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コロナウィルス感染の後遺症、メディカル・トリビューンの記事

 先日、医師にメールで送られるメディカル・トリビューンの記事です。
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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性期症状として咳、発熱、呼吸困難、筋骨格系症状(筋肉痛、関節痛、倦怠感)、胃腸症状、無嗅覚症/味覚異常が知られている。

 一方で、COVID-19が回復した後の症状に関する情報は少ない。イタリア・Fondazione Policlinico Universitario Agostino Gemelli IRCCSのAngelo Carfì氏らは、COVID-19を発症して入院し、その後回復した患者の経過を調査。回復後もなんらかの症状が持続していると訴えた患者が87.4%に上ったとJAMA2020年7月9日オンライン版)に報告した。

回復期外来受診者143例を調査

 調査は、2020年4月21日〜5月29日に同院のCOVID-19回復期外来を受診した患者で、世界保健機関(WHO)の隔離解除基準を満たし、かつ登録時にリアルタイム逆転写PCR検査で新型コロナウイルス陰性が確認された143例を対象に行われた。既往歴の聴取や身体検査を含む包括的な医学的評価を行うとともに、COVID-19に関連する可能性がある症状を挙げた質問票を提示。各症状が急性期に出現したか否か、また、出現した場合はその症状が現在も続いているかどうかを尋ねた。

 対象となった143例は平均年齢56.5歳(範囲19〜84歳)で、女性が37.1%(53例)を占めた。COVID-19で入院した日数は平均13.5日だった。入院中に104例(72.7%)が間質性肺炎と診断された。また、21例(15%)に非侵襲的換気療法、7例(4.9%)に機械的換気療法が施行されていた。急性期に投与された薬剤の内訳は、抗レトロウイルス薬71.3%、ヒドロキシクロロキン72.7%、アジスロマイシン41.3%、IL-6阻害薬(トシリズマブ)30.8%だった。

倦怠感の持続を訴える患者が最多

 COVID-19症状発現後経過日数は平均60.3日だった。調査時において症状が皆無だったのは18例(12.6%)のみで、46例(32.2%)は1〜2つ、79例(55.2%)は3つ以上の症状が持続していると回答した。最も多かったのが倦怠感(53.1%)で、次いで呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)の順に多かった。

 以上から、Carfì氏らは「COVID-19から回復した患者の【87.4%】が1つ以上の症状持続を訴えており、特に倦怠感と呼吸困難の頻度が高かった」と調査結果をまとめた。その上で、「COVID-19においては急性期だけに注目するのではなく、長期的な影響を見るため、退院後もモニタリングを継続する必要がある」との見解を示した。

 なお、同氏らは研究の限界として、COVID-19発症以前の症状歴や重症度に関する情報が欠如していること、少数例で行われた単施設研究であることなどを挙げている。また、市中肺炎患者でも症状が持続するケースが存在するため、今回の結果がCOVID-19に特異的なものでない可能性も考えられるとしている。

(長谷部弥生)

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Imuno6 【 解説】
 結局、コロナウィルス自体は、大した毒性はないのですが、体のあらゆる免疫反応を休ませない性格なのです。免疫反応がインフルエンザ感染のように7日〜10日間ほどの一定期間であれば問題ないのです。しかし、コロナウィルスのように数週間も数ヶ月も感染症状が持続する場合は、サイトカインストームに陥り、このような後遺症なるのです。ある意味で、免疫反応の暴走なのです。
 イラストに示すように、自然免疫のマクロファージ・白血球・単球から逃れて、コロナウィルスがたくさんの細胞に感染するのです。結果、感染した細胞に取り憑くマクロファージ・白血球・単球から、さらに多くのサイトカインが放出されます。この悪循環が病状を悪化させ、コロナウィルスがいなくなり治っても、多くの細胞が死滅しますから、後遺症が出るのは当然です。また、最新のコロナウィルス治療薬の副作用で、正常の細胞もダメージを受けることも原因として考えられます。
   そう言う意味では、感染初期から、ステロイドなどの免疫抑制剤を早目に投与すべきでしょう。そうすれば、過剰免疫反応の一部は少なくとも抑えることが出来るのです。『感染症は免疫を高めなければならない!』と言うワンパターン常識に執着するので、このような現象が起きるのです。この記事のようにデータや数字だけを記載するのではなく、さらに一歩、細かい感想を記載して欲しかったですね。


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コメント

高橋先生、お疲れ様です。毎回の先生の記事、楽しみにして読んでいます。
コロナも、次亜水や、先生の理性的な施術で撃退可能なのにマスコミではとんと見かけないのが歯痒いです。
ノーベル賞の先生も何か飛躍しすぎな発言が多い気がしますし‥
政治家も何か感染者ばかりに振り回され、日本大丈夫かな‥と心配になります。
先生は、気分転換に何かされているんですか?お仕事無理されず、たまにはのんびりしてください。

投稿: にしべ | 2020/07/23 12:25

高橋先生
お世話になります。
COVID 19の後遺症も厄介な問題ですね。先日、デキサメタゾンが効果あるとの事でしたが、サイトカインストーム仮説は正しそうですね。
国立感染症研究所のコロナウィルス研究室が公表したシクレソニド(オルベスコ)は抗ウィルス作用と抗炎症作用があるので、比較的早期の段階での投与を推奨している論文が出ていました。
ワクチンが早く開発されて欲しいですね。季節性インフルエンザの様に毎年毎年ワクチン接種するんでしょうか?
でももしかして、悪玉抗体とやらができて病態を増悪させる事があるとか言われ出したので、難儀な事です。しかしながら、日本人の死亡率が欧米に比較してかなり低いようですが、なんででしょう?その辺りに良い答えがありそうな気がします。
とりあえず、暑いですが、外出時はN95マスクとゴーグルは付けていきます。

投稿: YO | 2020/07/23 16:42

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