その後、インスリンについて色々調べてみると、驚くべきことが判明したのです。インスリンでノーベル賞を獲得した研究者たちは、当時の糖尿病の患者さんに、出来立てのインスリン注射を行いました。血糖はコントロールされましたが、不思議なことに、1年後には腎不全で亡くなってしまったのです。当時は透析はありませんなでしたから残念でした。恐らくはインスリンの副作用と思われていたのです。その後、何回も改良されて現在のインスリンになったのでしょう。当時の海外の平均寿命は短かったので、また糖尿病の末期患者さんで高齢者の人にインスリン注射を行い腎不全になっても問題なかったのでしょう。
しかし。現在では糖尿病の早期からインスリン注射を行いますから、寿命よりも早くに後遺症の出るので、慢性腎不全が出現するのは当然です。その理由は、膵臓から分泌されたインスリンは、血糖を低下させてから分解されるのが、肝臓ではなく、実は腎臓だったのです。オシッコを作る腎臓がインスリンを処理するとは思えませんのね!ですから注射で大量のインスリンを体内に入れれば入れる程、腎臓に負担をかけてしまったのでした。
人間の祖先の哺乳動物は、草しか食べていませんし、肉食動物も肉しか食べませんでした。当然ですが、炭水化物や果物を食べる事はありませんでした。哺乳動物は2億2000万年前に生まれ、人間の祖先は20万年前から生まれたのです。動物のほとんどが炭水化物を食べませんでしたから、エネルギーである血糖を上げる酵素は複数ありますが、血糖を下げる酵素はインスリンだけなのです。ですから、インスリンを分解代謝するのは、代謝専門ではない腎臓だけに任されたのです。それが根拠に、炭水化物を食べる現代人の糖尿病患者さんが増え、インスリンの増加により腎不全になるのです。
さらに不思議な事があります。インスリンの負担で腎細胞が死滅したら、幹細胞が腎細胞を補充する筈ですが、腎臓は少しずつ萎縮して、腎臓の体積は小さくなるのです。そこには何か別の理由があるのでしょう。それが解明できれば腎不全を回避できる筈です。残念ながら、分かりません。
グラフで分かるように、糖尿病性腎症が透析患者さんの多くを占めるようになっています。過去にはインスリン注射はそれほど多くなかったのですが、今は多いので比例して腎不全が多くなったと理解できます。また、糖尿病の内服薬も、膵臓を刺激してインスリンを大量に分泌させるので、それも腎不全の原因になったのでしょう。最近では、新しい治療薬で腎臓から尿に糖分を排泄させる内服薬が登場しましたから、インスリンを増加させないで血糖を低下させるので期待が持てます。
糖尿病の血筋のある方は、白米や糖分をなるべく少なくして下さい。太古の哺乳動物が炭水化物を食べていなかった状況と同じにするのです。もしもご飯を食べたのなら、上昇する血糖を下げるために、食後必ず運動あるいは1時間程度の散歩をしてください。するとエネルギーである血糖が消費され、インスリンの分泌が低下しますから、腎臓の負担が回避できます。
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