« 自分勝手,身勝手 | トップページ | 関連痛 »

慢性前立腺炎の多彩な症状

Fbccae09c61747e797aa9a2711436bfb 一般の医師は、慢性前立腺炎の症状を頻尿、陰部の痛みだけだと思っています。それ以外の症状は「気のせい」「ストレスが原因」「精神科の病気」と判断します。私から言わせて頂ければ、病気はそんなに単純ではなく、人間はある意味で小宇宙のはずです。

多くの医師は、「痛み=炎症」だけだと単純に思い込んでいるのです。そして「炎症=細菌感染」と思い込んでいて、抗生剤・抗菌剤しか処方しません。基礎医学に記載されている「炎症」とは?を読めば、この誤解が理解できます。

【【炎症とは、生物学的、化学的、物理学的刺激によって生じる生体反応を「炎症」と定義する。】】

これは、医学生の3年生から4年生の頃に勉強したことです。ところが、臨床経験が長く多くなればなる程、基礎医学を忘れワンパターン認識しかしなくなるのです。患者さんを詳細に診ようとするのではなく、病気の症状を当てはめようとしているのです。

慢性前立腺炎の患者さんの原因のほとんどが、膀胱頸部硬化症です。膀胱出口を取り巻く膀胱括約筋が肥大化したために起こる排尿機能障害が原因です。つまり『物理的刺激』による炎症なのです。

ですから、抗生剤・抗菌剤を使用しても治りません。単なる炎症治療薬も対症療法でしかありませんから、効果的ではないのです。治療の大原則は、排尿機能障害の治療薬であるα1ブロッカーユリーフ・ハルナール・フリバスなどです。

Cpsynpt 慢性前立腺炎の患者さんの症状は多彩です。頻尿、残尿感、排尿痛、膀胱痛、恥骨疼痛、鼠蹊部痛、ペニス痛、尿道痛、太ももの痛み、足の裏の痛み、坐骨神経痛、肛門の痛み、陰嚢の痒み、肛門の痒み、胃の痛み、舌の痛み、首の痛み、手の痺れ、手の震えなどです。これだけ多くの症状を医師は、患者さんの「気のせい」「他の科の病気」「精神科の病気」などと診断し、他の診療科で治療しますが、治る訳がありません。結果、多くの患者さんは悩み続けるのです。

この多才な症状が発現する理由が、イラストの通りです。
前立腺や膀胱の知覚は、仙骨中枢から脊髄神経の尿意ルートを介して大脳中枢に伝達されます。排尿障害により前立腺や膀胱が過敏になると、大量の情報が仙骨中枢に流入します。しかしながら患者さんの体質・個性によっては、尿意情報をすべて大脳中枢に伝えられない人もいます。情報が仙骨中枢に過剰に余ってしまいます。

そこで神経が工夫をします。神経ニューロンがシナプス結合を他の感覚ルートに伝えてしまうのです。仙骨中枢内であれば、陰部の痛みルート、痒みルート、足の痛みルート、冷感ルートなどです。さらに上位の脊髄内の尿意ルートからも他の感覚ルートに伝えると、腰の痛み、胃の痛み、手の痛み振え、首の痛み、舌の痛み、嗅覚などになるのです。そのため、症状に応じて、整形外科、胃腸科、耳鼻科、精神科で治療を受けますが、治る訳がないのです。

D234bcfd2b964d28a60fe936d4f31c80 多くの患者さんがお越しになり、病気の原因が排尿障害だと言っても、不思議がられます。大多数の患者さんは、1ヶ月も治療すれば多彩な症状が軽快して驚かれます。

 

 

 

 

 

|

« 自分勝手,身勝手 | トップページ | 関連痛 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 自分勝手,身勝手 | トップページ | 関連痛 »