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☪️コロナ治療薬のまとめ

ニュースやマスコミでコロナウィルスに関するいろいろな治療薬が公開されていますが、説明が専門用語ばかりで、素人には理解できません。そこで私なりの解説とイラストを作成しました。病気が理解できれば、病気の本質が見えて来るものです。先ずは、アビガンについて解説しましょう。

 Omoricrn1アビガン・タミフル
 元々はエボラ出血熱の治療薬で、新規のインフルエンザ治療薬として開発された薬です。
 コロナウィルスの核であるcov-RNAが、細胞のDNAの前に侵入して、コピー酵素であるRNAポリメラーゼを獲得し、自分の情報のメッセンジャーRNAmRNA)を作り、核周囲にある300万個もあるリボゾームに、コロナウィルスRNACoVRNA)と外膜のタンパク質を作らせるのです。
 アビガンは、 このRNAポリメラーゼをブロックして、コロナウィルスRNAのmRNAを作らせないのです。すると、ウィルス産生をリボゾームに命令できなくなり、コロナウィルスは自分を増やせません。

 ここで注意しなければならないことがあります。細胞内のエネルギーATPを作るミトコンドリアにも、RNAポリメラーゼとリボゾームが存在するのです。つまり【ミトコンドリアmitRNAポリメラーゼ➡️mit-mRNA➡️mitリボゾーム】のセットもあるのです。そのため、アビガンによりmit-RNAポリメラーゼも抑制されますから、ミトコンドリアもダメになり、エネルギーが低下するのです。1個の細胞の中には300個〜400個ものたくさん存在し、カルシウムをも蓄える細胞内小器官・装置がミトコンドリアなのです。アビガンの副作用で、ミトコンドリアもコントロールが出来なくなってしまうこともあるのです。

 当然、感染した細胞は死にますが、感染のない正常の細胞にまでアビガンが作用したら、正常な細胞まで死滅したり機能低下するのです。エネルギーが大量に必要である細胞は、ミトコンドリアが1千個以上も存在し、それが、肝細胞、腎細胞、神経細胞、筋肉細胞です。副作用として肝機能障害、急性肝炎、腎機能障害、多臓器不全になるのです。死滅した細胞が多ければ多いほど、自滅して最終的には敗血症になるのです。 

 さらに神経細胞もミトコンドリアによる大量のエネルギーが必要ですから、ミトコンドリアがダメになれば、神経情報が伝達できなくなります。結果、複雑な神経のバランスが崩れ、意識障害・幻覚・妄想痙攣・転落死の異常行動などの精神神経症状が起きるのです。同様の副作用にはタミフルもありますから、おそらくタミフルもRNAポリメラーゼをある程度ブロックしているのでしょう。コロナウィルスの治療に使用され効果が出ています。

❷レムデシビル
 新たな治療薬であるレムデシビルは、エボラ出血熱ウィルスの注射治療薬として開発された薬です。多くのRNAウィルス疾患の治療薬にも応用され、コロナウィルスの増殖を抑える作用があるようです。アビガンで解説したRNAポリメラーゼの作用を間接的に抑制して、完全なRNAを作らせないので、コロナウィルスが増殖できません。
 しかし、生命活性にとって重要なmRNAを完全に作ることが出来ないことが原因で、副作用も多くあるそうです。それがアビガンと同じ、肝機能障害、腎機能障害、多臓器不全、最後に敗血症です。
 レムデシビルがRNAポリメラーゼをアビガンのように直接ではなく、間接的に制限して、不完全なmRNAを作ってしまうのです。そのために、リボゾームに正確な情報が伝達されないので、コロナウィルスの正確なコピーが作れないのです。
 しかし、全ての細胞のRNAポリメラーゼが、DNAからの命令情報で、mRNAが作られなくなるのです。結果、ミトコンドリアのATPエネルギーが低下して、肝機能障害、急性腎障害、神経機能低下になるのです。

❸イベルメクチン
寄生虫の治療薬であるイベルメクチンが、このたび新型コロナウィルス感染に利用されます。
 イベルメクチンは寄生虫を麻痺させて殺虫させる薬剤です。それが、なぜ新型コロナウィルスに効果が出るのでしょう。コロナウィルスが細胞に接着・融合して細胞内に侵入した後、細胞質内のlMPα・IMPβ1運搬タンパク質に運んでもらい、ウィルスRNAが核内に侵入するのです。
 ところが、イベルメクチンが運搬タンパク質のIMPα・β1を抑えて、ウィルスのRNAを運ばせないと、核に入れないのです。結果、ウィルスは自分のコピーが作れなくなり、増えません。mRNAに作用しませんから、副作用は少ないでしょう。イベルメクチンは、ノーベル賞受賞者の大村智氏が静岡県の土壌から発見したものです。生命体は本当に単純ではなく、多数の要素が存在するのですね。

