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糖尿病の治療について

 私の父親は64才でこの世を去りました。原因は糖尿病が原因の脳梗塞でした。完璧な治療をしなかったので、脳梗塞を起こし慈恵医大に緊急入院しました。賢明な治療をしましたが、ストレス性胃潰瘍になり吐血しました。当時は今ほどの素晴らしい胃潰瘍の薬がなく、吐血すると誤飲性肺炎になるのです。内科の先生は気管支挿管が出来ませんから、息子の私が行い、人工呼吸をしました。

55e47b38f70643baa332d59ba0235c49  しかし出血は止まらないので、消化管に流れて行き、その結果吸収されてBUN尿素窒素が急激に高くなり、見かけ状の急性腎不全になり亡くなったのです。当時の主治医の教授候補の上司は、出血は播種性血管内凝固症候群DICと診断されたのです。そしてある日の深夜に突然死したのです。私は病室で一緒に寝ていましたから、モニターも心電図が止まりましたと言われたので、私が心臓マッサージと、強心剤を父親の心臓に注射しました。まったく反応が無く、当直医が来た時には、ご臨終で構いませんと言いました。

C35c1cc085604e92ac8a8d62873815b1  翌日に主治医から解剖を依頼されたので、承諾しました。すると、結果はストレス性胃潰瘍だったのです。DICではなかったのです。胃カメラで確認すれば胃潰瘍を診断でき、さらにクリップ止血操作もできて、父親を助けられた筈です。主治医のひとりが私の同級生だったのですが、上司に反対して検査すれば良かったと後悔して、私に謝罪しました。彼は大学分院の内科の教授になりました。誤診した助教授は、主任教授になれずに、地方の飛ばされてました。…ざまあみろ!馬鹿め!

Insulinjin2  当然、私も糖尿病の家系ですから同じ現象が起きるだろうと思い、自ら積極的な糖尿病の治療を行いました。いろいろ行なったのですが、血糖がなかなか正常にならないので、最後の手段として、インスリン注射を始めました。すると、みるみる内に血糖は正常化して、時には正常値よりはるかに低くなりました。


1064eb87a3b14401b38feacf668d399f  しかし、インスリンを始めてから25年ほど経過すると、疲れやすく毎日眠りたいのです。その内、長距離を歩くと足が疲れ息が切れるのです。ある日の朝、鏡で自分を見ると、影が薄く見えるのです。半年の命だと思い、自分で血液検査をすると、腎不全で貧血だったのです。同級生が腎臓内科の教授だったので、腎不全で間違いないと診断されました。血糖値は正常よりも低く維持していたのに、腎臓がダメになった理由が分かりません。その理由が分からず、その後、保存療法→→腹膜透析→→血液透析→→現在の私になったのです。糖尿病をシッカリと治療しないから、慢性腎不全になるのだと言う常識から考えれば矛盾します。

Insulinjin  そこで、いろいろ調べてみました。すると、思い掛けない情報が得られたのでした。インスリン注射を発明した研究者は、当時、ノーベル賞を獲得したのです。糖尿病を積極的に治療できたから当然でしょう。しかし初期の頃、インスリン注射をし始めた研究の時代には、その患者さんたちの1年もすると、多くの確率で腎機能障害になったという記述がチラッと見つけたのです。つまり、インスリンの後遺症として腎不全になるのです!恐らくは。当時の作ったインスリンを改造して、現在のものにしたのでしょう。外国人の当時の寿命は短いので、糖尿病になればもっと短く、インスリンを注射しても数年で亡くなるので問題がなかったのでしょう。

 しかし、私のように20年以上もインスリン注射をすれば、隠れた後遺症が発現するのです。では何故、インスリンの注射をすると、腎臓に障害が来るのだろう?と思い、さらに調べると…分かったのです。インスリンが血糖を下げたら分解をされます。ほとんどの生物活性の物質は肝臓で分解されますが、インスリンは特徴的で実は腎臓で分解されるのです!ですから、膵臓から自然に分泌されるインスリンよりも、はるかに多い量を注射すれば、腎臓に負担がかかり、遂には腎不全になるのです。

