原因不明の泌尿器科の病気#4
❺手術をしても症状が治らない慢性副睾丸炎と精索静脈瘤です。
左の睾丸が痛くなったりするので、泌尿器い科を受診すると、慢性副睾丸炎、あるいは精索静脈瘤と診断されます。。治療としては、抗生剤・抗菌剤・鎮痛剤を投与されるのですが、治りません。
そこで、精索静脈瘤の手術と副睾丸の手術をしますが治りません。患者さんが、主治医に訴えますが、「手術は成功したのだから、気のせいです。そのうち治ります。」と言われてお終いになるのです。その後、何か月経過しても治らないので、患者さんは悩み続けるのです。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/2010/09/post-0636.html
【実例】
患者番号17394、22歳の男性です。両側の睾丸の痛みで地元の泌尿器科を受診、精索静脈瘤と診断され、都内の有名病院で入院して精索静脈瘤の手術を受けました。ところが、睾丸の痛みは改善せずに、次に「慢性前立腺炎」と診断されセルニルトンの処方を受けました。
睾丸の痛みは一進一退で、平成17年6月に高橋クリニックを初診されました。
超音波エコー検査では、前立腺の大きさ24ccと若干大きく、膀胱出口の硬化像を認めます。膀胱縦走筋の変形と、膀胱括約筋が本来見えない筈なのに明確に見えています。排尿障害による膀胱括約筋の肥大です。また前立腺周囲の静脈が見えています。静脈瘤の所見です。膀胱出口・括約筋間距離は15mmと長くなっており排尿障害を示唆しています。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、一見正常の排尿曲線でしたが、残尿が24mlと比較的多く認められます。
膀胱頚部硬化症による慢性前立腺炎症状と判断して、α-ブロッカーを処方しました。1ヶ月後睾丸の痛みは40%になり、平成17年12月(治療半年後)には睾丸の痛みは消失しました。その後も5年経過していますが、お薬のみで症状は出現しません。慢性前立腺炎症状スコア(NIH-CPSI)は19点から2点まで軽快しています。
【実例】
慢性?副睾丸炎の患者さんは、急性副睾丸炎から後に、痛み症状がなかなか治りません。写真は3Dエコー検査の立体画像です。睾丸の横に副睾丸が大きく存在します。この副睾丸が小さくなるまで、約1か月〜3か月ほどかかります。この小さくなった副睾丸の硬結がいつまでも痛くなることがあるのです。それを慢性副睾丸炎と診断されます。
さらに、急性副睾丸炎の経験がないのに、睾丸が痛い患者さんも慢性副睾丸炎と診断されます。触診で副睾丸を触診しても硬結がないのにもかかわらず、慢性副睾丸炎と診断されるのです。
【病態生理】
精索静脈瘤も慢性副睾丸炎の症状が、なかなか治らない患者さんの原因は、患者さんが自覚しない排尿障害なのです。本来であれば頻尿や残尿感が出る筈ですが、子供の頃から症状があれば体質だと思い込みます。あるいは頻尿・残尿感が出ない患者さんもおられます。
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コメント
ちょうどこの症状に悩まされており、良くなったり悪くなったりを繰り返しています。
触診・エコー・血液検査を何度やっても異常なしで、静脈瘤の手術を進められましたが、断って良かったです。
αブロッカーを処方してくれる病院を探してみます。
回答】
出来れば、シロドシンがおすすめです。
投稿: 越後屋 | 2020/08/14 17:14