Omoricrn3 ❹アクテムラ・ステロイド
 リウマチの治療薬である坑リウマチ注射治療薬です。自己免疫疾患であるリウマチをコントロールする薬です。何故、免疫を抑える薬をコロナウィルスの治療に効果があるのだと思います?
 コロナウィルス感染がある程度進行すると、たくさんの感染細胞が死滅して、無数のコロナウィルスが放出・拡散します。当然として、無数の白血球が集合します。そして白血球がコロナウィルスを貪食するのです。ところがコロナウィルスは白血球にも大量に接着します。すると、白血球は視覚がある訳ではありませんから、コロナウィルスに直接接触しなければなりません。たくさんのコロナウィルスが接着した別の白血球を『おお!コロナウィルスの集団だ!』と誤解するのです。当然、白血球同士が貪食し合うのです。それがドミノ倒し的に繰り返されますから、大量の白血球が死滅します。
 では、何故、リウマチの治療薬がコロナウィルス感染の治療薬として有効なのでしょうか?新型コロナウィルス感染が重症化すると、肺炎、重症化肺炎、間質性肺炎、自発呼吸の停止などの驚くべき状態になるのです。インフルエンザでも肺炎になりますが、ご存じのように、これ程ひどくはありません。
 先ずは、リウマチがなぜ生じるのかを考えてみましょう。諸説ありますが、一つはDNA物質が完全に分解できない体質ではないか?という理論です。DNAは分解代謝すると尿酸になり、更に尿素になって、オシッコで排泄されるのです。そのDNAが完全に分解されないと、血流中に巡り回って、骨膜に付着するのです。すると、DNA遺伝子の一部が付着しているので、ウィルス感染又は細菌感染と免疫システムが誤解し、免疫攻撃を掛けるのです。人間は、毎日一定の割合でDNA遺伝子が破壊されますから、この病気は治りません。
 これから考えると、新型コロナウィルス感染によって大量の細胞が破壊されると、たくさんのDNA・RNAが広範囲に放出・拡散されてしまいます。DNA分解処理能力が、リウマチにならない程度のギリギリの人であれば、過剰に拡散したDNARNAを他のウィルスや細菌と誤解し、免疫攻撃が過剰になるのかもしれません。新型コロナウィルス感染で死滅した感染細胞が多ければ、マクロファージや白血球によって処理し切れません。当然、グチャグチャに壊れたDNARNA成分が、血液中に循環し、あらゆる細胞・組織に付着するでしょう。すると免疫システムが、大量のウィルスや細菌と誤解し興奮して、たくさんの免疫抗体がDNARNAに付着します。すると、それを目標にマクロファージ・白血球が集合して、感染をしていない細胞まで攻撃・貪食すると、ひどい炎症が起きるのです。それが、自己免疫疾患になり、病状はドミノ倒し的にドンドンと増強するのです。

Omoricrn2 ❺フサン・フォイパン
 医師であればご存じのように、昔から存在する急性膵炎の治療薬です。コロナウィルスの治療に急性膵炎の薬を処方する理由を説明します。
この薬は膵臓の分泌するタンパク質分解酵素をブロックするのです。膵臓はタンパク質分解酵素を分泌して、総胆管から十二指腸に排出します。胃の内容物が十二指腸に送られた際に、その中のタンパク質を分解して、小腸で吸収し易くするのです。
 何かの原因で膵臓が炎症を起こすと、このタンパク質分解酵素が膵臓から漏れ出てしまい、周囲の内蔵全体にタンパク質分解酵素が散布され傷害与えるのです。全ての臓器はタンパク質で構成されていますから、臓器の表面が石鹸化してしてしまうのです。それが急性膵炎による腹膜炎です。
 さて、急性膵炎の治療薬であるタンパク質分解酵素をブロックする薬剤が、コロナウィルス感染の治療薬になるのは何故でしょう。細胞膜の表面に、レセプターとタンパク質分解酵素がセットになっているのです。コロナウィルスの体表にタンパク質突起が多数存在しており、それが細胞に触れると、細胞側のタンパク質分解酵素が反応して、コロナウィルスと細胞レセプターを接着させてしまうのです。するとコロナウィルスは細胞に完璧接合して細胞内に侵入するのです。このタンパク質分解酵素をブロックしてやれば、コロナウィルスが細胞に接着できなくなり、感染しなくなるのです。 それが急性膵炎の治療薬であるフサンとフォイパンです。

Omoricrn4 ❻ワクチン
 インフルエンザの予防ワクチンを摂取するのは常識です。しかし摂取しない人もたくさんいますがね。日本では世界に比べてコロナウィルス感染者が少ないのは、インフルエンザワクチンを毎年摂取する人が多いからでしょう。コロナウィルスとインフルエンザウィルスに共通のタンパク質の外膜が存在するので、B細胞が同じウィルスと誤解するのでしょう。ワクチンを摂取すると、何故インフルエンザの予防できるのでしょうか? インフルエンザウィルスが体内に入ると、「フサン・フォイパン」で解説したように、細胞の外膜にウィルスが接着融合するのです。ワクチンを摂取すると、「液性免疫」担当のリンパ球のB細胞が、ウィルスが侵入したと認識し記憶するのです。その後、インフルエンザウィルスが本当に侵入すると、B細胞が即刻認識して、速く対応してくれ免疫抗体IgGを大量に作ってくれます。免疫抗体が一斉にウィルスの外膜の多数のタンパク質突起に付着するのです。タンパク質突起が利用できなくなり、細胞に接着し感染できなくなるのです。
 更に、ウィルスにコーティングされた免疫抗体に、マクロファージ・白血球が敏感に反応して、ウィルスを貪食してくれるのです。新型コロナウィルスもこれと同じです。特にコロナウィルスは、インフルエンザウィルスよりも細胞に沢山接着しやすいので、インフルエンザワクチンよりも効果があるでしょう。早くワクチンの完成を期待しています。

