アビガンの販売へ
コロナウィルス感染の治療薬として、10月には販売されるようです。良かったですね。下記は日経メディカルの記事の要約です。
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富士フイルムホールディングス傘下の富士フイルム富山化学は2020年9月23日、同社が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を対象に実施した「アビガン」(ファビピラビル)の第3相臨床試験(国内における臨床試験の登録番号:JapicCTI-205238)で主要評価項目を達成したと発表した。同社は同試験の詳細な解析を進めており、2020年10月中に厚生労働省に対して一部変更承認の申請を行う予定だ。......対象患者は、PCR検査で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が陽性となり、胸部画像での肺病変や37.5℃以上の発熱、20歳から74歳までの入院患者だ。......試験の結果、主要評価項目であるSARS-CoV-2が陰性化するまでの期間の中央値は、介入群では11.9日、対照群では14.7日であり、アビガンの投与によって有意に短縮された。重篤な副作用は確認されず、安全性に関する新たな懸念は認められなかった。
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アビガンは元々はエボラ出血熱の治療薬で、新規のインフルエンザ治療薬として開発された薬です。
ウィルスの中核であるコロナウィルスRNA(cov-RNA)が、細胞のDNAの目の前に侵入して、コピー酵素であるRNAポリメラーゼを利用し、自分のコピーであるメッセンジャーRNA(mRNA)を作り、核周囲に近辺にある300万個もあるリボゾームに、コロナウィルスRNA(CoVRNA)と外郭(上着)のタンパク質を作らせるのです。
アビガンは、 このRNAポリメラーゼをブロックして、コロナウィルスRNAのコピーしたmRNAを作らせないのです。すると感染した人体細胞の核内で、ウィルス産生の命令が出せなくなり、コロナウィルスは自分を増やすことが出来なくなる訳です。
ここで注意しなければならないことがあります。何かと言うと、mRNAは細胞内に存在するミトコンドリアにもエネルギーATP産生の指令情報を伝達するのです。1個の人体細胞の中に100個〜1千個個ものミトコンドリアが存在し、ミトコンドリアは細胞のエネルギーATPを作り、カルシウムを蓄える細胞内小器官・装置なのです。アビガンの作用で、コロナウィルスのRNAを作らせないばかりでなく、細胞のミトコンドリアをもコントロールが出来なくなってしまう可能性もあるのです。
当然、感染した細胞は死ぬのですが、感染してはいない正常の細胞にまでアビガンが侵入したらどうなると思いますか?想像できるでしょう。アビガンで正常な細胞まで死滅したり機能低下するのです。エネルギーが大量に必要である細胞1個には、ミトコンドリアが1千個以上も存在します。その細胞が肝細胞、腎細胞、神経細胞です。その結果、肝機能障害、急性肝炎、腎機能障害、多臓器不全になるのです。死滅した細胞が多ければ多いほど、貪食するマクロファージ・白血球細胞が多くなるのです。白血球はたくさん貪食仕合い、最終的には敗血症になるのです。
また神経細部はミトコンドリアによるエネルギーが少なければ、神経情報が伝達できなくなるのです。その結果、神経のバランスが崩れ、意識障害・幻覚・妄想痙攣・転落死などの異常行動の精神神経症状が起きることがあります。同様の副作用にはタミフルもありますから、タミフルもRNAポリメラーゼをアビガンほど効果はないのですが、コロナウィルス感染にも効くのでしょう。
ですから、アビガンの投与量は大量ではなく、少量にすればよいでしょう。例えば1日2錠で5日分処方されたら、初めの2日間は毎日2錠で、残りの3日間は、毎日1錠にすれば、副作用は出にくいでしょう。
この記事は過去に記載したものを一部訂正しています。
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