 もともと動物は草食で炭水化物を食べませんでした。炭水化物→→→ブドウ糖を処理するのはすい臓の分泌するインスリンだけだったのです。分泌量は少しなので処理も少ないので、腎臓だけが処理を任せられたです。動物が進化して人間になり、さらに農業を行い作物を食べるようになったので、インスリンが大量に必要になり、腎臓に負担がかかり、腎不全になったのです。

 検査もできない江戸時代は原因不明の老衰で亡くなる人が多かったのです。40歳〜50歳で老衰ですよ。恐らく日本人は毎日一升以上の炭水化物であるお米を食べていましたから、毎日たくさんのインスリンが分泌され、腎不全になり、老衰と思われたのでしょう。

9c60c94e82cf43c8bd58af975708989e  慢性腎不全で透析になる患者さんの原因は、以前は腎臓の病気である慢性糸球体腎炎であったのに、グラフで表示してあるように1983年から増え始め、最近では糖尿病が主流なのです。日本でのインスリン自己注射の保険適応開始が1981年からでしたので、それから考えるとインスリン自己注射開始の2年後から糖尿病による慢性腎不全が増えた事になります。

 それまでも内服薬で糖尿病を治療していました。糖尿病の治療薬も、すい臓に負荷をかけてインスリンを分泌させていましたが、インスリン自己注射の比ではないほど少なかったのでしょう。にも関わらず、生活習慣を守らないから腎不全になると誤解されているのです。

 

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コメント

高橋先生
本日はありがとうございました。時間外の早朝からご加療頂きまして、本当に感謝申し上げます。実は尿閉の原因となった三環系抗うつ剤は非定型歯痛という診断を東京の口腔外科の先生から指摘をされ、開始したものです。非定型歯痛とは歯に器質的な障害が無いのにも関わらず歯の疼痛が続き、抜歯しても効果がない状態であり、その原因は脳での疼痛の認知機能に問題があるとの事らしいです。高橋先生がブログに書かれているソフトウェアーの問題かと思います。一応ガイドラインがありまして、三環系抗うつ剤が特異的な治療薬と位置付けられています。トリプタノールがファーストラインであり、副作用で認容性が低いようであればノリトレンなど比較副作用の少ないもので代用するとの事です。うつ病の治療であれば効果が出るのに2〜4週間の期間を要しますが、非定型歯痛の場合には服用して、2〜3時間程度で効果があります。これは実感しております。以前はノリトレンを服用しておりましたが、徐々に必要量が増えてしまい、トリプタノールに変更した途端に尿閉となってしまいました。トリプタノールの服用した感覚としては膀胱に溜まった感覚が低下して、高橋先生が50mlほどを導尿してくれた際、「大分、楽になった?」とおっしゃって頂いたんですが、実際のところ少し楽にはなったんですか、膀胱の拡張した感覚があまり無いので800ml導尿して頂いた感覚も普段に比べると尿を出した感は小さいものだと感じました。このトリプタノールは添付書を見てみると『夜尿症』に適応がある、となっているのには合点がいきました。膀胱の感覚が低下することで、夜尿症が改善されるのかと感じました。
本来なら私のような膀胱頚部硬化症の排尿障害の者が服用するにはリスクが高いと思いますが、何分、よく効くので、今後色々と試行錯誤していこうと考えています。
今回は2回目の手術であり、出血も気にならず、1回目の手術に比べ、とても楽だと感じ、また高橋先生には面白い話を聞かしてもらえて、「さあ、神戸に帰ろかなぁ」と思っていた矢先の最後にどんでん返しがありました。なかなか一筋縄にはいかないものですね。
しかしながら、高橋先生には本日は緊急対応していただき、本当にありがとうございました。感謝申し上げます。

投稿: YO | 2020/07/10 15:28

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