以上のことから、感染症専門外の開業医が、新型コロナウィルス感染の患者さんを安全に助けるために治療したいと思えば、各タイプの副作用の少ない入手可能な治療薬を選択するべきでしょう。
①RNAポリメラーゼを、ある程度抑制すると思われる「タミフル」
②細胞質の運搬タンパク質を抑制する「イベルメクチン」
③細胞との接着・融合を抑制する「フサン・フォイパン」
④重症化傾向にある場合、免疫を少し抑制する「ステロイド」の吸入・注射
⑤免疫抗体を作る、リンパ球のB細胞を刺激する「ワクチン」
この考えは、5月時点で知り得た情報から、私の身勝手な考えで作成した記事とイラストです。後日、新たな真実と一致しなければ、お許しください。今回の記事が皆さんのお役に立てれば、小生にとって大いなる喜びです。

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コメント

私の記憶が間違っていなければ高橋先生は今月で確か68歳になられた(なられる)と思います。

初診の頃
「僕はあと二年しか生きられないんだよ。」と、度々仰られ
私はその度に恐怖で恐怖で仕方なく法華経の寿命増益のお経を経行をしていました。(笑)
(当時は真剣そのものでしたが、今となっては自分に笑えます。)

先ずは68歳おめでとうございます。
そして、生きていて下さって本当に有り難うございます。
 
普通の普通の一般人に見える高橋先生を、私は何年経ってもやっぱり尊敬します。
【回答】
明日21日です。
高齢者です・・・。

投稿: | 2020/05/19 19:32

幸いにも日本にはアンチ・バクサーという反ワクチンの宗教的組織が存在しません。欧米には多数いますが・・。

二隻のクルーズ船に対応しながらも、ここまで対処できるとは、本心からビックリしています。何よりもローカルの医療が機能している証だと考えます。

投稿: イノマタ | 2020/05/19 20:18

上の方も仰ってますが、高橋先生を始め、日本は本当に巷間のお医者様お一人おひとりのレベルの高い国だと思います。
高橋先生はご自分で日夜勉強なされて知識を更新され、本当に頭がさがります。
マスコミは、高橋先生の様な、ご自分の経験に基づいた確実な医療知識を持つお医者様の意見を聞くべきなのに、権威主義で肩書きばかりの方だけ選んでる様に思えます。

お誕生日おめでとうございます。
高橋先生の末永い御健康をお祈り申し上げます。無理されないで下さいね。
【回答】
ありがとうございます。

投稿: にしべ | 2020/05/20 10:48

今日21日だったのですね。
良かったです。☺️
おめでとうございます。

高橋先生とも永いお付き合いとなりました。
私の願いは高橋先生が日々、楽しいお時間を過ごされる事です。

来年もまた、このような会話が出来ますように。☺️
【回答】
ありがとうございます。

投稿: | 2020/05/21 11:44

診察No.36906です。お世話になっております。
生まれて初めて飛行機に乗り、藁をも掴む気持ちで高橋先生に診察していただきに東京まで行った日から早いもので1年3ヶ月たちました。
お薬を頂き飲み始めてから1ヶ月後から痛みがましになり、今はシロドシンだけで普通の生活が出来ています。
1年3ヶ月前は、本当に辛くて苦しい状態でした。今の痛みの無い普通の生活が出来る幸せは、高橋先生のお陰だと毎日感謝しています。先生がいてくださって本当に良かったと心から思います!

今日は、高橋先生のお誕生日なんですね!
厚かましいかなと思いましたが、一言お祝いを言わさせて頂きたくて…
高橋先生お誕生日おめでとうございます!これからもずっとずっとご活躍されることを願っています。いつまでもいてくださいね!
【回答】
ありがとうございます。
68歳の高齢者になりました。

投稿: 徳島HISA | 2020/05/21 15:39

高橋先生

最大限の防衛をしていてまず大丈夫だとは思っていても相手は感染症、この先ワクチンが行き渡るまでの長期戦で私自身が100パーセント罹らないで済むという保証はありませんので、治療薬の進展については万が一のためにでも押さえておかねばと思っていました。仰るように、報道では断片的な解説が多く、また海外では政治家や製薬会社などが勢力争いに利用したのではと疑う発言があったり、国内でも最近のアビガン報道のような混乱もあったり、素人はどのように観れば良いのかわかり難い状態でした。先生の治療薬の現状についてのお話は本当に理解しやすく貴重な情報だと思って拝読いたしました。有難うございました!

投稿: 金沢のY | 2020/05/24 23:47

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